Date: Wed, 27 May 1998 00:21:05 +0900
Mime-Version: 1.0
To: aml@jca.ax.apc.org, keystone@jca.ax.apc.org
From: "M.Shimakawa" <mshmkw@tama.or.jp>
Subject: [keystone 252] from FACTIVE > 核実験 -2
Sender: owner-keystone@jca.ax.apc.org
X-Sequence: keystone 252
Precedence: bulk
Reply-To: keystone@jca.ax.apc.org
Status: U

 
●首相の発言などでインドの核戦力がどのくらいなのかっていうあたり、観測が流れ
ています。ロシアの新聞コメルサントはロシア軍事筋の話として「インドが核開発プ
ログラムを完成させるためにはあと4回の核実験が必要だと」報じてるそうです。こ
れはインドの核開発がソ連の技術を基にしていることから、この「軍事筋」はインド
の核戦力にも精通しているんだそうです。
 カナダのイマジェリー・エクスプロイテーション・サービシズ社という民間企業が
96年3月6日に撮影したとされる衛星写真を公開、インド北西部の砂漠地帯で核爆
弾を地下に埋めるために使うとみられる二本のやぐらや建物などが写っているという。
同社のテリー・トンプソン氏は「これが核実験施設であることは疑いない」と語った
とのこと。
 さらにわけがわからない話として時事が伝えるのは「米ソ共同でインドに「核の
傘」」という話題。これは60年代の冷戦真っ最中の話でして、中国の核開発に刺激
されたこともあり、インドが核開発に突き進むのを阻止するため、当時のジョンソン
政権が64年から66年にかけて、中国の核攻撃からインドを防衛するという保証を
与え、平和目的の原子力開発に協力してインドの威信を高め、中国の核戦力に関する
情報を提供し、 さらに旧宗主国である英国が安全を保障する、 といった内容を含む
「米印安保」的な構想を検討していたけれど「パキスタンを離反させる」と米軍部が
反対したりして挫折したのだそうです。そしてその後67年になって米ソ間でインド
の共同安全保障構想をという案がソ連から提示され、インドがNPTに加盟するなら
ばアメリカとソ連が協力して安全を保障するという協定案をソ連が作成し、この案を
高く評価したジョンソン大統領が67年4月にインディラ・ガンジー首相の特使と会
談して同意を求めたそうです。情報は解禁された米外交文書で明らかになったものと
しています。時事の記事はここで終わっていて、最終的にどうなったのかはっきりし
ませんが、現状から見て構想は放棄されたのでしょう。しかし何ですね、何時の時代
でも核兵器開発が常に暗黒の連鎖を生んでいるわけでして、原子力の平和利用なんて
いうものが以下に空しい話かよくわかる。
 
共同通信 05/15 08:35 インドがさらに4回の核実験必要か
共同通信 05/15 09:48 インドが2年前から核実験を準備  衛星写真を公表
時事通信 05/15 16:39 ◎米ソ共同でインドに「核の傘」を打診             No
 
●国際社会の反応。記事で多くを占めているのがサミット関連ニュース。日米、日英
など首相が個別交渉を繰り返して、サミットとしてインドやパキスタンにどういうメ
ッセージを伝えるかという協議が断続的に行われているのですが、サミット参加国の
内議長国のイギリスを始めロシア、フランスなども制裁に消極的。日米が突出した形
に、ドイツがようやく加わっているという程度で迫力もなし。制裁をすればいいとい
うものではないが、各国の思惑が絡んで核だけでなく議論も拡散もようです。イギリ
スは制裁発動をしない分話が通りやすいだろうとインド首相にCTBT加盟交渉を求
めましたが、首相は討議すると約束しただけでほとんど空振り。
 その他では国連安保理が議長声明を採択。
 一方、ここにきて中国側が厳しい反応を見せ始めました。人民日報がインドの核実
験対して「南アジアに覇を唱える陰謀」と題する評論員論文を掲載し、要旨「インド
首脳が核実験の弁解のため、中国とパキスタンの軍備膨張で直接脅威を受けていると
でたらめを書いた書簡を外国首脳に送った、インドは目に余る核開発を中国のせいに
しようとしている。インドのフェルナンデス国防相が一カ月前に来訪した中国の客人
に対して、印中国境の平和と安定に満足の意を表明したのに、今は中国脅威論を言い
触らしている」と、インド側の姿勢を非難。
 
