Date: Wed, 11 Oct 2000 16:43:36 +0900
From: 加賀谷いそみ<QZF01055@nifty.ne.jp>
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Subject: [keystone 3151] 秋田県HPで自衛官募集
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 東京・練馬の自衛官募集の動きを見て、何せ、昨年防衛庁の自衛官募集のペー
ジをそっくり掲載した「前歴」がある当県のこと、もしやと思い、秋田県のHP
をクリック。
案の定、総務課でPR。
■総務部総務課■
http://www.pref.akita.jp/kaikaku/jieikan.htm
自衛官になるには
自衛官採用ガイダンス '2000
7WAY TO YOUR FUTURE

と、印字にしてA4用紙2枚ものスペースを使って宣伝。
そして「特別職国家公務員として安定した生活を約束します」
その上防衛庁のトップページへ接続できるように設定

総務課と問答
10月5日
自衛官募集HP掲載について
−県は県民が自衛官になることを推薦するのか
自衛隊法97条に基づき、法定受託事務の範囲で、公務として全力を挙げている

−自衛隊の不祥事、隊員の自殺、日米共同訓練の実態は把握しているか
新聞は読んでいる

−広報の範囲は県が主体的に決めたのか
HPもパンフレットと同様、自衛隊から通常の依頼をうけたもの
情報公開の精神に基づき県に入った情報として他の広報と同様に取り扱っている

−「安定した生活」というのは「誇大広告」に思うが
掲載内容については地方連絡部と連絡を取りながらやっている

−自衛隊は基本的には任期制いわば契約社員並の身分、数年で退官する若者も多

県では数字は把握していない。本人の都合で退職していると思われる

以下は後で答える
依頼への協力と非核平和和宣言、住民の福祉との整合性はどうなるか
受託事務は地方自治法、条例の何条に基づく義務か
募集に関する費用は県費か否か

10月6日 
総務課の回答
経費について
防衛庁からの委託費として県へ九十二万三千円、六十九市町村へ計百八十四万六
千円配分されている

自衛隊法97条を受けて地方自治法第1条第2項及び2条に基づいて行ってい
る。

「安定した生活」とは公務員一般の「安定した生活」の意味

−受託事務としてもやりすぎではないか
−防衛庁のトップページにリンクするように設定しているのは、「委託」の範囲
をこえて自衛隊を宣伝してる。
−自衛隊法については、合憲違憲の意見があり、公務員として「公平取り扱いの
義務」に反する行為ではないか。憲法遵守の義務の面からも問題である。
などなどもうしあげたら、国から補助金もきていることだしとぽろり。

秋田県は突出して「公務として全力を挙げている」ようです。
6都道府県の案内を見ましたが、
宮城県は、「県からのおしらせ、みやぎ県政だより掲載分から」に8行、「自衛
官採用試験」について、募集種目、試験日、申し込み、問い合わせ先だけ掲載。
岩手県は、企画部の「市町村課と選挙管理委員会のHP」リンク集の「自衛官募
集」をクリックすると、「自衛隊  岩手地方連絡部」のHPに接続。(募集案内
の他に、挨拶、情報照会、リンク集、広報行政、予備自衛官、新着情報など)
福島県もリンクの広場から自衛隊福島地方連絡部へ
青森県は不明

