Date: Sun, 21 Jun 1998 02:39:34 +0900
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Subject: [keystone 354] from FACTIVE > 印パ核実験への日本の対応(まとめ
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*- FACTIVE  MES( 8):●分科会 戦争 平和 基地問題 02
*951   SDI00872  山崎 久隆        核実験>印パ核実験への日本の対応(まとめ
( 8)   98/06/19 23:57  831へのコメント

(首相官邸・外務省インターネットホームページより転載)

村岡官房長官談話
 
           インドの核実験実施に対する我が国の措置について
 
平成10年5月13日 
 
1. 11日、インドが核実験禁止の流れに逆行して、核実験を行ったことは極めて遺憾
である。我が国は、12日、小渕外務大臣よりシン在京インド大使を招致し、この遺憾
の意と共に各開発の早期停止をインド側に申し入れたところである。
 
2. 今般のインドによる核実験実施は、核兵器の無い世界を目指す国際社会全体の努
力に対する挑戦であり、全く容認できないものである。インドに対しては核実験の即
時停止と、NPT及びCTBTへの早期加入を改めて求めたい。
 
3.このため政府としては、ODA大綱原則に鑑み、以下の措置を講ずることとした。
(1)対インド無償資金協力については緊急・人道的性格の援助及び草の根無償資金
協力を除き新規の協力は停止する。
(2)対インド円借款については、今後のインド側の対応を見て、我が国政府の具体
的方針を決定する。
(3)本年6月30日〜7月1日に対インド支援国会合(IDF)が世銀主催の下に東京で開
催されることが予定されていたところ、我が国政府としては、東京開催招致を見合わ
せたい旨世銀に申し伝える。
 
4. また、インド向けの大量破壊兵器関連品目等の輸出については、厳格な審査を堅
持していく。
 
 
           インドの核実験実施に対する我が国の措置について
 
平成10年5月14日 
 
1.13日、インドが新たに2回の核実験を実施したことは極めて遺憾であり、我が国と
してはこれを重大に受け止め、インドに対し改めて核実験及び核開発の停止を強く申
し入れたところである。この新たな事態に鑑み、13日の自分のコメントにもあるとお
り、我が国政府としてはODA大綱の趣旨を踏まえ更なる措置につき検討せざる得ない
状況に至ったが、今般、更に以下の措置を取ることとした。
(1)インドに対する新規円借款の停止。
(2)国際開発金融機関による対インド融資については慎重に対応する。
 
2. なお、我が国は、この新たな事態を踏まえ、今後の対応を協議するため平林駐イ
ンド大使を一時帰国させることとする。また、我が国政府は来るバーミンガム・サミ
ットの場において、インドに対し不拡散体制への参加に前向きに取り組むよう強く働
きかけるよう呼びかけることとする。
 
 
日本経済新聞社主催 第四回国際交流会議晩餐会
 
橋本総理大臣挨拶
 
平成10年6月4日
 
 御列席の皆様、
 今般、 日本経済新聞社主催で第4回国際交流会議が開催され、この晩餐会において
御挨拶する機会をいただきましたことは、私の喜びとするところであります。この会
議が有益な成果をもたらすことを心より願っている次第です。
 
 この国際交流会議は、「アジアの未来」と題し、95年以来毎年開催されていると伺
っております。私は先月バーミンガム・サミットに出席してまいりましたが、そこで
はアジア経済、インドネシア情勢、インドの核実験など、ここ最近のアジア地域の話
題が各国首脳の強い関心を集め、多くの意味でアジアに焦点が当たったサミットとな
りました。私としても、アジアからの唯一の参加国の代表として、それぞれの問題に
ついてアジアの視点を盛り込んで、我が国の立場、主張をしっかりと説明し、議論を
リードできたと自負しております。
 このうち、インドの核実験との関連では、バーミンガム・サミット以降、パキスタ
ンによる核実験の実施という不幸な展開がありました。私自身、G8首脳との議論の記
憶も新しく、一連の推移を強い思い入れを持って注視し、また対応してきたところで
す。本日は、この問題に的を絞って、サミットでの議論にも遡りながら、私の考える
ところを述べてまいりたいと思います。
 
