Date: Wed, 19 Jan 2000 23:21:28 +0900
From: Aoki Masahiko <btree@pop06.odn.ne.jp>
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Subject: [keystone 2273] 福井県、周辺事態法について
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 以下のような案内が昨日(あるいは本日)突如、福井県のホームページに登場
しました。以下は、このページの丸ごと転載です。
 政府の見解を要約して転載しているだけなのですが、なぜ今ごろこれを出すの
かその意図については不明です。背景をご存じの方はありますか。
 また、自治体でホームページにこのように「周辺事態法」についての解説等を
掲載しているところを他にご存じの方はお知らせください。
 福井県ではこの問題は、「県民生活部国際課」が担当ということのようですが、
他の都道府県ではどうなのでしょうか。「お気軽に」ご質問をということですが、
私は今発見したばかりで答えを得ていません。

−−−−−−−−−以下転載−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
周辺事態安全確保法について

  はじめに
    周辺事態安全確保法(いわゆるガイドライン法関係)が平成11年5月24日に
   参議院で可決成立し8月25日に施行しましたが、この法律では周辺事態に際
   して、我が国の平和と安全を確保するために各種の手続きを経て、一定の措置
   が施されることになります。
    この場合、事態の推移等により政府から県民(県民一個人に対してではなく、

   民間企業や民間医療機関等になります。以下同じ。)に必要な協力を依頼する
   ことができるとされております。
    このページでは、「周辺事態安全確保法」の概要と、政府から県民に対して
   必要な協力を求める場合のケースをQ&A形式で説明してあります。
    Q&A形式の解説は、平成11年7月に内閣安全保障・対策室から福井県に示さ
   れた資料から抜粋しました。
 

  経  過
  1 平成8年4月の日米首脳会議におき、東西冷戦構造の崩壊、新たな地域紛争
   の多発など、安全保障に対する環境の変化を受け、「日米安全保障共同宣言」
   を発表し、昭和53年に定めた旧ガイドラインの見直しが開始される。
  〔ガイドラインとは〕……日米安保体制を円滑に運用するため、日米防衛協力の
              基本的な枠組みや方向性を定めた指針。
  2 見直しの目的として、旧ガイドラインでは、周辺事態について触れていない
   ため、日本に対する武力行使や周辺事態に際し、日米防衛協力の実効性をより
   高め、効果的に対応できるよう、その体制づくりが重要な目的の一つになって
   いる。
  〔周辺事態とは〕……日本の周辺地域における事態で、平和と安全に重要な影響
            を与える場合をさす。これは地理的な概念でなく、事態の
            性質に着目した概念。
  3 平成10年4月 新ガイドラインの実効性を確保するための関連法案が国会
   に提案される。関連法案は次のとおり。
    周辺事態安全確保法案・自衛隊法改正法案・日米物品役務相互提供協定改定
   案の3法案
  4 平成11年5月24日 3法案が参議院で可決成立し8月25日施行する。
 

 周辺事態安全確保法案(抜粋)
  第9条 関係行政機関の長は、法令及び基本計画に従い、地方公共団体の長に対
   し、その有する権限の行使について必要な協力を求めることができる。
  2 前項に定めるもののほか、関係行政機関の長は、法令及び基本計画に従い、
   国以外の者に対し、必要な協力を依頼することができる。
  3 政府は、前二項の規定により協力を求められ又は協力を依頼された国以外の
   者が、その協力により損失を受けた場合には、その損失に関し、必要な財政上
   の措置を講ずるものとする。
 

 民間に対する協力要請
  第9条第2項によりにより「国以外の者に対し、必要な協力を依頼することがで
 きる」と規定している。これは例えば民間輸送業者に対して人員・物資の輸送を依頼
 したり、民間医療機関に対して傷病者の受け入れを依頼することなどが考えられる。

  このような協力の依頼を受けた者は、自らの判断で輸送契約の締結などを行えば
 よく、何ら協力の義務を負うものではない。
  依頼に応じて契約を締結する場合などは、通常のケースと同じく当事者間の合意
 により価格などの条件を定めることになる。当事者が国であれば適切な対価を支払
 うものであり、米軍が契約を締結する場合も米軍が適切な対価を支払うことになる。

  (民間に対して依頼する項目の例)
○ 人員および物資の輸送に関する民間運送事業者の協力
   例えば人員、食料品、医薬品等を米軍や自衛隊の施設と港湾・空港との間で輸送。