なお地連では、HP掲載についての「依頼」は否定していました。県が「自主的
に」協力しているといいたいのでしょう。
県の窓口では、「従来どおり」パンフレットをおいて、詳しいことは地連に問い
合わせてくれという態度で、今も自衛官が学校を訪問したり教師に案内を送った
りしており、自衛隊ファミリーが「協力」しています。教師はあまり協力的でな
いし、県としては、「委託費」を有効に使っているという証を示したかったのか
もしれません。これからは自衛隊ファミリーに依頼するより自治体にやらせた方
が安上がりになると自衛隊では考えているかもしれない。当市(人口4万弱)へ
の割り当ては2,3万円程度とか。
「国が本来果たすべき役割」をスズメの涙ほどのカネで、自治体に仕事を押しつ
ける防衛庁も図々しいが、「TO YOUR FUTURE」とまで義理を立てる
自治体もふぬけ。
 このあと、マスコミへも問題提起してみましたが、米軍に「こぶしを振り上げ
る」のと自衛隊へのそれとではだいぶ趣が違い、腰があがらない。某支局では
「県庁へ直接申し入れしてみたらいかがですか」と。あなたにいわれたくはな
かったね。投書で取り上げればましなほう。県の「前向き」な姿勢を知ってか知
らずか、「産経」東北版には即応自衛官の「弾よけ」の働きぶりを大きく宣伝
(10月7日)。
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◇地方自治法
第1条の2  地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地
域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。
 2   国は、前項の規定の趣旨を達成するため、国においては国際社会にお
ける国家としての存立にかかわる事務、全国的に統一して定めることが望ましい
国民の諸活動若しくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務又は全国的な
規模で若しくは全国的な視点に立つて行わなければならない施策及び事業の実施
その他の国が本来果たすべき役割を重点的に担い、住民に身近な行政はできる限
り地方公共団体にゆだねることを基本として、地方公共団体との間で適切に役割
を分担するとともに、地方公共団体に関する制度の策定及び施策の実施に当たつ
て、地方公共団体の自主性及び自立性が十分に発揮されるようにしなければなら
ない。

第2条  地方公共団体は、法人とする。
 2   普通地方公共団体は、地域における事務及びその他の事務で法律又は
これに基づく政令により処理することとされるものを処理する。

◇自衛隊法   
(都道府県等が処理する事務)
第97条  都道府県知事及び市町村長は、政令で定めるところにより、自衛官の
募集に関する事務の一部を行う。
 2   長官は、警察庁及び都道府県警察に対し、自衛官の募集に関する事務
の一部について協力を求めることができる。
 3   第1項の規定により都道府県知事及び市町村長の行う事務並びに前項
の規定により都道府県警察の行う協力に要する経費は、国庫の負担とする。

◇法廷受託事務:法律またはこれに基づく制令により都道府県等が処理すること
とされている事務のうち、国が本来果たすべき役割に係るものであって、国にお
いてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく
政令に特に定めるもの
(地方分権一括法で、「機関委任事務」は国と地方の対等の関係とは言い難く、
地方の「自立」を妨げるからという理由で廃止しされ、自治体に委任する事務を
「法定受託事務」と「自治事務」にわけ、国が直接執行すべき事務は、国の直接
執行事務となったのですが、法定受託事務の中に「自衛官の募集」も入っている
ということになります。)

◇2000年度防衛白書
 全国50カ所の自衛隊地方連絡部は、都道府県、市町村、教育委員会、学校、
隊友会、全国自衛隊父兄会、募集相談員などの協力を得ながら募集業務を行って
いる。
 自衛官募集については、自衛隊法第97条の規程に基づき、地方公共団体が募
集事務の一部(注)を行うこととされ、防衛庁は、そのための委託費を地方に配
分している。
 自衛隊が、今後も優れた人材を確保し、精強性を維持していくためには、地方
公共団体及び関係機関などの協力が不可欠である。
(注)募集期間の告示、応募資格の調査及び受験票の交付、試験日・場所などの
告示、広報宣伝など

(去年の防衛白書に<自衛官募集については、自衛隊法第97条の規程に基づ
き、地方公共団体が募集事務の一部を行うこととされ、防衛庁は、そのための委
託費を地方に配分している。>を追加。)

