Date: Sun, 13 May 2001 12:16:15 +0900
From: 加賀谷いそみ<QZF01055@nifty.ne.jp>
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Subject: [keystone 3894] 教科書採択に関する申入書(熊本)
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 戦後歴史教育の結果か、全国に8万社、申告所得4億円を超えるといわれる
靖国神社「票田」の教育効果か、再び靖国神社公式参拝を表明する独裁者気取
りの首相があらわれました。「見解が違うから」のひとことで、歴史教科書問
題を片づけようとする首相には、アジア市民の痛切な思いも、ちりあくたほど
にしかお感じになれないようです。
 日本政府は「国体」を護持したま「軟着陸」を探っているようですが、そん
な都合のいい策が外務省にも文部科学省にもあるはずもなく、日韓両国歴史家
による共同教科書委員会を設置する案を出しています。しかしこれは教科書問
題が起きるたびに繰り返し示してきたポーズで、すでに信用を失っており、今
回の問題の解決には有効とはなり得ません。

 侵略した国の歴史の「事実」だけを羅列すれば、日本国民はすべて「天皇の
赤子」であり、米英も「鬼畜」でした。また略奪された国の「事実」だけを羅
列すれば「反日的」にならざるを得ません。その20世紀の戦争の歴史の「事
実」から「史実」をさぐり、歴史認識を共有しようとする試みは、1982年の検
定で、中国「侵略」の「進出」書き換え問題がおきた頃から(検定基準に「近
隣アジア諸国との近現代の歴史に配慮する」との条項が設けられた)民間レベ
ルで地道に行われてきています。その積み重ねが、今回の問題に対する冷静な
対応につながったと言えます。また、中国民衆には「抗日戦争」、韓国民衆に
は「民族の文化に対する侵略」という心身に刻み込まれた消すことのできない
体験があります。それをふまえた上で、中国では、日本の国家と民衆とを区別
して日本民衆もまた戦争の世紀の犠牲者と位置づけ、韓国でも真摯な「合理
的」問題提起という形で、両国とも「大人の対応」をとり、アジアの一員であ
る日本との友好を尊重しようとしています。
これを日本政府やマスコミはアジア民衆が歴史問題に「無関心」になりつつあ
ると取り違えるという、これからの友好関係を崩壊させかねない大変な誤認を
しています。

 さらに歴史改ざん勢力では、検定制度の「廃止」を言い出す向きも出てきて
いるようです。これは、検閲の禁止や政治不介入などの観点からではなく、国
際社会の「規制緩和」の流れや地方分権を利用し、実際「制度疲労」をおこし
ている国の検定制度を「国民的合意」によって何らかの形で廃止させて「みそ
ぎ」をしたのち、形式を変えたいわゆる「国定教科書」を子どもたちに強要し
ようとするものではないかとわたしは推察しています。自治体に「再検定」さ
せるような採択制度の改変もその一つの手段としての危険な動きではないかと
思います。
 国が教育権を手放すことはとうぶんありえないでしょうが、たとえ検定制度
をなくしたとしても、教育基本法十条などを改悪し、教育関連法で教育委員や
校長などの学校管理者の権限を強化して、教育公務員の「良心の自由」に縛り
をかければ、「教科書選択の自由」も特定の方向にコントロールできます。モ
ザイク組織である改ざん勢力を結集させるには「君が代」斉唱が大変有効だと
いうことですが、すでにたかだか学習指導要領一つで、教育現場に「日の丸」
「君が代」を強制してきた実績も、改ざん勢力をしてこのもくろみの成就に確
信を持たせているのかもしれません。
 