共同通信 05/15 08:35 インド核実験で議長声明案  安保理が合意、採択へ
共同通信 05/15 08:46 インド核実験で試練の外交  米大統領バーミンガム入り
共同経済 05/15 08:48 ◎核実験で強いメッセージを  首相バーミンガム到着
共同通信 05/15 09:06 核実験で強いメッセージを  首相がバーミンガム到着
共同通信 05/15 09:06 橋本首相の発言要旨
朝日新聞 05/15 09:09 ◇対インド非難でG8声明採択をと橋本首相◇
読売新聞 05/15 10:07 インド非難G8声明採択を
NHK   05/15 10:34 安保理 インド核実験に遺憾の議長声明 CTBT参加促す
朝日新聞 05/15 10:35 ◇インドの核実験、きわめて遺憾、国連安保理議長声明採択◇
共同経済 05/15 10:38 ◎インド核実験で特別声明へ  G8サミット
NHK   05/15 10:47 橋本首相 インド核実験に国際社会の強い姿勢を
共同通信 05/15 10:54 インド核実験で特別声明  G8サミット開幕へ
読売新聞 05/15 11:55 インド核実験で議長声明
毎日新聞 05/15 12:00 <国連安保理>インド核実験を遺憾とする議長声明 採択
NHK   05/15 12:03 サミット インド核実験で文書発表の見通し
時事通信 05/15 12:06 ◎「南アジア争覇の陰謀」と非難−中国紙
毎日新聞 05/15 12:49 <サミット>インド核実験への緊急非難声明採択で 足並み揃
共同通信 05/15 15:08 インタビュー 国際安全保障研究所のケビン・オニール副所長
読売新聞 05/15 15:27 インド非難G8声明採択を
共同経済 05/15 15:40 ◎核拡散防止で日米協調へ  半年ぶりに首脳会談
共同経済 05/15 15:42 ◎インド核実験で特別声明へ  サミットが開幕へ
共同通信 05/15 16:00 インド核実験で特別声明 日本に内需拡大要請 サミットが開
共同通信 05/15 16:13 核拡散防止で日米協調へ  半年ぶりに首脳会談
毎日新聞 05/15 18:05 <インド核実験>英 駐インド大使を召還 経済制裁は行わず
毎日新聞 05/15 19:53 <日米首脳会談>インド非難、経済制裁で一致−インド経済大
読売新聞 05/15 20:05 軍縮会議の無力ぶりを露呈
毎日新聞 05/15 20:19 <日米首脳会談>インド核実験等で「基本は日米関係」改めて
共同通信 05/15 20:29 首相の7月公式訪米で合意  G8、拡散防止で協調
毎日新聞 05/15 20:47 <日米首脳会談>核実験のインド問題で「G8が明確な声明出
時事通信 05/15 21:03 ◎インドの核保有に反対せず−スリランカ
共同経済 05/15 21:05 ◎対インド制裁で突出の日米  核管理体制の崩壊に危機感
共同経済 05/15 22:13 ◎日英首脳会談  強い声明作り求める
時事通信 05/15 22:20 ◎安保理声明は「受け入れられない」−インド
時事通信 05/15 22:25 ◎核保有国に非難の資格なし−ダライ・ラマ
共同経済 05/15 22:55 ◎橋本首相  仏とも拡散防止を協議
読売新聞 05/15 23:17 インド核実験への声明で協力…日英首脳
共同経済 05/15 23:24 ◎特別声明に制裁盛り込まず  インド核実験
共同経済 05/15 23:54 ◎日独首脳会談  対インド強硬措置で一致
毎日新聞 05/15 23:58 <日米首脳会談>核実験を強行したインド非難で一致=替
共同経済 05/16 00:00 ◎サミットが開幕  対インドで特別声明採択へ
毎日新聞 05/16 00:14 <首脳会談>インドの核実験問題を積極的に協議−−首相
時事通信 05/16 00:23 ◎インド制裁に反対−ロシア外務省
朝日新聞 05/16 00:35 ◇日独首脳会談、インド情勢などで意見かわす◇
朝日新聞 05/16 00:37 ◇ロ大統領「インドの核実験も討議」◇
共同経済 05/16 03:44 ◎CTBT署名の交渉を要請  英首相が電話で印首相
 