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自治体が自衛官募集に対して「公務として全力を挙げている」ことは法的にも問
題が多いと思います。
防衛庁のHPまで紹介することは、「自衛官の募集に関する事務の一部」の範囲
を超えた事務行為ではないか。
自衛隊法そのものが、違憲合憲の意見があるもの。公務員法の「公平取り扱い」
義務に違反するのではないか。
自衛隊の「軍隊化」が危惧されている中で、県自体が「特別職国家公務員として
安定した生活を約束します」と一般公務員と同等の「安定した生活を約束」する
のは「住民の福祉の増進を図る」自治体として無責任ではないか。
県が自衛官募集に積極的に関与することと、公務員の憲法遵守の義務と整合する
かどうか。
自衛隊法では、「自衛官の募集に関する事務の一部について協力を求めることが
できる。」が強制するものではない。「都道府県警察の行う協力に要する経費
は、国庫負担」とするのは自治法に明記されている地方公共団体が「自主性及び
自立性」を「十分に発揮」する権利を阻害する規程ではないか。
これらをあいまいにすることは法廷受託事務という名の下で地方自治体の「地方
公共団体との間で適切に役割を分担」する事務がどんどん拡大されるおそれがあ
るのではないか。
など

そして、県の今回の態度は、周辺事態の際、周辺事態法第9条(関係行政機関の
長は、法令及び基本計画に従い、地方公共団体の長に対し、その有する権限の行
使について必要な協力を求めることができる)における自治体協力の姿勢をうか
がえるものとしても看過できない問題です。秋田県では、この規程で労働者が軍
事協力を強要されるとして、複数の労働団体が拒否の意思を示した決議を採択
し、国へも伝えています。県の今回の行為は県民の戦争非協力の思いを踏みにじ
るものです。

言い換えれば、防衛白書にもあるように「自衛隊が、今後も優れた人材を確保
し、精強性を維持していくためには、地方公共団体及び関係機関などの協力が不
可欠」であるならば、住民でもある自衛隊員の「生命の安全」を自治体や住民の
意思如何で守れるということでもあると思います。

自衛隊では「働く自衛隊」を掲げ、自衛隊員に「汗も血も流す」ことを求めてい
ます。
11月の日米共同統合演習では、周辺事態法に規定された「後方地域捜索救援活
動」(第七条)の訓練と「非戦闘員退避活動(NEO)」に訓練が始めて取り入
れられることになりました。 

同法3条
 三 後方地域 我が国領域並びに現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこ
で実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる我
が国周辺の公海(海洋法に関する国際連合条約に規定する排他的経済水域を含
む。以下同じ。)及びその上空の範囲をいう。
について、

海上自衛隊のある幹部は「米軍の敵対中の国に『われわれは救助活動だけなので
攻撃するな』と求めても無理でしょう」と法による限界を認め「戦後初の戦死者
が出る」可能性を否定しない。(秋田魁新報解説00/10/02)と、米軍への後方地
域支援は「わが国の平和及び安全確保」よりも、自衛隊が「米軍の戦時」に否応
なく組み込まれ、自衛隊員が武力行使を受ける危険にさらされる可能性を強める
実態を認めています。

この様な訓練にかり出される自衛隊員の募集に県が直接関与することは戦争協力
のなにものでもありません。
−−−−−−−−−−−−−

秋田県遺族連合会(佐々木満会長)は7日までに、秋田市内で終戦五十五周年記
念大会を開いた。遺族ら約二百人が参加。
国歌斉唱、黙とうに続き、
佐々木会長「いまの平和で自由な日本は、英霊の献身と犠牲の上に築かれたこと
を、日本人は忘れてはならない。命を捧げた人に正しく報いることは国の根本と
思うが、総理が英霊にお参りに行けないのは情けない。この点はどこまでも要求
していかなければならない」「戦争の記憶が薄れつつあるが、逆に、あの戦争が
何だったのかを冷静に考え、東京裁判に基づく歴史観を払拭するのにいい時期
だ。正しい昭和の歴史を確かめ合い、子どもや孫が胸を張って生きていける、誇
りに満ちた国にしていかなくてはいけない」
記念講演では、日本遺族会副会長の尾辻秀久参院議員(自民)が靖国神社問題に
関する取り組みを紹介。靖国神社とは別に無名戦士の墓を作ることが議論されて
いることを明かしたあと
「国は兵士に『死んだら、靖国にまつる』と約束した。この約束だけは守ってほ
しいと、遺児として訴えたい」と語った。
(産経秋田版00/10/08)



 
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