Date: Wed, 18 Oct 2000 13:30:11 +0900
From: 加賀谷いそみ<QZF01055@nifty.ne.jp>
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Subject: [keystone 3176] 衆院憲法調査会10月12日
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 教育基本法はさておいて、「ただ働き」のほうはしっかり取り組む。憲法はさ
ておいて、日米共同演習に「派兵」する。はたからみてもまっこと「摩訶不思
議」なこの国。

 生殺与奪の権に日々さらされている民にとって、憲法は人間らしく生きるため
の道具。作られた世論に色を付けた程度で糊口をしのぐような識者・学者の話は
何ら響くものはない。「バーチャル」な論憲こそ「ユートピア」にしかうつらな
い。

 「シモの噂」までダブルででるような国会のなかで、「愛」だ、「道徳」だと
説かれても、面はゆいものがあるのではないかと思いますが、「アガペー」を唱
える人も「坊主憎けりゃ袈裟までも」式に「奉仕活動」だ「外圧」だと取り上げ
てはお里が知れる。
この国でも「一寸の虫にも五分の魂」といいますが、どんな境遇にあっても人間
である限りは尊厳を持って生きている。それを忘れては、いくら「愛」を注ぎ、
手をさしのべようと、生皮を剥ぐ仕打ちには変わりないと思うが。
大人が子どもより物わかりがよいとは限らない。大人より子どもに「真理」を伝
えるのは難しい。「簡素な九条に」とかのお話もあるが、「戦争はしない、武器
は持たない、作らない」でいけますか。らちもないことを言うのもいただけな
い。

 改憲勢力としては、21世紀の子どもたちのことより、次期選挙の「あるべき
姿」のほうが深刻な問題なので、前回の調査会では、「次元」の違う話にご機嫌
を損ねたようですが、選挙に合わせて、改憲、改教育基本法を安売りというので
は、この国の21世紀は四半世紀も持たないかもしれない。

今回は改憲論者ばかりの茶話会となったようで、マスコミもお二人の言葉遊びを
紹介しただけ。さしたる違いはないが、それぞれまとめ方にもスタンスがあるよ
うなので、そのまま紹介。
 
◇衆院憲法調査会  10月12日 (木)
午前 小説家・日本財団会長 曽野綾子 (自民推薦)
午後 日大大学院総合社会情報研究科教授 近藤大博 (21世紀ク推薦)

民主、自由、共産、社民の野党四党は欠席。

12日の衆院憲法調査会「二十一世紀の日本のあるべき姿」
参考人意見

 ◆小説家・曽野綾子さん 
二十一世紀は生きるに値する幸福な時代だったと、将来、子孫が感じるように
なってもらいたい。幸福の基本は、自立することにある。自立は食糧や水の確保
のほか防衛・外交など様々な要素がかかわってくる。
自立には、現実を正視することが不可欠なのに、日本の政治家は理想のみを語る
ことが多い。普遍的な価値を考えた時に、愛と勇気というのは欠かすことが出来
ないものだ。キリスト教には「アガペー」という理性の愛の教えがある。日本の
教育では、人権ということは教えても愛という言葉はまったく出て来ない。法務
省の人権に関する会議に出ても、愛という言葉にはお目にかかれない。幸福な者
は他人に幸福を分け与える義務を持っている。一つしかないまんじゅうを二つに
割って弟に分け与える。そうした気持ちで日本人が生きていければいいと思う。
(読売)

『現実』と『徳』を踏まえた日本に
 幸福の基本は自立だ。国内的には食糧、エネルギー、治安などの自立で、国際
的には防衛、外交だ。
 国際援助に携わり、力がすべてを決める貧しい国を見てきた。戦後日本では理
想が語られることが多いが、「ユートピア」の語源は「どこにもない」の意味
だ。世界が平和を希求するなど幻想で、現実の世界は相手に勝とうとする淘汰
(とうた)の世界だ。憲法も現実性をチェックしなければならない。一般市民が
楽しんで憲法を読めるよう改善されればと願っている。
 その一方で「徳の力」というものがある。だが、日本からは徳のある人があま
り出てこない。幸福な者は分け与える任務があるが、日本人の優秀な素質が十分
に生かされていない。
 世界が利己主義を第一とする中で、日本も相応の知恵を持ち、少しは徳のある
人間を輩出する国になってほしいと思う。
(東京新聞)

