Date: Mon,  4 Dec 2000 01:44:06 +0900
From: 加賀谷いそみ <QZF01055@nifty.ne.jp>
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Subject: [keystone 3350] 憲法調査会 参院11/27 衆院11/30
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 9月21日に召集された第150臨時国会は1日、閉会。
 周辺事態での日米協力の実効性を高め、紛争当事国への物資運搬ルートを遮断
し、紛争継続能力を崩す船舶検査活動法(いずれは実弾による威嚇射撃や捕獲を含
む第三国への臨検−武力行使による商船の検査−をも可能にするもの)、ナチほど
「計画的淘汰」ではないけれど、公的介護保健法に次ぐ、カネの切れ目が命の切れ
目の医療保険制度改革法、教育を受ける権利も奪う改定少年法、治安維持法の下ご
しらえともいうべき、中央省庁等改革のための国の行政組織関係法律の整備等に関
する法律要綱に基づき、内閣府に置かれる国家公安委員会の権限強化などした改定
警察法(自民党では「青少年社会環境対策基本法案」も用意)、食糧公害と自立農
業の破壊をより促進する改定農地法(「耕地者主義」の廃止を民主が提案、5年後
見直し。自民党では次期通常国会に「土地改良法改正案」を用意)など、政府提出
20件、議員提出12件の法律が成立。

三党合意の永住外国人地方選挙権付与法案は継続審議となり、公明の「与党内下請
け野党」の位置づけが明確化。1日開かれた与党3党の税制協議会で、自民党税調
の宮下創平小委員長が「みなさん野党(公明)の声も反映させる」と発言。森首相
も「善処すると思うので、収めてほしい」と謝ったが、協議会再開のめどは立たな
い状態とのこと。

 このようななかで、開かれた憲法調査会。改憲が常に軍事と一体となって論議さ
れてきたのがこの国の一貫した動き。
<参考>船舶検査活動法
水島朝穂さんの直言(2000年11月27日)
http://www02.so-net.ne.jp/~asaho/peace/jpn/index.html

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加藤周一さんの明瞭な平和論に、手も足も出なかった。
内田健三さん(21世紀臨調メンバー)は、加藤周一さんの弟子とのこと。「先生
は昭和の福沢諭吉だ」と、弱肉強食を是とす御仁と並べて敬意を表されて、師とし
てどんなご心境だったやら。

<参院憲法調査会 11月27日>
加藤周一氏(文学者・元上智大学教授) 日本国憲法は平和主義、国民主権、人権
尊重が明治憲法との一番大きな違いだ。外国憲法と比較しても平和主義は他国にな
い。平和主義を先取りしているだけでなく、日本にとって有効な政策を先取りして
いる。憲法を変えず、憲法に近付ける方が将来にとっていい。9条改正による軍備
増強には、アジア諸国は懐疑的だ。外向的にも北東アジアの安定にとってもマイナ
スだ。

内田健三氏(評論家・元東海大学教授) 憲法が「不磨の大典」というのは思いこ
みが強すぎる。改憲論議は憲法施行から53年たち、ごく当然のことだ。岸内閣で
始まった政府の憲法調査会、中曽根内閣での行政改革、教育改革の議論を参考にす
べきだ。ただ、不都合があれば何事も憲法に持っていくのはどうか。いまの政治に
国民は絶望的になっており、打開が必要だ。参院の独自性を回復し、衆院を戒める
役割を果たしてほしい。
(毎日11月28日)
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 みんなが軍隊を持っているからうちにもほしいと、だだをこねるお二人の、子守
をさせられた調査会のみなさんには誠にお疲れさま。
 前文を笑い飛ばす石原さんが、軍隊で脅さなくても、カネを出しさえすればどこ
の国でも日本にものを売ってくれると信じているとは、そのめでたさも半端ではな
い。「改憲癖」をつけるのだとのこと。
 日本を代表する道化師をしても、改憲の国民的議論を活性化する手段はにわかに
思いつかないらしい。
 櫻井よしこさんの発言は、この国のジャーナリズムの無責任度を知るバロメー
ターとして大変に参考になるもの。