−−−−−−−−−−−−−−−−−
「事実を直視せず、日本の負の部分を隠して戦争を美化している。このような
教科書は認められない」。市民グループ「教科書ネットくまもと」(約六十
人)はこのほど、県教委へ扶桑社の教科書を採択しないよう申し入れた。
 「教科書ネット」は扶桑社教科書の検定合格や「つくる会」の一連の行動に
危機感を持った元教師や保護者らが組織した。現在、熊本市と菊池市にそれぞ
れあり、八代市などでも設立の準備が進んでいる。
 最も早く三月末にできた「教科書ネットきくち」はこのほど、市民に呼び掛
けて勉強会を開いた。四十人が参加。熊本学園大の坂本正教授が、扶桑社教科
書が検定合格した背景について、「ガイドラインから国旗国歌法の制定と、戦
後これまでタブー視されてきたことへの抵抗感がなくなってきている。命や平
和の尊さ、戦争が悪いという大前提さえ突き崩されつつある。その流れで出て
きたのが今回の歴史教科書だ」と話した。
 「教科書ネット」は今後、各市町村教委への申し入れや議会への請願・陳情
活動を展開。街頭でのビラ配布などで大きな市民運動に広げたい考え。県教組
と県高教組も五月中には各教委へ同様の申し入れをする予定だ。連合など各労
組でつくる教育フォーラム熊本も講演会などで問題の重要性を市民にアピール
していくという。
 一方、「つくる会」は昨年六月に県議会に提出、採択された請願を皮切り
に、十二月には熊本市議会でも請願の採択を得るなど議会への働きかけに力を
入れている。三月議会では、三十二市町村で同会の会員らが出した請願が認め
られたという。
 いずれも、採択制度の適切な運用を求めており、扶桑社教科書の採択をスト
レートに要求してはいない。ただ、「現在、全国で採択されている教科書は、
近代史の歴史的事象の記述に差が見られ、扱い方によっては児童生徒の歴史的
認識を誤らせることも考えられる」(県議会への請願)といった表現で、これ
までの教科書を否定し、”新しい歴史教科書”をアピールしている。
 一連の動きについて同会県支部の井上勝己支部長(49)は「組織的な運動
は一切しておらず、各請願は会員など個人個人の活動にすぎない」と説明。
「六月議会でも採択を得ていない議会へ、多くの請願が出るだろう」と予想し
ている。
 今後、論争の舞台になりそうなのが六月下旬から各地で開かれる教科書展示
会。一般市民もそれぞれの教科書について書面で意見を述べることができるた
め、扶桑社教科書の賛否を市民の声としてぶつけようというわけだ。
 「教科書ネット」のメンバーらは、「つくる会」が展示会を利用した運動を
進めるとの前提に立ち、“防戦”する構え。「つくる会」は「実際に教科書を
手にして判断してほしい」と話しており、双方とも展示会への積極的な参加を
市民に訴えていく考えだ。
(熊本日日4月30日)

教科書「民主主義」半世紀ぶりに復刻 戦争知らぬ世代に贈る
  昭和二十二年の憲法施行後、高校生に民主主義の精神を学んでもらおうと文
部省(当時)が発行した教科書「民主主義」を、元県教組委員長らが半世紀ぶ
りに復刻。二十一世紀初めての憲法記念日の三日、刊行。
 「民主主義」は二十三〜二十四年、上下二巻が発行された。戦後の学制変更
とともに始まった新教科「社会科」で使われ、県内の高校でも採用されたとい
う。
 とくに全体・独裁主義を否定し、個人の尊厳を強調しているのが特徴。民主
主義とは「正しく学び、確実に実行すれば、繁栄と平和がもたらされる。反対
の場合には人類の将来に戦争と破滅が待っている」とした上で、「国民の意思
と力で道を築こう」と結んでいる。
 上下巻セットで千五百円(送料別)。
(熊日5月3日)

<申入書>
                         2001年4月27日
熊本県教育委員会
教育委員長 今村潤子 様
教育長   田中力男 様
                         教科書ネットくまもと

