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国連社会権規約委員会が日本政府報告を審査
− 8/31に「総括所見」を採択 −

 さる8月31日、国連の社会権規約委員会は、日本政府報告書の審査を終了し、「総括所見」を採択した。以下の資料は、ジュネーブで開かれた社会権規約委員会での日本政府報告書の審査をウォッチングしてきた社会権規約NGOレポート連絡会議からの報告である。


■ 社会権規約NGOレポート連絡会議からのお知らせ!
−日本政府に対する「総括所見」の日本語訳完成!−

2001年9月6日 荒牧重人 / 藤本俊明
 8月31日に社会権規約委員会により採択された日本政府第2回報告書審査総括所見(未編集版)の日本語訳(社会権規約NGOレポート連絡会議訳)が完成しました。  不十分な点もありますが,非常に詳細な内容となっています。過去に条約機関により採択された日本政府に対する所見の中では最も項目の多いものとなっています。各方面にてご活用ください。
社会権規約NGOレポート連絡会議(ジュネーブ報告集会)

 ■日時 9月8日(土)午後2時から5時
 ■場所 松本冶一郎記念会館 2F会議室(東京都港区六本木3-5-11)
部落解放同盟本部や反差別国際運動などの事務局がある建物です。地図が必要な方はhttp://www.bll.gr.jp/guide-honbu-map.htmlをご覧下さい。

 ■内容 ・日本報告書審査状況の報告
     ・「総括所見(最終所見)」についての報告
       ・審査のフォローアップについて(政府との意見交換会ほか)
       ・出版(『社会権規約と日本2001』)予定  など
      *国内での審査後最初の会合となります。


社会権規約委員会・総括所見:日本
(社会権規約NGOレポート連絡会議訳)

配布:一般
未編集版
E/C.12/1/Add.67
2001年8月31日
原文:英語

経済的、社会的および文化的権利に関する委員会第26(特別)会期2001年8月13日〜31日

規約第16条および第17条にもとづいて締約国が提出した報告書の検討

経済的、社会的および文化的権利に関する委員会の総括所見(concluding observations):日本

1.経済的、社会的および文化的権利に関する委員会は、2001年8月21日に開かれた第42回および第43回会合において、経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約の実施についての日本の第2回定期報告書(E/1990/6/Add.21)を検討し、2001年8月30日に開かれた第56回会合において以下の総括所見を採択した。

A.序

2.委員会は、締約国の第2回定期報告書を歓迎する。当該報告書は、全体としては委員会のガイドラインに一致したものである。委員会は、規約上関連する問題についての専門家から構成された代表団との開かれたかつ建設的な対話を、また委員会が行なった質問に答えようとする前向きな姿勢を歓迎する。

B.積極的な側面

3.委員会は、締約国が、世界で2番目の経済規模を有する、世界でもっとも発展した国のひとつであること(UNDP〔国際連合開発計画〕の人間開発指数にもとづく序列で9位)、および、自国の市民の大多数を対象として経済的、社会的および文化的権利の高度な享受を達成してきたことに、留意する。

4.委員会はまた、絶対値の面では締約国が世界で最大の援助供与国であり、GNPの0.27%を政府開発援助(ODA)に配分していること、かつその40%が規約上の権利に関連する分野に振り向けられていることにも留意する。

5.委員会は、国際連合およびOECD〔経済協力開発機構〕のような国際的な場において経済的、社会的および文化的権利の促進に関する国際協力を促進するうえで締約国が果たしている重要な役割を認識する。

6.委員会は、締約国が委員会に対する報告書の作成に非政府組織を関与させ始めていることに評価の意とともに留意する。

7.委員会は、締約国が男女平等を促進するための措置をとろうとしており、かつ2000年には「男女共同参画基本計画」を策定したことに留意する。

8.委員会は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」(1999年)、「ストーカー行為等の規制等に関する法律」(2000年)、「児童虐待の防止等に関する法律」(2000年)および「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(2001年)の制定により、女性および子どもを暴力からいっそう保護することを目的とした締約国の最近の措置を歓迎する。委員会はまた、裁判手続中に児童虐待および性犯罪の被害者を保護することを目的とした刑事訴訟法の改正(2001年)、および「児童の商業的性的搾取に反対する国内行動計画」の策定(2001年)も歓迎するものである。