<衆院憲法調査会 11月30日>
傍聴席二十席の調査会の部屋に、延べ約三百七十人が傍聴希望。一人20分の「入
れ替え制」で受け入れ。
同日の自由党の代議士会で、東祥三氏が「傍聴人は、参考人を見に来たわけではな
いのだから、最後まで意見を聞ける方法を議院運営委員会で考えてほしいと問題提
起。くじに当たった人は最期まで傍聴できる裁判所方式などを、自由党として議運
に提案することになった。(読売12月1日)

石原慎太郎・都知事(陳述40分) 必要なら憲法を手直しし、抜本的に変えるこ
とは国家、国民のために政治家がすべき大切な仕事だ。「平和憲法」という呼称に
変わってから憲法が聖域化し、議論が非常にこう着した。憲法が現れた歴史を冷静
に分析すべきだ。
 ポツダム宣言受諾時の降伏文書には日本軍の解体についてしか書かれていないの
に、マッカーサーは「日本は無条件降伏した」と語った。この詐術に始まるGHQ
による統治で、戦争中以上の言論統制が行われるなか、彼らが作った憲法を至上の
理念のように受け容れた。
 醜悪な悪文である前文に象徴されるように憲法に日本人の自立性はほとんど反映
されていない。民族の尊厳のためにも、歴史的正当性のない憲法を国会で否定する
決議をすべきだ。過半数の賛成でいい。それから、どこを残してどこを直すという
議論をしたらいい。
 九条を逆さに読んでも自衛隊は憲法違反だ。自衛の戦力を認める条項を追加すれ
ばいい。政治家が手続きにがんじがらめになって国民がいらいらしている状況を考
えれば、首相公選制の導入は妥当だ。

ジャーナリスト・櫻井よしこ氏 二十一世紀の日本に関する議論の根幹には憲法問
題が横たわるが、法律や条例で十分に対処できる課題もある。手段を多層的に探
り、その議論では二十世紀の政治よりはるかに透明で公正なプロセスを大事にしな
いといけない。
 憲法を変えるなら、情報公開の徹底を書き込んでほしい。その大切さは、かつて
軍国主義の台頭を許したことではもちろん、最近も薬害エイズ事件で示された。憲
法制定過程も同じだ。GHQが批判を封じ込め、国民はGHQが作ったことも知ら
ずに受け容れた。
 どのような憲法を作るにせよ、国民が一緒に議論することが必要だ。米の共和、
民主両党のブレーンによる最近の政策提言には、日本が集団自衛権の行使を認めな
いことが二十一世紀の日米関係の妨げになると記されている。再び外国のプレッ
シャーで憲法をいじることになってはあまりに悲しい。
 集団自衛権の行使に日本が後ろ向きなのは戦争への罪の意識からだろうが、米の
責任を考え直すべきだ。
(朝日12月1日)

石原さんは
憲法の前文は「醜悪」で、「私は文学者ですから、文章として許すわけにいかな
い。致命的な日本語の乱れがある」と批判。(「石原憲法」案も前文は未完成)
 「近現代史の中に日本が強大な軍事国家として登場しなかったら、いまも白人の
植民地支配が続いていたと思う」
「歴史の分析より未来志向を」に対し「過去を踏まえずに未来の正確な予測はたち
ませんよ。おかしいよ、あなた」、「憲法9条に学べ、という世界世論がある」に
対し、「どの国が日本に見習って戦力を放棄するのか。ないね」、とボルテージが
上がり「世界で淘汰されたのに、中国だけが帝国主義をやっている」「いまの中国
政府の姿勢には我慢ならん。軍事力拡大を背景に共産党独裁政権で領土拡張の危険
な選択をしている」と中国批判。 首相公選制に関しては「(導入論には)同感
だ。日本が時間的、空間的に狭くなっているときに、国民の(政治に対する)コ
ミットメントを高めると思う」
「そのうち政党がシャッフルされて落ち着いた形になる。その間は少し混乱したっ
ていい。国民は知ったこっちゃねえ、という感じじゃないか」

