Mime-Version: 1.0
X-Sender: kaymaru@mail.jca.apc.org
Date: Fri, 14 Jan 2000 04:11:42 +0900
To: keystone@jca.apc.org
From: "MARUYAMA K." <kaymaru@jca.apc.org>
Subject: [keystone 2263] 天皇の沖縄メッセージ
Sender: owner-keystone@jca.ax.apc.org
X-Sequence: keystone 2263
Precedence: bulk
Reply-To: keystone@jca.ax.apc.org

 amlへの投稿を転載します。

=================== 1月10日投稿 =========================

At 4:00 PM +0900 00.1.10, 木村愛二  wrote.
> 「歴史見直し研究会」代表、木村愛二です。
>
>  思いやり予算の問題が出ると、臍曲りの私はいつも、米軍駐留は日本の、とても
> とてもの、お偉いさんが御願いしたのだから、仕方ないじゃないの、と皮肉ること
> にしています。マッカーサーへの嘆願者は昭和天皇ヒロヒトでした。私が、そのこ
> とを知ったのは、日本テレビの先輩で沖縄にいたことの方が長い森口轄さんが監督
> したドキュメント1988の、確か「昭和が終わった日」でした。あの、戦争中も、戦
> 後の私達が芋ばっかり食っては芋っ屁の時代にもフランス料理をたらふく食って死
> ぬ程臭い屁(だからこそ、大君の「へ」こそし死なめ、という歌詞が出来たのだ!
> )をこいていた奇声の主、テンちゃんは、自分が地位を維持するためにマッカーサ
> ーに沖縄を数十年占領したまま日本の左翼、または2.26事件で自分の地位を脅かし
> たような右翼を押さえてほしいと頼んでいたのでした。活字メディアでは、『世界
> 』に記事が載っていたそうですが、私の縄張りではないので、調べていません。だ
> れか調べてスキャンして頂けないでしょうか。そりゃ、スキャンね、などと言わな
> いで下さい。

 いわゆる「昭和天皇の沖縄メッセージ」とは総司令部政治顧問シーボルトが国務長
官に宛てた書簡の中にふれられているものです。天皇の顧問・寺崎英成から琉球諸島
の将来に関する天皇の見解がシーボルトに伝えられ、それをマッカーサーにを覚え書
きの形で伝えたことを報告しています。「疑いもなく私利に大きくもとづいている希
望が注目されましょう」と天皇の意図を看破しています。

 同封された覚え書きのコピーに「……天皇は、沖縄に対する米国の軍事占領は、日
本の主権を残したままでの長期租借――二十五年ないし五十年あるいはそれ以上――
の擬制にもとづくべきであると考えている」とあります。天皇にとっては、日本国民
の中に沖縄の人々が含まれたいなかったことがよくわかります。

 名護への普天間基地移設ごり押しによって、再び日本国は沖縄を足蹴にしようとし
ている。

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特措法改悪(1997年)に対する怒りのポスターから
http://www.jca.apc.org/~sei-u/hitotsubo_kanto/Poster2.gif

 52年前の捨て石作戦
 天皇メッセージによる27年間の売り渡し
 今回の「米軍用地特措法」改悪
 次はなんですか、未だありますか

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 特措法再改悪、名護への押しつけとまだまだこの状態は続きそうです、本土から声
を挙げない限りは。

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 原文は見あたりませんが、日本語訳があります。

 『日本の安全保障と基地問題』日本弁護士連合会編 明石書店 (1998.11.20)か
ら引用:

380ページ

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 資料15 『ジュリスト』938号

昭和天皇の「沖縄メッセージ」
(a)総司令部政治顧問シーボルトから国務長官宛の書簡
 主題:琉球諸島の将来に関する日本の天皇の見解
 国務長官殿 在ワシントン

 拝啓
 天皇のアドバイザーの寺崎英成氏が同氏自身の要請で当事務所を訪れたさいの同氏
との会話の要旨を内容とする一九四七年九月二十日付けのマッカーサー元帥あての自
明の覚え書きのコピーを同封する光栄を有します。
 米国が沖縄その他の琉球諸島の軍事占領を続けるよう日本の天皇が希望しているこ
と、疑いもなく私利に大きくもとづいている希望が注目されましょう。また天皇は、
長期租借による、これら諸島の米国軍事占領の継続をめざしています。その見解によ
れば、日本国民はそれによって米国に下心がないことを納得し、軍事目的のための米
国による占領を歓迎するだろうということです。