●解説報道です。一体誰が悪いのかという点について、実験を行ったインドは論外に
しても、インドがなぜ地下核実験に踏み切れたのかといえば、その原因を作ったのは
アメリカやロシアなど核兵器保有国が未臨界実験を繰り返したりCTBT加盟直前に
駆け込み事件をしたりしたからではないか、という指摘。さらに経済制裁を行うくら
いしか方法が無いかのような日米の姿勢も批判。日本がもっとヒロシマナガサキの惨
禍を全面に出して「核兵器廃絶」の先頭に立ってきていたらもうちょっと違っていた
んじゃないかという声も。さらに日本がアメリカの核の傘の下にいる以上核兵器を保
有していることと大差はないとして、アメリカの核に頼る姿勢こそ変えなければとい
う意見も。
 またアメリカからはUSAトゥデイの記事として、アメリカだけが制裁法を発動し
てインドの特に軍需関係の輸出などを止めたとしても、制裁に加わらない例えばフラ
ンスなどにより同種の輸出が行われる可能性もあり、結局損をするのはアメリカ企業
だけではないかという記事が掲載されているそうです。
 
共同通信 05/15 17:36 根強い核保有国への不信  日本政府の責任問う声も
USJournal05/16 07:39(米国国内記事)インド制裁が米国企業に打撃を与える
 
 
                                                   YAMASAKI (SDI00872)

*890   SDI00872  山崎 久隆        核実験>98/05/11-13インド核実験広島声明
( 8)   98/05/23 17:47  831へのコメント

------------------------------------------------------------------------
インドの地下核実験に対する抗議文(5月11日実施分について)
------------------------------------------------------------------------
インド首相
 アタル・ビハリ・ヴァジパイ 閣下
駐日インド大使館
 特命全権大使
 シッダ−ルタ・シン 閣下
             抗  議  文

 
 昨日、貴国がラジャスタン州のポカランで、3回の地下核実験を実施した。本市と
しては、ムンバイ市及びニュ−デリ−市において「ヒロシマ・ナガサキ原爆展」を開
催し、大きな反響を得ることができた後のことだけに、誠に遺憾である。広島市民を
代表して厳重に抗議する。
 
 貴国はこれまで、ジュネ−ブ軍縮会議におけるCTBT採択に向けた交渉の中で、
核保有国に対し、核兵器廃絶の期限を明示するよう主張するとともに、昨年12月、
マレ−シアをはじめとする45か国が提案した、「核兵器禁止条約に至る交渉の19
98年開始を要求する決議」の共同提案国の一つになるなど、核兵器廃絶に積極的な
姿勢を見せてきた。
 
 にもかかわらず、今回、貴国が核実験を行った背景には、米国やロシアが、臨界前
核実験を繰り返すなど、核拡散防止条約(NPT)で約束した核軍縮に誠意をみせて
いないという事実があるにせよ、貴国の行為がきっかけとなって、アジアの緊張が高
まり、核開発競争が再燃する危険性がある。
 
 貴国は、核実験を即時に中止するととともに、国の安全を核武装に求めるのではな
く、核兵器のない世界の実現を求める国際世論に真摯に耳を傾けて、広島・長崎市民
とともに核兵器廃絶に取り組むよう求める。 
 
平成10年(1998年)5月12日
 
広島市長 平 岡   敬
 
------------------------------------------------------------------------
インドの地下核実験に対する抗議文(5月13日実施分)
------------------------------------------------------------------------
インド首相
 アタル・ビハリ・ヴァジパイ 閣下
駐日インド大使館
 特命全権大使
 シッダ−ルタ・シン 閣下
            抗  議  文
 
