Date: Tue, 31 Oct 2000 11:35:12 +0900
From: 加賀谷いそみ<QZF01055@nifty.ne.jp>
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Subject: [keystone 3238] 衆院憲法調査会10月26日
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X-Sequence: keystone 3238
Reply-To: keystone@jca.ax.apc.org
 

 暴力団の方々にとっては、もろに「生命と財産」に関わる問題なので、とっく
に盗聴法対策マニュアルを作っているようですが、今回は強行採決を主導した党
自ら、盗み聞きの怖さを体現してくれました。せっかく「好意的に」リークした
情報も、その内容の重大さにはいまだ思い及ばず。「ピンチをピンチと感じない
のが彼の最大の強さかもしれない(不破委員長)」森政権、臆面もなく「国民経
済や生活に極めて重要な法案がたくさんある。これらの審議を促進していかなけ
ればならない」とのこと。巨大利権省庁再編までは何とか持たせたいところ。支
持率が2桁なら大丈夫らしい。

 政府は船舶検査活動法案も閣議決定しましたが、民主党の小川敏夫参院議員が
提出した中川疑惑に関する質問主意書に対し、「何らかかわりがない」などとし
た政府答弁書も閣議決定された政府の公式文書です。それがウソだとわかって
も、森政権の首がつながるんだとすれば、いままで閣議決定されきた法案がいか
に無責任なものか推して知るべしで、こんな政府に「ハモノ」を持たせるんです
から、あぶないことこの上ない。

 憲法調査会では、早くも前文・9条改憲にマトが絞られてきたようで、改憲試
案づくりも怠りなく進んでいる様子。
 「21世紀の日本のあるべき姿」は「我々は、経済大国日本の国益擁護、ガイ
ドライン関連法による役割分担・日米同盟の強化を、21世紀初頭への国家戦略
として選択した。そのためには、憲法見直し、国家非常事態体制の確立、防衛庁
の国防省への昇格が重要課題」(久保文夫・元防衛庁事務次官/朝雲99/06/03)
と憲法調査会で「論憲」が始まる前から決まっていたこと。ただこの国は軍事政
権ではありませんから、主語は「国民」でなければならず、「我々」ではことが
進められませんので、その担保として国会に憲法調査会をつくり、体裁を整えた
わけです。全党をその俎上にのせた段階でもくろみの半分は達成されたと、さぞ
かし喜んでいたことでしょう。

 防衛白書でも「現憲法下では、徴兵制や戒厳令、言論統制などの措置は検討し
ない」としていますので、改憲したあかつきには「有事立法」を作ると明記して
いることになります。
 有事立法もこれからつくるのではなく、政府自民党の金庫にあまた眠っている
だけで、いつでも取り出せるようになっています。例えば「防衛秘密を外国に通
報する行為等に関する法律案」では「出版または報道の業務に従事する者が、
もっぱら公益を図る目的で、防衛機密を公表する場合は罰しない」(第13条)
が、公益にならない「機密」を公表すると、無期懲役。これらを調べるために連
絡を取り合うと、現盗聴法で、陰謀・教唆・煽動などの罪で10年以下の刑とい
うぐあい。

 ただその意気込みとは裏腹に、あまりにも「論憲」がつたないために「国民的
合意」とはなかなか言い難い現状にはあります。村上正邦さんなどは、「委員の
側にも説得力のある語彙が不足している。テレビも報道の域を出ていない」とか
なり「国民不参加」に危機感を感じているようです。最近のメディアは「的確」
に問題提起しないと不満を漏らしているようですが、「論憲」を聞かされる方が
恥ずかしくなるような内容では何ともしがたいといったところ。

 憲法では諸権利の保障とともに、それらを保持するための不断の努力を義務づ
けています。これほど重い義務規程をわかりやすく示しているにも関わらず、
あーだこーだ言い訳ばかりして努力を怠っているから説得力がないのです。

憲法第12条
 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これ
を保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであっ
て、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

