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Date: Tue, 22 Aug 2000 03:45:37 +0900
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From: "M.Shimakawa" <mshmkw@tama.or.jp>
Subject: [keystone 2998] 大統領訪日時の沖縄米軍への「感謝」演説
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 島川です。クリントン大統領来日時の7月22日に、在沖縄の米軍基地
 で行なった、米軍兵士・家族に向けた演説と集会の様子を報じる空軍
 嘉手納基地のニュース『Shougun』の記事を訳してみました。

 大統領は予定を早めて帰国しましたが、この集会も翌日に行なわれる
 予定であった部隊訪問を前日の夜11時という時間に繰り上げて開催し
 たものです。

 この大統領演説の全文「Remarks by Clinton to American Troops in
  Okinawa」は
 <http://usinfo.state.gov/topical/econ/g8okin/wwwhlast.html>
 などにあります。

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『将軍』 2000年7月27日付
 <http://www-02.Kadena.af.mil/pa/news/july00/clintonthanks.htm>

 クリントンが軍と家族の献身に感謝

1972年に米国の支配から日本へと沖縄が返還されて以来初めて、合州国大統領が
この地に駐屯する軍人たちを訪れた。

「ここには、私がかつてこのような遅い時間に演説した中では最も多くの人びと
がいる」。ビル・クリントン大統領は笑いながら、土曜日の夜にキャンプ・フォ
スターで1万人近くの軍人たちに語りかけた。

クリントンは、G-8サミット--ロシアならびに世界の7つの主要工業国(ドイツ、
フランス、連合王国、日本、合州国、イタリア、カナダ)によって開催される国
際経済フォーラム--に出席するために沖縄にやってきた。G-8には、欧州連合の
代表も参加している。

「すべてのアメリカ市民を代表して、私は我が陸軍軍人、海軍軍人、空軍軍人、
海兵隊員ならびに皆さんの家族に対し、合州国のために皆さんがこの地で果たし
ている任務に感謝する」と、クリントンはキャンプ・フォスターの人びとに語っ
た。

クリントンは軍人たちに対し、アジア全域に安定をもたらしている、この地にお
ける彼らのプレゼンスの重要性をはっきりと述べた。

「私は、ここに来て、皆さんの任務に強い印象を受ける機会を得たことを、神に
感謝したい気持ちである」と、クリントンは述べた。

「1776年にさかのぼる最初の特別な7月4日、独立宣言の署名が行なわれた時に、
ジョージ・ワシントンはフィラデルフィアにはいなかった。英艦がステーテン島
に軍を上陸させたため、彼は部隊とともに、そこから数マイル離れたニューヨー
クのマンハッタンにいた。独立宣言がフィラデルフィアから届いたとき、ワシン
トン将軍はそれを大声で兵士たちに読み聞かせ、彼らはアメリカの成功が我が軍
の成功に委ねられていることを理解したのである。それは224年前の真実である
が、今日の真実でもある。皆さんがあらゆる場所で、そしてこの地では同盟国の
日本とともに行なっている業績、我われが平和に生活していることについて、皆
さんに感謝する。」

大統領は続けて、「すべての皆さんは沖縄戦闘の悲しく困難な歴史をよく知って
いる。金曜日に、私は平和公園の礎石を訪れる栄誉に浴した。そこの壁にはすべ
ての死者の名前が--日本人もアメリカ人も、そして沖縄の兵士も民間人も同様に
--刻まれていた。それはすばらしい記念碑で、戦闘の一方の側だけではなく、生
命を失ったすべての人びとのためのものである。それは、我われに共通の人間性
に訴える、感動的なステートメントとなっている。また、このような恐るべき出
来事をふたたび起こさせないという、我われの思いを強めるものである。それこ
そが、皆さんがこの地にいる理由なのである。」と語った。