21世紀目前の日本に大切なのは自立だ。食料も百%自給は難しいがバランスを
取るべきだ。外交、防衛も自立していないと人間の生活が保てない。NGOの関
係で百カ国以上歩いたが、多くの途上国では折りあらば侵入、部族対立という状
況だ。戦後の日本は順調で、国民は現実を直視せず、理想を語るようになった。
力がすべてを決める土地が世界にずいぶんあることを直視することから慈悲も生
まれる。日本の外交や安全保障にもそういう議論が必要だ。
 国旗、国歌の存在も重要だ、言葉の通じない外国人に善意を伝えるには、その
国の旗と歌を起立して迎えるしかない。
 教育では奉仕活動を義務化すべきだ。仕事をやり遂げる自信を子どもたちに体
験させるチャンスを与える。社会で活動する人の声に耳を傾ける機会になる。
人権は要求するものというより、「その人が人であることのありがたさを配慮す
る」というものだ。権利を強調する文章は誤解を招き、浮き上がる。日本国憲法
も、一般市民が楽しんで読めるようなわかりやすいものに改善してほしい。
(朝日)

21世紀の日本は、私たちの子ども、友人らによって、生きるに値する幸福な時
代になってほしい。食料や水、エネルギー、治安、産業のバランスのとれた自立
可能な状況、自立のための防衛、外交が必要だ。21世紀の日本は「徳の力」を
考えなくてはいけない。日本人は勤勉などの評価はあるが、徳があるという評価
はあまりない。徳の力とは、豊かでも貧しくてもすべての生活に耐えられる力、
他人の責任を問わないということである。
要求しても与えられないものには、尊敬、人権、謝罪の三つがある。それを充足
させるものが愛で、この基本的なものがないといい制度を作っても生きない。こ
の愛を育むのが勇気だ。奉仕・貢献をしない勇気はなく、この穏やかな時代こそ
勇気が示されなければならない。
日本人の優秀な素質を疑ったことはないし、指導があればいい結果が出ると思
う。自らを伸ばすとともに、他に幸福を分け与えられる国になってもらいたい
(産経)

 ◆日大大学院教授・近藤大博さん 
明治維新で欧米諸国に比べて後進性を自覚した日本は、近代を克服すべく富国強
兵をスローガンに大東亜共栄圏の構築を目指したが、敗戦で挫折した。戦後は経
済大国となることで再び近代の克服を試みたが、バブル経済崩壊以降の経済の停
滞で今、自信を喪失している。私は、長く雑誌「中央公論」の編集に携わること
で、日本や日本人の自画像を探る多くの優れた論文に接してきた。それらを通じ
て感じるのは、日本は世界に冠たる国家でなければならない。少なくとも、ユ
ニークでなければならないといった強迫観念のようなものだ。それを踏まえて、
日本人にふさわしい憲法イメージを論じるならば、憲法は、簡潔に国家のシステ
ムを律する性格のもので、文章は格調高いだけでなく、英訳を外国人が読んだ時
にもすぐに理解できる平易なものが望ましい。
(読売)

『自画像』模索やめ、平易な憲法を 
 明治以来、日本人は自らの自画像を模索し続けてきた。それは、欧米から遅れ
ているとの認識に基づいていたが、やがて「欧米何するものぞ」となる。だが敗
戦直後には、社会や文化まで自らを否定する論文が反響を呼んだ。戦後は、高度
成長に乗り、バブル期には日本のやり方が一番との論が強まったが、経済が停滞
し、最近では日本社会の問題を指摘する論が増えた。
 日本には大国にならなくてはならないとの強迫観念があり、常に他者との優劣
をつけたがる傾向がある。そのため、日本人による「日本論」には流行があるこ
とを認識すべきだ。
 日本の自画像を描くより、憲法という設計図を平易にすれば、外国や子どもた
ちにも日本を分かりやすく示せるのではないか。むしろ平易でなければ神学論争
が起きる。憲法九条を堅持するなら、その精神を分かりやすく表現するべきだ。
(東京新聞1)

