Date: Thu, 17 May 2001 23:32:47 +0900
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Subject: [keystone 3909] ハンセン病訴訟・緊急のお願い
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〔日本国政府の魔術〕 67億円の巨大ムダ遣いと18億円の出し惜しみ

    発信者=井上澄夫(戦争に協力しない!させない!練馬アクション)
    発信時=2001年5月17日
 
  自民党新総裁を選出する両院議員総会が自民党本部で開かれたのは、本年4
月24日のことだが、その前日(23日)午前6時50分ごろ、宮城県の金華
山沖の太平洋上で起きたパナマ船籍の貨物船「ブエン・ビエント号」(9千ト
ン、船主・東興海運、23人乗り組み)の沈没事故は、ほとんど記憶されてい
ないようだ。その前後の全国紙の紙面は、「小泉新総裁誕生」についての記事
で埋まっていた。「小泉旋風」が事故への関心を吹き払ったかのようだ。
 だが「ブエン・ビエント号」の沈没は、重大な事故だった。自衛隊の準機関
紙である『朝雲』2001年4月26日号により、改めて詳細を記す。
 
 「ブエン・ビエント号」は、陸上自衛隊の新自走155ミリ榴(りゅう)弾
砲、155ミリ榴弾砲FH70各2門、通信、試験機材などを積み、陸上自衛
隊員2名が乗り組んでいたのだ。「海上保安庁などによると、同船の別の積み
荷である削岩機が動いて船体を突き破り、3、4カ所に穴があいて浸水、排水
作業をしたが午後3時49分に沈没した。隊員2名は、他の乗組員とともに、
「午後1時50分、船長の待避命令に従いボートで脱出、付近を航行していた
米国船籍の船に救助された」。
  ところで、積み荷の榴弾砲2門などは、どうなったか。むろん船とともに沈
没した。「同海域は水深約4千から5千メートルあり、引き揚げは不可能と見
られている」。そして、どうか次の記述に注目してほしい。
 
   〈装備品の損害額は、約67億円〉
 
  積み荷の装備品は、5月下旬からアリゾナ州の米陸軍ユマ試験場で行われる
性能確認射撃訓練のため輸送中のもので、4月20日に静岡・清水港を出港、
5月6日にカリフォルニア州ロサンゼルス北のワイメニ港に到着する予定だっ
た。記事には、「装備品を輸送中の船が沈没したのは初めて」とある。
  しかしここでは、約67億円の兵器が、一瞬にして海の藻屑と消えたことを
記憶にとどめてほしい。
 
 〔このカッコ内に記すことは、本旨からやや外れるので、ご多忙の方は、無
視していただいてかまわない。
 朝雲新聞社刊『2000自衛隊装備年鑑』の「火砲・りゅう弾砲」の項目
(31頁)に、「155mmりゅう弾砲FH70」が出ている。それによれば、
「中砲けん引車(FH70用)でけん引。補助動力装置(APU)を有してお
り、最高速度16km/hで移動できる。英、独、伊の3国で共同開発した火砲
で58(1983)年度からライセンス生産を開始。製作・日本製鋼所、60
(85)年度から部隊配備云々とあるが、新自走155ミリ榴弾砲に関する記
述はない。「新自走」とあるからには、最新鋭の兵器であるのだろう。陸上自
衛隊にとっては、「虎の子」兵器の損失ということになるのだろう。
  だが、榴弾とは、「比較的薄肉の外殻の中に大量の炸薬を充填した破壊力の
強い砲弾」であり、榴弾砲とは、「曲射砲の一。カノン砲に比べて初速が遅
く、榴弾を湾曲した弾道で発射して遮蔽(しゃへい)物を越えた目標を砲撃で
きる」そうだ(『大辞泉』)。そんな砲弾をいったい誰に向かって発射するの
か知らぬが、戦争に反対する私たちにとっては、海に沈んでもらった方があり
がたい。しかし、兵器の沈没は海を汚染するので、やはり陸で解体してもらい
たい。〕
 