             教科書採択に関する申入書
 2002年度から使用される教科書について、過日、検定結果が公表されまし
た。検定に合格した教科書のなかに、「新しい歴史教科書をつくる会」が企
画・執筆した中学校社会科歴史・公民分野の教科書が含まれていることも明ら
かになっています。
 この教科書の内容については、周知のように、国内外から大きな批判がお
こっています。また、この教科書の採択を目的とした、地方議会への請願や、
教育委員などにたいする教科書著者からの図書贈与などが、全国的な運動とし
て行われてきました。
 これは、教育の自主性・自立性が、政治的な力によっておかされるおそれを
はらんでおり、ゆるがせにできない問題を含んでいるといわなければなりませ
ん。とくに「新しい歴史教科書をつくる会」ならびにその支援団体などによっ
て、この間、採択制度の変更をせまる動きがおこり、それをうけて採択制度を
変更した都道府県・市町村も出てきています。その結果、現場教職員の意向が
反映できなくなる事態も予想されます。
 このような状況のなかで、今年度の教科書採択が行われるわけですが、何よ
りも教科書で学ぶのはこれからの国際社会をいきる子どもたちであることを考
え、それにふさわしい教科書が、日本国憲法・教育基本法の理念にもとづい
て、公正かつ民主的に選ばれるよう、以下の通り申し入れいたします。

1.「新しい歴史教科書をつくる会」による違法な宣伝活動が行われています
が、それにまどわされることなく、公正な採択を行ってください。
2.採択にあたっては、教育現場の意見がいっそう重視されるようにしてくだ
さい。
  子どもの実態や学校・地域の実態にあった教科書を選ぶには、現場教職員
の調査研究とその結果を反映させることは、欠かすことができません。1966年
に日本も賛成して採択されたユネスコ・ILOの「教員の地位に関する勧告」
61項も教員は「教科書の採択並びに教育方法の適用にあたって、不可欠の役割
を与えられるものとする」としています。また、1997年3月28日の閣議決定は、
将来的には学校単位の採択の実現を検討する観点から「教科書採択の調査研究
により多くの教員の意向が反映されるよう」都道府県の取り組みを促していま
す。今こそその決定を遵守すべきです。
3.一人ひとりの教職員が教科書の調査研究を十分に行えるよう、時間や場所
その他の条件整備を行ってください。
4.教科書に対する保護者・市町村民の意見が尊重され、教科書研究が十分に
行えるよう、見本本の展示期間の延長、展示場所の増設などを実現してくださ
い。
5.採択の過程について、情報公開を行ってください。
6.公教育は、あくまでも日本国憲法・教育基本法・学校教育法などにもとづ
いて行われるべきものです。国際的にも高く評価されている日本国憲法の理
念、教育基本法第1条に示された教育の目的、学校教育法に示された教育の目
標、学習指導要領の目的にうたわれている「広い視野に立って、・・・・・・多面
的・多角的に考察し、・・・・・国際社会に生きる民主的・平和的な国家・社会の形
成者」などを総合的にふまえて、教科書の採択をしてください。
7.国際化の時代にあって、他国との対話と相互理解をすすめることは、ます
ます重要になっています。このようなとき、「我が国の国土と歴史に対する理
解と愛情」など学習指導要領の断片のみを基準とした独善的な歴史観で日本の
過去を美化したり、アジアにおける平和のための努力に逆行して武力を持って
国際社会に対応すべきことを強調するような教科書で学ぶことは、日本を国際
的な孤立にみちびくことになります。そのような教科書は、これからの日本を
になう子どもたちの教科書としてふさわしくありません。
  あくまでも、国際理解・国際協調の見地について十分な配慮がなされてい
る教科書を採択してください。
8.以上の観点から考えたとき、「つくる会」の中学校歴史・公民分野の教科
書は、中学生が学ぶ教科書としては、どうしてもふさわしいものとは思えませ
ん。すでに、歴史、教育の専門家や、著名な有識者の方々によってその問題点
が指摘され、さらに複数の全国紙の社説でこれが教科書としてふさわしくない
とされています。
  何よりも、すでに廃止・失効した大日本帝国憲法や教育勅語を礼賛し、戦
争を賛美する姿勢は、今日の日本国憲法・教育基本法の理念とはあいいれませ
ん。過去の戦争についても、事実を直視せず、ひとりよがりに日本の負の部分
を隠して戦争を美化するのでは、アジア諸国民との対話と相互理解、友好と信
頼の道を閉ざしてしまいます。これらの点で、「つくる会」の教科書は、他の
教科書と同列に論ずることのできない特異な教科書といわなければなりませ
ん。
  このような教科書で子どもたちが学ぶことは、どうしても認めることがで
きません。
採択にあたっては十分な配慮をお願いします。
9.以上述べた申し入れ内容を、教科書採択関係者の方々に確実に伝えてくだ
さい。

