Date: Fri, 30 Jun 2000 18:30:27 +0900
From: 加賀谷いそみ<QZF01055@nifty.ne.jp>
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Subject: [keystone 2823] ビエケス島で射撃訓練
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米海軍は6月25日、プエルトリコの東海岸のビエケス島で、射撃訓練を再開。
1999年4月、地元の警備員1人が誤爆で死亡して以来初めての訓練で模擬弾
投下。ビエケス島上空の空中演習も再開。
八月に地中海に向かう空母ジョージ・ワシントンを中心とする戦闘部隊のうち空
母と五,六隻の艦艇による演習。
ガルシア演習地に艦艇から模擬弾六〇〇発、戦闘機がレーザー誘導弾や一千ポン
ド爆弾を含め約六〇〇発(550〜830)の模擬弾投下。総計約十三万ポン
ド。
米海軍南方司令部の報道官、ジェフ・ゴードン大尉(25日)「演習に使用した
のは不活性弾(模擬弾)。海軍は射爆訓練の射程距離には誰もいなかったものと
確信している」

当局は、プエルトルコ地元紙に二十一日付で演習実施を発表。二十四日夜官報で
二十六日午前八時から実施と通知。同二十四日夜演習地に入った島民三十六人を
逮捕。演習期限を二十九日から七月二日に延期。訓練開始が当初の予定より遅れ
たもよう。
二十一日以来、プエルトルコ本島などから約三百人の支援者が集まった。

「実弾訓練は島の環境を破壊し、経済的な発展を阻むばかりか、9300人の住民の
健康にも影響する」と主張してきた、ビエケスの救援と発展のための委員会=C
PRDV・リーダーのロバート・L・ラビン・シーガルさん「警官ら約六十人が
我々を監視している」「我々住民は人間バリケードを作ってでも訓練再開を防
ぐ」「われわれは平和的なあらゆる抗議行動を続ける。米軍基地の被害を受けて
いる沖縄はじめ日本のみなさんに固い連帯を表明したい」

 ゴードン大尉は、訓練前日の24日、海軍敷地内に不法侵入した地元住民37
人を拘束したと発表。しかし、「演習場の敷地内にはまだ市民が残っている」と
いう住民らの主張に対しては、「根拠のない話。演習場には誰もいないし、危険
はない」と語った。海軍は事前に、地元の漁民らに実弾演習を告知して、訓練の
間一部海域は立ち入り禁止にすると警告していた。

   ビエケス島は1941年から米海軍の実弾演習場になっているが、1999
年4月の誤爆事件以来、住民の間で演習場の撤去要求が高まった。

   米国とプエルトリコは今年1月、「住民投票で演習実施が認められるまで、
訓練はしても実弾は使用しない」と合意している。住民投票の日程は今のところ
未定。プエルトリコ側は、実弾訓練を承認する見返りとして、9000万ドル(約9
5億円)の経済援助を受け入れるかどうか検討しているという。
もし島の9,400人の住民が来年の住民投票で追放することを票決するなら、
クリントン大統領は海軍に2003年5月までに ビエケスから撤去するとして
いる。(「代替地」が見つかればのただし書き付き。海軍は、住民投票で住民が
実弾演習が再開されることを認める代わりに4千万ドルの地域振興費を受け取る
か、あるいは5年以内に基地を閉鎖するかを選択することを提案。実弾演習の一
時停止は住民投票が終了するまで延長する行政当局者はしている。)

クリントン大統領の呼びかけで、二八日、ロセジョ・プエルトルコ知事と三政党
が大統領と会談を予定。目的は、米国の「自由連合州」としてのプエルトルコの
地位に関する協議といわれているが、ビエケス問題が一つの焦点になるのは確
実。
(1951年 独自の憲法を持つ政府を樹立する権利を獲得し、プエルトリコ議
会は「自由連合国」を決議。外交・司法・防衛・出入国管理は連邦政府の手に残
される。52年国民投票により新憲法制定、「自由連合州」となる) 