                              敬具

                合衆国対日政治顧問 代表部顧問

                    W.J.シーボルト
                  東京 一九四七年九月二十二日

 「琉球諸島の将来に関する日本の天皇の見解」を主題とする在東京・合衆国対日政
治顧問から一九四七年九月二十二日付通信第一二九三号への同封文書

 コピー
  連合国最高司令官総司令部外交部

 一九四七年九月二十日

 マッカーサー元帥のための覚え書

 天皇の顧問、寺崎英成氏が、沖縄の将来に関する天皇の考えを私に伝える目的で、
時日を約束して訪問した。
 寺崎氏は、米国が沖縄その他の琉球諸島の軍事占領を継続するよう天皇が希望して
いると、言明した。天皇の見解では、そのような占領は、米国に役立ち、また、日本
に保護をあたえることになる。天皇は、そのような措置は、ロシアの脅威ばかりでな
く、占領終結後に、右翼及び左翼勢力が増大して、ロシアが日本に内政干渉する根拠
に利用できるような“事件”をひきおこすことをもおそれている日本国民の間で広く
賛同を得るだろうと思っている。
 さらに天皇は、沖縄(および必要とされる他の島じま)にたいする米国の軍事占領
は、日本の主権を残したままでの長期租借――二十五年ないし五十年あるいはそれ以
上――の擬制にもとづくべきであると考えている。天皇によると、このような占領方
法は、米国が琉球諸島に対して永続的野心を持たないことを日本国民に納得させ、ま
た、これによる他の諸国、とくにソ連と中国が同様の権利を要求するのを阻止するだ
ろう。
 手続きについては、寺崎氏は、(沖縄および他の琉球諸島の)「軍事基地権」の取
得は、連合国の対日平和条約の一部をなすよりも、むしろ、米国と日本の二国間条約
によるべきだと、考えていた。寺崎氏によれば、前者の方法は、押しつけられた講和
という感じがあまり強すぎて、将来、日本国民の同情的な理解を危うくする可能性が
ある。
 

                       W.J.シーボルト

                     (「赤旗」一九七九年四月二十日)

(b)入江侍従長日記

五十四年四月十九日(木)曇薄寒

 朝刊に靖国神社に松岡、白鳥など合祀のこと出、テレビでもいふ。いやになっちま
ふ。直接吹き上げへ出る。お召しということで出たら、昨夜赤坂からの車中でうかが
った「沖縄をアメリカに占領されることをお望みだった」といふ件の追加の仰せ。
「蒋介石が占領に加はらなかったのでソ連も入らず、ドイツや朝鮮のやうな分裂国家
にならずに済んだ。同時にアメリカが占領して守ってくれなければ、沖縄のみならず
日本全土もどうなったかもしれぬ」との仰せ。今日は御気分もよく、迎賓館でもお立
派。宮殿に還御。三笠同妃、明日よりイラクに御出発につき拝謁。
               (「朝日新聞」平成元年二月二二日)
 

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 『別冊 世界 ハンドブック 新ガイドラインって何だ?』
 1997年10月 217〜218頁にも資料があります。

 この出典は

 『資料 日本占領 1 天皇制』山極晃・中村政則編、岡田良之助訳
 1990年 579〜580頁
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======================== 1月14日投稿 ===========================
 

 昭和天皇の沖縄メッセージの続編です。前回送信時(10日)には、日本語での初
出が(私には)不明だったのですが、ようやく分かりました。

 ・「分割された領土 沖縄、千島、そして安保」進藤栄一
   『世界』1979年4月号
     当時筑波大学助教授だった進藤氏がアメリカ側資料(National Archives)
から発掘。

