Date: Tue, 19 Dec 2000 13:48:53 +0900
From: 加賀谷いそみ <QZF01055@nifty.ne.jp>
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Subject: [keystone 3406] 「教科書採択改善」請願/福島・青森
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福島県郡山市議会では、「教科採択問題を考える会」が提出した「郡山市議会に
おける中学校教科書社会(歴史的分野)採択制度運用の改善に関する請願書」は
「文言・文面が不明確な請願では、不明確な審議しかできないので、いったん取
り下げを求め、採決は継続とする」というたいへん不明確な採択結果となりまし
た。
  一方これに対抗する請願3件のうち、教職員組合から提出された請願は、
「1.小・中学校の教科書採択にあたっては、教職員の意向が反映される小規模
採択地区とすること。」は不採択、「2.中学校社会科教科書の採択にあたって
は、日本国憲法・教育基本法の精神を尊重すること。」「3.教科書の採択過程
がだれにでもわかるように採択協議会を公開すること。」は採択、「歴史教育者
協議会」の請願については、「教科書検定については、憲法ならびに教育基本法
の精神を堅持するよう国および関係機関に意見書を提出すること。」のみ不採
択、複数の個人で提出した請願は「2.教科書選定等、教育行政に不当に介入す
ることを要求するような請願は採択しないこと」にみ不採択ということになりま
した。「部分採択」というのだそうですが、これは教科書採択にあたっては、現
場教員の意見を弱め、あくまで「有力者」の意見を反映させたいという意思を示
しています。(請願書[aml 20212])

 これから福島県内の他の市町村の判断を待つところですが、郡山市議会では、
「教科採択問題を考える会」に対抗する請願は早々に片づけ、次回に「本命」を
ゆっくり採択したいという往生際の悪い判断をしたようです。趨勢によっては、
次回定例会前に「中間委員会」を得て、再提出し採択させるという手段も取りざ
たされています。
 委員会の傍聴には、20席に対し50人ほどの傍聴者が詰めかけ、抽選になり
ましたが、「考える会」の請願採択を期待して、「青年会議所」関係の方々も見
かけられたとのこと。歴史改ざん勢力の「交流」の広さを伺わせました。

「教科書採択制度の改善」を求める請願が提出されている市町村をすべて把握で
きていませんが、福島県では全市町村に提出される可能性も皆無ではないことか
ら、教職員組合などでは、全市町村に同様の請願を提出し、議会の動きを監視し
ています。
 12月14日現在で、福島県議会と5市町(福島市・岩代町・東和町・郡山
市・いわき市)で「採択制度改善」請願が継続審議となっています。いわき市で
は、ユネスコで採択された「教員の地位に関する勧告」の教員と教科書採択に関
する規定をただす議員の質問に対し、教育長が、同勧告に「日本政府も採択に賛
成」とした上で、61項に教員は「教育当局の援助を受け」て「教科書の選択・
教育方法の適用で不可欠の役割を与えられ」とあり、62項では、教員と教育団
体が「新しい課程、教科書、教具の開発に参加する」としていることを紹介しま
した。請願が集中して出された伊達郡では、霊山町が県内最初の不採択の判断を
示しました。河東町では請願が取り下げられました。請願の中には、教育委員会
の意向を尊重するように求めるだけに「絞り込む」よう内容を切り替えるところ
もでているようです。

 今回の「採択制度改善」請願運動の全国的特徴は、請願が締め切り直前に提出
されていること、公明党が紹介議員の筆頭に立つ例も少なくなく、民主・社民系
も追随する例もあることです。しかし、これらの会派とて、「つくる会」メン
バーの執筆した「教科書」を目の前にされてなお、強気に構えられる議員はめっ
たにいません。最近「改ざん勢力」も「理論武装」に磨きをかけていますが、
「論より証拠」です。

 また、請願の内容が曖昧なため、地域によっては、教育関係者の中にさえ、こ
の背景にある問題点を十分に把握できず、「請願の内容が抽象的で実害がない」
と受け止めているところもあるようです。政府与党とツーカーの仲の歴史改ざん
勢力がめざすのは「国定教科書」でしょう。その「鷹揚」さにつけ込むように、
すでに同勢力では次なる攻撃材料を、全国の拠点に準備しているようです。岩手
県宮守村議会には、「従軍慰安婦についての記述のある教科書を使わない」こと
を求める請願(11月7日提出)が12月14日、本会議で継続審議となり、次
回定例会までに委員会に付託して審議する予定です。委員会の日程等は未定。
「宮守のよい子を語る会」提出。同会代表は町内小学校PTA会長。紹介議員2
名(うち1名は元PTA会長)。
このような明らかに教育への「政治的介入」を内容とする請願については、議会
で審議すること自体が、憲法・教育基本法違反であり、本来ならば取り下げとす
べきであることを認識に据えて取り組まなければ、一連の策動を阻止することは
できません。
−−−−−−−−−−−−−−
宮守村議会議長 菊池一勇 殿
                        請願者 宮守のよい子を語る会
(要旨)
 平成9年4月から義務教育教科書に、従軍慰安婦についての記述があり、それ
を子供達に教えることになっておりますが、従軍慰安婦問題を義務教育で教える
ことに反対します。
 よって、宮守村の義務教育において「従軍慰安婦について記述のある教科書を
使わない」ことの議会決議を求め請願いたします。