 貴国が、国内外から激しい非難を受けたにもかかわらず、再度核実験を強行したこ
とは、国際社会における核軍縮努力に逆行する暴挙であり、強い憤りを覚える。重ね
て厳重に抗議する。
 
 この度の実験について、貴国は、臨界前核実験の実施に必要なデ−タ収集のためで
あるとしているが、核兵器により自国の安全を保障しようとする姿勢は、パキスタン
などの国をいたずらに刺激し、核拡散の危険性を高めるとともに、国際社会における
貴国の名誉を失墜し、孤立化を招くことになる。
 
 貴国が、核兵器のない世界の実現を求める国際社会の声を真摯に受けとめ、核兵器
は国家の安全を保障しないということを理解し、広島市民とともに核兵器廃絶に向け
て取り組むことを強く求める。 
 
平成10年(1998年)5月14日
 
広島市長 平 岡   敬
----------------------------------------------------------------------------
出典はいずれも広島市のホームページより
http://www.city.hirosima.jp/
 
転載                                                     YAMASAKI(SDI00872)

891/903   SDI00872  山崎 久隆        核実験>98/05/11-13インド核実験長崎声明
( 8)   98/05/23 17:47  831へのコメント

---------------------------------------------------------------------------
                               抗  議  文
                                                       1998年5月13日
 
インド首相
アタル・ビハリ・バジパイ 閣下
                                                       長崎市長  _ 伊藤一長

 
 貴国が5月11日に西部ラジャスタン州のポカラン砂漠にある核実験場において地
下核実験を実施したとの報道に接しました。
 このことは、核兵器の廃絶を訴えている被爆都市長崎市として断じて許すことので
きない行為で、しかも、長崎市民・被爆者の願いを踏みにじる暴挙であり、ここに強
く抗議します。
 1996年7月8日、国際司法裁判所が「核兵器の威嚇・使用は一般的に国際法に
違反する」との勧告的意見を発表して以来、世界的に著名な科学者、政府関係者、退
役軍人等から核兵器廃絶を求める提言や声明が相次いで出され、核兵器廃絶を求める
国際世論が一層の高まりをみせる中、貴国が3種類の地下核実験を強行したことは、
世界の核軍縮の機運に逆行するものであり、国際的にも厳しい批判を受けるものと思
います。また、1996年9月10日、国連総会において包括的核実験禁止条約(CT
BT)が採択され、核保有5か国が核爆発を伴う核実験を停止している中で、核実験
を強行したことは近隣諸国の核兵器開発を誘発するのではないかと危惧するものであ
ります。
 わたしたち長崎市民は、核兵器が存在する限り世界の平和はあり得ず、核兵器は人
類と共存できない兵器であるとの考えから核兵器の廃絶と世界の恒久平和を訴え続け
ております。
 貴国におかれましても、核兵器廃絶を願う世界の人々の声に耳を傾け、核兵器の保
有と開発につながるあらゆる実験を中止し、21世紀を核兵器のない世紀とするため
努力されるよう被爆都市長崎市民の名において強く要請します。
 
---------------------------------------------------------------------------
 
                                 抗  議  文
                                                       1998年5月14日
 
 
インド首相
アタル・ビハリ・バジパイ 閣下
 
 
                                                        長崎市長 伊 藤 一 長
 
 
 貴国が5月13日に、再び地下核実験を実施したとの報道に接しました。去る11
日の実験に対し、厳重な抗議と中止要請を行ったにもかかわらず、またも核実験を強
行したことに怒りをもって、再度厳重に抗議します。
 先の実験に対し国際的な非難がまき起こる中、核実験を強行したことは、核兵器廃
絶を訴え続けている長崎市民・被爆者の願いを踏みにじる暴挙であり、断じて許すこ
とのできない行為です。
 貴国の核実験強行は核兵器廃絶に向かいつつある世界の潮流に逆行するものであり、
平和を願う世界の人々の願いを裏切るものです。核兵器が存在する限り世界の平和は
あり得ず、核兵器は人類と共存できない兵器であることを知ってください。
 貴国におかれましても、今こそ核兵器廃絶を願う世界の人々の声に耳を傾け、核兵
器の保有と開発につながるあらゆる実験を直ちに中止し、21世紀を核兵器のない世
紀とするため努力されるよう被爆都市長崎市民の名において強く要請します。
 
