Date: Fri, 07 Aug 1998 22:08:00 +0900
From: 加賀谷いそみ <QZF01055@nifty.ne.jp>
Subject: [keystone 522] F16低空飛行中止の申し入れ
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     30Mの低空から水爆投下訓練を行なうF16!
   5月7日〜7月16日の間県内で107回の低空飛行を強行!
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秋田県平和委員会では7月29日、県庁で小野征逸総務部次長に会い、寺田知事へ、F1
6
低空飛行中止の申し入れ書を渡しました。
小野総務部次長は「県民の安全のため内容を十分に検討する」と回答。

《申し入れ書》
    海外への「なぐり込み」を目的に水爆投下訓練まで行なっている
      米軍核攻撃幾F16の低空飛行を中止させるために

 米軍三沢基地で7月24日訓練中のF16戦闘機が離陸に失敗、炎上した事件につい
て、青森県のマスコミは、「これが市街地だったら・・・重大事故に市民衝撃」と大き
く報道しました。
 米空軍所属のF16は、昨年10月以降の98会計年度中にすでに11機が墜落など
のAクラスの重大事故を起こしています(米空軍総司令部のFlight Safety Statistics
 1998.7.28による)。
 県が管理する秋田空港には、1988年9月22日と翌89年5月30日の2回にわ
たってF16が緊急着陸をしましたが、油圧系故障を原因とする後者の緊急着陸は、墜
落寸前の重大事故であり、当時の副知事と人事課長が外務省と防衛施設庁を訪れ、再発
防止をつよく要請した経過があります。
 これらの事件は、安全性を犠牲にした戦闘性能優先で設計され、危険を犯して飛行訓
練をつづける戦闘機、とくにF16の危険性を示しています。
 一方、本年2月米軍機がイタリアのスキ−場で20人の命を奪った惨事をきっかけに
、米軍機の低空飛行訓練の危険性が国際的にも大問題になっています。秋田県では、県
平和委員会の陳情にこたえ約10年前に県議会、全市町村議会が米軍三沢基地の核攻撃
機F16の低空飛行訓練中止を要求したにもかかわらず、その後も頻繁に繰り返されて
きました。
 県民から県当局に苦情がよせられたものをふくめ、県平和委員会の調査では、別紙の
ように5月初旬から7月中旬までの約70日間に総計100機以上のF16の飛行訓練
が記録されています。
 この時期には、三沢のF16の一部が中東地域に派遣されており、中東での任務を終
えたF16のパイロットの一部は休養中で、それに加え低空飛行訓練には適さない梅雨
がつづいていたにもかかわらず、観測されただけでこれだけの飛行訓練が秋田県上空で
行なわれたことを考えると今後秋田県上空でのF16の低空飛行訓練のいっそうの激化
が予想されます。

 こうした事態を重視し、知事を先頭に県当局が早急につぎの措置をとるよう、申し入
れます。

 (1)地方自治体法にもとづき「住民の安全の確保」を第一の任務とする秋田県として
、衝撃音や騒音で県民を恐怖におとしいれるだけでなく、重大な事件や惨事をもたらす
危険性の高いF16の低空飛行を中止するよう、県議会が採択した「秋田県非核平和宣
言」を添付して三沢米軍(第35戦闘航空団)司令部につよく申し入れること。
 とくに三沢基地の米軍司令部が今回の事故について、通りいっぺんの調査報告とF1
6機の安全点検で飛行訓練を再開することは容認できないことを申し入れること。
 (2)そのためにもF16の低空飛行について、県が戦闘機をふくめ、監視・通報する
システムを確立し、そのつど米軍側に直接通報し、低空飛行中止を要求すること。
 (この点では、後述するように米空軍総司令部が違反飛行の通報を歓迎している事実
を参考にすること)
 あわせて、三沢米軍司令部にたいし、秋田県と秋田沖上空では、どのようなル−トと
空域、高度で、どのような飛行訓練をおこなってきたのか、報告を求めること。
 (3)F16の秋田空港、大館能代空港の使用は、空港管理者である知事として拒否す
ること、県管理の空港の軍事利用はいっさい認めないことを米軍側に通告すること。

