報告
林 俊宏氏

 私自身が「エホバの証人の悲劇」を書いたのは8年前です。この間、いろんな人から反響がありました。いやおうなく、カウンセリングをする立場に立たされました。一ヶ月前にもバプテスマ直前まで進んだ女性が家族と板挟みになり、私の本を読んでものみの塔の実態を知り組織を離れる決心がつきましたという感謝の手紙が届きました。
 本を書くに至った経緯ですが、離婚した元妻がエホバの証人になったと分かったのは20年前。大学時代の友人がエホバの証人になったと手紙をもらい相談を受けました。気を許したのが悲劇の始まりでした。近くの教会に行って聖書の話を人に聞いてみたらと言っていましたところ、落ち込んだように帰ってきました。相手にしてもらえなかったのです。裏切られた感じを持ちました。教会は聖書に関心を持った人にはきちんと対応してもらいたい。教会から何も返ってこないと裏切られた感じを持ちます。エホバの証人の側についていってしまうのです。結局エホバの証人被害を書いた、信仰に反対する人とは暮らせないということで彼女とは離婚しました。
  夫婦の関係が悪くなって子どもを親戚に預けたが、その子どもが休みが明けても帰ってこない。夫婦けんかばかりしているから帰りたくないと言うのです。解決する方法はないかと思い説得をしました。離婚届が届きました。家庭裁判所に相談に行ったところ、子どもたちの気持ちがつかめないので離婚届に判を押すのをためらっていると言ったら、調査官は「親権は親が子どものために代行するのだから、裁判で争うのは問題ない」と言われました。その後、5年間に2回子どもに会いたいと求めましたが果たせていません。
 これまでの読者の手紙などで救出された人たちに共通しているのはものみの塔の信仰に代わる信じるに足るものが見付かったときだというのです。ものみの塔に代わるのは何かというと、恋人、親、夫です。ものみの塔の教えが本当かなと気が動いたとき問題が解決します。統一教会救出の専門家にマインドコントロールの解き方を尋ねたら、依頼した人がどれだけ真剣か、まず考えるそうです。マニュアル通りやると失敗するケースも多いのです。辞めた人に聞くと救出者に愛を感じたときにものみの塔の問題が解決します。解決できないのはそこまで真剣でない、愛情がないのだと思うのです。「あれ、そうか」という気持ちになるのは難しいのです。愛をつかむにはどうしたらいいかが悲劇を解決できる一つの道筋です。二世の問題、会衆にいた人たちの問題、子どもたちの問題もエホバの証人の問題になります。
 来年は「悲劇」の改訂版を出版する予定です。一人でも多くの人にこの悲劇の実態とものみの塔のカルトの実態を知っていただきたいと願っています。


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