戦後、日本や日本人の自画像を探し求めて多くの日本論、日本人論が生まれた。
高度経済成長やバブル崩壊などの起伏に伴って論調は変化してきた。いまは欧米
の基準に照らした日本に対する否定的異質論や、「パラサイト・シングル」とい
う言葉に象徴される自信喪失的な論調が主流だ。
総合雑誌で日本論を扱うと売れる。読者には他国と優劣をつけたいという心情が
あるようだ。「日本は大国であるべきだ」、あるいは「平和主義のユニークな非
大国であるべきだ」という強迫観念が感じられる。
流行のなかでアイデンティティーの仕立て上げを急ぐより先に、国の設計図であ
る憲法を簡潔に書き直した方が、世界へのメッセージを持てるのではないか。
「憲法九条の精神を堅持せよ」という意見が強い。だったらその精神をより平易
に、中学生や外国人にもわかるように記すべきだ。「普通の国」という主張に
は、日本が外国に摩訶不思議に思われているという意識もある。日本の行動の原
理を十分に説明する努力をして、「理想の国」を目指せばいい。
(朝日)

日本はこれまでアイデンティティーを模索し、いかなる変化があっても普遍に存
続するものに依拠しようとしてきた。明治維新以来の流れは、後進性の認識から
脱亜入欧、富国強兵による近代化、近代の超克、敗戦後は近代化の失敗という後
進性の認識、高度経済成長を経て経済大国化した。ある時から、日本が世界で一
番という意識が登場したが、バブル崩壊後は経済が停滞し、戦後の後進性の再認
識や自信喪失という状況に立ち戻った。
こうした戦後の論調をみると、日本人は自画像を描ききったかというと、必ずし
もそうとは言えない。日本論を歓迎する読者は、ナイーブで常に他との優劣をつ
けたがってきた。その比較の対象は欧米で、底流には大国でなければならないと
の強迫観念が流れていたような気がする。これを想定すると、国の構成たる憲法
は簡潔なものであった方が望ましい。
文章は難解であってはならず、国際語たる英語に翻訳した際の表現を念頭におい
た方がよい。
(産経)

−現実の世界に対峙できる日本人の確立(曽野)
保利耕輔氏(自民党)  「大事な憲法だからこそ、日本人の発想に基づく言葉
でつくる必要がある。直ちに改正論につなげるわけではないが、憲法前文も日本
人の頭に入りやすい言葉で書いてみる必要がある」

−簡潔な憲法(近藤)
近藤基彦氏(二十一世紀クラブ)  「あまり憲法に理念的なことを入れるべき
ではない。憲法を論議する時は、主義的な部分は省く方がいいとの考えもある」

−日本の政治家は理想のみを語ることが多い(曽野)
太田昭宏氏(公明党)  「軍国主義と平和主義、全体主義と個人主義など、こ
の五十年間、今でも『ゼロ』か『一』かの論争が続いている。二十一世紀に向
け、その論点自体を論じることが必要ではないか」
(東京新聞)

松浪健四郎氏(保守)「日本には言論の自由はないと思うが」
(曽野)権威者を批判できるので言論の自由はある。ただ、表現の自由となると
戦後、創価学会の圧力に屈した時代があった。中国について悪いことを書いては
いけなかった。いまは差別語を言ってはいけない。無署名ならきちんとした言葉
遣いがあってしかるべきだが、私の署名があるものは悪の表現を許してほしい。
(近藤)私はかつて出版社に勤務し、雑誌編集に携わってきた。読み手は常によ
りどころをさぐっており、他国との優劣をつけたがってきた。自らの優位性を感
じると自信過剰、ごう慢でさえあり、日本は大国であらねばならないという強迫
観念が流れているかのようだ。戦後、知識人などの論調を振り返り。日本人が
「自画像」を描ききったかと問えば、必ずしもそうとは言えない。憲法は国家と
いう家の設計図にあたる。環境や住居に変化が生じれば、(家の)構造を変える
必要がある。
 憲法は国の成り立ち、構成を律するものであり、簡潔に国家のシステムを律す
るのが望ましいのではないか。また、文案を作成する際には読者に外国人も想定
し、翻訳でいかなる表現になるか、常に念頭においてほしい。格調高くあってほ
しいが、難解であってはならない。
(毎日)