 秋田県平和委員会は、核攻撃機F16が三沢に配備されて以来いっかんして低空飛行
訓練の中止とF16の三沢基地からの撤去を要求して活動してきましたが、今回このよ
うな申し入れをするのは、つぎのような理由と根拠があるからです。
 (1)米軍三沢基地のF16の低空飛行訓練は、第1に「日本の防衛」とは何の関係
もない、海外への「なぐり込み」作戦を目的にしています。
 昨年4月、”サムライ”と愛称をつけている第14飛行隊の6機のF16が北部イラ
クの飛行禁止空域のパトロ−ルの任務でトルコに派遣されたとき、三沢基地報道部の記
者クラブの広報『ニュ−ス・リリ−ス』は、「今回の展開は、三沢・太平洋において行
なわれている日頃の訓練の成果を発揮するものであり、また”サムライ”により北日本
で行なわれている日々の訓練が現在トルコに展開されている任務に生かされている理由
の一つとして、我々がここ三沢で実施している訓練は、世界において、どのような状況
にも対応するものであり、我々が維持している厳しい訓練は有事のさいに生かされるも
のであります」という第14飛行隊長の談話を日本語で掲載しました。
 今年7月10日付けの米軍三沢基地の新聞”ノ−ザンライト”は、今年4月末にサウ
ジアラビアに展開したF16第13飛行隊(愛称パンサ−)が「三沢でやってきたのと
まったく同じ方法で作戦を行なった」という飛行隊長の談話を掲載しています。
 秋田県上空をふくむ北日本でのF16の低空飛行が日本の防衛とはまったく無縁で、
もっぱらアメリカの世界戦略にもとづいて地球上のいたるところに「なぐり込み」をか
けるための訓練であることを第一線の指揮官自身が公言しているのです。
 現在も三沢から12機のF16がサウジアラビアの基地に展開し、去る6月30日に
はイラクの軍事施設を攻撃し国際的な非難を浴びましたが、三沢米軍基地では「作戦に
必要な戦闘技量の細かい調整のための訓練シナリオにもとづいて、出発前数ヵ月間(2
〜4月)訓練を行なった」と公表しています。秋田県上空での戦闘訓練は、まさにその
目的で行なわれているのです。
 (2)三沢基地のF16航空団は、米空軍が世界中で5つしか持たない「敵防空網制
圧」(SEAD=Suppression of Enemy Air Defenses)の任務をもつワイルド・ウィ−ルズ
(野らイタチ)航空団の一つです。
 低空飛行は、防空警戒レ−ダ−による探知を避けて敵国に侵入し、レ−ダ−やミサイ
ルなど敵の防空システムをはじめとして通信施設や司令部など相手国の中枢軍事施設を
破壊し、その後の軍事介入を容易に遂行することを目的にしています。
 地表すれすれのところを高速で飛ぶ訓練は、つねに危険と隣り合わせであり、しかも
技量が落ちないように絶えず訓練を繰り返すことが要求されています。
 そのためにF16についても詳細な『空軍教範』(AIR FORCE INSTRUCTION 98年