----------------------------------------------------------------------------
出典はいずれも長崎市のホームページより
http://www.us1.nagasaki-noc.or.jp/
 
 
                                                   YAMASAKI (SDI00872)

*897   SDI00872  山崎 久隆        核実験>98/05/16インド核実験報道
( 8)   98/05/25 18:02  831へのコメント

●今回はインド国内の動きから。後に関係してくるのでそういう順番にします。
 前日の報道でインドが核保有宣言をしたという話題がありました。「インディア・
トゥデー」とのインタビューでそう語ったという話でしたが、翌日になって一転して
否定しています。とはいえ全面否定というわけではありませんが。国際社会の大きな
反発にちょっと軌道修正をしたという程度でしょ。
 インタビューでは「巨大爆弾(核兵器)を保持している」と発言したことになって
いるのですが、これは「引用間違い」であって本当は「巨大爆弾の生産能力を保持し
ている」と言ったのだと。政府は「インディア・トゥデー」誌に抗議と訂正を要求し
たそうです。
 毎日の記事では「しかし、同スポークスマンは「インドは今や『核兵器国家』にな
った」とする首相発言などには一切触れておらず、首相がインドの核武装化を公式に
宣言したことには変わりない。」と結んでいます。そりゃそうだ。早い話が核兵器シ
ステムの導入は完成していない=つまり現代核戦略上の核戦力を有してはいないが、
これからそういうシステム導入を行うということなのだから、時間の問題でしょ。
 そのへんについて朝日新聞は「インド国防省筋」の情報として「核配備を実現する
には、政府は管制システムなどの導入の検討を急ぐ必要がある」と語ったことを伝え
ています。
 これはC^3     I(シーキューブドアイ)と呼ばれる指揮(command)、      管制
(control)、通信(communication)と情報(intelligence)システムのことで、瞬
時を争う核戦争で可能な限り短時間に、あるいは相手の先制攻撃にも生き残れるため
のシステムを構築しておくというものでして、先制攻撃にしても報復攻撃にしても、
核戦力を使用することを認可すべき立場の命令権者(アメリカ・ロシア・フランスな
らば大統領、中国ならば国家主席、イギリス、インドだと首相かな)と、命令権者に
事故があったときの序列に並ぶ命令権者(アメリカの場合は副大統領、国務長官、国
防長官、上院議長、下院議長の順番だっけかな忘れた(^_^;))間相互の情報通信や、
命令権者から最前線までタイムラグも誤解も起こらないような高い信頼性を持ったシ
ステムを確保しなければならないわけです。アメリカの場合はプエブロ号事件の時に
拿捕されるという大失態を引き起こし、このシステムの本格的構築に着手、しかしキ
ューバ危機の時にもイラン大使館人質救出作戦の時もほころびが露呈して手痛い目に
あっています。
 インドがこういったシステムを持っているとは現在のところわかりませんが、まず
言えることとして軍隊のレベルが「国家に反逆しかねない国軍」であったらまず無理
ですね。それから現在の情報戦は衛星が重要な役割を果たしておりますので、軍事衛
星をどのくらい保有できるかということも重要になります。さらに核戦力を耐靭性の
高いシステムにしておくためには、移動式システムにするか地下深くに格納できる能
力もいります。
 最も重大なのは国家が核戦争を発動する権限や能力を有し得るかどうかというとこ
ろでしょう。(私個人はそんなものは認めておりませんが)一般には核戦力を使用す
る場合は自国にも重大な核の脅威があるというくらいの厳しい状況が求められるはず
です。国家が核兵器を仮に戦術目的として使用するとしても、そのリアクションも含
めていかなる状況であっても国民が広く支持し、また国際社会においてもある程度は
容認されるという見込みが出来なければ使えるものではないわけで、自爆するんでも
ない限り「政治」の延長として核兵器を使う以上、最高水準の政治決断ができる仕組
みが必要なのです。
 それでインド人民党は2月の党綱領発表で「核兵器導入の選択肢を実行に移す」こ
とを基本方針にしたうえで「国家安全保障会議」を設立して「戦略的国防体制」を確
立するとしているんだそうですが、今回の実験はここできまったものではなく、現在
も「国家安全保障会議」は開かれたことがないそうです。はぁ。「指揮・管制システ
ムを有効に機能させるためにも安全保障会議が必要だ」というのが国軍の姿勢らしい
んですが、核実験も重大な政治・軍事行動なのだ(史上いくつの戦争が軍事演習から
始まったことか)という点から見たら、人民党も国軍も状況判断能力のレベルはこれ
だけ見ても下の下(=^_^;=)。
 一方、インドのミシュラ首相秘書官がスター・テレビ(香港)のインタビューに答
えて、核兵器問題については、いつでもパキスタンと協議するとともに、パキスタン
に対する「核の先制不使用」宣言を検討すると語ったそうです。こちらは張りつめす
ぎた緊張状態を多少緩和しようという意図か。
 インド核実験抗議デモが16日に首都ニューデリー市内で行われたそうです。CN
Nもこの様子を伝えています。CNNはまた「これまで核兵器保有についてはインド
国内の意見は一致していたかのようだったが、ここにきて一致にひびが入り始めた」
とも伝えています。参加したのは平和団体や婦人団体、科学者などで300人、その
スローガンの一つは「Before we go nuclear, let us feed the poor、核兵器などよ
り、私たちに必要なのは飢えた人々を満たす食事だ」。参加者の一人は「インドが核
爆弾で何百万という人々を殺すことができることになったと世界に発表したが、我々
はその「業績」を祝うべきであろうか、いやそれは極めて恥ずべき問題である」とコ
メント。
 いっぽう首相は20日にラジャスタン州ポカラン砂漠の核実験場を視察することに。