<参考>
教科書ネットくまもと ご入会の案内
子どもたちが使う教科書について考え行動する市民の会です。
(おもな活動内容)
1.歴史を歪曲し、憲法や教育基本法の理念を否定する教科書の問題を広く知
らせます。
2.過去の事実をもとに歴史認識の学習を深め、「民主主義」・「平和」・
「人権」を守る運動を創り上げていきます。
3.教科書の採択制度について考え、採択情報の公開に取り組みます。
4.それぞれの地域で市民・保護者・教師が教科書について考えます。
5.教科書の検定制度の問題についても訴えていきます。

 最近のいろいろな問題に対して危機感を感じている方は多いと思いますが、
なかなかそうした声があがらず、連帯できていない状況です。そこで、事実か
らの歴史認識をはっきりさせながら、現在の状況を把握した上で、これらの問
題に対して、ネットワークを組みながら、何らかの動きをしていきたいと考え
ております。一緒に考え、活動しませんか?

侵略戦争を美化する「あぶない教科書」が・・・・
 「新しい歴史教科書をつくる会」が、日本国憲法を敵視する教科書をつくっ
て、子どもたちの手に渡そうとしています。日本の侵略戦争をアジア解放の戦
争と偽り、生命よりも大事なものがあると言いきっています。そして、教育勅
語を賛美して戦争に生命を投げ出す子どもに育てようとしています。

会の方針
(1)あくまでも個人の意志による参加とし、団体の利害関係を持ち込まな
い。
(2)「市民レベルの会」であり、会の趣旨に賛同していただく方は、どなた
でも参加できる。
(3)連携できるところとは、協力しながら進めていく。
(4)緊急の問題が山積しているので運動を作り出していかなければならない
が、学習をしながら運動を作り出していくというスタイルをとっていく。
   学習が運動を拡大させていくエネルギーにしていく。
(5)自主財源として、会員から会費をいただく。1口500円。

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また「平和憲法を活かす熊本県民の会」では、韓国を訪ね、韓国市民と教科書
問題について話し合い、下記の合意を結びました。
 
             自主的交流合意書

 全国教職員労働組合忠南支部と「平和憲法を活かす熊本県民の会」は、去る
97年に、両国地域民間団体が力を合わせ、熊本県地方議会での歴史教科書歪
曲請願を取り下げさせた経験をもっている。
 私たちは、この間の経験を生かして、忠清南道地域民衆と熊本地域民衆との
友好協力関係を脅かす教科書歪曲問題に対し、高い関心をもって共同で対処す
るものである。
 また、両国地域民間の懸案問題を引き続き共同で対処していくことをはじめ
として、日本軍国主義の復活策動に反対し、韓半島の平和的統一、アジア地域
の平和と人権、民主主義実現のための自主的交流を行うために、この協約書を
締結する。

一、私たちは、両国地域民衆間の懸案問題に共同で対処する。
一、私たちは、両国間において、毎年、相互交流訪問を実施する。
一、私たちは、教師、農民、学生、地域、環境などで、順次交流分野と幅を拡
大する。
一、私たちは、今までの自主交流過程をともに評価し、新しい進路をめざす。
一、私たちは、両国地域民衆の共存、共栄、共益のために、共同で努力する。
2001年3月27日

日本国 平和憲法を活かす熊本県民の会 田中信幸
大韓民国 全国教職員労働組合忠南支部 今栄会
         −−−−−−−−−−−−

▽日韓両政府は九七年、民間有識者による「歴史研究促進に関する共同委員
会」を設立。同委員会は昨年解散したが、その際、両国の歴史学者による「日
韓歴史研究会議」の新設などを両国政府に提言している。
 日本側委員「いつも『のど元過ぎれば熱さを忘れる』だ。提言を実行に移し
ていれば、今回の事態は避けられたかもしれない」
 外務省「会議新設は着々と準備を進めている」が「今回の問題と切り離して
考えないと、会議が教科書問題のためだけのものになりかねない」
(読売5月9日)

