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Date: Wed, 6 Dec 2000 13:07:49 +0900
To: keystone@jca.ax.apc.org
From: "SAKUMA,Junko" <MGH00047@nifty.ne.jp>
Subject: [keystone 3360] 自然の権利>No.3>奄美判決は1月/シンポ報告
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X-Sequence: keystone 3360
Reply-To: keystone@jca.ax.apc.org

 佐久間淳子@[自然の権利]セミナーです。
 [keystone 3251]で紹介させていただいたシンポジウムが無事終了しました。
 以下の、ホームページ更新案内に概要を報告いたしましたので、紹介させてい
 ただきます。
 

◆[自然の権利]の動き No.3   2000.12.06
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 自然の権利訴訟をはじめとする自然保護訴訟の動向と、[自然の権利]に
 関する動きを、各訴訟グループや関連団体と連携してお届けします。
 このお知らせは、[自然の権利]ホームページの更新情報案内を兼ねます。
 URL:http://member.nifty.ne.jp/sizennokenri/
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【1】News
(1)奄美自然の権利訴訟、判決言い渡しは2001年1月22日15時30分 !

   当初裁判所は、12月18日を指定してきたが、弁護団原告団との日程調
   整がなかったため、今週交渉して延期。結審(99.12.20)から1年以内を
   狙ったつもりだったのか?
   原告・弁護団・支援グループによる集会等の予定はまだ未定。

(2)「自然の権利シンポジウム 2000 沖縄ジュゴンは生き残れるか」
    150人近い参加を得て、会場はほぼ満員。
    終了後は30人近くのジュゴン関係者が残り、意見交換をした。

 同日、沖縄本島ではさまざまなイベントが目白押し。会場が埋まっていくの
を見て、ひとまず胸をなで下ろす。
 会場には、池原貞雄先生、宇井純先生、ヤンバル訴訟(赤土裁判)の原告・
玉城長正さんらも。ジュゴン保護基金の東恩納琢磨さんは、持ち船の故障で欠
席(翌日籠橋弁護士を辺野古沖に案内すべく修理に専念。)
 東京からは、法律家連盟の副代表、菅野庄一弁護士(東京、ドミニカ移民の
訴訟、高尾山天狗裁 判などを手がける人権派弁護士)。
 奄美大島からは奄美自然の権利訴訟原告代表の薗博明さんも奄美から来沖。

 まず、花輪伸一さん(WWF)から、IUCNの報告。
 IUCNとはなにか、から始まって勧告決議採択までのいきさつ。今回の現地の
様子などが報告された。「沖縄から参加したジュゴン保護NGOの活動が注目を
集めたのは、開催地がアンマンだったことが幸いしたかもしれない。これがオ
ーストラリアなどだったら、世界中の自然保護NGOが押し寄せるので、埋もれ
てしまったと思う」などと、居合わせた人ならではの話がうかがえた。

 籠橋弁護士は、自然の権利HP【ジュゴンBOX】所収の「沖縄ジュゴンと法的
正義」を資料に、ESA研究の成果を報告。
 籠橋隆明弁護士本人からは「即提訴、というわけではない」と断りがあった
ものの、報道では大きく扱われた。奄美訴訟の薗さんの言葉を引用し、「この
ままでは奄美が奄美でなくなってしまう」と、地元の思いから訴訟が始まった
のだということを強調。「沖縄の内部から高まってくことが、提訴には必要」
と確認した。