 石原知事は昨年9月、東京都府中市の重度心身障害者施設を視察した後の記者会
見で「ああいう人ってのは人格あるのかね」「西洋人なんか切り捨てちゃうんじゃ
ないか」などと語った。この発言の対象となった障害者の母の手紙を阿部知子氏
(社民)が「基本的人権の問題」として取り上げ、読み上げた。阿部氏は小児科医
でもあり、偶然、施設の障害者の一人の主治医だった。「今春、24歳で亡くなり
ました」と阿部氏は明かし、母の手紙を読み始めた。 「親にも背負いきれないハ
ンディを持ってがんばって生きた息子を誇りに思い、私たちは生きる意味を学びま
した。息子がいたから多くのことを学び、多くの人々と出会うことができたので
す」
 石原知事は、目をつぶって手紙の朗読を聞いた。阿部氏の持ち時間が切れ、石原
氏の感想は聞けなかった。 (朝日)

 永住外国人に対する選挙権付与問題については、両氏とも「選挙権は日本国籍者
に限る」との立場を鮮明にする一方、国籍取得手続きの簡略化の必要性も併せて主
張。
 石原さん「例えば新宿区長選でもいいが、あそこには独特の街があり、そういっ
た街が東京全体の治安をかく乱する可能性がある。外国人の意思が反映され、彼ら
の利益が他の国の意思や利益を逆転させることになりかねない。それなら国籍を取
りなさいと言っている」

次回は12月7日に上智大学教授の渡部昇一氏を招く予定。
(読売・毎日・朝日12月1日)

<黎明の会・憲法新規制定第一次草案>
 黎明の会は九二年暮れから九三年四月にかけ約半年にわたって改憲案を検討。
「憲法新規制定第一次草案」をまとめた。草案は石原氏が起草することに決まって
いた前文が未完成のままで全文は十一章八十四条。「黎明の会での議論を踏まえた
ものだが、いうなれば現行憲法にたいする“石原憲法”案といっていい」(元同会
関係者)

“石原憲法”の主な条文
 第一条 天皇は日本国の元首であり、日本国(の永続性)及び日本国民統合の象
徴である。
 (別案)天皇は、日本国の象徴であり、日本国民和合共同の象徴であって、日本
国を代表する
 第七条(人類全体の安全の確保)(1)日本国民は、人類全体の生存を確保する
ため、国家の枠を超え、次のことに積極的に取り組む。
 一 地球環境の保全
 二 核兵器、化学兵器、生物兵器等の大量破壊兵器の廃絶
 (2)前項の目的を達成するため、環境保全体制の確立、核兵器の製造・保持・
持込禁止制度の普及及び軍備縮小に努める。
 第八条(戦争の放棄、集団的安全保障体制の確立、指揮監督権)
 (1)(略)国際の平和と安全を確かなものとするため、国際社会全体による安
全保障体制の確立に努める。武力による威嚇又は武力の行使は、自衛及び国連指揮
下の平和維持活動への参加の場合を除き、永久にこれを放棄する。
 (2)前項の目的を達するため、自衛隊及び国際平和協力部隊を保持する。
 (3)内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊及び国際平和協力部隊の最高の指
揮監督権を有する。
 第九条(条約及び国際法規の遵守)
 (1)日本国民は、国際協調体制を確立するため、自ら締結した条約及び確立さ
れた国際法規は、これを誠実に遵守する。
 (2)前項の場合において、憲法との間に不一致が生じたときは、憲法を優位と
するも、これが一致に努めなければならない。
 第八二条(限時法、改正の手続き、その公布)
 (1)この憲法を始め、すべての法律は、施行後二十年を経過した日に、その効
力を失う。(以下略)
(赤旗11月30日)

<首相公選制>
 民間有識者による「新しい日本をつくる国民会議」(二十一世紀臨調、亀井正夫
会長)は三十日までに、全国会議員を対象にしたアンケート結果をまとめた。
 アンケートは、十、十一月、欠員二人を除く衆参両院の国会議員七百三十人を対
象に
調査票を郵送して実施した。有効回答者は三百五十三人(48・3%)。

国民投票で直接、首相を選出する首相公選制について
 「前向きに検討すべきだ」 54・1%、
「現時点でその必要はない」 30・0%

首相公選制について
 「関心がある」76・2%、 「関心がない」18・7%
 「前向きに検討すべきだ」と回答した議員(政党別)
民主(73・6%)、公明(65・5%)、保守(50・0%)、自民(42・
6%)、社民(33・3%)、自由(14・3%)、共産党(0%)