◎「歴史研究促進に関する共同委員会」
1997年7月に日韓両国政府の委嘱により発足
[日本側運営委員会]  
須之部 量三 日本側座長、外務省顧問、元駐韓国日本大使
小此木 政夫 慶應義塾大学法学部教授
山本  正 (財)日本国際交流センター理事長
(役職は参加当時、山本正さんは、「21世紀日本の構想」懇談会−第2分科会
「豊かさと活力」−メンバーのひとり)
 1995年6月、衆院で「我々は過去の戦争について歴史観の相違を超え、歴史
の教訓を謙虚に学ぶ」という「歴史を教訓に平和への決意を新たにする決議」
(戦後五十年決議)を与党単独で採択(内外から「不戦」と「謝罪」という表
現がないと批判)。同年10月、当時の閣僚の一人が「植民地時代の日本はよ
いこともした」と発言。韓国の世論が強く反発、日韓関係が悪化。それを修復
するために、両国政府が共同委員会の設立に合意。一年八カ月後発足。この二
年前の八月十五日には当時の村山首相が、その談話の中で日本が過去に行なっ
た「植民地支配と侵略戦争」について「痛切な反省の意」を表明。

東京学芸大学の君島和彦教授らが十年にわたって、韓国の歴史研究者らと日韓
教科書交流を行い、双方の歴史観について理解を深める努力を続けてもいる。
(琉球新報5月9日)
<関連書籍>
◇いらない!「神の国」歴史・公民教科書
   上杉聰、君島和彦、越田稜、高嶋伸欣著
   明石書店   http://www.akashi.co.jp/news/news_kami.htm
◇『新版 韓国の歴史』国定韓国高等学校歴史教科書
   大槻 健、君島和彦、申奎燮訳
   明石書店 http://www.akashi.co.jp/menue/read/read_korea.htm
◇教科書の思想―日本と韓国の近現代史
   君島 和彦 (著)
   すずさわ書店  価格(税別): ¥2,400

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開かれた教科書採択へ 県教科用図書選定審
 第一回鳥取県教科用図書選定審議会(会長・油野利博鳥取大学教育地域科学
部教授、二十人)が二十三日、鳥取市末広温泉町の白兎会館で開かれ、来年度
の小中学校教科書の採択基準などを決めた。審議の過程を公開するのは初めて
で全国的にも珍しく、これを機に「開かれた教科書採択」を目指す。
 この日の審議会では、県教委側から「採択は県教委の提供する『選定に必要
な資料』に基づき、地域や児童生徒の実態を考慮し、十分な研究のもとに市町
村教委並びに国立、私立の義務教育学校長が選定し、行う」などを内容とした
採択基準が諮問された。
http://www.nnn.co.jp/news/news0424.html#04243
(日本海新聞4月24日)

教科書採択で新方式 ◆横浜市が百人に調査を委嘱へ
 「新しい歴史教科書をつくる会」編の中学校用歴史教科書の検定合格の動き
とともに、教科書採択からの教員外しが全国的に広がる中、教科書の取り扱い
を答申する教科書取扱審議会(取扱審)の運営について横浜市教委は二日まで
に、膨大な数の教科書の調査に関し、教科内容に詳しい百人規模の教諭らに調
査員を委嘱するとともに、各区の実情に応じた意見を市内十八区の校長会に求
める方向で調整に入った。今月中にも発足する新メンバーの取扱審に諮り正式
に決める。市は二月市会で取扱審の委員数を半減して教職員団体の代表を外
し、学校からの希望票も廃止したため、教科書内容の実質的な検討・審査をど
うするのか、注目されていた。
 小中学校の教科書は、二〇〇二年度からの新指導要領の完全実施に向けて、
各学年、全科目の教科書が一斉に改訂された。教科書会社が合格見本本として
提出している教科書は、小学校で六学年十一種目、百五十五点、中学校は三学
年十四種目、百五点に上る。
 これまで、横浜市内の教科書採択区は十区だったが、本年度から十八区に細
分化された。取扱審で、より地域や児童生徒の実情に合った教科書について審
議を充実させるため、調査員の報告や各区の校長会の意見を求めることにし
た。調査員の報告や校長会の意見を審議に反映させるための工夫が求められて
いる。
 調査員は各教科ごとに数人を予定しており、全体で百人規模になりそうだ。
公正確保の観点から、報告内容は採択決定まで非公開とされる予定だ。
 二月市会で、「教職員組合の影響を排除すべき」「教育委員会の見識で教科
書を採択するべきだ」などの意見が出された。
 市は、より一層厳正公正な採択を進めるため、義務教育諸学校の教科用図書
の無償配布に関する法律に準拠し取扱審の委員数を三十九人から二十人に半
減。諮問する側になる教育長を外すとともに、教職員団体の代表も外すよう条
例を改正した。任期も二年から一年に短縮し、会長・副会長は互選とした。従
来運用で行っていた各学校からの希望票も廃止した。
 今後、取扱審では、各報告や意見を精査した上で、夏には教育委員会に答申
する段取りだ。
 また、教科書展示会は、市教育文化センターなど五カ所の法定会場に先だっ
て、市独自の五会場で開く。市民も各社の教科書を自由に手に取って見比べる
ことができる。
 http://www.kanagawa-np.co.jp/news/nw01050333.html
(神奈川新聞5月3日)