なお、衆議院憲法調査会では、「本調査会の活動状況について国民各層各界に対
し一層の周知を図るため」メールマガジンを発行するとのこと。この「無料」配
信には税金が使われていることをお忘れなく。

<参考>
◎パラサイトシングル (デイリー新語辞典から)
 〔(和製) parasite+single〕
親と同居する独身者。住居や家事を親に依存する。晩婚化・少子化との関連や,
その消費行動が注目されている。
〔parasite は寄生する意。1997 年(平成 9)社会学者山田昌弘が用いた〕

◎[アガペー](大辞林第二版から)
  [(ギリシヤ) agap&emacr;]
(1)キリスト教における愛。罪深い人間に対する神の愛、人間どうしの兄弟愛な
ど、自己犠牲的・非打算的な愛をいい、エロス的愛とは区別する。
(2)「愛餐(あいさん)」に同じ。

◎ユートピア(大辞林第二版から)
 [Utopia]
〔どこにもない場所の意の造語〕
(1)T =モアの主著。1516年刊。架空の国ユートピアの見聞記の体裁をとり、共
産主義・男女平等、また宗教上の寛容を説く。
(2)〔(1)から転じて〕理想郷。理想の国。空想上の理想的社会。無何有(む
かう)の郷(さと)。

◎アイデンティティー (デイリー新語辞典から)
 【identity】⇒同一性
 (1)物がそれ自身に対し同じであって,一個の物として存在すること。
(2)人間学・心理学で,人が時や場面を越えて一個の人格として存在し,自我
の統一をもっていること。自我同一性。自己同一性。

○日本国憲法(英文)
http://www.jca.apc.org/~nomad/kenpo/data/jconst-e.html
http://www.jca.apc.org/~nomad/kenpo/data/jconst-e.txt

 憲法調査推進議員連盟HP 議事録(概要)
第150回国会  H12年9月28日(木)第1回 
http://www1.sphere.ne.jp/NAKAYAMA/chousa/gijiroku/shu/giji00-09-28.html
第1号 平成12年9月28日 議事録
http://www.shugiin.go.jp/kaigirok/select0333/main.html

「日米平和友好条約」(第一次案)
http://www.jca.ax.apc.org/iken30/([市民の意見30の会・東京])

<次回衆院憲法調査会>
10月26日 (木)
午前 (会長一任)
午後 国際東アジア研究センター所長 市村真一 (自由推薦)

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◇公明党は11日、11月4日の党大会で決める重点政策案をまとめた。憲法改
正について「衆参両院の憲法調査会での5年をめどにした論議の方向を踏まえ、
次の5年で第1段階としての結論を出す」と明記。「10年をめどに国民的な論
議を展開する」との従来の方針から一歩踏み込んだ。
 「憲法調査会の議論が始まり、党としても態度をあいまいにできない」(幹
部)として、10年以内に改正の是非や具体的な改正内容について一定の結論を
出す方針に転換した。九条や、国民主権などの3原則は、従来通り堅持するとし
ている。
 教育基本法の改正については、十分に時間をかけて検討するとともに、政治的に
中立な立場から教育制度のあり方を議論する常設の機関を新設するとしている。
(朝日・NHK00/10/11、12)

 保岡興治法相は十日の衆院法務委員会で、自民、公明、保守の与党三党提出の
少年法「改正」案について、「少年法(「改正」案)だけで一連の少年非行事
件、犯罪が解消するということでもない。やっぱり憲法改正、あるいは教育基本
法の見直しを含め、新しい二十一世紀の日本に向かって社会全体の規範意識、責
任や義務、個と全体との関係といったことをきちっと求めていくことが非常に重
要だ」と発言。
 与党三党提出の少年法「改正」案は同日野党が欠席したまま、与党が実質審議
入りを強行。保岡法相は、河村建夫氏(自民)から同「改正」案にたいする所信
をただされ、「与党の案に敬意を表したい」「非常に重要な柱だが、戦後の日本
社会のかがみが少年事件にあらわれている」などとのべたあと、この憲法、教育
基本法の「改正」に言及。
 法相としては小渕内閣当時の中村正三郎法相が九九年一月、「日本人は、軍隊
を持てない憲法を改正できないでもがいている」と発言。
(2000年10月11日)

