Date: Sat,  6 May 2000 17:05:41 +0900
From: 加賀谷いそみ<QZF01055@nifty.ne.jp>
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Subject: [keystone 2669] <改憲>憲法53歳
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 憲法53歳、時々の政府にいいように使われてきた憲法も、九十年代からの人
権意識の高まりのなか、ようやく成人し、世界市民とともに歩もうとしています
が、この国の市民の育て方が怠慢だったために改憲ウイルスにむしばまれ、成人
病も併発してしまいました。私たちの急務はそのリハビリです。このまま放って
おけば再起不能におちいり、「発展させる」どころではありません。

一方、日本会議は「これから護憲派の必死の抵抗があるだろう」と今までにない
「危機感」を持っているようです。この国に定着している戦争放棄の精神を「改
憲」するというのは調査会で暴言を吐いて済ませられるほど容易なことではない
のです。改憲勢力による多々の戦争法成立に政権が二つ三つぶれても不思議はな
いほど精力的に「尽力」され病に倒れた小渕元首相がそれを暗示しています。

■2日 参院憲法調査会 参考人に旧GHQ

 衆参両院に憲法調査会が設置され初めての憲法記念日を迎えるに当たり、参院
の憲法調査会(村上正邦会長)は二日、日本国憲法の原案起草にかかわった旧連合
国軍総司令部(GHQ)民政局関係者二人を参考人に招き、意見聴取と質疑を行っ
た。旧GHQ関係者が国会で憲法制定過程について証言するのは初めて。(三名
は三年前の憲法調査委員会設置推進議員連盟<中山太郎会長>のシンポジウムで
意見を述べたことがある。ゴードンさんは当時のシンポを「改憲の必要性に偏っ
た議論」と感じていたが「三年前とは全然違う」朝日)
 参院調査会によると、旧GHQ民政局で憲法起草に携わったメンバーは十九人
いたが、五十年余がたった現在、生存が確認できたのは四人。今回はうち三人が
来日する予定だったが、行政権小委員会所属のミルトン・エスマン氏(八一)は体
調不良のため欠席した。エスマン氏の意見は書面で提出し、同調査会の武見敬三
幹事が代読した。

【参考人冒頭発言】
▽ベアテ・シロタ・ゴードンさん
 日本の女性には全然権利がないことを知っていたので、どうしても憲法に女性
の権利を具体的に入れたかった。女性の福祉についていろいろと盛り込んでみた
が、ケーディス大佐から「米国の憲法以上のことを書いている」と言われるなど
して、結局、残ったのは(男女平等をうたった)二四条の部分だけになった。
 この憲法を、日本政府はあまり喜ばなかったが、国民は喜んで受け入れてくれ
た。日本の憲法は米国の憲法よりもすばらしく、押しつけられたというのは正し
くない。
 歴史的にいろんな国から文化などが日本に入った。他国から憲法を受け入れる
のも、よいものならそれでいいのではないか。五十年以上も改正されない憲法は
世界で初めてで、世界のモデルになる。
 【略歴】1923年、ウィーン生まれ。28年に来日し、39年まで滞在。45年12月に
再来日。GHQ民政局に配属され、人権問題を担当。47年に帰米後、ジョセフ・
ゴードン氏と結婚、舞台芸術活動に携わる。

▽リチャード・A・プールさん
 GHQ草案は多くの日本の学者や研究機関の見解を反映させたものだ。政府、
国会は草案を改正し、天皇自身も改正案を支持した。この憲法で本当の民主主義
を樹立し、日本国民の利益が守られ、日本が西側民主主義国家に仲間入りできた
と信じている。憲法改正については、必要が生じた場合にのみ個々の問題につい
て検討すべきだ。
 新憲法では、天皇が統治権を持たない立憲君主制を目指した。天皇の地位につ
いて改正しようという要求は私の知る範囲では出ていない。九条では(戦力不保
持とする)第二項を改正してもよいと思う。自衛隊という名の下の軍隊があるの
で、防衛と国際平和維持活動だけに役割を限定した軍隊の規定を明確にして、こ
のようなあいまいさに終止符を打つべきだと考える。
 【略歴】1919年、横浜生まれ。26年に米国へ移るが、45年10月に来日。GHQ
民政局外事部に配属され、憲法起草では天皇、条約および授権条項を担当。その
後は外交官として活躍した。