 粕谷俊雄 三重大学生物資源学部教授は、ジュゴンの現状についての報告。回
収した会場アンケートでは、「ことの緊急性がよくわかった」との感想が多く
寄せられている。
 ジュゴンは東は日本やオーストラリア、フィリピンから、西はアラビア半島
まで生息しているが、地域ごとに個別の特徴をハッキリ持っていて、沖縄産ジ
ュゴンが滅びるとしたら、それは一種滅びるのに等しいくらいの重みがあると
いうことらしい。
 その数は粕谷教授の調査などから(はっきりした数字はわからないものの)
すでに数十頭のレベルになっており、一方で、確実にわかっているだけでも今
年に入ってすでに3頭が、漁網にひっかかるなどして死んでいる。かなり危機的
な状況だというのははっきりしている。また、戦後の食糧難にはかなり食糧と
して捕獲された(すなわちそのくらいはいた)が、その後は1950-60年代には
すでに危機的だったといえる。
 「はっきりした生息数は、わかってはいない。しかし、防衛施設庁が8000万
円かけて、『何頭いるか』を、正確に突き止めたとしても、それが60頭だろう
が50頭だろうが、30頭だろうが、それはあまり意味がない。回避できる明確な
主死因(漁具に引っかかって死ぬなど)について、早急にどうにかしなければ、
確実に減っていく」(粕谷教授)とのこと。
「保護に直面するのは漁業者ということになるが、かれらが『保護するだけ損
だ』ということにならないような方法が必要だ」と、水産庁遠洋水産研究所に
勤務経験のある研究者ならではの念押しも各所に。

 普天間基地の移設問題で辺野古案が浮上し、ジュゴンの存在が脚光を浴びる
ようになった。辺野古沖は、米軍施設との関係で漁業が規制されており、結果
的にジュゴンがそこにしかいられなくなった、という皮肉がある。ジュゴンに
してみれば、辺野古にヘリポートを作られてしまうかどうかがことを左右する
よりも先に、すでに崖っぷちにきている、ということ。

 休憩をはさんで、ジュゴン関係の団体から、(1)沖縄環境ネットワーク 真喜
志好一さん、(2)ジュゴン保護基金 香村眞徳さん、(3a)北限のジュゴンを見守
る会 鈴木雅子さん、(3b)ジュゴン・ファンクラブ 中野さん、(4)ジュゴンネ
ットワーク沖縄 比嘉弘さん、(5)環境ネットワーク奄美 薗博明さんから、一
言ずつ活動内容や方針、考え方についてコメントをいただいた。後の会場との
ディスカッションでは、ジュゴン保護支援基金・神奈川 の沢田さんからの発
言も。真喜志さんは、プロジェクター持参で基地の現状をまとめたPowerPoin
tドキュメントを上映。

 会場との質疑応答でも、「ジュゴンの数が危機的なのはわかったが、具体的
な数字はわかるのか」「自然が豊富な八重山になぜいないのか」「訴訟といっ
てもお金はどうなるのか」「なぜ天然記念物なのに守れないのか」「共同アピ
ールができるのでは」など、報告しきれなかった部分をうまくフォローする質
問が出た。薗博明さんからは、提訴までの逡巡など、一般人が裁判に取り組ん
できた経験が語られ、一般人にとっては馴染みのない法的手続きについての、
実感が披露された。

 シンポジウム終了後30人近いジュゴン関係者が残り、さらに2時間近く具体
的な意見交換を行った。粕谷教授からは、「若い研究者が二三年腰を据えて調
査できると良いのだが。外国の研究者が数日来たり、本土の年寄りが(ご自身
のことか)ときどき通う程度では足りない」と、研究調査について提案あり。
団体(帰属)でいえば10やそこらの人が一堂に会したことになり、今後の各団
体の動きになんらかの反映があるかもしれない。

 報道記事(12月3日朝刊)はWeb版を含めて、以下を確認。
 沖縄タイムス:
  ジュゴン保護へ米国法 普天間代替(写真有)
   訴訟支援呼び掛け 環境法律家連盟がシンポ
  http://www.okinawatimes.co.jp/day/200012031300.html#no_1

 琉球新報:
  「ジュゴン保護区を」 自然の権利シンポジウム(写真有)
   代替基地建設反対 漁の制限求める
  辺野古沖ジュゴン 「種の保存 最優先」
   籠橋弁護士 米国での訴訟に自信
  http://www.ryukyushimpo.co.jp/news01/2000/2000_12/001203b.html

 しんぶん赤旗 ジュゴン保護は世界の問題 沖縄・那覇でシンポジウム
                                (写真有)
 共同通信 国の天然記念物ジュゴンを原告で提訴計画 米国相手に弁護士

 この他、沖縄タイムスには、前前日に予告記事、当日に花輪さんの投書、夕刊
に速報、琉球新報には12/5「人」欄に籠橋弁護士、があるとのこと。テレビ報
道はあいにくノーチェックながら、NHK、琉球放送、沖縄テレビ、日本テレビ、
西日本新聞の取材を確認。