9.委員会は、1995年の阪神淡路大震災の被害に対応するため締約国が相当の努力を行なってきたこと、および、国、広域行政圏および地方の公的機関が迅速に対応し、膨大な人数の被災者を対象として仮設住宅および恒久住宅を建設してきたことに留意する。

C.主要な懸念事項

10.委員会は、規約の規定の多くが憲法に反映されているにもかかわらず、締約国が国内法において規約の規定を満足のいく方法で実施していないことを懸念する。委員会はまた、規約の規定が、立法および政策立案の過程で充分に考慮されておらず、かつ立法上もしくは行政上の提案または国会における議論でめったに言及されないことも懸念するものである。委員会はさらに、規約のいずれの規定も直接の効力を有しないという誤った根拠により、司法決定において一般的に規約が参照されないことに懸念を表明する。締約国がこのような立場を支持し、したがって規約上の義務に違反していることはさらなる懸念の対象である。

11.委員会は、規約第7条(d)、第8条2項ならびに第13条2項(b)および(c)に対する留保を撤回する意思を締約国が有していないことを、とくに懸念する。このような姿勢は、締約国はすでに上記条項に掲げられた権利の実現を大部分達成しているという主張にもとづくものであるが、委員会が受け取った情報は、これらの権利の全面的実現がいまなお保障されていないことを明らかにしている。

12.委員会は、差別の禁止の原則は漸進的実現および「合理的な」または「合理的に正当化しうる」例外の対象となるという締約国の解釈に懸念を表明する。

13.委員会は、とりわけ雇用、居住および教育の分野において、日本社会のマイノリティ集団ならびにとくに部落の人々、沖縄の人々、先住民であるアイヌの人々および韓国・朝鮮人に対する法律上および事実上の差別が根強く残っていることを懸念する。

14.委員会はまた、とくに相続権および国籍の権利の制限との関連で、婚外子に対する法的、社会的および制度的差別が根強く残っていることも懸念する。

15.委員会は、女性に対する差別が広く行なわれていること、および、職業上の立場および意思決定に関与する立場(代議制の政治機関、公的サービスおよび行政ならびに民間部門のいずれをも含む)に関して日本社会にいまなお事実上の男女の不平等が存在することに、懸念を表明する。

16.委員会は、2001年に国内法が採択されたにもかかわらず、ドメスティック・バイオレンス、セクシャル・ハラスメントおよび子どもの性的搾取が根強く生じていることに関して懸念を表明する。

17.委員会はまた、同一価値労働に対する賃金に関してひきつづき事実上の男女格差が存在すること、および、とくに、女性を主として事務職として雇用し、専門職に昇格する機会をほとんどまたはまったく与えないという慣行が多くの企業で根強く行なわれていることも、懸念する。このような不平等は、1997年の男女雇用機会均等法改正のような、締約国がとった立法上、行政上その他の措置にもかかわらず根強く残っているものである。

18.委員会は、強制労働の廃止(第105号)、雇用および職業における差別(第111号)ならびに先住民および種族民(第169号)に関わるもののようないくつかの重要なILO〔国際労働機関〕条約を締約国が批准していないことを懸念する。

19.委員会は、締約国が、公共部門および民間部門のいずれにおいても過度な長時間労働を容認していることに重大な懸念を表明する。

20.委員会は、45歳以降、労働者が減給され、または場合によって充分な補償もなく解雇される危険性が高まることに懸念を表明する。

21.委員会は、たとえ政府の必須業務に携わっていない者(教職員を含む)であっても、公共部門のすべての被雇用者およびすべての公務員のストライキが全面的に禁止されていることを懸念する。これは、人事院および人事委員会という代替的制度が用意されていても、規約第8条2項(ただし締約国は本条項に留保を付している)および結社の自由および団結権の保護に関するILO第87号条約に違反するものである。

22.委員会は、原子力発電所で事故が生じているとの報告があること、そのような施設の安全性に関して透明性が欠けておりかつ必要な情報公開が行なわれていないこと、および、原子力事故の防止および対応に関して全国規模および地域規模の事前準備が行なわれていないことを、懸念する。

23.委員会はまた、受給年齢を60歳から65歳に段階的に引き上げるという最近の公的年金制度改革がもたらす影響も懸念する。定年年齢と公的年金受給年齢が一致しない場合、65歳前に退職しなければならない者は所得を失う可能性がある。