 しかし、改憲勢力の手法は巧みですから、こんなことでとん挫するものではあ
りません。現に、改憲勢力の主流は「派兵」系といえると思いますが、「愛国」
系を掛け合わせることによって、「良心的」改憲派の取り込み、あるいは牽制に
大きな成果を上げています。

 チップ攻撃で臨んだ頼みのミレミアム・サミットでの国連常任理事国入りもお
流れとなり、調査捕鯨問題まで持ち出される始末。最初の「派兵」が強引すぎて
印象悪かったのも尾を引いているのかも。これからはサミットでのPKO強化に
合わせて、国内のPKO法5原則の見直し(凍結解除)に着手。公明党は武器使
用を認め、民主党も見直しの方向。そうなれば自動的に集団的自衛権(自分の国
と密接な関係にあるほかの国が攻撃された場合、自分の国が攻撃されていなくて
も反撃できる権利)行使ということに。

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衆院憲法調査会第3回
10月26日 (木) 午後
参考人 国際東アジア研究センター所長 市村真一 (自由推薦)

憲法九条第一項は「空理空論」、「特に前文と九条は改正すべき」。改正は、日
本の国連安保理事会の常任理事国入りと同時に改正することが望ましい。天皇に
ついて「一国の君主として外国のキングと同じことができなければうそだ」「い
まの皇室と国民、諸外国との関係で具合が悪く、憲法に制約するものがあるから
だ、というなら改めないといけない」(読売・産経・秋田魁)

現在の憲法は国際不信義を含んでおり、国連での責任を果たせない。21世紀に
起こり得る事態に対処できるよう政治、経済、社会の体制を整備し、経済、科学
技術、国際政治、軍事において応分の貢献をするとともに、国民に貢献への責
務、義務を植え付けなければならない。それには憲法改正が不可欠だ。また、2
1世紀に繁栄するのは国民道徳が高い国だ。日本は教育改革を急がねばならな
い。(毎日)

 世界は北米、西欧、東アジアの3極構造に向かっている。日本は地政学的に東
アジアの国々を束ね、米国と同盟しつつ、中国、ロシアと友好的に対峙すること
が過大だ。中国とのバランスを配慮し、東アジア全体の発展を図る役割が求めら
れる。
 21世紀は地域紛争から核戦争につながる脅威が否定できない。わが国は非核
三原則を厳格に守るだけでなく、万一に備える選択肢を持つべきだ。今のように
米国の力と信望が持続することを大前提にするのは非常に楽観的で、日本は経済
面だけでなく国際政治、軍事面で応分の貢献を期待されるだろう。
 日本人が誇りと自信を取り戻し、物心両面で世界貢献するためには、まず日本
の歴史と伝統にふさわしい国家の基本構造を明示することだ。そのうえで、アジ
アでの軍事衝突などの自体に対応するなど、三極構造の中で国際的な責任を果た
し、安全保障に関する相互義務を果たせるよう憲法を改正しなければならない。
(朝日)
 

鳩山邦夫さん(自民) (憲法前文は「平和のために日本は何もしないといって
いる。」全面的な書き換えが必要)現行憲法の一番の問題点は

市村さん 個々の条文より前文だ。前文には敗戦後遺症が最も顕著に表れてい
る。このような憲法の下では日本人は誇りと自信を取り戻せない。

山花郁夫さん(民主) (九条に基づく非核三原則、戦力不保持の政策が「経済
発展や本土が直接戦争に巻き込まれなかったというプラス面もある」)20世紀
をどう総括するか
市村さん 日本の立場からの回顧と国際的立場からの回顧では見方が違ってく
る。日本の立場から見ると、前半は政治の時代、後半は経済の時代だったと考え
ている。
(毎日・秋田魁)

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H12.10.12(木)(第2回)概要
http://www1.sphere.ne.jp/NAKAYAMA/chousa/gijiroku/shu/giji00-10-12.html#G
OZEN
10月12日 議事録
http://www.shugiin.go.jp/kaigirok/select0333/main.html
参考人 曽野 綾子・日本財団会長(作家)
   近藤 大博・日本大学大学院総合社会情報研究科教授

第4回調査会予定
11月9日(木)
午前 東大法学政治学研究科教授 佐々木毅 (民主推薦)
午後 南山大学法学部教授 小林 武 (共産推薦)