▽ミルトン・エスマンさん(書面証言)
 GHQ自らが憲法を起草する方法に当時は反対した。民主主義的考えを持つ日
本の学者、オピニオンリーダーが起草に参画することが重要で、それができない
と押しつけとみられ、占領が終わると存続できないと考えたためだ。しかし、日
本国民の大多数は自分たち自身のものとしてマッカーサー昭和憲法を受け入れ、
熱心に擁護した。
 憲法が具体的権限を明記しなくても、政府は憲法の条文から合理的に導き出せ
る行動をとることができる。すべての国家が自己防衛の権利を持っているとの理
由から、国会と裁判所が九条の解釈を通じて自衛隊を認知したのは正しい。起草
者は戦後の日本が国際平和維持に参加することを望んでいたから、国連平和維持
活動への参加の禁止、制限を憲法に挿入しようとしたことは考えられない。
 【略歴】一九一八年、米国生まれ。GHQ民政局在任中には、憲法起草で行政
権について担当。その後、大学で政治学の教べんをとる。
(産経00/05/03)

■ 主な質疑
 ▽久世公尭さん(自民・保守)「憲法制定時から社会、経済環境は変化し、憲法
と現実のかい離は大きくなった。拡大解釈ではなく、規定をはっきりさせるべき
だと思うが」
 プールさん「九条については、軍隊の役割を明確化すべきだ。すでに自衛隊と
いう軍隊が存在しており、憲法と現実を沿ったものにした方がいい。また、侵略
戦争はしないとすれば、(周辺諸国に)安心感を与えられる」

 ▽扇千景さん(保守)「憲法施行後、日本の女性のいいところが失われた」
 ゴードンさん「伝統的な文化を失うのは残念だが、戦前は女性の権利が全然な
かった。女性と男性が互いにサポートしながら生きていくことが大事だ」(朝
日)

 ▽笹野貞子さん(民主)「ゴードン氏の業績は憲法(男女平等などを定めた)二四
条にも残っているが、何より(男女の)同一労働同一賃金という勤労権のことを五
十年前に言っているのが素晴らしい」
 ゴードンさん「これは日本だけの問題じゃない。男女の賃金格差が大きいとい
うが、米国も今でも男性の賃金が一ドルとしたら女性は八十セントだ。こういう
ものは時間がかかるが、今からもっと早く進むと思う」

 ▽高野博師さん(公明・改革)「マッカーサー元帥は九条(を盛り込むこと)につ
いては自分の考えを貫いたが、後世に偉大な政治家として名を残すことを意識し
ていたからと思うか」
 プールさん「マッカーサー氏の心中は全く分からない。ただ、彼は日本を去っ
た後、『この憲法は自分の業績の中でも最も光り輝いている』と言っていた。だ
が、朝鮮戦争が勃発(ぼっぱつ)してからは考えが変わったかもしれない」

 ▽吉川春子さん(共産)「日本でも第一次世界大戦後、女性の参政権獲得を含む
民主化運動があった。(GHQの憲法草案づくりの際には)そのような運動も念頭
にあったのか」
 ゴードンさん「GHQは草案を書くとき、他国の憲法を調べるのに忙しく、他
人と話すひまもなかったから、詳しくは知らなかった。私は後に(婦人運動家
だった)市川房枝元参院議員の通訳をしたときに、いろいろ教わった」

 ▽福島瑞穂さん(社民)「憲法をプレゼントしてくれて本当にありがとう。アジ
ア諸国に対する九条の意義をどう考えるか」
 ゴードンさん「アジア諸国は、日本の軍国主義を忘れてはいないと思う。九条
が改正されれば、何が出てくるかと思うだろう」

 ▽平野貞夫さん(参議院クラブ)「ラウエル氏(民政局法規課長)の文書による
と、憲法の改正規定について、当初の十年間は改正を禁止するという構想があっ
たとあるが」
 プールさん「われわれ内部では議論をしたが、日本政府に提示したものではな
い。当時、『憲法を改正しにくくした方がいい』『日本政府が十年に一度見直し
た方がいい』などというアイデアもあった」