時事通信 05/16 08:01 ◎バジパイ首相、「核保有」発言を訂正−印
読売新聞 05/16 11:26 インド首相、核兵器保有発言を撤回
毎日新聞 05/16 13:16 <インド>「生産能力保持」と核保有発言訂正−−バジパイ首
共同通信 05/16 19:18 制裁盛り込み失敗に安ど  インド、外交攻勢も
共同通信 05/16 19:50 「爆弾能力」と修正  インド首相、真意は不明
時事通信 05/16 21:35 ◎核の先制不使用宣言も−インド首相秘書官
時事通信 05/16 21:57 ◎インド首相、核実験場を視察へ
時事通信 05/16 23:46 ◎核実験に初の抗議デモ−インド
朝日新聞 05/17 00:28 ◇インド、核戦略システムの導入検討◇
 
●インドの核保有発言に対して批判の声が高まります。平岡敬広島市長のコメントは
「ヒロシマ・ナガサキの経験によって核兵器が人類に貢献するものではないことは明
らかだ。インドの核実験は核軍縮に向けて努力している国際社会の流れに逆行するも
ので、核兵器によって国の威信を誇示しようとするのは時代遅れだ」というもの全く
時代遅れの国が多い。さらに伊藤一長長崎市長は「核兵器廃絶・核軍縮に向かう世界
的な流れのなかで、あえて核保有国の仲間入りを宣言したことは、国際世論の反発を
招くことが必至で、非難されるべき行為だ。インドはこれまで核保有国を非難し続け
てきただけに、インド政府とバジパイ首相の気持ちがまったく理解できない。核兵器
と人類は共存できず、被爆都市の市長として断固抗議したい」とのこと。
 日本ペンクラブがインドに対して今後の核実験と核兵器の開発を中止し、核兵器廃
絶の希望を真剣に受け止めるように求めるとともに、すべての国の核兵器開発と核兵
器の保有に反対するとした声明を出しました。インド政府だけでなく核保有国などに
も送付するとのこと。またパキスタンも核実験をした場合は、これに対してもただち
に反対声明を出す方針も決めたそうです。そしてアメリカが核実験(未臨界実験)を
したのに対して声明を出さなかったのは「怠慢だった」と梅原猛会長は語ったそうで
す。
 伊藤一長長崎市長が全国の非核自治体に抗議行動を呼びかけています。「全国の非
核自治体宣言都市は核廃絶という理念を持っているのだから、率先して抗議してほし
い」と。昨年末現在、国内の非核自治体宣言都市は2279ありますが、その一部し
か抗議の声明を出していません。
 