 
  5月11日、熊本地方裁判所の杉山正士裁判長は、ハンセン病の元患者さん
たち127人による国家賠償請求訴訟の判決で、「遅くとも1960年以降に
は隔離の必要性は失われ、過度に人権を制限したらい予防法の違憲性は明らか
だった」として、同法の早期見直しを怠った国(旧厚生省)と国会議員の責任
を全面的に認め、国に18億2380万円の支払いを命じた(5月11日付
『朝日新聞』夕刊)。
 
  元患者さんたちは、一人あたり1億1500万円の支払いを国に求めていた
のだから、判決の賠償額は少なすぎる。だが、国のハンセン病政策の違憲性を
明確にした点で、判決が歴史的かつ画期的なものであることは疑いない。
 
 原告側勝訴のこの判決について、坂口力厚生労働相は、小泉首相に控訴の断
念を進言する方針を決めたというが、「厚労省内には、控訴を断念すれば、
〔別の裁判を含めて〕現在779人の原告数が一気に増えかねず、賠償金が多
額になることから、控訴すべきとの考えが強い。〔そればかりか〕法務省内に
は控訴断念に対する反対論が強いため、首相の政治判断が問われることになり
そうだ。」という(5月16日付『朝日新聞』朝刊、カギカッコ内は引用者に
よる)。
 
 さて小泉新政権の中谷元・防衛庁長官は、「ブエン・ビエント号」沈没によ
る約67億円の損害について、納税者に謝罪したであろうか。この巨額の税金
のムダ遣いについては、小泉首相も公的に謝罪すべきではないのか。
 こんな浪費には目をつぶり、自らの長期にわたる明白な人権侵害に対する賠
償請求については、「多額」として出し惜しみする「国」とは、いったい何な
のか。法務省の控訴断念反対論は、いかなる理由に基づくのか。「国」のメン
ツがつぶされておもしろくないとでもいうのか。
 
  政府は熊本地裁判決を受け入れ、控訴を断念すべきである。そうさせるため
に、国に働きかけてほしいというアピールが、すでに発せられた。以下にその
真摯な訴え(「緊急のお願い」)を転載する。私はすでに、小泉首相、坂口厚
労相、森山法相にFAXで強く要請した。国による控訴の期限は、もうまもな
く、5月25日である。全国のみなさんに、ともに努力することを訴えたい。

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   <ハンセン病訴訟・緊急のお願い>

         酒井義一(ハンセン病訴訟を支援する会・存明寺住職)

  マスコミでの報道でもご承知の通り、5月11日、熊本地裁においてハンセン
病国賠訴訟の歴史的かつ画期的な勝訴判決がでました。国(厚生省)の責任は勿
論、国会の責任も認める内容でした。
 
 国(厚生労働省・法務省)に控訴しないよう要請をお願いします。控訴は裁判
の長期化を意味し、高齢の元患者さんにさらに苦しみを強いることになりま
す。国が真摯に判決を受け入れ、ハンセン病問題に対しての全面解決の道を歩
むよう要請して戴きたいのです。
 
 全国13園に住む入所者は4450人、平均年齢は74歳、毎年約 200人の人が亡く
なっています。もう時間がないのです。
 
 控訴期限は2週間ですから、5月25日までです。お願いです。 5月21日まで
に、以下の方々に、FAX、電報、メールなどで、控訴をしないようメッセージを
寄せてください。
 この時をのがすと、解決はまた何年も先になってしまいます。
 どうぞよろしくお願いします。

  内閣総理大臣 小泉 純一郎  殿
    千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣官邸
    FAX 03−3581−3883

  厚生労働大臣 坂口 力  殿
    千代田区霞が関1−2−2 中央合同庁舎5号館 厚生労働省
    FAX 03−3595−2020
    メール www-admin@mhlw.go.jp

  法務大臣 森山 真弓  殿
    千代田霞が関1−1−1 法務省
    FAX 03−5511−7210
   メ ール webmaster@moj.go.jp



 
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