 首相公選制の在り方については
「議院内閣制を維持したまま首相を公選する」51・3%
「議院内閣制をやめて大統領制に変える」29・5%

 首相公選制導入の意義
自民党「国民から直接信託を受けることにより、迅速で強力なリーダーシップを発
揮できるようになる」
民主党「首相が出身政党や派閥ではなく、国民を向いて仕事をするようになる」
「一定期間の安定的な政権により、中長期的な政策遂行が出来る」「森首相のよう
な『首相の資質のない人』が首相になることは避けられる」

省庁再編
「評価しない」46.2%
「評価する」44,4%

副大臣・政務官制度について
「運用の体制づくりが進んでいない」62・9%
各省の政策調整を行う新設の副大臣会議について
「期待された役割を果たせない」45・3%、「果たせる」42・5%
(読売11月30日)

政治主導とは何か
「政治家個人が責任を持って政策を立案し実行すること」51.3%
「与党が責任をもって政策を立案し実行すること」26.3%
「首相あるいは内閣が責任をもって政策を立案し実行すること」13%

佐々木毅・東大教授(産経)
中央省庁再編の主眼である「政治主導」について国会議員が極めてあいまいな理解
しかしていないことが浮き彫りになったのは残念だ。政治主導を「政治家主導」や
「与党主導」に読み替えるのは、議院内閣制の本旨から言って政党政治の自殺行為
のようにさえみえる。今回の結果は、多大な努力が政党政治家に求められること明
らかにしたと言わざるを得ない
(読売・産経12月1日)

<憲法調査会の全議事録が本に>
 国会憲法調査会のすべての議事録を収録し、憲法学者の解説を付けた単行本「憲
法を考える」シリーズの出版がこのほど始まった。主に研究者を対象に現代史の史
料の復刻版を出してきた「現代史料出版」(東京都豊島区)が「憲法や政治に無関
心な人に今の論戦を少しでも身近に感じて欲しい」と初めて一般読者向けに出版す
る。調査のめどとされる5年間の全記録を載せていく予定。
 第1号は、今年1月の第1回から5月までの10回分の衆院憲法調査会の議論を
掲載し、732ページで3000円。
発行人の赤川博昭さん(53)「研究者向けの資料本にとも考えたが、憲法は国民
の将来に大きくかかわる。一般の人に手にしてもらって自分の頭で憲法の議論を理
解して欲しかった」
 出版にあたって、1つの視点を提供するために、巻頭に憲法学者の解説を付け
る。
 第1号と参院憲法調査会を収めた第2号の巻頭では、奥平康弘・東大名誉教授が
戦後の改憲論議を振り返り、国会に憲法調査会ができるまでの道のりを説明したう
えで「国会の論戦に何を見るべきか」に言及。衆院憲法調査会で議論された憲法の
制定過程をめぐる議論について「従来の論争がなぞられているに過ぎない」「過去
の議論と比べて何が新しく解明されたか、私たち市民は吟味する必要がある」な
ど。
 奥平さん「読みやすい形で広く提供する意味は大きい。憲法を考えることへのい
ざないになればうれしい」
 赤川さんは今後も様々な立場の学者に登場してもらい、「途中退席や私語、居眠
りが多い」と、傍聴した学生からの指摘もある調査会の「素顔」も資料として紹介
していく予定。
(朝日12月2日)
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 小沢さん頼みの選挙となりそうな民主党としては、小沢好みの「解釈改憲」に色
を加えて独自性を発揮する程度が関の山といったところ。
 石原さん、櫻井さん、鳩山さん、菅さん、そしてその他すべての国会議員たち
は、武器を持たせる側です。武器を持たされる側にしてみれば、武器を持つという
のは「自衛」であれ何であれ、殺すか、殺されるかという立場に立たされることで
す。武器を持たせる側の人たちは、武器を持って命をすててもわれらを守ってくれ
とムシのいいことも言えるのです。そして「自衛」から始まらなかった「侵略戦
争」はかつてなかったのです。