NHK   05/16 10:51 インド「核保有国宣言」 伊藤長崎市長が抗議のコメント
NHK   05/16 10:51 インド「核保有国宣言」 原水協・原水禁の談話
NHK   05/16 10:51 インド「核保有国宣言」 広島市長が批判コメント
時事通信 05/16 10:51 ◎駐インド大使が一時帰国
毎日新聞 05/16 09:55 <インド核実験>日本ペンクラブが憂慮声明
読売新聞 05/16 11:26 平林駐インド大使が一時帰国
朝日新聞 05/16 11:34 ◇平林インド大使が帰国◇
共同通信 05/16 19:18 非核宣言都市は抗議行動を
時事通信 05/16 19:22 ◎パキスタン大使館へ核実験自制訴え
読売新聞 05/16 19:34 非核宣言都市に「抗議」呼びかけ…長崎市長
読売新聞 05/16 20:14 非核宣言都市に抗議を提案
毎日新聞 05/16 23:30 <講演>経済支援でパキスタンの核実験自制求める 小渕外相
毎日新聞 05/16 23:58 <核実験抗議>長崎市長 全国の非核自治体に同一歩調呼び掛
毎日新聞 05/16 23:59 <平和宣言>長崎市長 首相にアジアへの明確な戦争謝罪要請
 
●国際社会の反応ですが、サミットでの非難声明(特別声明)などが話題になってい
ますが、アメリカや日本など経済制裁を行う国があったとしても、それ以上の決め手
はないのが現実。サミットでは足並みのそろった制裁は発動できず。
 インドの核保有宣言に対してはアメリカは「国際法上、1968年現在の核保有国
以外には核保有国は認めていない。NPTを修正するなどしてインドの核保有を認め
ることは容認しない」として、核保有宣言を拒否しているのですが、核保有国がいっ
ても説得力はありませんわ。なお、インド常任理事国入りに対しても反対の立場を表
明。
 
時事通信 05/16 08:01 ◎制裁は国連安保理が決める問題−ロ報道官
時事通信 05/16 08:04 ◎インドの核保有国入りを拒否
朝日新聞 05/16 08:17 ◇インド核実験を非難/サミットで声明採択◇
共同通信 05/16 08:37 インドネシアに対話促す インドの核実験非難 G8が特別声
時事通信 05/16 09:51 ◎人道目的以外の対インド援助を停止−カナダ
共同経済 05/16 10:16 ◎特別声明の要旨
朝日新聞 05/16 10:34 ◇インドの安保理入りは困難/米が「核保有国宣言」を批判◇
NHK   05/16 10:51 「サミットでインドに明確な抗議を」日独首脳会談
NHK   05/16 10:51 サミット開幕 インド核実験に対し非難の声明発表
NHK   05/16 10:51 サミット開幕 インド核実験やインドネシア情勢を討議
毎日新聞 05/16 11:25 <G8>インド制裁で足並み揃わず、CTBT維持に力点
毎日新聞 05/16 11:25 <米国>インドの核保有宣言に強く反論
毎日新聞 05/16 11:47 <G8>インドの地下核実験など五つの特別声明を発表
読売新聞 05/16 13:29 インドの核クラブ入り拒否
共同通信 05/16 18:02 米国務副長官、英国へ  パキスタン指導部との会談結果報告
毎日新聞 05/16 18:09 <印米関係>米国務省報道官 核実験で欺かれたと対印不信表
毎日新聞 05/16 19:48 <サミット>特別声明 インド非難 だが経済制裁は呼び掛け
朝日新聞 05/16 21:47 ◇国際シンポで法律からがインドの核実験に抗議◇
毎日新聞 05/16 23:37 <サミット>米大統領 ラジオ演説でインドにCTBT署名要
共同通信 05/17 10:33 インドにCTBT調印要求  「歴史誤る」と米大統領
 
