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じん肺審議会に要望書を提出



じん肺診査ハンドブック等の改訂の動向に注目を

昨(1996)年来、労働省は、@じん肺有所見者向け健康管理ガイドライン等の作成、および、Aじん肺診査ハンドブック ・標準エックス線写真フィルム等の改訂の作業を進めている。

@については、在職者向けの「じん肺有所見者に対する健康管理教育のためのガイドライン 」が「安全センター情報」1997年5月号20頁掲載のように作成された。「離職するじん肺有所見者のためのガイドブック」も作成され、離職じん肺有所見者向けに配布される予定である。

Aについては、じん肺診査ハンドブック、標準エックス線写真フィルム、合併症に関する3つの専門家の検討会が設置されているというが、その検討内容はほとんど伝えられていない。

2月16日に秋田で開催された全国安全センター・労働者住民医療機関連絡会議(労住医連)合同の第8回じん肺プロジェクトでもこの問題を検討し、その後、労住医連関係医療機関に対して、緊急のアンケート調査を実施した。

また、後掲のような「じん肺診査ハンドブック改訂に関する要望」(労住医連じん肺プロジェクト )をまとめた。この「要望」は、4月9日に富山で開催された第70回日本産業衛生学会の職業性呼吸器疾患研究会でも提起し、じん肺審議会の公労使全委員・労働省宛てに提出した。


「じん肺診査ハンドブック等改訂に関する要望」
労働者住民医療機関連絡会議じん肺プロジェクト

現在じん肺審議会の専門委員会において、じん肺診査ハンドブック等の改訂作業が、1996年度中の終了の予定を延長し進行しています。現行のじん肺法には様々な問題点があることは、第67回および第68回の日本産業衛生学会じん肺研究会において、「最近のじん肺問題の動向」(アンケート調査)において明らかにされてきました。情報公開が審議会レベルでも行われる時代の趨勢で、じん肺審議会および専門委員会の審議過程は、じん肺の治療に携わる多くの医師や患者に明らかにされない中、進行しています。私たちは、400人を超すじん肺要療養患者の治療を行っている民間医療団体の立場から、現在のじん肺診査ハンドブックの改訂に関して、以下の点を要望します。

1. じん肺審議会および専門委員会の審議の情報公開を求めます。

現在、日本のあらゆる分野で、行政機関の情報の独占および審議決定過程の非公開の弊害が現われています。こうした弊害を避けるためには、情報や審議過程を広く公開すること、関係する当事者の幅広い意志決定過程への参加が重要です。しかし、残念なことに、じん肺審議会や専門家会議の審議過程は、公開されていません。早急に、じん肺審議会や専門家会議の審議の内容の公開を求めます。

2. 改訂作業の情報の周知と関係する当事者からの十分な意見の聴取を求めます。

じん肺診査ハンドブックの改訂作業が行われている事実すら、じん肺を含めた職業性呼吸器疾患の治療に携わる臨床現場の多くの医師に伝わっていません。臨床現場の医師が改訂作業に関して意見を述べる機会も設定されずに、改訂作業は終了するのでしょうか。様々な症状に悩む多くの療養中の患者や遺族の意見や、認定されないまま国保等で治療を続ける患者の意見を幅広く聴取する公聴会のような場もないまま、改訂作業が終了してよいのでしょうか。

3. じん肺標準フィルムの改訂に関して

病理学的なじん肺の存在から考えると、残念ながら胸部レントゲン写真は簡便ですが、鋭敏とは言えないものです。0/1と1/0の判定は療養において大きな違いを生んでおり、とくに不整形陰影において客観的な診断法の確立が必要です。病理学的な進行程度と関連し、現在の撮影条件や増感紙や現像条件に合い、読影者間差、読影日差が少ない点の保障がされた標準フィルムが必要です。正常像の判断の基本になる0/0写真の選定の根拠を含め、じん肺標準フィルムが選定された過程を公開し、検討する場を設けることを求めます。

4. 呼吸機能検査の改訂に関して

現行の呼吸機能障害の判定規準の、AaDo2、1秒率、%肺活量に関しては厳しいという指摘がされており、緩和すべきです。V25/Htは、高齢者での低下の点から、参考値とすることが望まれます。また、混合性障害の評価の点で、Index(一秒量/予測肺活量)も参考にすべきです。「著しい肺機能障害」の判定は、精度管理のもとで簡便な一次検査を主にし、日常生活上の運動負荷の反映として、運動時のPo2やSatO2等の変化を参考として、主治医の総合判断を重視することを求めます。

5. 合併症に関する改訂に関して

肺炎や咳嗽のみ強い例等、様々な呼吸器疾患の合併例が、労災とならずに治療がされています。多くの医療機関での調査を早急に取り組むとともに、当面は、合併症の範囲を、現行の5合併症に加え、「その他の呼吸器疾患は個別例で対応する」旨改訂することを求めます。

6. じん肺合併肺がんの改訂に関して

じん肺に肺がんが合併するリスクが上昇することは、すでに多くの調査、研究によって明らかにされてきています。また、じん肺が存在することにより、肺がんの早期発見、治療に支障が生ずることは周知の事実であり、現在でも管理4に合併する肺がんは認定されることに通達により決められています。しかし、肺がんの合併するリスクの上昇は単に管理4のみに存在するわけではなく、また、肺がんの発見、治療に関わる問題も、管理4のみに存在するわけではありません。最近の判例(広島地裁、1996)においても、管理4に合併した肺がんにのみ認定を限定する労働省通達は、「決して、行政の裁量によって一部のじん肺患者のじん肺と肺がん発生との間の因果関係を擬制してなされているものではなく、進展したじん肺症に合併した肺がんに存する医療実践上の不利益に着目し、進展したじん肺症に合併した肺がんの病状の持続ないし増悪とじん肺との間には因果関係があることを認めてなされているものと理解することができる」とし、「管理区分に関わる要件を充足しない場合であっても、じん肺に合併した肺がんであって医療実践上の不利益があるものについては、業務上の疾病であることを否定すべき根拠は何ら存在しないというべきである」としています。全てのじん肺に合併する肺がんの業務上認定を求めます。

1997年5月1日
労働者住民医療機関連絡会議じん肺プロジェクト
幹 事:
天明佳臣(港町診療所(神奈川))
平野敏夫(ひまわり診療所(東京))
山本真(大分協和病院)
名取雄司(横須賀中央診療所)
連絡先 〒108 東京都港区三田3-1-3 MKビル3F
TEL (03)5232ー0181/FAX (03)5232-0180

「安全センター情報」1997年5月号14〜15頁1997年7月5日掲載


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