24.委員会はさらに、最低年金額が定められていないこと、および、年金制度に事実上の男女格差が残っており、そのため男女の所得格差が固定化されていることを、懸念する。

25.委員会は、とくに労働権および社会保障の権利との関係で、法律上および実際上、障害のある人々に対する差別がひきつづき存在していることに懸念とともに留意する。

26.委員会は、主として民間の資金によって財源を得ているアジア女性基金によって戦時の「従軍慰安婦」に提供された補償金が、当事者の女性から受入れ可能な措置と見なされていないことに懸念を表明する。

27.委員会は、阪神淡路大震災ののち兵庫県が計画および遂行した大規模な再定住プログラムにもかかわらず、もっとも大きな影響を受けた層がかならずしも充分な協議の対象とされず、その結果、ひとり暮らしの多くの高齢者が現在、個人的な注意をほとんどまたはまったく向けられないまま、まったく馴染みのない環境下で生活していることを懸念する。家族を失った人々に対しても、精神的または心理的治療がほとんどまたはまったく提供されていない模様である。再定住した60歳以上の被災者の多くは、コミュニティ・センターがなく、保健センターを利用できず、かつ外来看護を受けることができないでいる。

28.委員会は、阪神淡路地域に住む地震の被災者の貧困層にとって、住宅再建ローンの支払いがますます困難なものとなりつつあることに懸念とともに留意する。自宅を再建できないまま、すでに負っている住宅ローンを清算するために資産売却を余儀なくされた人々も存在する。

29.委員会は、全国に、とくに大阪・釜ヶ崎地域にホームレスの人々が多数存在することを懸念する。委員会はさらに、締約国がホームレス問題と闘うための包括的な計画を定めていないことを懸念するものである。

30.委員会はまた、強制立退き、とりわけ仮住まい場所からのホームレスの人々の強制立退き、およびウトロ地区に長期間居住してきた人々の強制立退きについても懸念する。これとの関連で、委員会は、〔民事保全法上の〕裁判所の仮処分命令手続にもとづき、裁判所がいかなる理由も示さずに仮の立退き命令を発し、かつ当該命令がいかなる執行停止の対象ともされないという手続の簡易さをとりわけ懸念するものである。このことにより、いかなる異議申立権も意味のないものとなり、かつ仮の立退き命令が実際上は確定命令となってしまう。これは委員会が一般的意見第4号および第7号で確立した指針に違反するものである。

31.委員会は、あらゆる段階の教育がしばしば過度に競争主義的でストレスに満ちたものとなっており、その結果、生徒の不登校、病気、さらには自殺すら生じていることを懸念する。

32.委員会は、マイノリティの子どもにとって、自己の言語による教育および自己の文化に関する教育を公立学校で享受する可能性がきわめて限られていることに懸念を表明する。委員会はまた、朝鮮学校のようなマイノリティの学校が、たとえ国の教育カリキュラムを遵守している場合でも正式に認可されておらず、したがって中央政府の補助金を受けることも大学入学試験の受験資格を与えることもできないことについても、懸念するものである。

E.提案および勧告

33.委員会は、締約国に対し、規約から派生する法的義務に対する立場を再検討すること、および、一般的意見第13号および第14号を含む委員会の一般的意見で述べられているように、少なくとも中核的義務との関係では規約の規定を実際上直接適用が可能なものと解釈することを、促す。さらに、規約の規定が立法上および行政上の政策ならびに意思決定過程で考慮にいれられることを確保するため、締約国が環境影響評価〔環境アセスメント〕と同様の「人権影響評価」その他の措置を導入することも奨励されるところである。

34.委員会は、締約国に対し、規約第7条(d)、第8条2項ならびに第13条2項(b)および(c)への留保の撤回を検討するよう促す。

35.委員会はまた、締約国が、規約に関する知識、意識および規約の適用を向上させるため、裁判官、検察官および弁護士を対象とした人権教育および人権研修のプログラムを改善するようにも勧告する。

36.経済的、社会的および文化的権利を促進および保護するために締約国がとった措置は評価しながらも、委員会は、締約国に対し、ウィーン宣言および行動計画71項にしたがって、開かれた協議のプロセスを通じて包括的な国内行動計画を採択するよう促す。委員会は、締約国に対し、第3回定期報告書に国内行動計画の写しを添付し、かつ当該計画がどのように経済的、社会的および文化的権利を促進および保護しているか説明するよう要請するものである。