●こちらは観測記事。インドの13日の実験は臨界前実験か?というのは、地震波を
検出しなかったことからのもの。核爆発であるとしたら極めて小規模で、そんな能力
があるのかという疑問から来ているもの。さらに核兵器開発疑惑があった北朝鮮に影
響を及ぼすのではという憶測記事。これもまたアメリカ発のニュースで、軍縮問題専
門家のグッドビー元国務副次官補が緊急セミナーで、アメリカが実験を事前に察知で
きなかったことに関連して「核実験の有無を検証できないなら、影響は深刻だ」とし
懸念される波及効果の一つに北朝鮮の核開発再開を挙げたとのこと。ただしウールジ
ー元CIA長官は「北朝鮮はいずれにせよ自分のやりたいようにやる可能性が高く、
インドの核実験に影響されることはあまりないと思う」と指摘。見方がいくつもでて
きております。
 
毎日新聞 05/16 13:59 <特報・インド核実験>臨界前核実験か、2回目、地震波検出
時事通信 05/16 15:45 ◎北朝鮮への影響に懸念も                              No
共同通信 05/16 16:02 CTBT監視に落とし穴  2回目の核実験探知せず
共同通信 05/16 17:55 80%が国連制裁に賛成  中国統計局が世論調査
 
●パキスタンの反応です。アハメド外務次官が核実験のタイミングを見計らって対応
すると語ったそうです。これはアメリカの特使として派遣されたタルボット国務次官
補に対しての発言。シャリフ・パキスタン首相も核実験の断念を確約しなかった。ま
たシャリフ首相は「核実験を急ぐつもりはない。国家の安全がどう確保されるかにか
かっている。」と核カードの有効利用をはかっていることをあからさまに述べており
ます。
 
時事通信 05/16 08:04 ◎核実験は急がない−パキスタン首相
共同通信 05/16 08:32 「核実験実施は未決定」  パキスタンが慎重姿勢
NHK   05/16 10:51 パキスタン「核実験は急いでない」
朝日新聞 05/16 11:41 ◇パキスタン、米国特使に核実験有無を明答せず◇
朝日新聞 05/16 13:14 ◇パキスタン、米国特使に「見解は考慮」/明答は避ける◇
読売新聞 05/16 15:49 核実験問題で米・パ会談
共同通信 05/16 19:17 印の核廃絶が加盟条件  パキスタンのNPTとCTBT加盟
毎日新聞 05/16 20:17 <パキスタン>首相 「核実験断念」確約せず 動向に注目 
時事通信 05/16 21:21 ◎核の選択肢放棄しない
朝日新聞 05/16 23:35 ◇パキスタン、閣内で対立、核実験「苦渋の選択」迫られ◇
 
●主にアメリカとパキスタンの交渉次第といった形になっていますが、実験を断念す
る引き替えとしてパキスタンへとアメリカが駆け引きを行っている様子です。まずは
F16戦闘機の売却解禁をネタにアメリカは出てきたわけですが、それだけでは不足
とばかりにパキスタンも要求をエスカレートさせていきます。
 なお、すでにパキスタン核実験の準備はイラン国境から50キロほどのバルキスタ
ン砂漠で行われているようです。
 
時事通信 05/17 00:56 ◎核問題を中国と協議へ−パキスタン
時事通信 05/16 08:23 ◎パキスタン核実験問題で言質得られず−米
時事通信 05/16 08:43 ◎インド、パキスタン情勢はすべて探知
時事通信 05/16 09:00 ◎米の説得は失敗−TV報道
毎日新聞 05/16 10:49 <インド核実験>米国務副長官、パキスタンに核実験自制を促
毎日新聞 05/16 11:25 <米国>国務省報道官がパキスタンの核実験実施の可能性を示
NHK   05/16 11:34 パキスタンへ総理特使を派遣へ 核実験の自制促す
時事通信 05/16 23:08 ◎パキスタンに核実験自制重ねて訴え
 
 
                                                   YAMASAKI (SDI00872)
 --------------------------------------------------------------------------
 

 


  • 1998年
  • 3月4月5月、6月、7月、

    キーストーンメーリングリスト 目次