第5回調査会予定
11月30日 (木)
午前 石原慎太郎(東京都知事)
午後 ジャーナリスト 櫻井よしこ(保守推薦)

クリックすると、森喜朗さんの失言・暴言などが飛び出すという、WEB現代「日本
初の大不謹慎ゲーム・Ocho-Click」というのもあるとのことですが

(毎日)森首相の発言集 (1)/1.html〜(21)/21.html
http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/details/mori/hatugen/1.html

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▽西田司国家公安委員長(自治相)は27日午前の閣議後会見で、中川秀直前官
房長官が交際していた女性に対し、覚せい剤取り締まり捜査に関する警察の情報
を漏らしたとされる問題について「刑事事件として取り上げるべきことがあると
するならば、適切に対処したい」と述べ、警察庁が刑事事件として捜査する可能
性を示唆した。また、国会議員による捜査情報の漏えいについても「一般論とし
てはよくない」との認識を示した。
[毎日新聞10月27日]

▽国防省
自民党・江藤・亀井派は26日の総会で、国防意識を高めることなどを目的に、
防衛庁の省への昇格を目指す方針を決めた。自民・保守両党参院議員でつくる
「防衛省設置推進議員連盟」(倉田寛之会長)と連携しながら、来年の通常国会
に「防衛省設置法案」(仮称)を提出できるよう、与党内への働きかけを進め
る。(読売27日)

▽掃海艇の海外派遣
 海上自衛隊掃海艇の海外派遣中止を防衛庁長官に直訴しようとして逮捕され、
懲戒免職処分を受けた元3等陸曹(44)と元陸士長(33)が、上官を相手取
り処分取り消しを求めた訴訟で、東京地裁(福岡右武裁判長)は26日、請求を
棄却する判決を言い渡した。
 福岡裁判長は長官への直訴行為について「政治的中立を保ちつつ一体となって
国民に奉仕すべき自衛隊に深刻な政治的対立を熟成し、安定的な運営を阻害する
もので懲戒事由となる」と述べた。 
[時事通信社 2000年10月26日 ]

▽船舶検査活動法案
 政府は27日午前、日米防衛指針(ガイドライン)関連法で削除された船舶検
査活動法案を閣議決定。日本の周辺事態の際、経済制裁の実効性を高めるため、
自衛隊が商船の積荷や目的地を検査し、必要に応じ針路変更させるのが目的。法
案は実施要件に国連安保理決議のほか、「旗国(船舶の所属する国)の同意」を
盛り込み、幅を持たせた。政府は同日中に国会に提出し、今国会での成立を目指
す。
 船舶検査活動は(1)船舶の航行状況の監視(2)船舶名などの照会(3)船
長などの承諾を得た乗船検査(4)針路変更の要請、など。併せて、同活動を行
う米軍に対し、給水、給油などの後方地域支援も行う。実施要件を国連安保理決
議に限定すると、常任理事国の拒否権発動で決議不採択となった場合、船舶検査
ができなくなるため、実施要件を緩和した。
 武器使用については、対象船舶に乗船し検査を行う際、「自己または自己とと
もに当該職務に従事する者の生命、身体の防護のため、やむを得ない必要がある
と認める相当の理由がある場合」とし、警告射撃は認めていない。対イラク制裁
など他国による船舶検査活動で、針路変更を求めたケースは2千隻を超えている
が、防衛庁は「船体に実弾を発砲した例はない」としている。
(毎日新聞2000年10月27日)

▽海上自衛隊観艦式
 森首相は二十九日、相模湾で行われた海上自衛隊の観艦式で観閲官として訓示
し、「より安定した安全保障環境の構築に貢献し、『世界から信頼される国家』
の実現に大きな役割を果たすことを期待している」と述べ、日本が国際貢献を果
たすうえで、自衛隊による国連平和維持活動(PKO)の必要性を強調した。九
七年以来、三年ぶりに開かれた観艦式には自衛隊員約一万人、艦艇六十三隻、航
空機三十八機が参加した。
(読売10月29日)