 ▽佐藤道夫さん(二院クラブ)「学説上、憲法改正には限界があり、基本理念を
改正することはできないという考え方がある。そうすると、現憲法の枠内で軍隊
を持つことはできないとみるのが普通と思うが」
 プールさん「どのような改正が検討されるかに制限はないと思う」

−審議終了後−
▽ゴードンさん「私たちの意見を取り入れるかどうかは別にして、真剣に意見を
聞こうという姿勢には感銘を受けた」「改憲派の委員が多いことは知っている。
でも私の話を聞いてたった一人でも憲法の大切さをわかってくれたら、遠くから
来たかいがありました」

▽プールさん「懸命に説明したけれどわかってもらえたかどうか」「私たちが一
貫して日本の人々の利益のために草案づくりに汗を流したことが理解されたかど
うか(もっとも心配だった)」「私たちが民主主義を思う気持ちは純粋だった」
(産経00/05/03)

−傍聴席での学生の声−
「我々と同年代の若者が憲法を想起していたなんて」
「憲法が米国の押しつけかどうかは関係がない。今の憲法を見つめ直し、個別の
条文ごとに改正すべき点があるのかないのかを理論的に議論することの大切さを
感じた」
「若い人の間には憲法改正という意見が多いけれど、経緯を知れば今の憲法の重
要さが理解できるはずだ」
「起草者の思いを聞き。憲法が血の通ったものに感じられるようになった。やっ
と築けたアジア諸国とのいい関係を壊してしまいそうだから、改正には反対」
(朝日00/05/03)

−談話−
▽ゴードンさん「草案起草に参加したわれわれは長い間黙っていた。憲法を改正
したい人たちが(当時、二十代前半だった)私の若さを盾にとって改正を進める
ことを私は恐れていた」
▽プールさん「みなさんの審議はこれから五年間続くと聞いている。私は百歳ま
で生きるつもりだ。必ずや、五周年の審議にも参加できると確信している」
(河北00/05/03)

▽ベアテ・シロタ・ゴードンさん(77)が1日、東京都内で記者会見、九条を
含めた改憲論について「残念だ」と述べ、米軍統治下で憲法のらち外にあった戦
後沖縄の現実に関しては「沖縄にいろんな問題があることは知っている。平和の
ために何でもやっていきたい」と述べた。
 ベアテさんは日本国憲法誕生の舞台裏を描く青年劇場の『真珠の首飾り』
(ジェームス三木作・演出)のモデル。今月27日に浦添市民会館、28日に読
谷村文化センターで公演。
 ベアテさん「政治的問題は専門じゃない」が「基地の問題でそうなった。私は
普通の女性と同じように、平和のために何でもやっていきたい。(われわれの)
子どもや孫たちの将来が心配だ。平和がないと、安全で楽しい生活はできない」
 沖縄公演に向けてのメッセージ「沖縄の人々は勇敢にも自分たちの権利のため
に立ち上がり、男女平等の開花と恒久平和への希望をもって未来へ向かってい
る」
(琉球新報2000年5月2日)

▽市民組織「第9条の会」を結成したチャールズ・オーバービーさん
「憲法9条というすばらしい英知がむしばまれていくのを懸念してきましたが、
最近その傾向が強まり、恐怖さえ感じるようになりました。国家主権としての戦
争を放棄するというすばらしい憲法9条の基本原則を持っているのだから、その
成立過程を問題にする改憲議論は意味がありません」「日本国憲法のような立派
な憲法は、いったん手放したら二度と手に入れられない」
(毎日00/05/03)

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これまでの憲法調査会審議時間 衆院32時間、参院14時間
生産性のない改憲議論に時間を費やしている間に、政府は、政治、経済、社会問
題のすべてに深刻な行きづまりを呈してきています。

■衆院憲法調査会が募集論文優秀19作を発表
 衆院憲法調査会(中山太郎会長)は三日付で、憲法記念日に向けて「憲法調査
会に望むもの」とのテーマで一般から募集した論文の中から優秀作品十九点を選
び、発表した。応募総数は二百十二点(応募者二百十一人)に上り、応募者は、
二十代が三十九人と最も多く、次いで七十代が三十四人と、若者と高齢者の応募
が目立った。
(読売00/05/04)