 
以下の文献に載っています(一部引用)。

・『知っておきたい 沖縄』歴史教育者協議会編(青木書店 98年8月10日)
  186〜187ページ
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 ……また安良城盛昭は、これは「二十七年にわたるアメリカの直接支配に対する天
皇の個人的責任」であると考えている。天皇制の存続が危機にあった当時、天皇自身
がアメリカの占領政策に積極的に屈服・追従していったのだとした。そして「天皇家
が存続すれば国民も沖縄住民もどうなってもそれでよしとし、沖縄訪問を目前とした
現在にいたるもこれについて一切反省しないという驚くべき天皇の身勝手さ」を告発
した(『朝日ジャーナル』八七年二十四日号)。また、外交史研究者の豊下楢彦は、
首相や外務大臣の頭ごしに、米軍が沖縄の軍事支配を続けることを要請している天皇
の行為は、戦後の「象徴天皇」が政治行為をおこなうはずがないという戦後の常識を
くつがえす資料だと指摘している。「沖縄の心」の背景にこういう歴史があることを
忘れてはならない。 
                         (菊池宏義)
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・『オキナワと憲法』仲地博/水島朝穂編(法律文化社 98年6月10日)
  191〜192ページ
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 日本国憲法は一九四七年五月三日に施行されたが、その四条一項により「天皇は、
この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない」と定
めている。憲法施行後四ヶ月後に行われた天皇の「御意向」の内容は、まさしく国政
に関する事項に該当し、憲法に抵触する行為と言わなければならない。またなぜ天皇
メッセージの存在をこれまで沖縄県民の前に明らかにしてこなかったのかについて
は、公式には何らの説明もなされていない。天皇来県に際し、沖縄県庁記者クラブは
天皇との記者会見を宮内庁に申し入れた。そしてその中で「沖縄戦と戦後二七年にわ
たる沖縄の異民族統治について」や「沖縄の戦後の異民族統治にかかわるとされる、
いわゆる『天皇メッセージ』の真偽について」などを記者会見事項として提案してい
る。しかし宮内庁は、この会見を断わった。

=====================================================================

 ・『安保条約の成立 吉田外交と天皇外交』豊下楢彦(岩波新書 96年12月2
0日)
 221ページ〜
======================

 ところで天皇は、当時、本当に「沖縄の安全」を考えてこのメッセージをおくった
のであろうか。あらためてメッセージの内容を読みなおしてみると、実は、「沖縄の
安全」の問題は一言も出てこないのである。逆に天皇は、米軍による沖縄の軍事占領
が「米国の利益になると共に日本の防衛にも供するであろう」との「見解」を表明し
ている。しかも、日本が直面している危機について具体的に、「ロシアの脅威」と
「日本の内部への干渉」をあげているのである。

 「捨て」られる沖縄
 つまり米軍占領下の沖縄は、ソ連による日本本土への直接、間接の侵略にたいす
る、“防波堤”として位置づけられていたのである。重要なことは、天皇やその側近
グループにおけるこのような沖縄の位置づけは偶然のものではなく“一貫”したもの
であった、ということである。

 (中略)

 ……一五日に近衛がとりまとめた「和平交渉の要項」の「条件」の項では、「国土
に就いては、なるべく他日の再起に便なることに努るも、止むを得ざれば固有本土を
以て満足す」(矢部貞治『近衛文麿(下)』)と記されていた。それでは、「固有本
土」とは何であろうか。
 この「要項」につづく「解説」の部分において、「固有本土の解釈については、最
下限沖縄、小笠原、樺太を捨て、千島は南半分を保有する程度とすること」と説明さ
れている。つまり、沖縄は日本の「固有本土」ではなく、和平条件として連合国側に
「捨て」られるものと位置づけられていたのである。

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 昭和天皇は沖縄訪問することもなく死んでしまったわけですが、米軍基地の県内移
設によって、本土は二度三たび沖縄を見捨てようとしている。こんなことを許してい
いの?
 
 
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 MARUYAMA K.  kaymaru@jca.apc.org
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