 <PKO>
 民主党の鳩山由紀夫代表は29日、党内有志議員による「憲法と集団的自衛権に
ついて考える会」で講演し、「強制色の強い平和執行型のPKO(国連平和維持活
動)にも参加する道を開くべきではないか」と述べ、停戦合意がなくても武力行使
で紛争を鎮圧するPKOへの自衛隊参加を認めるべきとの考えを示した。武力行使
を伴うPKOへの参加は現行憲法上困難と解釈されているが、鳩山氏は「憲法の枠
内でできないなら改正の議論を行ってほしい」と述べ、改憲論議に結びつける意欲
を示した。
 PKOに参加した自衛隊の武器使用基準について「(武器を)撃って(紛争を)
止めることは絶対にすべきではないという議論もあるが、私はそう考えない」とし
て基準緩和も提起。
(毎日11月29日)

 民主党の菅直人幹事長は2日、和歌山県白浜町で講演し、国連平和維持活動(P
KO)への参加について、「自衛隊が戦闘目的でなく、治安目的なら(PKO協力
法に盛り込まれた)参加5原則とは違う原則の中で出て行ってもいいのではない
か」と述べ、「武器使用をある程度認めることがあってもよい」との考えを示し
た。
菅氏の発言は憲法改正には触れなかったが、鳩山氏の考えに理解を求めたもの。
(朝日12月2日)

自民も躊躇する「三矢研究」ばりの「クーデター」法案
「三矢作戦研究」http://www2.odn.ne.jp/btree/syuhen/mitsuya/index.htm

<民主有事法制案>
 民主党の緊急事態法制検討プロジェクトチーム(伊藤英成座長)は30日、日本
が攻撃を受けた場合などに首相が「非常事態」を宣言して国民や自治体の権利を制
限することを盛り込んだ「国家緊急事態基本法」(仮称)の制定を提唱する中間報
告をまとめ、ネクストキャビネット(次の内閣)に報告。政党が具体的な枠組みを
示したのは初めて。
 中間報告は、緊急事態を「日本有事に至るまでの事態」「日本有事」「大規模な
自然災害発生時」の3つに分類。それぞれ、首相が非常事態を宣言する際の理由や
適用地域・期間、制限を受ける国民や自治体の権利、強化される政府の権限などを
盛った「基本計画」の策定を明記し、原則として国会の事前承認を受けるとしてい
る。
 基本法については「憲法の枠内で考えられるべきもの」としたうえで、「社会の
秩序と公共の福祉を守るための権利の制限は認められるし、緊急事態の程度と制限
される権利とは相対的な関係になる」と説明。強化される政府の権限としては、土
地の一時使用や物資の収用・統制、港湾・空港の優先使用、国民の避難・誘導を例
示。
 この日のネクストキャビネットの会議などでは「いかなる緊急事態でも制限でき
ない権利があるはずだ」といった異論が相次いだ。同チームは年内のとりまとめを
めざす。
岡田克也政調会長(記者会見)「もう一度、中間報告を上げてもらうことになる。
かなり中身が変わると思う」
(朝日11月30日)

<国防省>
 自民、公明、保守の与党三党は二十八日、防衛庁の「省」昇格問題について協議
するため、今国会終了後に「防衛省昇格に関する懇談会」(仮称)を設置すること
で合意。
 同懇談会は、来年一月、中央省庁再編による「一府十二省庁」体制がスタートす
る中で、内閣府外局となっている防衛庁の位置づけなどについて、幅広い観点から
検討する。
 同問題をめぐっては、保守党が議員立法として今国会に「防衛省設置法案」を提
出する方針を示していたが、与党の国会対策委員長が協議した結果、「与党三党の
合意がないまま、法案を提出するのは望ましくない」として、保守党が法案提出を
見送るかわりに、与党内に懇談会を設置することで折り合った。
(読売11月29日)

「防衛省設置推進議員連盟」の設立総会が30日、同党本部で開かれ、約50人が
出席。会長に伊藤宗一郎前議長が就任。与党3党が今国会終了後に設置する「防衛
省昇格に関する懇談会」(仮称)の議員立法作りなどを支援する。
(毎日11月30日)
 