教科書選定1次答申まとまる 県教科用図書選定審議会
 「県教科用図書選定審議会」(会長・荒井修二さいたま市教育委員長)は二
日までに、県教委に諮問を受けた来年度から公立小中学校などで使う教科書の
選定についての第一次答申の内容をまとめた。
 教科書採択は県内十の採択区ごとに行われ、専門員が検討した後、最終的に
市町村教育長と教育委員長でつくる協議会が選定する仕組みになっている。答
申は、専門員が協議会に検討結果を上げる際、数社の教科書に絞り込まず、す
べての検討結果を報告するよう求めている。また、全体の選定の課程や選定理
由をできるだけ公開することや、保護者らの意見を聴く場を設けることも提
案。
http://www.saitama-np.co.jp/main/box/01/05/050303.htm
(埼玉新聞5月3日)

 信大教育学部は五、六月の計三日間、教科書問題を中心に論戦を繰り広げて
いる研究者らを講師に、公開講座「教科書とは何か」を開く。中学校の歴史教
科書をめぐる論争を切り口に、教科書の役割などを考える。
 講師は、「新しい歴史教科書をつくる会」メンバーで、扶桑社の歴史教科書
の執筆者である藤岡信勝・東大教授、同社の歴史教科書を「子どもたちに渡し
てはならない」と訴えている市民グループ「子どもと教科書全国ネット21」
の俵義文事務局長ら。
http://www.shinmai.co.jp/news/2001/05/08/004.htm

 長野県教組、県高教組など七団体は七日、「新しい歴史教科書をつくる会」
のメンバーらが執筆した中学校の歴史、公民の教科書に反対する立場から、来
年度から県内の小中学校で使われる教科書の採択について、「国際理解・国際
協調に配慮している教科書を採択すること」など五項目を、県教委に要請し
た。
http://www.shinmai.co.jp/news/2001/05/08/003.htm
(信濃毎日5月8日)

 沖縄県労連の仲里孝之議長らは七日、県庁を訪れ、津嘉山朝祥県教育長に、
文部科学省の検定に合格した「新しい歴史教科書をつくる会」メンバーによる
歴史教科書を採択しないよう要請。メーデー沖縄県集会で採択した「憲法・教
育基本法をいかし、どの子も輝く教育を求める決議」を手渡した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200105091300.html#no_4
(沖縄タイムス5月9日)

 文部科学省の検定に合格し、二〇〇二年度から使用される中学校歴史教科書
の一つに、「原爆投下を容認する記述がある」として、広島県教育会議(増岡
博之会長、約五千人)は九日、この教科書を採用しないよう求める要望書を県
教委と広島市教委に提出した。
 県教育会議によると、この教科書は、広島が被爆都市になった原因について
「戦前に軍都として発展したことにある」と記述している、という。
 要望書は「投下目標の選定は、原爆の威力測定を基準にしていたことが米軍
の公式記録にある」と指摘。「広島が悪かったから原爆を落とされたと一方的
に教えるのは、原爆投下の正当化・容認につながる」としている。
 県教委は「教科書の見本がまだ届いていない。教科書の採択は市町村教委が
自主的に判断するもので何とも言えない」と答えた。広島市教委も「採択は法
的手続きに沿って進める」と述べた。
(中国新聞'01/5/10)
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn01051033.html