37.委員会は、締約国に対し、発展途上国に国際援助を提供するためいっそうの努力を行なうこと、および、国際連合が設定し、国際的に受け入れられた対GNP比0.7%という目標を達成する期限を定めるよう促す。委員会はまた、締約国に対し、国際金融機関とくに国際通貨基金および世界銀行の加盟国として、これらの機関の政策および決定が規約締約国の義務、とりわけ国際援助および国際協力に関わる第2条1項、第11条、第15条、第22条および第23条に掲げられた義務に一致することを確保するため、可能なあらゆることを行なうようにも奨励するものである。

38.委員会は、締約国が国内人権機関の導入を提案する意向を示したことを歓迎し、締約国に対し、1991年のパリ原則および委員会の一般的意見第10号に一致した国内人権機関を可能なかぎり早期に設置するよう促す。

39.委員会は、締約国に対し、規約第2条2項に掲げられた差別の禁止の原則は絶対的な原則であり、客観的な基準にもとづく区別でないかぎりいかなる例外の対象ともなりえないという委員会の立場に留意するよう要請する。委員会は、締約国がこのような立場にしたがって差別禁止立法を強化するよう強く勧告するものである。

40.締約国が現在、ウトロ地区に住む韓国・朝鮮人の未解決の状況に関して住民との協議を進めていることに留意しながらも、委員会は、部落の人々、沖縄の人々および先住民であるアイヌの人々を含む日本社会のあらゆるマイノリティ集団に対し、とくに雇用、居住および教育の分野で行なわれている法律上および事実上の差別と闘うため、締約国がひきつづき必要な措置をとるよう勧告する。

41.委員会は、締約国に対し、近代社会では受け入れられない「非嫡出子」という概念を法律および慣行から取り除くこと、および、婚外子に対するあらゆる形態の差別を解消し、かつさらに当事者の規約上の権利(第2条2項および第10条)を回復するために緊急に立法上および行政上の措置をとることを促す。

42.委員会は、締約国に対し、とりわけ雇用、労働条件、賃金ならびに代議制の政治機関、公的サービスおよび行政における地位の向上の分野でいっそうの男女平等を確保することを目的として、現行法をいっそう精力的に実施し、かつ適切なジェンダーの視点を備えた新法を採択するよう促す。

43.委員会は、締約国が、ドメスティック・バイオレンス、セクシャル・ハラスメントおよび子どもの性的搾取の事案に関する詳細な情報および統計的データを提供するよう勧告する。委員会はまた、締約国が当該犯罪の加害者に対して国内法を厳格に適用しかつ効果的な制裁を実施するようにも勧告するものである。

44.委員会は、雇用機会均等法のような現行法、ならびにILOが言及しているコース別雇用管理に関する指針のような関連の行政上その他のプログラムおよび政策をいっそう積極的に実施することにより、かつこの問題に対応するための新たな適切な措置をとることにより、同一価値労働に対する賃金の事実上の男女格差の問題に締約国がひきつづき対応するよう強く勧告する。

45.委員会は、締約国に対し、強制労働の廃止に関するILO第105号条約、雇用および職業における差別に関する同第111号条約、および先住民および種族民に関する同第169号条約の批准を検討するよう奨励する。

46.委員会は、公共部門および民間部門のいずれにおいても労働時間を短縮するため、締約国が必要な立法上および行政上の措置をとるよう勧告する。

47.委員会は、締約国が、45歳以上の労働者が従前の水準の賃金および雇用安定を維持することを確保するための措置をとるよう勧告する。

48.委員会は、ILOにならい、締約国が、必須業務に携わっていない公務員および公共部門の被雇用者がストライキを組織する権利を確保するよう勧告する。

49.委員会は、原子力発電施設の安全性に関わる問題について透明性を向上させ、かつ関係住民に対してあらゆる必要な情報を公開することを勧告し、さらに、締約国に対し、原子力事故の防止および事故に対する早期対応のための準備計画を改善するよう促す。

50.委員会は、公的年金制度の受給年齢が60歳から65歳に段階的に引き上げられることから、締約国が、65歳未満で退職する人々を対象として社会保障手当を確保するための措置をとるよう勧告する。