<自由党が改憲指針>
 自由党は2日、憲法改正の指針「新しい憲法を創(つく)る基本方針」をまとめ
た。「自由で創造性あふれる自立国家日本」を目指し、基本的人権の見直しや、自
衛隊も参加した国連常備軍による集団安全保障体制の整備、基礎的社会保障を国の
責任で整備することなどを盛り込むよう求めている。現行憲法を評価しつつ、改憲
を訴えているのが特徴。国会に憲法調査会が設置されたのを受け、政党が具体的な
改憲の枠組みをまとめたのは初めて。年明けにも同調査会に資料として提出する方
針。
 党憲法調査会(会長・藤井裕久幹事長)がまとめたもので、13日に常任幹事会
で承認する見通し。
 基本方針は「天皇制」「安全保障」など計12項目からなる。基本的人権につい
ては「国民が享有すべき条理であると同時に、国家社会を維持発展させるための公
共財」と規定。住民・個人エゴに歯止めをかけるため、国や地方自治体と個人の関
係を見直すことを主張している。
 九条については「理念を継承する」とし、自衛隊の権限と機能、首相の指揮権を
憲法に明記。「日本が侵略を受け、国民の生命・財産が脅かされた場合のみ武力に
より阻止する」「それ以外には自衛権の名の下に武力による威嚇、行使は一切行わ
ないと宣言する」とした。
 一方で、国連憲章に定める国連常備軍にあたる国連警察機構の創設を提唱。「国
連を中心としたあらゆる活動に参加する」として、将来的には、国連常備軍への自
衛隊の参加や合流を目指す立場を明らかにした。
 また、基礎的年金や介護、高齢者医療などを国の責任で整備することを憲法に明
記するよう提唱。このほか、参院への間接選挙制などの導入による両院制の抜本的
改革、憲法裁判所の設置、市町村を300程度にする段階的な削減と地方自治の推
進、憲法改正手続き条件の緩和なども盛り込んだ。
(朝日12月3日)

教育を受ける権利が、いつの間にか義務化にされつつあるような・・・
<中教審の中間報告原案>
 文相の諮問機関、中央教育審議会(会長・根本二郎日本郵船会長)が来月まとめ
る「教養教育」に関する審議の中間報告の原案が26日、明らかになった。「教
養」を一人ひとりが主体的に生きる資質や能力と位置づけ、年齢に関係なく学校、
家庭、地域が一体になって自然、社会、奉仕体験などを通じて教養を身につけるべ
きだと指摘。小学校段階から、人為的にでも他者とかかわる機会をつくり、読書な
どで異質なものを知る教養教育が必要だと提言。
 少年事件が多発する背景に社会性の低下があるとされたことを受けて諮問されて
いた。文部省は、中間報告を将来の教育施策の中で何らかの形で反映させたいとし
ている。
 原案は、物質的な豊かさが達成されて社会が共通の目標を失い、一方で家族や地
域、会社など「集団に依拠するような生き方は不可能」な時代になったとして、こ
れが社会全体の閉そく感や不安を招いており、一人ひとりの多様な生き方が尊重さ
れる精神的に豊かな社会の実現が求められると述べている。
 そのうえで、教養を▽「知、徳、体」「知、情、意」の総体▽日本の伝統、文化
への理解や異文化など異質なものへの理解、情報を取捨選択する能力▽社会とのか
かわりの中で自己を位置づける力▽主体性ある人間として向上心や志をもって生き
る力▽他者の立場で考えることのできる想像力などと整理した。
 教養教育の具体化として、小、中学校では「読み・書き・計算は教養の基本とな
る『型』」だとして徹底した指導を求め、中でも国語は「すべての教養の基本」と
している。主体的な態度を育てるために、少人数教育や調べ学習などを提唱し、特
に読書は、最も身近な「異文化体験」と強調。
 また、かつては日常生活で自然と身についた社会性や規範意識、異質なものを認
める視野の広さが育ちにくくなったとして、従来の道徳教育だけでなく、様々な体
験や人とふれあう機会を学校などで作ることが必要だとした。他者との関係の中で
自分を見つめることは高校や大学でも重要で、サークル活動、ボランティア活動、
職業体験など積極的に行うことを提言。
(朝日11月27日)

国家主義的見直しでないとわざわざ前置き。
最近、「LYU工房」から、1941年発行・教学局編の「臣民の道」の復刻版
がでました。これを一次資料として、国会や中教審・国民会議の動きと見比べる
と、前置きの「意義」も理解できます。不況、「不審船」事変、戦時と平時のボー
ダレス化、周辺事態法(国家総動員法)、奉仕活動の流れがどこへ向かうかみえて
きます。