▽自衛隊法
 虎島防衛庁長官が27日の自民党国防部会に自衛隊法改正について報告。
 自衛隊員が防衛庁の機密を漏らした場合の罰則について、現在の「懲役一年以
下、または罰金三万円以下」では「量刑が軽すぎ、罰則を強化する必要がある」
として、関係省庁との間で自衛隊法改正の検討を行う。自衛隊内で治安情報の収
集を行っている「調査隊」の名称を「情報保全隊」と改め、上部組織として新た
に「情報保全警務隊」を設置する、自衛隊員が各国の駐在武官と接触する際には
上官の許可を必要とし、その面談の結果を報告するなどの基準を策定する−な
ど。
 政府部内には、一般の公務員や外務公務員が機密を漏らした場合の罰則が、今
の自衛隊法の罰則と同じ規定であることを理由に、自衛隊員のみを対象に重い刑
罰を設けることは、憲法の「法の下の平等」に抵触するおそれがあるとして、慎
重な意見があるため、防衛庁は、来年の通常国会での法案の提出を目指して、法
務省や内閣法制局などと検討を進めることにしている。
[NHK2000-10-27、28]

▽自由党
 小沢一郎党首は28日(日本時間29日未明)、オタワで開かれた各国の自由
主義を唱える政党でつくる国際自由主義連盟(リベラルインターナショナル)の
総会に出席。「グローバリゼーションとPKO」を演説。「国連決議に従い、平
和維持活動に参加するとき、それが武力行使を伴う場合でも、何ら憲法に抵触し
ない」「日本は国家権力として武力を行使しているのではなく、国連憲章に基づ
き加盟国として義務を果たしているだけだ」「(中東情勢を)傍観するだけでは
済まされない。一国のエゴに閉じこもっている場合ではない」「今日、一国の狭
い意味での国家主権は経済的にも政治的にもナンセンスに近い」(産経29日)

  自由党は二十九日までに、党独自の憲法改正試案作りに着手した。試案策定に
向け、まず年内に「国のあり方」「天皇制」「安全保障」「教育」「憲法改正手
続き」など十二項目からなる「新しい憲法をつくる基本方針」をまとめる方針。
政党として改正試案作りを明確にしたのは初めて。
 基本方針は、党の「日本一新推進本部」の国家基本問題委員会(田村秀昭委員
長)が担当する。
 同党の小沢党首は昨年、月刊誌に「日本国憲法改正試案」を発表し、憲法九条
に「第三国の武力攻撃に対する日本国の自衛権の行使とそのための戦力の保持を
妨げるものではない」との条項を追加することなどを提唱した。今回の基本方針
づくりは、この試案などをもとに議論を進めるという。
 自由党は九八年の結党以来、一貫して憲法改正を主張している。先の衆院選で
も、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義という現行憲法の三原則を堅持しつ
つ、日本の歴史と伝統などを尊重した「二十一世紀を担う新しい憲法をつくる」
ことを公約に掲げた。
(読売10月30日)

 カナダを訪れている小沢党首は、日本時間30日、同行記者団と懇談
 来年夏の参議院選挙への取り組み「今の政権では国民が将来大きなツケを払う
ことになり、政治を変えなければならないということを訴えたい。自由党として
は選挙区と比例代表で合わせて二十議席の獲得を目標とし、与党を過半数割れに
追い込みたい。その場合、自民党内からは、民主党との連立を模索する人も出る
など、いろいろな動きがあるだろう」
 与党が過半数割れした場合の自民党との関係「今のままの自民党と単純にくっ
つくことはせず、ただ連立するだけということはない。しかし、自民党が心を入
れ替えてすべてを改め、過去を忘れて出直そうというのなら別で、新党を作ると
いうなら協力する」
[NHK2000-10-30]