■《論議の行方 「10テーマ」の分科会設置へ》
 衆院の調査会では、制定過程の議論について「これまでに明らかになった」
(中山会長)として十一日の総括討論で打ち切り、次回からは、最高裁の違憲判決
について議論する。最高裁の判決に至るプロセス、どんな種類・内容の訴訟が提
起されたかなどを調べ、今後の憲法裁判のあり方、運用を考える資料として議事
録に残す目的だ。
 今国会の調査はここで締めくくり、衆院選後の次期国会からは、地方公聴会を
開始する。また、内閣の憲法調査会で論議された「天皇」「非常事態」「国会」
をはじめ「地方自治」「政党・選挙」「司法」など十テーマについて分科会を設
け、議論を深める方針。中山会長は「今後、与野党で大きく対立する点はあまり
ない」と話す。

▽中山太郎・衆院調査会長
 これまで十人の参考人を招き、三十時間にわたって憲法制定経緯について調査
を行った結果、制定過程が明らかになり、それぞれの立場は別としても各委員の
共通認識ができた。しかも、それが国会の議事録に記録され、永久に保存される
意義は大きい。その意味で、非常にうまくいった。今後の調査では、憲法と地域
の集団安全保障をどう考えるかが重要だが、議論を通じて、委員が自分の意見を
変えていくこともあるだろう。また、憲法記念日をきっかけに国民はさらに憲法
に関心を持つのではないか。主権者であることを、国民自身に認識してほしい。
自分たちの手で国をつくることが原点だからだ。(談)

 一方、委員相互の自由討議を中心に活動してきた参院は当面、学識経験者を呼
んでの討議や、経済界、地方首長らからの意見聴取を進める考えだ。
▽村上正邦・参院調査会長
 今後の調査会の方向性はまだ言える段階ではないが、今の憲法による苦しみや
喜びなど、さまざまな実体験や実生活の中からの声を聞きたい。共産党のいう
“暮らしの中の憲法”の実態はどうなのか。そこまで掘り下げていければいいと
思っている。国会の場だけの論議にはしたくない。調査会の期間はおおむね五年
間となっている。十年という一つの区切りの半分ということだろうが、国会議員
は衆院は解散で任期が終わるし、参院も三年ごとに半数が選挙を迎えるので、ど
の議員もずっと調査会にいるわけではない。参院の改選時(平成十三年七月)に一
つの中間報告をまとめられればいいと思っている。(談)

 今後、衆参共同で調査会を開いたり、両院の調査内容の調整を行ったりする可
能性については「それは衆院選が終わってからの話」(幹事)という。
 (産経00/05/04)

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■各氏談話
 ▽民主党の鳩山由紀夫代表は30日、福島県二本松市と郡山市で講演し、憲法
改正について「首相公選制を憲法改正の主要なテーマととらえていく。知る権利
も憲法の中に位置づけることが大事だ。できれば、総選挙の政策の目玉の1つに
取り入れられないか検討している」と述べた。
 講演後の記者会見では「平和主義や国民主権を評価しながら、新しい時代の憲
法を考える大切な時期に来ている」と語った。
(朝日00/05/01)

 ▽民主党の横路孝弘副代表は3日、札幌市で開かれた憲法記念日の集会で講演
し、同党の鳩山由紀夫代表が4月末に憲法改正を同党の総選挙公約にする意欲を
示したことに対して、「党の方針に反する行為。代表は党内全体の意見をしっか
り踏まえて発言するべきだ」とけん制した。
 旧社会党出身の横路氏は、委員を務める衆院の憲法調査会でも改憲に慎重な姿
勢を示しており、この日も「9条と現実は確かに違うが、現憲法は国の土台を決
めているもので、細かいところは法律で規定すればいい。あとは環境権などを
『付け加えよう』という人の気持ちをどう受け止めるのかが大事だ」と述べた。
(朝日00/05/04)

 ▽稲嶺恵一知事は一日午前の定例記者懇談会で「多くの方が多くの意見を言う
のは、大変いいこと」と述べ、「論憲」を積極評価した。稲嶺知事が憲法論議の
在り方に言及するのはこれが初めて。
 稲嶺知事「平和主義、国民主権、基本的人権の尊重を基本理念とした憲法が国
民生活の向上と、わが国の平和と安定に大きな役割を果たしてきた」「憲法につ
いては従来、ややもすると右か左か、白か黒かという論争になったが、新たな論
憲が出てきた。多くの方が多くのいろんな意見を言うことは、大変いいこと」
(沖縄タイムス00/05/02)

