Date: Fri, 29 May 1998 08:43:32 +0900 (JST)
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Subject: [keystone 271] Re: パキスタンが核実験強行
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1998年5月29日

原子力資料情報室 CONTACT:大林ミカ
東京都中野区東中野1-58-15-3F
phone 03-5330-9520, fax 03-5330-9530

原子力資料情報室は、昨日のパキスタン政府の地下核実験に対し、以下の声明を発表
いたします。
  
===================================================
核による平和はない
いまこそ核否定の声を世界に広げよう!
  
 5月28日、パキスタン政府は、地下核実験を行ったことを表明した。
 原子力資料情報室は、深い悲しみと憤りを持ってこの蛮行に強く抗議する。たとえ
どのような口実を重ねたとしても、核兵器を正当化することは出来ず、わたくしたち
は、あらゆる核実験に反対し続けていく。世界中の人々からの自制を求める声を無視
して行われたパキスタン政府の核実験は、インド政府の一連の核実験と同じく、世界
の平和を著しく揺るがす到底容認できないものである。インド・パキスタン両国の核
実験の実施で、これに続く国がでてくることを、否定することが出来なくなった。
 また、パキスタン政府は、“広島・長崎の悲劇を繰り返さないために実験を行った
”と語ったが、核実験の正当化に「ヒロシマ・ナガサキ」が持ち出されたことに、わ
たくしたちは強く抗議する。核実験こそが、悲劇の始まりであり、核によって平和が
もたらされるという「核抑止論」は、パキスタン自身の核実験によってすでに否定さ
れている。核兵器を廃絶することこそが、悲劇を繰り返さない唯一の道である。
  
 しかし、インド・パキスタン両国の行為のみが責められるべきものではない。この
ような連鎖的な核実験の実施という非常に深刻な事態を招いたのには、五大核保有国
が、真剣に核廃絶に取り組んでこなかったことに大きな原因がある。アメリカの「核
の傘」に頼ろうとして、5大国の核廃絶に正面から取り組んでこなかった日本政府に
も、大きな責任がある。さらに、日本政府の巨大な「プルトニウム計画」は、アジア
の人々の大きな脅威となっているのである。  
 このような事態にあたって、世界の核廃絶運動の中に、大きな無力感が行き渡って
いくことが、強く懸念される。だが、いたずらに悲壮感に走ることでは、何も解決さ
れない。いまや、核の「不拡散」ではなく、核の「廃絶」こそが必要とされているの
は明らかである。世界の民衆の一致した核廃絶への大きな声と行動こそが、この危機
から世界を救うことができるだろう。わたくしたちは、あらためて、ヒロシマ・ナガ
サキの原点に返って、世界の人々に、核実験を含むすべての核開発の中止と核の絶対
否定を訴える。

 わたくしたち原子力資料情報室は、今後も希望を失うことなく、あらゆる核の恒久
廃絶に向けた努力を続けていくことを、ここに表明する。

1998年5月29日
原子力資料情報室(代表 高木仁三郎)
 
 
 
 
 
 
 
 

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