 ▽民主党:集団的自衛権
民主党の鳩山由紀夫代表が「今の国際環境の中で『集団的自衛権を一切認めな
い』という発想だと、国際的な貢献が十分に行えない」とテレビで述べ、横路氏
側近の鉢呂吉雄氏らは「支持者から応援できないといわれた」(中堅)などとして
今月二十日、鳩山氏に発言撤回を申し入。これに対し、鳩山氏は撤回を拒否。
≪集団的自衛権に関する鳩山氏の発言要旨≫
 「個別的自衛権も集団的自衛権も本来あると思う。憲法の中でそれもしっかり
とうたう方が本当はいい。今の国際的な環境の中で集団的自衛権を一切、認めな
いという発想では、国際的な貢献も十分に行えないということにもなりかねな
い。日本の意思で決めるべきだと思うが、『できるとき』と『できないとき』(の
条件)を国会などの議論の中で結論を出すべきだ。当然、極めて抑制的でなければ
ならないことは言うまでもない」
 (10月15日のテレビ朝日「サンデープロジェクト」)
(産経2000.10.29)

 民主党の横路孝弘副代表は24日の党代表副代表会議で、鳩山由紀夫代表に対
し、鳩山氏がテレビ番組で集団的自衛権を行使できるケースを憲法に明記すべき
であると述べたことについて「党の決定と違っている。代表として発言は慎んで
ほしい」と批判。鳩山氏は「違っていない」
 石井一副代表が、先日、党所属国会議員6人が鳩山氏に発言の撤回を申し入れ
たことについて「何であんなことをさせるんだ。外に向けて党がバラバラだと分
からせるようなもんじゃないか」と横路氏を批判。から意見の応酬となった。
最後は石井氏が「2人で話してくれ」とおさめた。
(朝日00/10/25)

 民主党の菅直人幹事長は29日のテレビ朝日の番組で、鳩山由紀夫代表が憲法へ
の集団的自衛権明記を求めていることについて「集団的自衛権という言葉があい
まいに使われている。そういうアプローチの仕方をしたくない。個別的自衛権で
どこまでやるか、集団的安全保障にどこまでコミットするかということをおさえ
ていけば(いい)」と述べ、集団的自衛権明記には慎重な姿勢を示した。
 同党内には鳩山発言に対し、旧社会党系議員らから撤回を求める動きが出てい
る。菅氏は「議論を大いにやってもいいが、憲法9条の平和重視の概念は大事にす
べきだ」とも述べた。〔共同00/10/29〕

保守系の若手議員が中心になって、鳩山氏支持の声明を発表し、党憲法調査会で
の徹底討議を呼びかける案なども検討。
(産経2000.10.29)

 民主党の憲法調査会(鹿野道彦会長)は二十七日、衆院議員会館で役員会を開
き、「総論」「統治制度」「人権」「分権」「国際・安保」の五つの作業部会を
設けることを決めた。このうち総論部会は「二十一世紀の日本のかたち」として
環境、情報社会、民間非営利団体(NPO)、教育などを題材に、来年夏の参院
選までに報告をまとめることとした。
 「統治制度」は首相公選制や二院制、「人権」はプライバシー保護や環境権、
「分権」は国と地方の関係や市町村合併、「国際・安保」は日米安保、国際協力
のあり方などをテーマとする。四部会は二○○一年中に中間報告をまとめる予
定。全体の報告は二年後。
 同調査会は来週中に総会を開き、委員構成などを決める。道内からは峰崎直樹
参院議員が「総論」部会に、横路孝弘衆院議員が「国際・安保」の幹事に就く。
「国際・安全保障」の部会では、必要な場合には、いわゆる集団的自衛権を行使
できるよう憲法に明記するかどうかを含めて議論が行われる。
(北海道新聞・NHK00/10/30)

共産党・志位書記局長「日米防衛協力の指針・いわゆるガイドライン法ができた
が、現在は集団的自衛権を行使しないというしばりがかかっていて、後方での支
援業務だけで、前線での戦闘はできないことになっている。しかし、集団的自衛
権を認めると、こうした制約が外れ、周辺有事の際には前線での戦闘までも認め
ることになってしまう。全体の状況をみながら発言すべきで、(鳩山由紀夫代表
と)いずれ大いに議論したい」(30日記者会見)[NHK2000-10-30]