 ▽共産党の不破哲三委員長は1日、CS放送朝日ニュースターの番組収録で、
積極的な国際貢献の必要性を理由にした憲法9条の改正論が自民党などから出て
いることについて、「米ソ対立の激しい時代にもやらなかったことを、平和の秩
序をどうつくるかが大問題となっている時にやるのは、一種の時代錯誤だ」と批
判した。そのうえで不破氏は「9条が果たしている役割を前向きに議論すること
が必要だ。外交努力に力を入れる時代であり、9条をもつ日本は世界の信頼も得
ることができるし、貢献もし得る」と述べた。
(朝日00/05/02)

 ▽衆院憲法調査会の中山太郎会長の憲法記念日に関する談話(三日付)
現憲法について、「個人の人権尊重、主権在民、侵略国家とはならないという憲
法の三つの理念は、深く国民の間に浸透し、しっかりと根付いている」「憲法制
定当時には想像もできなかったほどに(内外の諸情勢は)変ぼうしてきた。国家
の基本法である憲法のあり方について広範かつ総合的な調査・検討を行い、その
結果を早急に国民に提示することが、国権の最高機関たる国会の使命である」

−各党談話−
▽保守「憲法はますます現実とかい離する事態を招いている。二十一世紀の日本
をどうするか、できるだけ早い時期に『新しい憲法』の制定を目指す」
▽自由「憲法を見直すべき打という国民世論は過半数を超えるに至った。『論
憲』ではなく、具体的な憲法改正を視野に入れ、今後の国会審議に臨んでいく」
▽自民党「憲法のあり方を常に点検していくことは当然だ。時代にあった憲法の
あり方について、憲法調査会などで幅広く真剣な論議を展開していきたい」
憲法の見直しでは国際貢献や安全保障、危機管理などが課題になる、との考えを
表明(野中さん)
▽公明「国会での憲法論議の活性化は、あるべき二十一世紀の日本及び日本国民
の姿を見つめ直す最大のチャンスと受けとめている」
 「国民が広く参加し、関心をもって憲法議論に関与してもらうことが大事だ。
拙速であってはならない」(神崎武法代表=東京・新宿で街頭演説)
▽民主「憲法を改正すべきだという立場も、かたくなに改正を否定する立場もと
ることなく、二十一世紀の『この国のかたち』を構想し、憲法はいかにあるべき
かを検討すべきだ」(鳩山さん)
▽共産「憲法の平和的民主的な諸原則の先駆性は今、いよいよ鮮やかだ。憲法九
条は二十一世紀の世界平和の羅針盤となる原則だ」
「憲法と現実政治のかい離は、自民党によって憲法の先駆的原則がゆがめられて
きた結果だ」(志位和夫書記局長談話)
▽社民「憲法調査会では、与党はもとより野党の一部からも憲法を変えようとい
う主張が出されているが、憲法を実現してこなかった責任をほおかむりするもの
だ」
「環境権や私学助成のために憲法改正が必要との主張があるが、目的は前文や9
条の改正。国会議員の数だけで改正論議が進むことを危ぐする」(土井たか子党
首・東京・上野街頭演説)

−NHK番組で−
葉梨信行さん(自民)「現実的な土台の上に議論していかなければならない」
平野貞夫さん(自由)「原理は守るが、拡大解釈できないよう整理するべきだ」
志位書記局長(共産)「九条は先駆的な内容で、九条に現実を近づけるべきだ」
野田幹事長(保守)「三年で調査を終え、五年で新しい憲法の制定を図るべき
だ」
太田昭宏幹事長代理(公明)「十年かけて議論すべきだ」
鹿野道彦副代表(民主)「三年議論し、残りの二年で方向付けを打ち出して行く
べきだ」
(読売00/05/03、朝日00/05/04)
 

