Date: Sun,  2 Apr 2000 02:32:27 +0900
From: 加賀谷いそみ<QZF01055@nifty.ne.jp>
To: aml@jca.apc.org
Cc: keystone@jca.ax.apc.org, cne@jca.apc.org
Subject: [keystone 2536] 校長が自衛隊員を激励
MIME-Version: 1.0
Sender: owner-keystone@jca.ax.apc.org
X-Sequence: keystone 2536
Precedence: bulk
Reply-To: keystone@jca.ax.apc.org
 

 有珠山でも自衛隊の活躍が報道されていますが、日陰者の自衛隊としてはこ
れなくしては存続し得なかったのですから、命令者は「軍事訓練の一環」「治
安出動」などと色気を出さず、隊員が、住民の安全を守り、住民が安心を得ら
れる救援活動ができるよう指揮してほしいもの。

 最近、自衛隊の「広報活動」の成果なのか、大衆の前で平和問題を語ると
き、自衛隊合憲の立場をあらかじめ「表明」してから話を進めるというのが
「マナー」であるかのような風潮も感じますが、「思想・良心・信仰の自由」
という基本的人権がこうしてひたひたと侵されていくのでしょう。

沖縄タイムス
<2000年3月29日 朝刊 31面>
自衛隊採用者壮行会に4県立高校長が出席

 四日に陸上自衛隊那覇駐屯地であった防衛庁自衛隊採用予定者壮行会に県立
高校長四人が出席、そのうち一人が引き続き行われた祝賀懇親会の来賓祝辞を
述べていた。
 自衛隊沖縄地方連絡部によると、壮行会は自衛隊の協力五団体が陸・海・空
の県内採用予定者の激励を目的に関係者を集め毎年、開催しているもの。
 四日午前、体育館で開かれた壮行会には卒業見込みの高校、大学、専門学校
生ら約九十人の採用予定者とともに北部、中部、那覇、南部地区の四高校長が
来賓として出席した。
 広報担当者「県立高校長の出席は一九九六年に中部の高校長一人が出席した
例がある。毎年、主催する協力団体が予定者の出身校の現役校長に案内を出し
ているが、今年も一緒に激励してほしいと出席をお願いした」
 祝辞を述べた校長「学校長として、わが校の卒業生を激励するため出席する
のは当然のこと」「卒業生が就職先として選んだ進路。出席はあくまでも校長
レベルの判断で、激励は当然のこと」「民間企業からは招待状が来ないため特
に出席したことはない」
ほかの三校長も出席を認め、同様の考えを示している。
 高教組「合憲・違憲の議論はあるが自衛隊は明らかに軍隊組織だ。自分の教
え子を危険性の高い場所に送り出すことはもってのほか」
高教組の伊礼弘宜執行委員長は、戦前の皇民化教育の反省や再び教え子を戦場
に送るな、という確立された考えを一教師としてどう総括しているのか、と出
席を疑問視。「自衛隊は一職場とは言えない。出席についても強制や義務はな
いはずだ」
 高教組では今後、各高校の現場から詳しい状況を把握した上、校長らに対し
抗議・要請をする方針。

−−−−−−−−−−−−−−−−−
報道されるかされないかの違いはありますが、当県でも同様の催しに、校長、
教頭らが来賓として出席し、国歌斉唱の後、県内有数の進学校とされている高
校校長が激励会で学校側からの代表として祝辞を述べています。

3月6日、秋田市文化会館で、「秋田県自衛隊入隊予定者激励会」が行われ、
引き続き会場を別にして「自衛隊入隊者父兄懇親会」を開催。
 県内の入隊予定者は、大学、高校出身者計165名。
 知人宅の大学生は、20社余受けて、ようやく職にありつけたと聞きました
が、主に高校生が受ける2等陸・海・空士(18歳以上27歳未満の男女)の
競争率も10倍以上だったとのこと。

主催=秋田県全市町村自衛官募集事務連絡協議会・(社)全国自衛隊父兄会秋
田県支部連合会。
協賛=社団法人秋田県隊友会・秋田県防衛協会・秋田県自衛隊退職者雇用協議
会・秋田防衛懇談会・秋田地方連絡部後援会
(自衛隊関係者はいまだに「父兄会」という名称を使っているようです)
「激励会」には寺田典城知事の「お祝いの言葉」のほか、全市町村長の祝辞が
一言、顔写真付きで寄せられたとのこと。

「・・・自衛隊は、わが国の平和と安全を守るという重大な使命を担い、国民
の負託と信頼にこたえるため、その任務の遂行に精励されております。また、
国内にあっては、各地の災害発生に際しての救援活動や地域の諸事業などへの
支援活動を通じ、国民生活の安定と住民福祉向上に大きな役割を果たしておら
れます。国際社会においては、トルコの地震災害救助活動やPKO活動を通じ
た国際貢献などで、国民の信頼と期待は、ますますふくらんできております。
このような中で、皆様が大いなる使命を自覚し、幾多の職業や教育機関の中か
ら自衛官の道を選ばれたことに深く敬意を表したいと思います。・・・・」
(秋田県知事)
 
 校長らは、自衛隊法改訂を本格化しようとする動きがある中、これから隊員
が、どんな人殺しの道具を持たされるのかの確認もせず、またコンドームをも
たされ、あるいはピルを飲まされて、海外に出兵させられるかも知れない状況
も考慮せず、自衛隊への道を選択した教え子を「激励」したのかそれとも、近
代戦は、戦闘員より、非戦闘員の犠牲が多いのでむしろ「安全」だとでも考え
たのでしょうか。まあ、この種の招待は素直に受けておいた方が退職後の身の
振りに利するという思惑程度だったという俗っぽい見方もできますが。
 
 子どもには、職業を選ぶ自由があります。そのためには、社会は子どもたち
に十分な判断材料を提供する責務があります。
 その一つは、自衛隊が憲法違反か否かの認識を問うたぐいのものではなく、
憲法九条をともに学び生かし、良心を放棄すれば罪を免れることはできず、法
律や命令に従ったという言い訳は通用しない時代になっていることを伝えるこ
とです。
 
 それとも、文部省では、政府解釈にそった「日の丸・君が代」を指導するこ
とを強制するように、学校現場に、九条も「わが国が独立国である以上、この
規定が主権国家としてのわが国固有の自衛権を否定するものではないことは、
広く認められ」「わが国の自衛権が否定されていない以上、その自衛のための
必要最小限度の実力を保持することは、憲法上認められている」という「政府
見解」を押し付けて指導するよう強制しているのでしょうか。

 この国の組織は、侵略時代の調教意識をそのまま持ち込んで、50年余を過
ごしてきたので、「不服従」の概念も国際的レベルにまではいまだいたらず、
昨今噴出している警察・自衛隊の「吹き出物」に効くクスリも政府が持ち合わ
せていないありさまでは、文部省という組織が作った指導要領に忠実に従って
いてもらちがあきません。



 
  • 1998年     3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
  • 1999年     1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
  • 2000年     1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月

  • キーストーンメーリングリスト 目次