◎広島県教育会議 −広島の教育再生10万人ネットワーク
会長 増岡博之(元厚生大臣)
広島の教育を考える市民の会、新しい歴史教科書を作る会、広島経営者漁火会
などとともに「教育正常化」活動
1999年1月24日に設立準備大会が開かれ、約500人が参加。発起人は増岡博之元
厚生大臣、田所諭日本教育会広島県支部長(元広島県教育長)。事務局代表=
中尾建三・中尾鉄工所代表取締役。国会議員の中川秀直、亀井郁夫、岸田文
雄、柳田稔、能勢和子、桧田仁の各氏、県議会議長、県議会文教委員長らも出
席(当時)。

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◇日本の中学校歴史教科書
韓国関連内容修正要求資料
http://www.h2.dion.ne.jp/~kyokasho/
◇扶桑社中学校社会科歴史教科書の近現代史部分(第4,第5章)の問題点
(荒井信一・和田春樹他歴史学者7名)
http://www.jca.apc.org/~itagaki/history/problems.htm
◇扶桑社歴史教科書執筆者 高森明勅氏反論(史実と向き合う姿勢重要)
http://www.sankei.co.jp/  教科書 2001.05.08  

▽小泉純一郎首相8日「再修正はできないが、言い分を誠実に受け止めて将来
どういう対応ができるか前向きに考える必要がある。歴史学者、専門家を介し
てよりよい方向に持っていこうと前から申し上げている」「結果を見て批判さ
れることは結構だ。お互いに見解が違うのだから」

 福田官房長官は八日「真摯(しんし)に受け止め、十分に吟味する必要があ
る」「(再修正は)明白な事実誤認があれば別だが、それがないなら修正はで
きない」

遠山敦子文部科学相は8日「(検定合格した教科書をさらに文部科学省が修正
させることは)制度上できない」「明白な誤りがあれば、訂正することもあり
うる」「(韓国側の要求内容については)要求が届き次第よく読ませていただ
く。客観的、学問的見地から精査したい。専門家の目で精査することになる」
同省は今後、教科書調査官や検定審議会委員ら専門家で要求内容が妥当かどう
か検討する。
同省幹部「韓国の学者らが1カ月かけて意見を出してきたのだから、こちらの
検討もそのくらいかかるだろう」
 99年には2社が、「学習上支障がある」という理由で、すでに使用されて
いる中学歴史教科書にあった「従軍慰安婦」の「従軍」の文字を削る訂正をし
た。

田中真紀子外相「大変デリケートな問題であり、まずは文部科学省の検討結果
をうかがってからだ」

自民党の山崎幹事長は八日、「専門家の判断が『(教科書の内容が)史実通
り』なら変更はできない」と述べ、再修正は行うべきでないとの見解を示し
た。民主党の鳩山代表は「政府が(検定合格の)はんこを押しているのは重
い」と語った。

▽外務省(筋)「韓国がここまでやってくるとは予想していなかった。厳しい
状況だ」
「韓国が言っているからと再修正すれば、今度は日本国内で『内政干渉だ』と
の反発が出る」(5月9日付・読売社説 [歴史教科書]「韓国の修正要求は
内政干渉だ」)
首相周辺「再修正が定例化したら、検定のたびに要求を聞かなければならなく
なる」
外務省幹部「日韓関係への影響を考えれば、拒否して『それで終わり』とはい
かない」
(読売)
政府関係者「韓国政府が納得できるような打開策は見あたらない」(産経)
文部科学省幹部「検定に関わった調査官や学者も古代朝鮮史の専門家はいな
かった。子細に検討して、間違いならば修正する」が「(近現代史部分につい
ては)検定制度を超えた内容で再検定は難しい」
外務省幹部はドイツとポーランドが70年代、両国歴史家による共同教科書委
員会を設置し韓国を出した事例を参考にする考えを示唆
(毎日)