  傷病者(米軍、自衛隊、避難民、救出された邦人など)を病院に搬送。
○ 廃棄物の処理に関する関係事業者の協力
   例えば米軍や自衛隊の廃棄燃料、医療関連の廃棄物等について、関係事業者に
  処理を依頼。
○ 民間医療機関への患者の受け入れ
   例えば米軍、自衛隊、避難民、救出された邦人の中の傷病者について、その受
  け入れを民間医療機関の開設者に依頼。
○ 民間企業の有する物品、施設の貸与等
   例えば民間企業の有する物品(燃料、通信機器、事務機等)の一時的な貸与ま
  たは売却。民間企業の有する倉庫や土地の一時的な貸与。

  協力を拒否することができるか
   政府としては、周辺事態に際して協力の依頼がなされた場合、依頼を受けた者
  がこれを踏まえ、できる限り協力に応じていただくことを期待しているが、何ら
  協力義務が発生するわけではない。依頼を受けた者が通常のケースと同様に自ら、

  の判断に従って対応することになるまた、協力拒否による制裁措置がとられるこ
  とはないことは当然である。

  協力依頼を行うのは国による対応が不可能な場合か
   周辺事態に際しては、政府全体として対応措置を実施し、必要ある場合に国以
  外者に対して協力依頼を行うものであり、一般的には国による対応が優先するこ
  とが想定されるが、これは必ずしも、国による対応が不可能な場合に限って協力
  依頼を行うということではない。
   例えば、医療機関の場合、開設主体の観点からみれば、一般的には自衛隊の医
  療機関、これ以外の国立医療機関、公立医療機関、民間医療機関という順序にな
  るものと考えられる。しかし具体的に如何なる医療機関に対して協力依頼をする
  かについては、傷病の状況、協力依頼をする地域における医療機関の状況等を加
  味し、総合的に勘案して決定されることになると考えられる。

  危険な地域への武器・弾薬の輸送を依頼することもあるのか
   輸送する物資の内容については、特に限定するものではなく、武器・弾薬につ
  いても排除されない。民間輸送業者に対して輸送協力を依頼する際には、地域と
  しては、主として我が国領域内での輸送が想定される。
   公海上の輸送も排除されるものではないが、現に戦闘行為が行われている地域
  またはその恐れのある地域への輸送を依頼することは想定していない。
   また、安全確保のための配慮事項を基本計画に盛り込んで閣議決定した上、協
  力を依頼する際には安全確保のためのマニュアルを提供するとともに、事態の変
  化等について最新の情報提供を行うなど、政府として安全について万全を期して
  いくものである。
   なお、いったん輸送協力を依頼した後に状況が変化し、事業者が途中で引き返
  すようなケースについても、事業者が損失を被ることのないよう上記マニュアル
  に所要の事項を記載し、また、仮に損失が生じた場合には第9条第3項に基づく
  財政上の措置を講ずる等、政府として適切に対処することとなる。

  公立医療機関、民間医療機関への患者受入れについて協力の
  依頼があった場合、一般患者を排除しなければならないか。
   患者受入れに係る協力依頼があった場合、あくまで医療機関にいて、自らの判
  断に従って対応するものであり、一般患者を排除してまで協力に応ずる義務が生
  ずるわけではない。

  公立医療機関、民間医療機関への患者受入れについて協力の
  依頼があった場合、増床しなければ対応できない場合がある
  と思われるが、どうしたらよいのか。
   医療法施行規則においては、臨時応急に定員を超過して患者を収容できる旨の
  仕組みが設けられており、増床しない場合であっても、この仕組みの活用を視野
  に入れて対応することが可能ではないかと考えている。また、より広範な地域の
  医療機関に対して協力依頼を行うことによる対応も可能ではないかと考えている。

  米軍の物資の輸送について関係行政機関から協力の依頼があ
  った場合、誰と輸送契約を締結することになるのか。
   一般に米軍が物資の輸送を民間業者に委ねるとき、米軍が直接民間業者等と契
  約を締結する場合と、防衛施設庁が米軍に代わって民間業者と契約締結する場合
  とがある。第9条に基づき協力の依頼があった場合についても、これら両方の場
  合があり得ると考えられる。
 

                            以 上

 周辺事態安全確保法について、
   様々な質問、疑問、ご意見などがあれば、
      お気軽に県民生活部国際課にお寄せください。
 

 〒910−8580 福井市大手3丁目17の1
 電話番号 (0776)20−0295 ダイヤルイン
 ファックス      22−1702
 国際課Eメール    kokusai@ain.pref.fukui.jp

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   青木雅彦
  Aoki Masahiko
btree@pop06.odn.ne.jp
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