51.委員会は、締約国が国の年金制度に最低年金額を組み入れるよう勧告する。委員会はさらに、年金制度において根強く残っている事実上の男女格差を可能なかぎり最大限に是正するよう勧告するものである。

52.委員会は、締約国が、障害のある人々に対する差別的な法規定を廃止し、かつ障害のある人々に対するあらゆる種類の差別を禁止する法律を採択するよう勧告する。委員会はさらに、締約国に対し、公共部門における障害のある人々の法定雇用率の執行における進展を継続および加速させるよう促すものである。

53.委員会は、「従軍慰安婦」を代表する団体との協議において、被害者の期待を満たすような形で補償を行なう方法および手段に関して手遅れになる前に適切な取決めを行なうよう強く勧告する。

54.委員会は、締約国が、兵庫県に対し、とくに高齢者および障害のある人々に対するコミュニティ・サービスを改善および拡大するよう奨励することを勧告する。

55.委員会は、締約国が、規約第11条にもとづく義務にしたがい、継続する住宅ローンの支払いのため地震の被災者の貧困層が資産を売却しなければならなくなる状況を回避することを目的として、倒壊した家屋の再建のために住宅金融公庫または銀行融資を通じて負った債務をこのような被災者が返還するのを援助するための効果的な措置を迅速にとるよう勧告する。

56.委員会は、締約国に対し、日本におけるホームレスの規模および原因を評価するための調査をみずからおよび都道府県と共同で行なうよう促す。締約国はまた、生活保護法のような現行法の全面的適用を確保するための充分な措置もとり、ホームレスの人々に対して充分な生活水準を確保するべきである。

57.委員会は、あらゆる立退き命令およびとくに裁判所の仮処分命令が一般的意見第4号および第7号に示された委員会の指針に一致することを確保するため、締約国が是正のための行動を起こすよう勧告する。

58.委員会は、締約国が、委員会の一般的意見第11号および第13号ならびに子どもの権利に関する委員会の一般的意見第1号を考慮にいれながら、教育制度の包括的再検討を行なうよう強く勧告する。このような再検討においては、あらゆる段階の教育がしばしば過度に競争主義的でストレスに満ちたものとなっており、その結果、生徒の不登校、病気、さらには自殺すら生じていることにとくに焦点が当てられるべきである。

59.委員会は、締約国に対し、学校教科書その他の教材において、諸問題が、規約第13条1項、委員会の一般的意見第13号および子どもの権利に関する委員会の一般的意見第1号に掲げられた教育の目的を反映した公正なかつバランスのとれた方法で提示されることを確保するよう、促す。

60.委員会は、言語的マイノリティに属する生徒が相当数就学している公立学校の正規のカリキュラムに母語による教育を導入するよう強く勧告する。委員会はさらに、締約国が、マイノリティの学校およびとくに朝鮮学校が国の教育カリキュラムにしたがっている状況においては当該学校を正式に認可し、それによって当該学校が補助金その他の財政援助を得られるようにすること、および、当該学校の卒業資格を大学入学試験の受験資格として承認することを勧告するものである。

61.委員会は、締約国に対し、対話のなかで充分に扱えなかった以下の問題について次回の定期報告書でいっそう広範な情報を提供するよう要請する。その問題とは、公正かつ良好な労働条件に対する権利、社会保障および保健サービスに対する外国人(資格外労働者および研修生を含む)の権利、および患者の権利である。

62.委員会は、締約国に対し、委員会の総括所見を社会のあらゆる層において広く普及し、かつ、その実施のためにとったあらゆる措置について委員会に情報を提供するよう勧告する。委員会はまた、締約国に対し、第3回定期報告書の作成の早い段階で非政府組織その他の市民社会の構成員と協議するようにも奨励するものである。

63.最後に、委員会は、締約国に対し、2006年6月30日までに第3回定期報告書を提出すること、および、この総括所見に掲げられた勧告を実施するためにとった措置に関する詳細な情報を当該報告書に記載することを、要請する。

〔社会権規約NGOレポート連絡会議訳〕



*訳出にあたっては平野裕二が第1次訳を作成し、関係団体のご意見・ご指摘を受けて若干の修正を行なった。ご意見を寄せてくださったかたがたに謝意を表する。なお、これは正式な国連文書になる前の段階の「未編集版」にもとづく翻訳であるため、さらに若干の文法上・技術上の修正が行なわれる可能性があることに注意されたい。


 

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