▽国際人権規約
中国と欧州連合(EU)との首脳会談が二十三日、北京・人民大会堂で行われ、
朱鎔基・中国首相は一九九七年十月に署名した国際人権A規約(経済的、社会
的、文化的権利)の批准が年内に行われるとの見通しを示した。
A規約批准案は二十三日に始まった全国人民代表大会(全人代)常務委員会で審
議。九八年十月署名の同B規約(市民的、政治的権利)についても、朱首相は
「できるだけ早く批准する」と言明。
(北海道新聞00/10/24)

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<参考>憲法第9条に関する政府の解釈の推移

◆1946(昭和21)年
 戦争放棄ニ関スル本案ノ規定ハ、直接ニハ自衛権ヲ否定シテハ居(お)リマセ
ヌガ、第9条第2項ニ於(おい)テー切ノ軍備ト国ノ交戦権ヲ認メナイ結果、自
衛権ノ発動トシテノ戦争モ、又交戦権モ放棄シタモノデアリマス。従来近年ノ戦
争ハ多ク自衛権ノ名ニ於テ戦ハレタノデアリマス。…故ニ我ガ国ニ於テハ如何
(いか)ナル名儀ヲ以テシテモ交戦権ハ先ヅ第一自(みずか)ラ進ンデ放棄ス
ル。…世界ノ平和確立ニ貢献スル決意ヲ先ゾ此(こ)ノ憲法ニ於テ表明シタイト
思フノデアリマス。(吉田首相)

◆1952(昭和27)年
1.憲法第9条第2項は、侵略の目的たると自衛の目的たるを問わず「戦力」の
保持を禁止している。
1.右にいう「戦力」とは、近代戦争遂行に役立つ程度の装備、編成を具えるも
のをいう。
1.「戦力」の基準は、その国のおかれた時間的、空間的環境で具体的に判断せ
ねばならない。
1.「陸海空軍」とは、戦争目的のために装備編成された組織体をいい、「その
他の戦力」とは、本来は戦争目的を有せずとも実質的にこれに役立ち得る実力を
備えたものをいう。
1.「戦力」とは、人的、物的に組織された総合力である。従って単なる兵器そ
のものは戦力の構成要素ではあるが「戦力」そのものではない。
1.憲法第9条第2項にいう「保持」とは、いうまでもなくわが国が保持の主体
たることを示す。米国駐留軍は、わが国を守るために米国の保持する軍隊である
から憲法第9条の関するところではない。(閣議了承・「戦力」に関する政府統
一見解)

◆1954(昭和29)年
  政府の見解をあらためて申し述べます。第1に、憲法は自衛権を否定していな
い。自衛権は国が独立国である以上、その国が当然に保有する権利である。(中
略)第2に、憲法は戦争を放棄したが、自衛のための抗争は放棄していない。
1.戦争と武力の威嚇(いかく)
武力の行使が放棄されるのは、「国際紛争を解決する手段としては」ということ
である。2.他国から武力攻撃があった場合に、武力攻撃そのものを阻止するこ
とは、自己防衛そのものであって、国際紛争を解決することとは本質が違う。
従って自国に対して武力攻撃が加えられた場合に、国を防衛する手段として武力
を行使することは、憲法に違反しない。(大村防衛庁長官)

◆1972(昭和47)年
 戦力とは、広く考えますと、文字どおり、戦う力ということでございます。そ
のようなことぱの意昧だけから申せば、一切の実力組織が戦力に当たるといって
よいでございましようが、憲法第9条第2項が保持を禁じている戦力は、右のよ
うなことばの意昧どおりの戦力のうちでも、自衛のための必要最小限度を越える
ものでございます。それ以下の実力の保持は、同条項によって禁じられてはいな
いということでございまして、この見解は、年来政府のとっているところでござ
います。(吉国内閣法制局長官)

◆1991(平成3)年
 武力行使の事態になれば撤収するとしていることや、武器使用は要員の生命等
の防護に限定するとの条件を示しており、かりに維持軍が武力行使をおこなって
も、これへの参加は武力行使と一体化するものではなく、憲法に反しない。(工
藤内閣法制局長官)



 
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  • 2000年     1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月

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