「私は皆さんにそのことを決して忘れてほしくないし、また、皆さんが果たして
いることを、常に、強く強く、誇りにしてほしいと思う。皆さんは、皆さんがい
かに多くの戦争を抑止したかを、いかに多くの死を防いだかを知ることはないで
あろう。しかし皆さんは、合州国軍がこの地に駐屯して以来の、この海域で戦わ
れた戦争の数は知っている。その数は、ゼロである。皆さんは、強く強く、誇り
とすべきである。」

クリントンは、地域に軍事的安定をもたらす責任について語り、そこでは良き隣
人としての責任も生ずると述べた。

「我われは、沖縄の我がホストたちが、国土の1%にも満たないところで日本に
いる我が軍の半数をホストするという、重荷を背負ってきたことを知っている。
彼らはまた、平和を保持するための代償を支払って来たのであり、そのことが、
我われが良き同盟者であることに加え、彼らに対して良き隣人であらねばならな
い理由なのであり、ひとりひとりが、友情を深めることができるあらゆることを
為し、友情を害することは全く為してはならないという、個人的責務を有する理
由なのである。我われは、我われのプレゼンスがもたらすインパクトを減少させ
るために、また良好な関係を発展させるさまざまな活動を促進するために、沖縄
の友人たちの関心事について聞くことを続けなければならない。224年前にアメ
リカが誕生した時、世界で唯一のデモクラシーは、極めて劣勢な陸軍によって護
られた。今日、皆さんは歴史上最も偉大な戦闘部隊の一員であり、前進する自由
の行進の一員なのである。しかし、私が皆さんに言いたい最も重要なことは、皆
さんの同胞であるアメリカ人たちが、皆さんを誇りに思い、皆さんに感謝をして
いるということである。」

演説の最後に、クリントンと娘のチェルシーは、軍人やその家族と対面し握手を
するのに20分間をついやした。

「今回は最高司令官に会える一生に一度の機会だった」と、第18任務支援部隊の
シェリー・ミルズ曹長は語った。「私は、彼が多忙な日程をぬって部隊と握手す
るための時間を作ったこと、またこの島に駐屯する部隊が行なった事績を認識し
ていることに、本当に感銘を受けた。」

名護のG-8サミットでの結幕と、メリーランド州キャンプ・デービットでの中東
和平会談続行とを準備するためにキャンプ・フォスターを発つ前に、クリントン
は沖縄に駐屯する軍人たちに感謝を表明したのである。

「私は、今夜ここで出会えたことに非常に感動した」と、クリントンは語った。
「私はここに来たかった。そして、私が中東和平会談を終結させるために帰途に
つこうとする時に、皆さんが私にインスピレーションを与えてくれたことに感謝
する。私は、皆さんが合州国と、自由と平和の大義とに対して、その生命をささ
げてくれていることを感謝する。」

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 曹長の言う「事績」とは、『Shougun』誌は割愛していますが、大統領
 が「良き隣人」の具体例を述べたところで、「ボランティアによる小学
 生への英語教授」「沖縄北西部の村で歩道橋を架け替えた第9技術支援
 大隊」「Hikariga Ogata Nursing Homeを清掃・修繕した第7通信大隊」
 などの事例を挙げて顕彰していることを指していると思われます。

 「良き隣人の勧め」は一般論・ボランティアの勧めとして述べられてい
 るだけで、説諭とか非行の反省などというものではありません。むしろ
 業績の顕彰という色彩のほうが強いわけです。演説の基調は『Shougun』
 誌の言う通り沖縄駐屯軍の軍事任務遂行に感謝を述べること、士気の昂
 揚に置かれています。沖縄米軍の側も、「ハロー、沖縄米軍!」で始ま
 るこの演説に、ホワイトハウス広報の記録によれば、23回の拍手で応え
 ています。

 クリントン大統領の「抑止=平和維持理論」ですが、「この海域」=沖縄
 戦該当領域以外に遠路出動して戦われた数多くの戦闘はカウントしない
 わけですね。
 

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                                       島川雅史  mshmkw@tama.or.jp
                                                  mshmkw@jca.apc.org
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