 ◇民主党の鳩山由紀夫代表と自由党の小沢一郎党首が15日、テレビ朝日の報道
番組で憲法や安全保障問題をめぐって対談。
 自衛隊を憲法に位置づけることについては一致したが、十分な国際貢献を実現す
るために憲法を改正して対応しようとする鳩山氏と、現行憲法のまま解釈によっ
てできることがあるとする小沢氏の主張はすれ違った。

集団的自衛権
 鳩山氏「(抑制的でなければならないが)いまの国際環境のなかで一切認めな
い発想だと、国際的な貢献が十分に行えない。行使できる場合と、行使できない
場合を国会の議論で結論を出すべきだ。憲法にもしっかりうたうのがいい」
小沢氏「集団的自衛権をおおっぴらにやれば、片務的な日米安保条約が双務的条
約になる。その政治的必要もないし、憲法解釈をそこまで広げる必要もない」
「憲法解釈として、まず、どこまで国際貢献に参加できるかを確立すべきだ」

  「集団的自衛権」は自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が
直接攻撃されていない場合も実力で阻止する権利。「国連」など国際社会が一丸
となって侵略行為に対処する「集団安全保障」とは異なる概念で、政府は現行憲
法上「権利は有するが、行使できない」との立場を取っている。

多国籍軍参加
鳩山氏「現行憲法下では多国籍軍には参加すべきでない」「多国籍軍出動の場合
は受け入れ国の同意もなく、かなり戦争に近い形になる。多国籍軍に参加すれ
ば、一番実権を持っているアメリカの(指揮権の)下に入ると思うが、それでい
いのか」(鳩山氏は、安保政策上、対米依存度を引き下げるべきだというのが持
論)
小沢氏「国際的な共同作業に積極的に参加するのが憲法の理念。憲法解釈上、多
国籍軍には参加できる。国連の安全保障理事会か総会の決議があれば認められ
る」「日本は率先して国際的な共同作業に参加すべきだ。」

憲法改正
 鳩山氏が、憲法九条を改正し、自衛隊を軍隊と明確に位置付けるべきだと主張
したのに対し、小沢氏も「大賛成だ」
小沢氏「現実には、なかなか憲法改正はできない。改正を前提に議論していても
仕方ない」
鳩山氏「世界的には自衛隊は軍隊だ。矛盾は直さねばならない」「解釈ですり抜
けることは間違えている」

 民主党の鳩山代表は十六日午前、党本部で記者団に対し、集団的自衛権につい
て、「集団的でも、個別的でも自衛権があるなら、基本的に明記すべきではない
か」と述べ、日本が集団的自衛権を行使できることを憲法に明記すべきだとの考
えを改めて示した。そのうえで、党憲法調査会(鹿野道彦会長)で議論していく
方針を明らかにした。
鳩山氏は「国際協力の中で必要としてやるべきものと、やるべきでないものを区
別する必要がある」として、全面的に集団的自衛権行使が可能というわけではな
いとの見解を示した。新しい日米防衛協力のための指針(ガイドライン)が想定
する周辺事態の際の集団的自衛権の行使については、「日米ガイドラインには自
衛の意味がある。日本に危機が生じた場合に日米で協力できる範囲にすべきだ」
と語った。日本の周辺海域などで米軍が他国に襲撃されたようなケースでは、自
衛隊が支援に駆け付けることもあり得るとも受け取れる内容。

 民主党は9月に、国連平和維持活動(PKO)参加5原則の見直し作業に着
手。5原則では武力行使や集団的自衛権の行使につながりかねないとして、武器
使用を自衛に限定しており、難民や他国の部隊が襲撃されても応戦できないなど
の問題点が指摘されている。
横路孝弘副代表「いくら党首と言っても、党の考え方と全く違うことを言われる
のは困る」(民主党が昨年六月に策定した安全保障基本政策で「集団的自衛権を
行使しないという原則は尊重されるべきだ」と明記)「鳩山氏が政界再編とか保
守政党の再編とかを考えているのであれば、私利私欲だ。ああいう発言が続く
と、党内がばらばらになりかねない」岡田克也政調会長「問題提起として真剣に
議論する必要がある。ただ、PKOなどに限定するのか、どのレベルのことを指
すのかきちっとしなければいけない」
羽田孜特別代表「代表個人としての考え方を述べられたのだろう。(憲法につい
て)党内で本格的な議論が今始まったところであり、個人的な意見は控えたい」
「今、民主党に必要なのは改憲ではないし、改憲では票がとれない」