謝辞:この日のシンポは、会場押さえやチラシの印刷配布などで、沖縄大学土
田先生にすっかりお世話になりました。それから、琉球大学と沖縄大学の学生
たち6人(沖縄大学から安田君、山本さん。琉大からは三浦さん、松本さん、宮
城兄妹)が会場運営のボランティアを一手に引き受けてくれました。小人数で
よく動いてくれました。3日(日曜日)に辺野古沖訪問にあたっては、比嘉弘さ
んが配船の労をとってくださいました。
会場に張り、報道写真に最もよく登場した「自然にも生き残る権利あり」の横
断幕は、諌早湾自然の権利訴訟 ムツゴロウ原告の原田敬一郎さんからお送り
いただいたもの。会場メインと会場入り口の看板の大判印刷は、東京の方にボ
ランティアで作っていただいて持ち込みました。
まだまだ書ききれませんが、たくさんの方にお世話になっています。
今後ともよろしくお願いします。

詳細な報告は、追ってホームページに掲載します。
 

(3)「自然の権利」基金が、ジュゴン専用郵便口座を開設
 今後、米国へ弁護士を派遣するなど、いろいろ費用がかかるとおもいます。
 ご協力をお願いします。

 [加入口座名]00860=3=63100
 [加入者名] 沖縄のジュゴン

 通信欄には、「ジュゴンの弁護士を応援します」とあり、
  □「自然の権利」基金の会員になります。 年会費 ¥3、000
  □募金します。
 となっています。いずれかにチェックマークを入れて、お送り下さい。
 

【2】各訴訟の現況  (新規情報の行頭には「新」と付いています)
   詳細は、http://member.nifty.ne.jp/sizennokenri/kijitu.html

 新・奄美自然の権利訴訟(鹿児島地裁) == 判決言渡日決まる ==
   2001年1月22日(月) 15時30分〜
   弁論が終結したのは1999年12月20日。

  ・生田緑地・里山・自然の権利訴訟(横浜地裁) == いよいよ結審か==
   2001年1月22日(月) 10時〜。結審の見込み。

  ・諌早湾自然の権利訴訟(長崎地裁)== 第二陣と同日開催 ==
   2001年1月23日(水) 14時30分〜

  ・諌早湾自然の権利訴訟・第二陣(長崎地裁) == 口頭弁論始まる ==
   2001年1月23日(水) 13時10分〜 
   
  ・オオヒシクイ自然の権利訴訟 控訴審(東京高裁) == 控訴審判決棄却==
   11月29日 控訴審判決。結果は棄却。

  ・川や湖の訴訟(長野地裁) == 本案審理へ ==
   12月21日(木)14時30分〜

  ・相模大堰建設差止訴訟(横浜地裁) == 判決言い渡しは来年 ==
   2001年2月28日(水) 13時〜  判決言い渡し

  ・高尾山天狗裁判(東京地裁 八王子支部) == 口頭弁論開始 ==
   2001年1月29日(月) 午後1時30分〜

  ・徳山ダム裁判(岐阜地裁) ==年内はあと1回==
   住民訴訟(岐阜県・徳山ダム工業用水道水源費支払い差止訴訟)
   12月06日(水)午後1時半 第9回口頭弁論
   行政訴訟(徳山ダム事業認定取消訴訟)
   2001年01月17日(水)午前・午後
   2001年02月21日(水)午前・午後

  ・ヤンバル訴訟(那覇地裁) == 9月29日 現地検証 ==
    原告・莇和義さんのサイトに現地検証報告。
    http://www.rik.ne.jp/kangyo/kensyou.htm
    11月15日 午後3時〜 現地検証のまとめ
    2001年1月24日(水)午後3時〜
    
  ・藤前自然の権利訴訟(名古屋地裁)--終了
   1999年03月08日、第一回口頭弁論の前日に、取下げ

  ・大雪山のナキウサギ裁判(札幌地裁)--終了
   士幌高原道路建設に関する訴訟
   実質勝利で、1999年4月15日の裁判をもって取下げ

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