 バーミンガム・サミットでは、インドの核実験は初日の夕食会と最終日の双方で話
題となりましたが、私からは、唯一の被爆国であり、非核三原則を堅持している我が
国として、インドの核実験に大変失望したこと、インドとパキスタンとの間に緊張が
高まれば、南アジアのみならずアジア地域全般、ひいては世界の安全保障に影響が及
び得ることを説明しつつ、この重大な事態を前に、G8として明確かつ強いメッセージ
を発する必要があることを強調しました。それと共に、それまでに我が国がとったイ
ンドに対する一連の強い措置を紹介し、また、内閣外政審議室長を私の個人的代理と
して緊急にパキスタンに派遣したことを紹介しました。採択された首脳声明でも、イ
ンドの行為を一致して非難すると共に、インド及びこの地域の他の諸国にこれ以上の
核実験や核兵器、弾道ミサイルの配備を行わないよう求めております。パキスタンに
対しては、G8としても最大限の自制を呼びかけたところでした。
 このように強く明確なメッセージが出されたにもかかわらず、パキスタンが二度に
わたり核実験を実施したことは、誠に遺憾であります。パキスタンに対しては、私自
身、先に述べましたように特使を派遣したり、またシャリフ首相に直接電話をかける
など、再三にわたり自制を求めていたところでした。ちょうど一週間前の夜に第一報
に接した時は、我が国をはじめとする国際社会による懸命な働きかけにもかかわらず
核実験が行われたことについて、本当に残念に思いました。
 
 折しも、本日は、国連安保理常任理事国五ヶ国の外務大臣がジュネーヴに会し、こ
の問題を議論しております。また、12日には、G8外相がロンドンに集まり、同様に協
議を行う予定です。 さらに七月には、ARF閣僚会合も予定されております。私として
は、これら国際会議をはじめあらゆる機会を利用して、国際社会の英知を結集し、こ
の問題に取り組んでいく必要があると考えております。さらに我が国としては、その
ような取組を積極的にリードすべきであるとを考えます。
 私としては、こうした取組にあたっては、次の二つの視点を十分踏まえる必要があ
ると考えています。それは、第一に国際的核不拡散体制の強化という視点であり、第
二に地域の安全保障という視点であります。
 
 第一の、国際的核不拡散体制の強化という視点からは、先ず、国際社会が一致して
インド、パキスタン両国に対し強い働きかけを行っていくことが重要です。核実験、
核開発の即時停止、 NPT、CTBTの無条件の締結等は重要な要素です。我が国が、スウ
ェーデンと共同で安保理決議案を提案したのは正にこのような考え方からです。
 次に、今回の事件を機に核不拡散体制が動揺することを避ける上で、国際社会の核
不拡散へのコミットメントを強化する措置を検討するなど、不拡散体制を支えるため
の具体的施策を考えていくことが必要となっております。さらに、インド、パキスタ
ン両国からの、また両国への核やミサイル関連物資・技術の移転を阻止するための具
体的措置を検討することの重要性も指摘したいと思います。
 また、  核兵器国自身の核軍縮努力が重要であることは言うまでもありません。
START2の早期発効など、目に見える形で、核兵器国が核軍縮努力を加速化させること
が求められていると言えましょう。
 今後の一連の国際会議において、これらについて我が国からも主張してまいる考え
です。先ず、その一環として、日本国際問題研究所及び広島平和研究所等の協力によ
り、内外の有識者の参加を得た国際的なプロジェクトとして、核軍縮・不拡散に関す
る緊急行動会議の発足を政府として提唱したところです。今後一年のうちに我が国で
一連の会議を開催し、核軍縮の促進及び不拡散体制の堅持・強化につき、世界に向け
た提言を得たいと思っております。
 