岡田克也政調会長(17日)「(憲法を改正して集団的自衛権の行使を一部認める
べきだとした鳩山由紀夫党代表の発言は)解釈改憲を認めず、憲法改正論は議論
を尽くすとした党見解と必ずしも矛盾しない」「(個人的見解として)国連平和
維持活動(PKO)参加5原則を緩やかにすることが(代表の)1番の念頭にあ
るようだ。他国のPKO部隊を守るため武器を使うことは、憲法を改正しないと
対応できない」
(読売・朝日・毎日00/10/16,17,18 )
 
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◇貧困
▼北海道新聞00/08/15
札幌でホームレス倍増-100人超える 北大助教授ら調査
 札幌市内に確認されただけでホームレス(路上生活者)百二人が暮らし、昨年
十一月の時点よりおよそ二倍に増えていることが北大教育学部の椎名恒・助教授
(産業教育)らの調査で分かった。長引く不況と本州の酷暑が増加の理由とみら
れる。こうした人たちの中には、健康不安を訴える人も多く、椎名助教授は今
後、行政機関に福祉支援などを求めていく考えという。
 椎名助教授によると、札幌市内のホームレスは、旧拓銀が経営破たんした三年
前から急増しているとされ、昨年十一月に初めて行った調査で、五十三人を確
認。二度目の今回は七月二十三日の午前四時三十分と同八時の二回、JR札幌駅
周辺、大通公園、地下鉄各駅周辺など約二十カ所で調べた。
 椎名助教授は「今回の調査で確認できないホームレスがまだ数十人いる可能性
がある」と指摘しており、実際には二百人近くになるとみられる。
 増加について、同助教授は「道内の不況が背景にあるほか、本州からの流入組
も多いのではないか」と分析している。今後も毎年、夏と冬の二回調査し、実態
把握に努める計画だ。
 六月に名古屋から来たという男性(46)「名古屋はホームレスの数が多くて
食べ物が手に入りにくいし、湿気と暑さで暮らしにくかった。札幌は住みやすい
と聞いて、ヒッチハイクなどで来た」
 東京生まれという男性(50)「手持ちの金を使い、列車などを乗り継いで来
た。大通公園は夜間に見回る人がいて、襲われるようなことはなく、安心して眠
れる」

 調査結果について、東京都内のホームレス事情に詳しい法政大現代福祉学部の
杉村宏教授は「東京都が新宿などでホームレスの一掃に乗り出したため、東京は
ホームレスにとって住みにくいマチになった。道内出身者が札幌に戻ったり、安
定した生活場所を求めて、札幌に移動したりした可能性もある」とみている。
 厚生省のホームレス概況調査(昨年十月末現在)によると、全国のホームレス
は約二万四百人。大阪市の八千六百六十人をトップに、東京二十三区の五千八百
人、名古屋市千十九人、川崎市九百一人などが多い。
 同省は七月、ホームレスの自立支援に向けて、路上生活を始めた原因や現在の
生活状況などについての実態調査の実施を決めた。

▼ロンドン(ロイター9 月 11 日) 英国の社会政策研究団体の調査によると、
同国で貧しい生活状態におかれている子供の数は200万人に達している。 
報告によると、必要最低限とされている洋服や1日3回の食事、遊び道具などの
うち、どれか2つ以上を親から与えられていない子供は、6人に1人以上に上る
という。 ほかに、十分な暖房をとる余裕のない国民は950万人、防寒用の衣
類を買えない国民は650万人、1日2食もままならず野菜や果物などの食品も
買えない国民は400万人に達している。

▼ロンドン(AP2000.10.16) 東ヨーロッパで活動をしている非政府団体(NG
O)の「ヨーロッパ子供トラスト」は先週、「静かな危機」と題した調査報告書
を発表。それによると、旧ソ連と東ヨーロッパでは、政府の健康保健・教育な
ど、社会福祉プログラムへの予算カットが原因で、貧困率が過去10年で10倍
以上に激増。少なくとも5000万人の子供が貧困に苦しんでおり、幼児の死亡
率や結核の感染率も非常に高くなっている。