月発行)が定められ、資格を3段階に分け、パイロットは低空飛行の高度別に厳格な訓
練とその継続を要求されています。
 この『空軍教範』では、とくに第3段階の「継続訓練」で「核兵器の種類、威力、安
全、保安、選択、発射判断、事前飛行、安全装置の切り替え、通常及び緊急時の手順」
についての学習が義務づけられているだけでなく、「特殊兵器種目」の項で「模擬爆弾
または実爆弾を落とすための核スイッチ技術を利用する発射は、高度最低100フィ−
ト」(【注】100フィ−トは約30メ−トル)という訓練まで定められています。
 F16のコックビットにはB61の水爆を発射するためのスイッチやモニタ−パネル
があることは早くから知られており、それと合わせれば、核攻撃機としてF16は「最
低高度30メ−トルで水爆を発射する」訓練まで行なっているわけです。
 世界で唯一の核被爆国で、非核三原則を国是としているはずの日本で、米軍の公表資
料からこのような核攻撃訓練が行なわれている事実が明らかになっています。
 少なくない県民がF16の低空飛行で「直接自分が攻撃のマトにされた」「自分の運
転している車が標的にされた」と恐怖に襲われた経験をもっていますが、それがこの種
の訓練と無縁だとはいえません。
 とくに秋田県は県議会をふくむ全自治体の議会が「非核平和宣言」を行なっているだ
けに、核爆弾投下をふくむF16の低空飛行訓練を許すわけにはいきません。
 (3)低空飛行訓練は、危険性が高いだけにアメリカでは、軍自身が野性生物への影
響をふくむ広範な環境評価を行い、訓練ル−トの設定・変更のさいは連邦航空局の厳格
な審査を受け、許可されたのち訓練ル−トと空域、高度を公表してから実施しています

 そして「すべての航空機は人、船舶、車両、建築物から500フィ−ト以内の近くを
飛行してはならない(【注】500フィ−トは約150メ−トル)という連邦航空局の
規定を軍用機もまもることになっています。(米空軍の低空飛行に関する”FACT SHEET
 96・17”http://www.af.mil/ne ws/factsheets/)
 イタリアやドイツなどヨ−ロッパでは、米軍機は駐留国の政府が許可した訓練ル−ト
や空域、高度でしか飛べないことになっています。
 ところが日本では、米軍機の低空飛行は訓練ル−トさえ公表されず、日米安保条約と
地位協定を理由に日本の航空法を適用除外し、政府は「実弾射撃などを伴わない通常の
飛行訓練は、提供した施設、区域の上空に限定されたものではない」として、「植民地
」なみの屈辱的な態度で、米軍機の低空飛行訓練を野放しにしています。
 広島県や高知県などで、自治体ぐるみで海兵隊所属米軍機の低空飛行訓練に抗議する
運動が高まり、昨年暮れから在日米軍は海兵隊に限って中止措置をとりました。
 しかし、三沢のF16は、我がもの顔に東北・北海道で超低空をふくむ飛行訓練を継
続しています。
 地方自治体の第一の任務は「住民の安全をまもる」ことであり、秋田県として米軍と
日本政府にF16の低空飛行中止をつよく要求すべきです。
 (4)県平和委員会のたびたびの要求で、これまで秋田県は低空飛行の騒音などにつ
いて住民から苦情があったとき、保健所を通じて収拾した情報を本庁の環境保全課が集
約し、人事課長が仙台防衛施設局をつうじて三沢基地の米軍に連絡し、目に余るときは
知事が外務省や防衛施設庁に「要請」したことがありました。
 その結果、秋田市などの市街地上空での低空飛行の回数は減りましたが、別添の資料
のように低空飛行が相変わらず繰り返されています。
 さきに引用した米空軍総司令部の”FACT SHEET”では、「空軍は一般からの違反飛行
の通報を歓迎」し、市民が最寄りの空軍基地へ電話や手紙で通報することを呼びかけて
います。
 秋田県として、住民からの苦情を待つ受け身の姿勢ではなく、県の管理する空港、港
湾、ダムの管理事務所はもちろん、県立の大学・学校をふくむ教育機関など、あらゆる
出先機関から低空飛行について即時通報体制をとり、直接三沢米軍基地司令部に低空飛
行中止を申し入れるシステムをつくるべきです。
 県自身がそうした低空飛行監視体制をとるとともに、市町村もそれに準じた監視・通
報体制をとるよう指導すべきです。
 (5)前述の米空軍の低空飛行についての”FACT SHEET”は、「戦闘では、多くの航
空機が地上のミサイルレ−ダ−を撃破し精巧な地対空ミサイルや対空砲、敵戦闘機を避
けるため、高度100フィ−トで高速で飛行する。パイロットは低空飛行に習熟するた
め長時間の実戦的訓練を必要とし、熟練を保持するため同一の訓練にさらに長時間を必
要とする。低空飛行は空軍の最高の優先訓練の一つである」としています。
 これまで多くの自治体や住民が低空飛行中止の要求をしてきたにもかかわらず、三沢
の米軍がそれを無視してきたのは、F16にとって低空飛行訓練は絶対に欠かせないと
いうのが米軍の根本方針だからです。
 したがって、危険なF16の低空飛行を中止させるには否応なしに、三沢からF16
航空団そのものを撤去させる運動に発展させなければなりません。
 さらに事態の根本的な解決のためには、旧ソ連の崩壊で東西冷戦が終決した今日なお
米軍が駐留し、わが国の主権が侵害されている根源になっている日米安全保障条約を廃
棄すべきです。
(6)日本にたいし武力攻撃がなくても、アメリカが行なう軍事作戦に日本が自動的に
参戦することを取り決めた日米防衛協力の新たな指針(新ガイドライン)にもとづいて
、政府は国内法の整備と称し、国会に「周辺事態措置法案」、自衛隊法「改悪」案など
を上程しました。
 これは、アメリカの要請で日本政府が「周辺事態」と判断すれば国会の承認もなく自
動的に参戦する「アメリカ有事参戦法」というべきもので、自治体や民間まで総動員し
、民間の空港・港湾の米軍使用、米軍への新たな土地・施設の提供、さらには輸送・医
療・建設にいたるまで自治体の協力を義務づけようとするものです。それだけに全国的
に新ガイドラインの立法化に反対する自治体が急速に増大しています。
 秋田県内でも、すでに6月議会で横手市、男鹿市をはじめ10市町村議会が周辺事態
措置法などの制定に反対する意見書を政府に送付しています。
 諸外国にも例のない、「植民地型」ともいうべき日本における米軍機の低空飛行を中
止させるためにも、秋田県が新ガイドラインの法制化に反対する態度を明確にすること
が求められています。