 ビエケス島で27日(現地時間)、反対派プエルトリコ人と米海軍が衝突。昨
年からの一連の抗議行動で、暴力的事態は初めて。
 ペンタゴンのブリーフィングでの報道官の説明によると、逮捕者は164名
(AP電によると135名に修正)。大部分が演習場に入ろうとして排除された
もの。五月四日以後646人が拘留された。
他に海からボートで接近した89隻のボートは海軍の船で追い払われた。一部の
抗議者が海上で鉄のバーを合衆国船員に投げつけ、船員は入院し、その抗議はビ
デオに収めFBIに渡したとした。海軍は武装はしていたが、武力行使(銃弾発
射)を否定。漁船の漁師は暴力を否定。
(連邦保安官とFBIの要員が排除作戦、プエルト・リコ警察が海軍演習場周辺
の群集の制御にあたる計画がされていた。CPRDV「ビエケスにおいて問題な
のは、合衆国海軍であって、決してプエルト・リコ警察ではない」)

 ビエケス島では抗議の動きが強くなって現在は「非常事態」ではないかとの報
道陣の質問に、報道官は「抗議人の90%が島外のプエルトリコ本島からだ」と
して、否定。
また、実弾投下と岸発生率の因果関係についても他より高いという証拠はないと
した。
(プエルト・リコ大学公衆衛生学部の調査によると、ビエケスではプエルト・リ
コの他の地域に比べて27%もガンの発生率が高い。プエルト・リコ議会はこの
高いガン発生率の原因を究明するための疫学的調査を命ずる法案を可決。)

今後の演習も予定通り行われる。
(赤旗00/06/28、CNN2000.06.26、 New York Times June 26, 2000 、AP
06/27/00、若干カイセツ付き)

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1940年代以来、米海軍はビエケスの33,000エーカーの土地のうちの4
分の3を占有。

1950年9月  朝鮮戦争へのプエルトリコ青年の参加をきっかけに、全島で
反米運動

1983年 海軍は、プエルトリコ知事カルロス・ロメロ・バルセーロとのあい
だにビエケス島基地の使用に関する協定を結び、海軍はこれにより、1,爆弾、
特に実弾の使用を控える。2.希少生物や海洋生物、マングローブの保護に配慮
する。3.ビエケスの経済とインフラ・通信などの発展に貢献し、島民の理解を
深めることなどが義務付けられる。

しかし、その協定は反故同然。
その上、米海軍はビエケスをNATOその他の国に爆撃演習場として「貸し出
し」ている。
その宣伝文は「我々の任務:プロフェッショナルな顧客サービスを首尾一貫して
提供する。合衆国および他の国の航空機、艦船および潜水艦による実戦さながら
の対潜水艦戦闘訓練、ほとんどの非通常兵器(核・生物・化学兵器)による実弾
射撃能力、開発中および実戦配備試験中の兵器システムのための空域、地表、海
面下の確保…。」と。
(コソボで劣化ウラン弾が「誤って」使用されたが、今後「非通常兵器」もいつ
「誤って」隣の藪からでてくるかわからないということ)

1993年10月には、FA18型戦闘機がおよそ10マイルにわたって目標を
あやまり、ビエケス島の中心の町から1マイルの地点に5発の500ポンド実弾
を投下、サンゴ礁をはじめとする海洋環境を破壊。米軍は珊瑚礁の破壊はハリ
ケーンによるものと主張。

1999年
4月19日 ビエケス島の海軍演習で射撃訓練の観測塔に向けて二発の500ポ
ンド爆弾を誤射。民間人ガードマンのデビッド・セインス・ロドリゲスが死亡、
他4人が負傷。

5月1日 プエルトリコ上院は全会一致で、米国海兵隊のビエケス島爆撃演習の
即時中止を求める決議を採択。

5月26日 海軍当局が、ビエケス島に於ける演習で、263発の劣化ウラン砲
弾を「誤って」発射した事実を認める。このうち回収された爆弾はわずか57発
にとどまる。

7月4日 プエルト・リコ本島では全国的な調整委員会である「すべてのプエル
ト・リコをビエケスのために」は5万人をデモ行進に動員し、合衆国本土外では
世界最大の米海軍基地である、セイバにあるルーズベルト・ロード海軍基地の正
門は人の波で埋め尽くされた。
大統領諮問委員会がビエケスにおける軍事基地の状況について調査するために7
月24日に来島し、住民代表と話し合いを持った。町の広場では500人以上の
人々が集まり、公聴会が開かれている市庁舎を取り囲んだ。この諮問委員会は調
査結果及び提言を9月初めにはクリントン大統領宛に提出。

7月12日 海軍は1993年にナパーム弾や猛毒の化学兵器をビエケスで使用
していたことを認める.