「『創作的なあいまいさ』を評価したい」という「外交辞令」をどう読みとるか
で政府のアジアへの姿勢も今後知られるでしょう。

■台湾・韓国

▽台湾訪問中の村上正邦参院自民党議員会長ら与党3党の国会議員団10人は1日、
台北市内で陳水扁次期総統と会談した。陳氏は日米防衛協力のための指針(ガイ
ドライン)関連法について「地理的な意味でなく、(事態の)性質を判断すると
いう『創作的なあいまいさ』を評価したい」と表明した。これは中国への配慮な
どから、指針が対象とする周辺事態の概念として「台湾海峡」の明確化をあえて
求めず、「周辺事態は地理的なものでなく、事態の性質に着目したもの」とする
日本政府の見解に理解を示した発言と見られる。
 台湾では「周辺事態には台湾海峡が含まれる」との受け止め方が一般的で、陳
氏自身も三月の総統選挙に向けて出した著書では同じ認識を示していた。
五月二十日の新総統就任式にあたっては「台湾海峡の安全を重要視し、アジア太
平洋地域の安定、平和を望んでいる日本人なら歓迎する」と代表団派遣を正式に
要請し、村上氏も台湾派の国会議員でつくる日華議員懇談会で人選を急ぐ考えを
伝えた。
 陳氏は、日本の企業連合が受注を内定した台湾新幹線について「日本と台湾の
協力はこれからだが、日本政府はまだ積極的な態度ではない。国会や民間だけの
力では足りず、日本政府の支援が必要だ」と述べた。
(朝日・日経00/05/02)

▽韓国の金大中大統領は1日、ソウルを訪れた山崎拓・元自民党政調会長と青瓦
台(大統領官邸)で会談。
 山崎氏は、国会に設置された憲法調査会にふれ、「『自衛隊は自衛のための軍
隊』と明確にしたい、と個人的に考えている。同時に侵略戦争は決して行わない
と改めて明確にしたい」と、憲法9条の改正に向けて持論を説明。金大統領は
「国際社会の声を注意深く聞いて論議してほしい。今の段階では議論の中身がわ
からないので、もう少し具体的になってから韓国の考えを伝えたい」と応じた。
(朝日00/05/02)

▽韓国の朴泰俊首相は二日、訪韓中の山崎拓・元自民党政調会長と会談
 山崎氏は憲法改正について、個別的自衛権は当然、明記すべきとしたうえで、
「集団的自衛権が、他国の領域で行使できるのかという説もある。これについて
当該国の了解があれば(いい)ということを言っている」とし、「例えば、韓国
で北朝鮮と在日米軍が戦う時に、同盟関係にある日本が韓国の領域で戦うこと
は、韓国は多分拒否するだろう」との認識を示した。

 これに対し、朴首相は「いつまでも過去にこだわっているわけにもいくまい。
それは当然の考えである。(朝鮮半島での日本の参戦は)国民感情もあるので、
大体あなたの言った通りではないか」と山崎氏の考えに同意する姿勢を示した。
(読売5月3日01:05)

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「改憲」のネタ切れか、読売では試案第二号を公表。「身体、通信、居住及び移
転の自由並びに財産権を制限する」ことができるとのこと。これに沿って議論す
るしか能のない議員。その唯一の「正義」が「国際協調」「国際貢献」ですが、
その「国際」の相手がどこなのか、そろそろみなさん察しがつき始めてきている
ようです。盗聴法・国民総背番号制を成立させた勢力が「プライバシー」云々を
唱えたところで説得力はありません。

小渕さんの緊急入院で、森喜郎幹事長・野中広務幹事長代理・亀井静香政調会
長・村上正邦参議院会長(小渕さん緊急入院当時)が「密談」中、自衛隊指揮権
に2時間の空白があったとのこと。「危機管理」は、ばく大な開発資金をあてに
する死の商人・軍事関連産業のためにあるのです。米国がNMD(米本土ミサイ
ル防衛)を配備した場合、2015年までに約600億ドルの費用がかかるとの
こと。24日の防衛庁舎閉庁式で中曽根康弘元首相も「(現代戦は)遠距離から
ピンポイントを撃つ頭脳戦争になっており、新しい防衛体系が要請される」と自
衛隊装備のハイテク化の必要性を指摘。

読売が「改憲」をそそのかした様子を得意げに披露していますが、その読売をそ
そのかしたのは誰なのでしょう。他紙の調査では「九条擁護」の世論は依然六割
を越えています。