   調査対象となった旧ソ連と東ヨーロッパ地域で、貧困に窮しているとみられる
のは1億6000万人以上で、同地域の全人口の40%に当たる。そのうち、貧
困層の子供は少なくとも5000万人で、うち約4000万人は旧ソ連にいると
いう。
   同団体の報告書は、「共産主義体制が崩れて以来、状況は悪くなるばかりだ。
経済の崩壊ぶりから見て、過渡期というより大恐慌という方が適当かもしれな
い。古い体制は欠陥もあったが、大半の国民に一定レベルの生活と安全を与えて
いた」と指摘する。
   同団体は、この地域の合計GDPの半分に上る債務が、地域に貧困をもたらす
最大の原因とした上で、西側諸国に対し、債務を少しでも軽減するよう呼びかけ
ている。また、貧困によって家族が崩壊しないよう、家族支援サービスを拡大す
ることも訴える。
   また、援助は短期間のものでなく、トレーニングなど長期的に効果が上げられ
るようなものを多くすべきだとも指摘。同団体では「タイム・リミットに近づい
てきている。このような状況の中で、人々はいつまでも生きていくことはできな
い」として、全面的な協力を要請している。

   国連開発計画(UNDP)によると、各国の貧困率は、スロベニア、チェコ共
和国、スロバキアで1%、ハンガリーで4%、ポーランドで20%、ロシアで5
0%、トルクメニスタン、ウクライナ、カザクスタン、モルドバでは60%に達
しているという。また、貧困層を下回る悪条件の生活を強いられている数も増え
ており、キリギスタンでは人口の88%が貧困層以下といわれる。

▼朝日2000.10.17
   国連食糧農業機関(FAO、本部ローマ)は16日、「世界の食糧不安情勢2
000」と題する年次報告書を公表し、食糧事情改善が計画通り進まず、世界の
栄養不足人口を2015年までに約半分の4億人に削減するとした1996年の
世界食糧サミットの目標達成が15年遅れる恐れがあると警告した。
   報告書によると世界の栄養不足人口は現在、計8億2600万人で、昨年の報
告と同水準。現状のままなら15年の栄養不足人口は5億8000万人程度まで
しか減らず、目標達成は困難だとしており、国際社会に紛争終結や持続可能な経
済成長へ向けた投資など「決定的、効果的な緊急の行動」を促す内容になってい
る。
   報告書はまた食糧事情により世界各国を5つのグループに分類。日本が食糧支
援を決めた朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は全人口の57%が栄養不足とさ
れ、バングラデシュやアフガニスタン、ソマリアなどと並び最も食糧事情の悪い
グループ(計23カ国)に分類されている。

◇言論の自由
▼有害図書の制限強化
上毛新聞2000年9月13日
 雑誌などに氾濫するみだらな性表現から青少年を守るため、県は青少年への販
売などを禁止している有害図書の制限を強化することが、十二日明らかになっ
た。二十日に開会する県議会九月定例会に、県青少年保護育成条例の一部改正案
を提出する。来年四月からの実施を目指している。
 同条例では、有害図書の指定について、県青少年保護育成審議会の答申を踏ま
えて県知事が個別に指定する場合と、一定の基準に沿って包括的に指定する場合
の二つの方法を規定。今回の条例改正では、包括指定部分の制限を強める。
 有害図書の条件として、従来は「卑わいな姿態などを被写体とした写真」とし
ていたのに対し、過激な性描写のコミック本が増えている実態を考慮し、「卑わ
いな姿態などを描写した絵」を追加。さらに、総紙面の三分の一以上としていた
卑わいな表現に関するページ制限について、総ページ数の五分の一以上または二
十ページ以上に強化する。
 県青少年こども課によると、関東と山梨、長野、新潟、静岡の十一都県で有害
図書の包括指定制度を設けているのは本県を含めて九県。このうち七県で既に、
今回改正する内容と同様の厳しい有害図書指定を実施しているという。