8月1日 ビエケス島民とプエルト・リコ本島からの支援者100名あまりが爆
撃演習場内にある海軍の監視所まで行進し担当仕官に「最後通牒」を突きつけ
た。

8月4日 「ビエケス島援助と開発のための委員会』がワシントンで記者会見。
全国版のニュースとして各地で放映される。

10月18日 国防総省のビエケスの軍事演習に関する諮問機関は「海軍は5年
以内にビエケスを撤去、それまでに爆弾訓練を漸減すべきである』と勧告。国防
総省のホームページで発表。

12月3日 クリントンが海軍演習について譲歩の提案。現在中止中の演習を春
から再開するが、規模を大幅に縮小し、模擬弾のみの演習にとどめると提案。ま
た同時に4千万ドルの使用料をプエルトリコに支払い、5年後の基地廃止に向け
段階的縮小を図るとした。
プエルトリコ知事のペドロ・ロッセージョはただちにこの提案を拒否。現地の争
議団も春以降の立ち退きを拒否する声明を発表。
ジョンソン海軍参謀長はビエケスに代わる実弾演習の基地はないと強調。

2000年
1月31日 クリントン大統領とプエルト・リコ知事の間の爆撃演習再開につい
て合意。
演習場の閉鎖に関する住民投票実施の見返りとして少なくとも3年間模擬弾によ
る演習を認める。4千万ドルにおよぶビエケス島の経済振興予算と、島の3分の
1を占める弾薬処理場の返還を含む。海軍は抗議者が排除されない限り、振興予
算はおろせないと主張。
 
3月 空母ジョージ・ワシントンと12隻の船舶、15、000人の兵員、およ
そ80機の航空機からなるその船団は、3月および4月のビエケスで予定されて
いた演習の実施をメキシコ湾へ移動。演習にはフロリダ州のエグリン空軍基地に
おける爆撃演習を含む。

6月1日 海軍の警備隊は、プエルト・リコのビエケス島の射撃演習上へ向かっ
て小さなボートで向かっていた31人を逮捕。5月4日に連邦が爆撃演習場を抗
議者たちの手から取り返して以来、被逮捕者の総数は316人。
国防省報道官「われわれはこれらの人々が上陸しようとする直前に逮捕をおこ
なった。海軍は今や射爆場の安全に対して責任を有している。彼らはすばらしい
仕事をしたと思う。」 (ロイター 2000年6月2日)
 
6月6日 劣化ウラン弾浄化計画に関し、原子力委員会と環境保護グループが
「衝突」
合衆国の原子力委員会地域主任「土に埋められたまま放置される(劣化ウラン弾
の)危険は最小のものである。それは爆撃演習場内部であり、公衆に立ち入りが
制限されている区域なのだから、問題をおこすことはない」
プエルト・リコの民間の環境保護センター「あなたたちは、ビエケス住民の健康
を害するという点において、海軍の共犯者ではないか」(AP)
 

プエルト・リコ、ビエケスから沖縄、名護へのメッセージ
http://www.rik.co.jp/edic/nagocnet/data/

CPRDV「ビエケスの救援と発展のための委員会(Comite' Pro Rescate y
Desarrollo de Vieques)」は、ビエケスにおけるすべての合衆国軍隊の活動を終
了させ、島の持続可能な発展を推進することを目的とする無党派、草の根の組
織。ビエケスのすべての政治的潮流に属する地域、市民リーダーたちが1993
年にこの委員会を創設。CPRDVは漁民や、近年結成されたビエケスの女性と
青年の組織など、ビエケス社会のさまざまな分野の人々と協力し、非暴力・市民
的不服従の取り組みを続けている。
 「私たちには平和的行動から背を向けることを想像することさえできない。ビ
エケスの平和への闘いの原理的手段である平和的・市民的不服従からの転換を、
一分たりとも考えてはならない。」ロバート・L・ラビン・シーガル/Robert L.
Rabin Siegal (5月20日)



 
  • 1998年     3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
  • 1999年     1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
  • 2000年     1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月

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