■読売試案

 読売新聞が提言した憲法改正第二次試案は、九四年に発表した改正試案を改
訂・補強したもの。
 九四年試案が発表された同年の本社世論調査では、憲法改正の是非について、
「改正する方がよい」が44%、「改正しない方がよい」は40%と、改正賛成
が反対をやや上回る程度だった。それが、今年三月の調査では改正賛成が60%
に達し、反対(27%)を大きく引き離した。
八六年の本社世論調査では、改正反対が57%、賛成は23%だった。

読売新聞が九七年に全国会議員を対象に行ったアンケート調査で改正賛成派が6
0%を占め、今年三月、衆参両院の憲法調査会メンバーに行ったアンケート調査
では69%に達した。
 読売新聞は九七年五月、「二十一世紀への構想」を発表し、国会に常設の憲法
問題等委員会、内閣に憲法調査会を設置することを提言した。同月、保守系国会
議員を中心とした超党派の「憲法調査委員会設置推進議員連盟」(憲法議連、会
長=中山太郎・元外相)が結成され、全国会議員のほぼ半数が参加したのが、憲
法調査会設置の原動力となった。

護憲派で知られる江橋崇・法政大教授は四月の講演で「プラス改憲の提唱」を発
表した。現行憲法の条文はそのまま残し、改正部分は条文を追加していくという
方式を提唱したものだ。現行憲法の条文は維持されるので護憲派の理解を得ら
れ、時代の変化にも対応できるのではないかという訳だ。憲法改正を求める意見
が多数を占める世論が定着した中で、護憲派の学者たちにも変化が起きているこ
とを象徴したものといえる。

 ◆読売新聞憲法問題研究会メンバー◆

 ▽論説委員会=朝倉敏夫、松本斉、上村武志、山岡邦彦▽調査研究本部=中野
邦観、加藤孔昭、鬼頭誠▽政治部=赤座弘一、前木理一郎、鳥山忠志▽経済部=
北原久史▽社会部=丸山伸一▽解説部=木戸健介、笹島雅彦、永峰好美▽社会保
障部=石崎浩▽編成部=広田茂樹▽大阪本社調査研究室=谷高志
(読売5月3日)

 ▽自民党の野中幹事長「『公共の福祉』は大事な問題であり、試案でその内容
を明示したことは評価できる。基本的な緊急事態条項も(憲法に)あっていいだ
ろう」

 ▽公明党の神崎代表「政党条項や緊急事態などが盛り込まれており、意欲的な
内容になっている。公明党は論憲の立場に立っており、読売試案はこれからの国
会議論のたたき台になるものだと思う」

 ▽保守党の野田幹事長「全体的に保守党の主張と重なる内容だ。『自衛のため
の軍隊』明記は当然だし、地方自治の『自立と自己責任』もまさにそうだ」
「(衆院の法案可決権強化については)その前に、二院制なら首相公選、議院内
閣制なら一院でいいといった公選制と両院関係の整理が必要かも知れない」

 ▽民主党の鳩山代表「全体的には評価したい。とくに『公共の福祉』の明確化
は大変評価できる。基本的人権と公共の福祉のバランスがよく取れている」
「(衆院の法案可決権強化については)参院無用論を助長することにつながりか
ねないので慎重にしなければとも思う」

 ▽自由党の藤井幹事長「自衛力というのは自衛のための力で、『自衛軍』なの
だから軍隊と呼ぶのはいいと思う。ただし、その役割は自衛権の発動の範囲に限
られるべきだ。戦前のように邦人保護の名において外国へ行くようなことはあっ
てはならない」

 ▽共産党の不破委員長「自衛のための軍隊」明記に反対の考えを示し、「(現
実と憲法九条の矛盾は)国民多数の合意の形成に努力しながら一歩一歩、現実を
憲法の規定に接近させていく方向で解決することが重要だ」

 ▽衆院憲法調査会の中山太郎会長「今回の試案は衆院憲法調査会でも貴重な資
料となるだろう。具体的な提言では、政党条項の導入、緊急事態条項の新設、地
方自治の基本原則の明示などに高い関心を持った」
(読売5月4日)

憲法調査会の勢力配分とはうらはらに、「改憲」系社説は日経・読売・産経と少
数派。地方紙を含めてほとんどが「日和見論憲」系。ただ、調査会発足当初と
違って「論憲」にも「危惧」をにじませた論説が出てきています。