(理由)
 私たちは、日本に生まれ日本人として育てられたから日本人だと自覚しており
ます。
 自分を慈しんでいただいた両親を敬うように、近所の人達をはじめ、地域や国
をおもう心が平和と安定をもたらすものと考えます。
 過去において、戦争というきわめて特異な状況下での不幸な出来事について、
戦争を知らない私たちのみでなく、幼い子供達まで罪悪感を持たなければならな
いというような自虐的教育は、義務教育の本旨にそぐわないと言わざるを得ませ
ん。
 平成14年からは学校週五日制が予定されています。すでに実施されている総合
学習35時間と合わせると、年間約135時間授業時間が減少することになります。
さらに現在議論されている奉仕活動の義務化が施行されれば、今までの授業時間
はさらに減少することになるでしょう。
 日本の歴史には、子供達に学んでほしい先人達のすばらしい史実が数多くある
中で、何故今この時期にこのことを教えなければならないのかが理解できませ
ん。
 過去に米国は広島・長崎に核兵器を投下し、何十万もの日本人を無差別に殺戮
しましたが、米国はそのことに関し「あの当時あの方法が戦争を終結させる最善
の方法だった」といって現在も行為の正当性を主張しています。
 それとは対照的に日本政府は、当時の関係国の謝罪要求もあり、機会あるごと
に謝罪の意を表しております。

1992      加藤紘一官房長官が謝罪の談話を発表
     韓国において宮沢喜一首相が公式に謝罪
     加藤紘一官房長官が日本政府として謝罪の意を表明
1995   村山富一首相がアジア諸国に対する日本の侵略行為などを謝罪
1996      橋本龍太郎総理大臣が心からのお詫びと反省の気持ちを表明
、、、、、。

 日本人は、子々孫々何代に渡って謝罪しつづけなければならないのでしょう
か。
 あどけない子供達に、過去の罪を負わせることは出来ません。
 未来を担う子供達には、日本人として生まれてきたことに誇りを持ち、生きる
ことに感謝できるような、そんな家庭・地域・国家でなければならないと思いま
す。
 この問題を通じて、生まれたときから「罪の子」と教える学校へは行きたくな
くなるのも当然です。最近の少年少女達の事件や、不登校・児童虐待など不可解
ともおもえる問題が私たちを悩ませております。
 従軍慰安婦問題が子供達の誤った解釈により、心的外傷に及んだり、自虐的な
自暴自棄な感情を持つ子供が育ったりはしないかと憂慮せざるを得ません。
 平成9年6月、中央教育審議会の第2次答申では、これからの教育の基本はゆと
りの中で「生きる力」を育むことを目指すとの考えを示しましたし、第8次岩手
県教育振興基本計画には、抽象的ながら「心の教育」の充実を主要課題としてお
ります。
 「生きる力」「心の教育」いづれの観点から見ても、今あえてこの問題を思春
期の子供達に教えなければならない、納得できる理由は見あたりません。
 従軍慰安婦問題を誤解なく理解するためには、少なくとも1932年の上海事件や
その後の南京事件など、現在の私たちには想像もできないような歴史的背景や、
政治体制を理解しなければなりませんが、今の学校にはこの問題を誤解なく教え
る時間的余裕はありません。
 戦争を知らない教師が、限られた時間の中で、子供達に対してその意味を正し
く理解させることは不可能に近いことであり、教師自身も戸惑いがあると思いま
す。
 真実がすべて教育的価値があると思えません。
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 青森県議会(秋田柾則・議長)では、「新しい歴史教科書をつくる会」青森県
支部が提出した請願「青森県に於ける中学校用社会科教科書(歴史的分野)採択
制度運用の改善に関する請願書」(12月4日提出、8日受理、紹介議員5名)
が、13日文教公安委員会で全会一致で採択、15日本会議で多数により採択さ
れました。また弘前市でも「青森県教育振興会」が提出した「採択地区における
中学校採択制度の改善について」の請願(11月27日提出、紹介議員3名)
が、15日経済文教常任委員会で賛成多数で採択され、21日の本会議で採決さ
れる予定です。
 「民主教育をすすめる青森県民連合」などが、議員を説得に回っているとのこ
とですが、報道がないためもあって、結果がでる前にこの動きを察知した青森市
民は、少ないようです。他の議会については現在調査中です。
今回の請願類は、政府や県あてに意見書を提出するようなものでありませんか
ら、県レベルの市町村課などで、実体を把握できるかどうかは不明です。きわめ
て住民に身近な自治体の姿勢が問われている問題です。それを把握できるのはそ
れぞれの自治体の住民です。もちろん「歴史改ざん勢力」では、つぶさに「成
果」を把握し公表するでしょうが、関連HPをのぞいてもわかるようにその総括
は、すこぶる「誇大広告的」であてになりません。住民が議会の判断を自ら把握
するしかありません。

「青森県に於ける中学校用社会科教科書(歴史的分野)採択制度運用の改善に関
する請願書」<請願要旨>
 県内の義務教育諸学校において使用する教科書の採択の適正な実施を図るた
め、採択権者である市町村教育委員会を九地区に分割し実施しておられるが、そ
の分割区別に設置される採択地区協議会が行う採択について、県教育委員会は次
の三点を重視して適切な指導、助言または援助を行っていただくよう請願いたし
ます。
一、教科用図書採択地区協議会が行う教科書の採択に当たっては、平成十一年一
月二十五日文部省告示の義務教育諸学校教科用図書検定基準を十分考慮するこ
と。
二、教科用図書採択地区協議会が行う教科書の採択に当たっては、「学習指導要
領の目標に基づいた内容の比較検討」を基本とすること。
三、教科用図書採択地区協議会における教科用図書共同選定委員会委員・調査員
は、前記一・二に充分配慮できる人を選任すること。
(以下理由 略)

    



 
  • 1998年     3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
  • 1999年     1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
  • 2000年     1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月

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