Date: Mon, 25 Jun 2001 21:32:40 +0900
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Subject: [keystone 4050] <神奈川>教科書比較分析 1/3
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「教科書を読む神奈川市民の会」が、2002年度版中学校教科書8社の内容を比較分析しま
した。参考資料としてご活用ください。
3通に分割して転載します。
 なお、文中の教科書会社名は、日本書籍→日書、東京書籍→東書、大阪書籍→大書、
教育出版→教出、清水書院→清水、帝国書院→帝国、日本文教出版→日文、扶桑社→扶
桑、と略しています。

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2002年度版中学校教科書の分析

社会科担当の皆様へ
 

教科書採択の時期を迎えました。今年は採択制度の変更や新しい教科書の参入で考えさ
せられることが多いと思います。
さて、私たちはこれまでも採択のたびに新しい教科書の比較検討を行ってまいりまし
た。同じ検定を検定を通ったとはいえ、出版社の編集方針により相当に特色があると感
じているからです。
今年も私たちは「歴史的分野」と「公民的分野」の分析に取り組みました。短期間の仕
事ですので拙速は免れがたく、不十分であることを自戒しつつ、一つの参考資料として
みていただきたく、お届けいたします。教科書展示会での検討やお話し合いでの一つの
手がかりとして役立てていただければ幸いです。

           2001年6月20日  教科書を読む神奈川市民の会
 

2002年度版中学校教科書の分析

「歴史的分野」と「公民的分野」
* 日本書籍
* 東京書籍
* 大阪書籍
* 教育出版
* 清水書院
* 帝国書院
* 日本文教出版
* 扶桑社

各社の特色(歴史的分野)
どの教科書も従来より全体として記述は簡単になり,絵や写真は多くなり,それもカ
ラー化している。扶桑社を除いて7社とも従来より大版(B5)になっている。扶桑社
(A5)のみ従来の大きさ。
(1) 日書
文章はやや堅いが、史実に正確に迫ろうとする姿勢が見える。本文脇の囲みの設問は,
そのまま導入になるものも,授業後一層深めて考えるのに役立つものもあって良い。史
料を載せる場所をもう一工夫して貰えるともっと使いやすくなる。
(2) 東書
いい紙にきれいに印刷されている。本文は200頁までと短い。はしょりすぎかと思われる
点もある(当然必要な説明がないとか,やや雑な断定的なまとめ方にみえるところ
も)。朝鮮・韓国の地名人名などに最初から現地音のフリガナがふられている。
結果重視で経過を大切にしていないのではと思われるところもある。せっかくの史料が
あるのにこれを使って因果関係を大切に考えを深められる記述となると良いのだが、見
開き2頁で抑えるために相当無理をしているのではないか。(例;P17「ナウマン象や
オオツノシカ」は「月と星」の写真と関連づけて生徒自身にかんがえさせるように出来
ないだろうか。)
(3) 大書
近現代史重視はページ数からもわかる。(本文205頁中、92頁から近現代)近現代史では
相対立する双方の主張が史料として載せられ,生徒自身が考えることができるよう配慮
されている。中国・韓国などの人名なども最初から現地音のフリガナがふられている。
(4) 教出
表題のネーミングがおもしろく興味を引く。地図が適宜配置され、世界を掴むのに良
い。(各章のはじめに折込の写真ページが3ページある。)部分的にはリアルで非常に
良いところがあるが、大胆にカットしてあるため、従来どおりの目で見ていると流れが
前後して掴みにくい(時代順がごちゃごちゃになる。)面もある。朝鮮・韓国の国名人
名なども最初から現地音のフリガナがふられている。
(5) 清水
序編「なぜ歴史を学ぶのでしょうか?」で学習の目的をきちんとおさえて始めている。
少なくとも歴史学の系統を大切にしているオーソドックスなスッキリとまとまった教科
書という感じを受ける。P.206?207「世界と日本の課題」、さらに「学習の終わりに」
で地理や公民との繋がりも押さえている。
(6) 帝国
色刷りページも多く,絵本のよう。写真などの史料豊富だが,載せる位置の問題や解説
がないままのものがあるなど、よほど教師の力量がないと、この教科書で生徒が歴史の
筋道(因果関係、史料から真実を知る手段)を掴むのは難しいのではないだろうか。
「総合」の時間,調べ学習などに対応しようと配慮した編成結果だと思われるが……。
各「展示室」(編・章)ごとに4人の担当者(「歴史の館にようこそ」)の責任編集に
なっているようだが、歴史学的研究方法や迫り方の点で不足と思われる「展示室」もあ
る。朝鮮・韓国の国名人名などに最初から現地音のフリガナがふられている。
(7) 日文
やや文字が大き目の感じもするが、頁数は多い方である(本文225頁)。最初の復元され
た遺跡などの写真は,1頁全部が1枚の写真だったりして意表をつく。こういうことが
「あった」は書かれているが、因果関係がもう一つハッキリしない場合がある。物事の
説明の場所がはじまりではなく、そのことが終わるところで説明するなどがあるので注
意を要する。朝鮮・韓国の古代国家名に「ひゃくさい」「しんら」のフリガナがふられ
ている。各章ごとに「女性と子供の歴史」が入る。
(8)扶桑社
まったく特異な教科書である。最初に「歴史を学ぶのは,過去の事実について,過去の
人がどうやっていたかを学ぶことなのである。」として「今の時代の基準から見て,過
去の不正や不公平を裁いたり,告発したりすることと同じではない。」「過去の事実を
厳密に、正確に知ることは可能ではない」という。
しかし、随所に著者の持論(主張あるいはコメント)が挿入されている。
中学生にとっては非常に難しい霊威(れいい)、黄泉(よみ)、八咫烏(やたがら
す)、席巻(せっけん)、凋落(ちょうらく)などの普段使われていない言葉が次々と
出てくる。この教科書のみ「神武天皇の東征伝承」に1頁、「日本武尊と弟橘媛―国内
統一に献身した勇者の物語」が2頁にわたって書かれ、「現在でも尊の陵は3つ残され
ている。」として「日本武尊が東征したと伝えられるルート」の地図まで載せた後に,
改行して「以上が日本武尊と弟橘媛の言い伝えである。」
さらに、[日本の神話]として「古事記のあらすじを紹介」し、「ついにこの地を平定
し,大和に橿原の宮を建てて,初代天皇となった。」まで4頁にわたって記述した後、
改行して「以上が『古事記』の伝える神話の内容である。」としめくくる。(神話や伝
承に関しては全部で9頁をさく。)
生徒たちが神話と史実を混同してしまうのではないかと心配な記述である。また、用語
は他社とは異なる。例 − 大東亜戦争(太平洋戦争)など。



 
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