 第二に地域の安全保障という視点であります。
 我が国としては、インド、パキスタン両国の緊張の高まりは、単に二国間の問題に
止まらず、南アジアの安全保障、さらには国際社会全体の平和と安定に影響を与える
問題として重大な懸念を有しております。こうした影響を回避する上で、先ず重要な
のは、インド、パキスタン両国が真剣な対話を開始し、緊張緩和に向けた努力を傾け
ることです。今回の一連の動きは、独立以来の根深い両国の対立にその主たる要因を
求めることが出来ます。私としては、地域紛争の両当事国が核実験を行ったという新
たな現実を前に、国際社会としても原点に立ち返り、カシミール問題をはじめとする
両国の対立の要因をなす諸問題に強い関心を持ち、南アジアの安全保障の在り方を考
えていく必要があると思います。そのような視点から、我が国としては、来るロンド
ンG8外相会合の場において、G8全体として印パ情勢に強い関心を持ち、意味のある印
パ対話を慫慂していくことを提起したいと思います。
 
 以上、現在の国際社会の関心を支配するこのインド、パキスタン両国の核実験の問
題について申し上げました。まだまだ話は尽きないところですが、時間の関係もあり
ますので、私からの話はここまでとさせて頂きます。今回の会議において、この問題
も含めて自由で闊達な議論が行われ、実りある会合となることを改めて祈りつつ、私
の挨拶とさせて頂きます。ご静聴有り難うございました。
 
 
 
    インドによる地下核実験の実施
    (我が国の対応:クロノロジー)
 
    平成10年6月9日
 
  第1回核実験5月11日15時45分(現地時間、日本時間19:15)
   インドはラジャスタン州ポカラン実験場にて3回の地下核実験を実施(インド政
  府発表)。 実験は、 核分裂装置、低爆発力装置、熱核(水爆)装置を有したもの
  (ヴァジパイ首相記者会見)。
 
  ●5月12日未明村岡官房長官コメント
    「インドが世界的核実験禁止の流れに逆行してこのような実験を行ったことは極
    めて遺憾である」
  ●5月12日午前 小渕外務大臣によるシン在京インド大使招致
  ●5月13日夕方第1回核実験に対する我が国の措置発表(官房長官談話)
    (1)対インド無償資金協力の停止(除:緊急・人道援助及び草の根無償)
    (2)円借款については、今後の印側の対応を見て検討
    (3)対インド支援国会合(IDF)の東京開催招致を見合わせ
 
    第2回核実験
     5月13日12時21分(現地時間、日本時間15:51)
   さらに2回のサブ・ キロトン核実験を実施。この実験はコンピューター・シミュ
  レーションの改善のための必要なデータをもたらし、未臨界実験の実施能力を得る
  ために実施され、これで計画された一連の実験を了(インド政府発表)。
 
  ●5月13日夜 官房長官コメント
  「新たな事態に鑑み、 これら措置に加えて、 更なる措置につき検討せざるを得な
  い」
  ●5月13日夜小渕外務大臣によるシン在京インド大使の再度招致。
  ●5月14日夕方
    第2回核実験実施を踏まえた我が国の措置発表[2](官房長官談話)
    (1)新規円借款の停止
    (2)国際開発金融機関による対インド融資については慎重に対応
  ●5月15日未明
    (日本時間)インドの核実験を受けた安保理議長声明発出
  ●5月16日朝(日本時間)バーミンガム・サミットで「G8首脳による声明」を発出
  (○5月28日 パキスタンが地下核実験を実施。30日には二度目の実験。)
  (●5月30日未明 パキスタンの核実験を受けた安保理議長声明発出。印にも言及。)
  (○6月5日朝(日本時間)P5外相会合で共同コミュニケを発出)
  ●6月7日未明(日本時間)インド、パキスタンの核実験に対する安保理決議採択
 