 秋田県平和委員会は、専門性を生かして非核・平和を求める国民運動の一翼をにない
、全国から注目される実績をおさめてきましたが、今後も平和憲法と非核三原則をまも
りぬく見地から活動を強化する決意を表明し、理由と根拠を明示して前記の申し入れを
おこなうものです。
 知事はじめ県当局の誠意ある対応をつよく求めるものです。

【資料】秋田県のF16低空飛行の調査結果
 1998年5月1日〜7月15日
表は、県平和委員会会員の調査デ−タと県当局のデ−タ(20件)より作成。それぞれ
のデ−タの重複は除いた。

      県北部                   県南部
    大潟村     その他
   低空 中高空
計  39  16    6     36 
                                             総計  97
(月日、時刻の個別集計は省略)
注:県当局の集計は、複数が記載されていないので、実際は100機を越えると思われ
る。また、調査漏れもかなりあるものと思われ、一層の調査体制の充実が必要である。

-------ここまで申入書--------

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  秋田県内市町村6月議会の採決結果
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◎アメリカの軍事介入に日本を参戦させる「周辺事態法」の制定に反対する意見書の提
出を求める陳情
         陳情団体 有事立法を阻止する秋田県実行委員会
                        代表 左藤裕二

採  択 横手市・男鹿市・藤里町・矢島町・稲川町・羽後町・五城目町・東成瀬村
趣旨採択 西目町・雄物川町
              (他の議会からは、説明を求める要請がきているそうで
す)
 

◎盗聴法制定に反対する意見書提出についての陳情
         陳情団体  日本国民救援会秋田県本部
                    会長 小林泰夫

採  択 男鹿市・飯田川町・象潟町・矢島町・金浦町・東由利町・鳥海町・神岡町・
     雄物川町・東成瀬村
   (総理大臣・法務大臣・自治大臣へ意見書を提出・写しを衆参両院議長へ送付)
趣旨採択 大潟村
 


  • 1998年
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