▼「教育にふさわしくない」図書100冊
2000.09.15 ニューヨーク(AP) 
米図書館協会(ALA)、米書籍販売協会(ABA)、米ジャーナリストと作家
協会(ASJA)は、好ましくない内容が盛り込まれているなどの理由で、図書
館や学校から取り除くべき書籍の100冊を発表。
上位10位には、邦訳されているJ・D・サリンジャーの「ライ麦畑で捕まえて
(The Catcher in the Rye)」やジョン・スタインベックの「ハツカネズミと人
間(Of Mice and Men)」、マーク・トウェインの「ハックルベリー・フィンの冒
険(The Adventures of Huckleberry Finn)」、マヤ・アンジェロウの「歌え、
翔べない鳥たちよ(I Know Why the Caged Bird Sings)」などが含まれている
が、どれも米国の学校読本として使用されている作品。 「多くの親が、子供たち
に知って欲しくない問題を扱っているから」(ALA一員)
アフリカ系アメリカンの詩人、マヤ・アンジェローの回顧録は、「白人を非常に
不快で、愚かな人々として描写している」としてメリーランド州の中学校の国語
のカリキュラムから除外。カリフォルニア州の学校の中には「反抗的な行動中心
に描かれている」との理由で、1993年に「ライ麦畑で捕まえて」の使用を取
り止め。
「ハツカネズミと人間」や「ハックルベリー・フィンの冒険」も主人公の設定
や、文章表現に人種差別的な内容が見られるという理由で、全米各地の教育現場
で議論をたびたび巻き起こし、指導要綱からの削除対象となってきたいわくを持
つ。
90年代、学校や公立図書館には、書物の内容に関する苦情が記録されているだ
けで5000件以上「苦情全体の20%から25%」「(苦情が)学校での使用
禁止につながったのは約5%分」(ALA)。最も多い苦情は、性描写につい
て、続いて、年齢にそぐわない内容であるとか、オカルトや悪魔崇拝を助長す
る、暴力描写が強い、同性愛や人種差別、家族観の軽視を助長する、などの不満
が多い。
今年の7月に4作目が発売され、世界各国の話題をさらった、ハリー・ポッ
ター・シリーズも48位に含まれている。このシリーズは、魔法使いの修行をす
る少年が主人公で、教会関係団体から非難されているという。今年に入って、ミ
シガン州のブリッジポート・タウンシップの公立学校の図書室から撤去された事
実もある。

▼脅威
 いまはまだ「浜の真砂は尽くるとも、『脅威』の種は永久に消えまじ」といっ
たところですが、どこの国も「民政」を求める声や「経済対策」にいそがしく
「戦争」どころではないというのがホンネ。

 「防衛費」捻出の策か、米海軍では、「サイバー戦計画」をロシア、中国、イ
ンド、キューバなど4カ国が「急速に能力を高め」、日本も技術の拡散などで何
らかの役割を果たす可能性があると「判断」しているとのこと。防衛庁では20
00年度予算案で、コンピューターセキュリティー対策費として約13億円を計
上。

 97年、クリントン大統領は米国の基幹インフラストラクチャー保護のための
諮問委員会(PCCIP)を設置、電気、通信、ガスなどのインフラを守るため、サイ
バーテロのような動きを抑制する専門機関を設ける必要があるとする報告書をま
とめ、米政府は98年5月、サイバーテロ情報を監視する5つの情報機関を設置
することを決定、さらに民間に対し、情報の共有と分析を行なうISAC
(Information Sharing and Analysis Center)なる機関の設立を要請。98年1
月、クリントン大統領は、サイバーテロリズムに対処するため,14億6000万ドル
の連邦予算の計上を提案。
 これに対し、米国の市民団体EPIC(Electronic Privacy Information Center)
は10月、サイバーテロを防ぐために米国政府が採っている方策は、言論の自由
など市民の基本的人権を侵す可能性がある、との懸念を表明。「法を守る米国国
民だけでなく、他国の市民のプライバシーへの重大な脅威である」
米国ではこれら「軍事革命(RMA)」を進めたことで、かえってハッカーなど
の攻撃による弱点も拡大したとのこと。クリントン大統領は今年1月に約20億
ドルを投入したサイバースペース防衛計画を発表。
 この国の「IT関連法案」も似たようなうさんくさいものがある。



 
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