 
 
    パキスタンによる地下核実験の実施
    (我が国の対応:クロノロジー)
 
    平成10年6月9日
 
    第1回核実験5月28日、午後3時過ぎ(現地時間、日本時間午後7時過ぎ)
   バロチスタン州チャガイ近郊にて5回の地下核実験を実施(シャリフ首相発表)。
   なお、実験の詳細については未発表。
 
  ●5月28日夜村岡官房長官コメント
  「我が国を含む各国の真摯な要請にもかかわらず、パキスタンが地下核実験を行っ
  たことは極めて遺憾である。」
  ●5月28日夜小渕外務大臣によるクレシ在京パキスタン臨時代理大使招致
  ●5月29日第1回核実験に対する我が国の措置発表(官房長官談話)
    (1)対パキスタン無償資金協力の停止(除:緊急・人道援助及び草の根無償)
    (2)新規円借款の停止
    (3)国際開発金融機関による対パキスタン融資については慎重に対応
  ●5月30日未明 
    (日本時間)パキスタンの実験を受け、安保理議長声明発出。
 
    第2回核実験
  5月30日、午後1時過ぎ(現地時間、日本時間午後5時過ぎ)
   バロチスタン州チャガイ近郊にて1回の地下核実験を実施(アフマド外務次官発
  表)。
   同次官は、これにより一連の実験を完了したと発表。実験の詳細は未発表。
 
  ●5月30日夜村岡官房長官コメント
  「去る28日の核実験に際し、我が国を含む国際社会が発した強い非難にもかかわら
  ず、再度パキスタンが核実験を行ったことを、我が国は極めて重大に受け止め、パ
  キスタン政府に対し強く抗議する。」
 
  ●5月30日夜小渕外務大臣によるクレシ在京パキスタン臨時代理大使招致
  ◯6月4日朝(日本時間)P5外相会合で共同コミュニケを発出
  ●6月7日未明(日本時間)印パの核実験に対する安保理決議採択
 
 
 
                 インド及びパキスタンの核実験に対する
                         日本の経済協力関連措置
 
1.インドとパキスタンの核実験実施
 
 5月11日と13日の両日、インドは1974年以来24年振りに2度にわたる地
下核実験を実施しました。また、5月28日と30日の両日には、パキスタンが日本
を含む各国の真摯な自制の要請にもかかわらず地下核実験を実施しました。
 日本政府はこれに対し、13日、14日及び29日、村岡官房長官より夫々談話を
発表し、インド及びパキスタンの核実験は、世界的な核実験禁止の流れに逆行し、核
兵器の無い世界を目指す国際社会全体に対する挑戦であり、極めて遺憾であるととも
に、全く容認できないものであるとして、両国に対して核実験の即時停止と核不拡散
条約(NPT)及び包括的核実験禁止条約(CTBT)の無条件締結を求める方針を
明らかにしました。
 
2.経済協力関連措置
 
 このため日本政府は、大量破壊兵器等の開発・製造の動向にも十分注意するとして
いるODA大綱の趣旨を踏まえ、インド及びパキスタンへの経済協力に関して、以下
の措置をとることとしました(上記1.の一連の官房長官談話の中で発表)。
 
(1)インド、パキスタンに対する無償資金協力については、緊急・人道的性格の援
助及び草の根無償を除き、新規の協力を停止する。
(2)インド、パキスタンに対する新規円借款を停止する。
(3)国際開発金融機関による対インド、パキスタン融資について慎重に対応する。
 
 更に、インドについては、本年6月30日から7月1日に対インド支援国会合(I
DF)が世界銀行主催の下に東京で開催されることが予定されていましたが、13日
の官房長官談話において、日本政府としては東京開催招致を見合わせたい旨同銀行に
申し伝えることを併せ発表しました。
 
                                                   YAMASAKI (SDI00872)
 


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