<教育基本法見直し> 国民会議の原案
 首相の私的諮問機関の「教育改革国民会議」(座長・江崎玲於奈芝浦工大学長)
は12月22日に最終報告をまとめるが、焦点の教育基本法に関する部分の原案が
30日、明らかになった。1947年の基本法制定当時とは社会状況が変化してい
るとした上で、(1)基本法には伝統・文化の尊重や家庭、郷土、国家の視点が欠
落している(2)家庭教育の重要性や宗教教育のあり方が論議されなくてはいけな
い――など、基本法を見直すうえでのポイントを指摘。森喜朗首相が一部評価する
「教育勅語」の考え方を盛り込むような国家至上主義的な改正をけん制。
 原案は30日の同国民会議全体会議に図られた。終了後江崎座長は「(国家主義
的見直しに)歯止めをかけなくてはいけないというコンセンサスがあったと思う」
しかし、21世紀の教育理念や教育振興基本計画の推進にとって見直しが必要との
積極的な表現に変えた方がいいとの意見も出されたため、最終報告に向けてさらに
文言をつめる。
 基本法の見直し問題は、9月の中間報告では「幅広い視点からの国民的議論が必
要」とされていた。しかし、今回の原案では、生涯学習社会の到来や環境問題、国
際化の中での共生の必要性などが基本法制定当時の社会状況にはなかったとし、
「伝統・文化の尊重、家庭、郷土、国家などの視点や特定の宗教に落ち込まない形
での宗教教育のあり方」なども見直し論議の際に欠くことができないと指摘した。
(毎日 12月1日)

<奉仕活動体験−東京都>
  東京都は3日までに、政府が教育改革の一環で導入を検討中の「奉仕活動」に
ついて、都が先駆けて公立小中高校のカリキュラムに位置付け、児童・生徒全員に
介護、保育、地域美化などの奉仕活動を体験させる方針を固めた。近く策定する長
期計画「東京構想2000」に盛り込む。教育改革に取り組む石原慎太郎知事の意
向を強く反映した。2001年度から段階的に実施したい考え。 
 (時事通信2000/12/03)

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   ワシントン(ロイター)インディアナ州インディアナポリス市警が、麻薬の横
行を防ぐことを目的に検問を敷き、道路を封鎖したことをめぐり、米連邦最高裁判
所は28日、同市の行為が人権の侵害にあたるとし、6対3で違憲の判決を下し
た。
   検問所でインディアナポリス市警が行ったとされる捜査は、自動車免許と自動
車の登録の確認、ドライバーや車内にいる人間が麻薬を使用した形跡がないかどう
かチェックし、自動車の周りを犬に嗅がせ、車内に麻薬が隠されていないかどうか
を調べるものだったという。
   憲法改正案第4条の下、市民は理不尽な捜査や押収などから保護される権利を
有すると規定されている。
(2000.11.29)
 
   ソウル(AP) 韓国の与野党は27日、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)
を事実上の敵国と定めた国家保安法を撤廃する議案を国会に共同提出した。
   提出したのは、与党の新千年民主党と主要野党のハンナラ党。「南北朝鮮の緊
張関係が和らいだ現在、敵国条項を含む国家保安法は必要がなくなった」
   国家保安法をめぐっては、国内外から政治的反対意見を抑えるために利用され
ているとの批判が出ていた。北朝鮮も、南北交流の妨げになっているとして、改正
を求めていた。
   同法は以前にも改正案が出されたが、北朝鮮が体制を変えるまでは残すべきだ
とする保守系議員らの強力な反対にあった。
   同法では、マルクス関連の書物の所持だけで長期間投獄される恐れがある。
議員らは、警察の調べをもとに、1995年以降で約3000人が同法違反で逮捕
されたとしている。
(2000.11.27)

 すべての通話、通信記録を入手・保管=英情報・治安機関が秘密計画
 【ロンドン3日時事】3日付の英紙オブザーバーは、MI5(情報局保安部)、
MI6(情報局秘密情報部)など英国の情報機関や治安機関が内務省に対し、国内
での電話、電子メール、インターネットを通じたすべての通話・通信記録を入手
し、それを7年間にわたり政府のデータ保存施設に保管することを可能とする法律
を策定するよう進言していたと報じた。



 
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