■社説(3日付)
▽読売
二十一世紀の新憲法に向けて
[「公共の福祉」に国際的視野を][政治運営の機動性を高めよ][九四年試案
の論点も重要][国家戦略の樹立へ議論始めよ]
▽朝日
憲法記念日――後ろ向きの「押しつけ論」
 「自立」と絡める主張も・国民はどう評価したか・排外主義に通じる恐れ
▽日経
憲法見直し論議は多様な視点で
   避けて通れない9条問題・地方自治も重要な論点
▽サンケイ
主張 改憲への「場」を設定せよ−その機運を逃すべきではない
     《森首相の歴史的な役割》《“改憲戦線”は広がった》
▽毎日
 憲法記念日 虚心に憲法総点検を 日本の将来像見据えて
    論議の舞台は整った・戦後システムの見直し
▽東京
「国のかたち」と迷彩
 国のあり方は憲法に由来・「新しい権利」に強い関心・「歴史の教訓」を踏ま
えて
▽琉球新法
憲法記念日−暮らしの中で実践しよう
 憲法の成立経過からして、沖縄は、蚊帳の外だった。「いやなら出て行け」と
いう論理だ。おぞましい発言というほかない。対話と寛容の国際社会を
▽河北新報
憲法−暮らしの中で語り継ごう
▽秋田魁新報
憲法を考える−生活とのかかわりも視野に

■改憲集会(四日付)
▽「日本会議・日本会議国会議員懇談会」は、東京・平河町の砂防会館で「今、
憲法調査会に問われるもの」と題するシンポジウムを開催。昨年より約300人
多い約1300人が参加。「三原則もタブーを設けず調査すればいい。国民の改
憲の声に答えて、中間答申はなるべく早くまとめるべきだ」(事務局)
同会議副会長の小田村四郎・拓殖大学総長は、憲法調査会に「白紙の状態から議
論を」と注文したうえで「新しい憲法制定に向け、尽力してほしい」
百地章日本大学教授は、9条については「中間報告」で結論を出すべきと指摘。
佐瀬昌盛拓殖大教授「戦力不保持とする九条二項は削除すべきだ」
新しい歴史教科書をつくる会の西尾幹二会長「二項削除は喫緊の課題」
 大原康男・国学院大教授「これから護憲派の必死の抵抗があるだろう。現憲法
と東京裁判史観に支えられた戦後体制を打倒するための大決戦だ」と述べた。
 国会議員のあいさつも多く、島村宜伸元農水相(自民)ほか、自民、保守両党
の衆参議員5人が改憲を目指す姿勢を鮮明にした。

▽「新しい憲法をつくる議員同盟・同国民会議」(会長=木村睦男元参院議長)
は東京・九段南の千代田区公会堂で、新しい憲法をつくる国民大会を開いた。
自民党の愛知和男元防衛庁長官「部分的改正より、全く新しい憲法をつくるべき
だ」
「新しい日本をつくる国民会議」会長の亀井正夫住友電工相談役「九条は戦力を
保持しないとするが、自衛隊は戦力だ」

▽北海道新聞
 「北広島発 日の本の国で語る会」などが北広島市内で開いた講演会には約六
十人が参加。新しい歴史教科書をつくる会の沢田健一・道支部長「現憲法は人権
を重視し過ぎ、公の利益が損なわれる側面がある」

▽熊本日日新聞社
日本会議熊本(会長・中山義崇崇城大学学長)は、第一回憲法シンポジウム「国
会議員と語る現憲法の諸問題」を同市の国際交流会館で開き、約二百人が参加し
た。改憲論議を高めようと初めて企画。
 野田毅衆院議員(保守)、岩下栄一同(自民)、三浦一水参院議員(同)が出
席。いずれも「自衛のための軍隊は持つべき」など九条改正を主張するととも
に、国民の権利と義務については、「個人の権利が尊重され過ぎて公の利益が軽
んじられている」と現行憲法を批判した。

▽南日本新聞社
 改憲派が鹿児島市の照国会館で開いた自主憲法制定を目指す鹿児島大会(日本
会議鹿児島、自主憲法制定期成同志会主催)には約百人が参加。シンポジウムで
登壇者は自衛隊に関する憲法解釈の変化を挙げ、現状と合わない憲法に欠陥があ
ると指摘した。護憲派、改憲派が対話し、21世紀に必要な憲法理念を考えるべ
きとの声も出た。



 
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