▽小泉純一郎首相(国会参院本会議11日代表質問)
「教科書の検定合格を取り消すことは考えられない」「(「大東亜戦争」)の
記述は)当時のわが国での呼称だったことは歴史的事実だ。太平洋戦争との表
記も併記されており、検定上、認められたと承知している」「(韓国からの再
修正要求について)韓国内の厳しい雰囲気は真摯(しんし)に受け止めてい
る」
「1992年から平和友好交流計画の一環として、日中、日韓でそれぞれ資料
の収集、研究者の相互交流がすでに行われている。中国、韓国など近隣諸国と
の相互理解促進と、友好協力関係の発展が重要なので、計画の諸活動を精力的
に進めたい」

 遠山敦子文部科学相(11日閣議後会見)
「省内の調査官のみならず、外の専門家の知恵も借りる」「(調査の期限は)
しっかり検討する必要があり申し上げられない」
(朝日・毎日5月11日)

▽小泉純一郎首相は12日午前、東京都千代田区の日本武道館で開かれた実践
倫理宏正会創立55周年記念式典であいさつし、「今は変革の時代だが、どん
な時代でも変えてはならない普遍の真理がある。それが倫理力だ。変えてはな
らない精神を守りながら、改革を断行したい」と述べた。同会が掲げる基本理
念に理解を示しながら、構造改革の重要性を訴えた。
 また、首相は「所信表明演説で教育改革が2カ所しかなかったが、教育改革
の重要性は入っている。森内閣のよいものは引き継ぎたい」と語った。
 同会は会員250万人で、自民党の有力な支持団体。国会で代表質問を終え
た首相が参院選に向け、支持団体との関係強化に本格的に乗り出した。
[毎日新聞5月12日]

◎(社団法人)実践倫理宏正会(会長・上廣榮治)
通称「朝起会」(毎朝5時から、全国約600余ヵ所の会場で開催)
「生活倫理の実践普及を目的として、全国に倫理運動を推進している公益法
人、民間の社会教育団体」を自称。上廣榮治さんは、教育改革国民会議が、小
渕前内閣総理大臣及び中曽根文部大臣名で有識者に「教育のあり方に関する意
見」を依頼した100人のなかのおひとり。

<社説>5月9日  http://www.tsukurukai.com/vergleichung.html
読売 [歴史教科書]「韓国の修正要求は内政干渉だ」
産経 [韓国の修正要求][『毅然と拒否』の姿勢貫け]
朝日 [再修正要求][良い教科書の一助に]
毎日 [歴史教科書][再修正とは別の方策探れ]

<参考>
文部省 教科書Q&A(平成13年3月)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoukasho/index.htm
検定の仕組み、教科書の価格、諸外国の教科書制度についてなど16項目

財団法人 国際教育情報センター(1958年設立、外務省の外郭団体)
http://www.isei.or.jp/japanese/index-j.html
「諸外国の教育資料(教科書、百科事典など)の収集とその中に現われた日本
に関する記述の調査、および誤った記述に対する訂正の申し入れ」や「 [対訳]
世界の教科書にみる日本」シリーズ(中国・韓国・アメリカ・フィリピン・
ヴィエトナム各編)」などを発行

内閣府大臣官房政府広報室「外交に関する世論調査」(平成12年10月調査)
http://www8.cao.go.jp/survey/gaikou_01/index.html
Q10 諸外国との文化交流を進める上で,どの地域の国々に重点を置くべきだ
と思うか
=東アジア(韓国,中国など)(44.9%)
(96年調査から掲載http://www8.cao.go.jp/survey/y-index.html

岩波書店「世界」6月号 vol.689
<特集>歴史教科書問題とは何か
大江健三郎/成田龍一 池 明 観/孫 歌 ほか
http://www.iwanami.co.jp/sekai/2001/06/directory.html
 
週間金曜日 第362号 2001.5.11
こんな教科書使えるか!
徹底分析 「新しい歴史教科書をつくる会」の歴史・公民
http://www1.jca.ax.apc.org/kinyobi/



 
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