Mime-Version: 1.0
Date: Thu, 23 Apr 1998 20:57:59 +0900
To: keystone@jca.ax.apc.org
From: bakuriko@med5.kufm.kagoshima-u.ac.jp (TOHGO Shin-ichi)
Subject: [keystone 122] 喜界島象のオリ (was Re: 法学セミナー)
Sender: owner-keystone@jca.ax.apc.org
X-Sequence: keystone 122
Precedence: bulk
Reply-To: keystone@jca.ax.apc.org

鹿児島・霧島の東郷です。

# 舌足らずでご迷惑をおかけしました。
# ここは沖縄問題に特化された空間だという認識でしたので、出来るだけ短く
# と思ったのですが、かえって訳の分からない投稿になったと反省しました。

At 19:12 98.04.23, Nakada Hiroyasu wrote:
> At 98/ 4/22 01:31 bakuriko@med5.kufm.kagoshima-u.ac.jp wrote:
> >標題の件なのですが、沖縄ではなく奄美の喜界島の話です。
> >また、米軍ではなく自衛隊の基地(象のオリ)建設計画の話なのですが、
> >現地の追い込まれた声を聞いて、ここで紹介させてもらおうと思いました。
>
> もし、できましたらもっと詳しく紹介をお願いできないでしょうか。

喜界島の象のオリは、1985年にその計画が明らかになりました。

防衛施設庁の見解は、現在ある海上自衛隊通信基地の老朽化に伴う設備更新と
の名目だったのですが、同時期にOTH (Over The Horizon) レーダー基地とし
ても取り沙汰されたこともあり、予定地内の地主はもちろん、島民あげての
反対機運が盛り上がりました。
  この時結成された「喜界島の豊かな自然と平和を守る町民会議」(丸山
  邦明議長)と、予定地(赤連集落)内の地主の結成した「赤連農地を守る
  会」(嘉津正丸代表)とが、島内の反対運動をリードして今日に至って
  います。
町議会は全会一致で反対決議。当初は「反対せず」と明言していた町長も「島
民の意思を尊重」との声明を出しました。このような地元の意向について防衛
施設庁側では「議会の決議は法的な拘束力はない」として、今後も推進する旨
の談話を発表しましたが、その後は表だった動きもなく、1988年頃には多くの
島民が勝利を勝ち取ったかに感じていました。
ここまでが第一幕というところです。

1991年、同島内の川嶺集落が水道施設整備を条件に「象のオリ」誘致を表明。
ここから現在に至る「第二幕」が始まるのですが、この集落で誘致決議前に
行われた集落の常会自体が実に唐突で奇妙な(既に周到な筋書きが用意されて
いるかのような)ものだったようです。
  かい摘んで言うと、地区の有力者が筋書きを用意して「皆とにかく賛成
  してくれ」と。
  反対の意思を表明したり態度を保留した家には、有力者に束ねられた
  「賛成派」が10数人で押し掛けて「地区の発展に水を差すつもりか」と。
  この時点でほとんどの地主が「賛成派」に色分けされてしまい、
  あくまで反対の意思を貫き通したのは3人になってしまったのです。
この地元集落の表明を受けて、2ヶ月後には町議会が「喜界島通信施設整備
促進に関する意見書」を採択、町長が同要望書を防衛施設庁に提出、という
スピードで誘致の動きが加速されていきました。

これに対して「町民会議」および「農地を守る会」も反対運動を展開していた
のですが、予定地内の地主に表立って反対する人が少ないこともあってか反対
の声も前回の赤連集落の時のような盛り上がりに欠け、とうとうこの3月、
防衛施設庁による予定地の一部買収と移転登記が行われ、1/3の地主が最終的
に「合意」した模様です。

しかし、狭い島社会のなかで表立って反対の声を上げきれないまでも、心中
納得のいかない地主も少なからずいると現地からは伝えられていますし、
地主が納得だから他人が口を挟むな、と言う問題でもないでしょう。
また、水道施設整備などは、本来自治体の責任に於いて行われるべき生存権の
保障であるのではないでしょうか?

そういう訳で、
この危機を打開するために多くの人に喜界島の問題を伝えて欲しい、
たった3人で頑張っている反対派地主に支援の声を寄せて欲しい、
と「町民会議」事務局から要望があり、先日の投稿([keystone 113] From
Kikai Island)を行った次第です。

要領を得なくて申し訳ありませんでした。

図に乗るようでさらに申し訳ないのですが「町民会議」からの支援要請アピール
を別便で投稿します。さきほど aml にも出しましたので重複する方もおられる
とは思いますが、お許し下さい。

仲田さん、発言の機会を与えて頂きありがとうございました。

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東郷 伸一,鹿児島大学医学部リハビリテーション医学講座
bakuriko@med5.kufm.kagoshima-u.ac.jp
http://www.kufm.kagoshima-u.ac.jp/~rehabil/
大口 獏,旅の空から考える琉球弧・奄美・喜界,象のオリ
http://www.synapse.ne.jp/~bak/, bak@po.synapse.ne.jp
 


  • 1998年
  • 3月4月、5月、6月、7月、

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