→最新情報の一覧はこちら(国連と国際社会の最近の動向[人種差別問題])
 




社会権規約委員会と人種主義(2001.3.5)


*昨年末に、経済的、社会的及び文化的権利委員会(以下、社会権規約委員会)において、反人種主義・差別撤廃世界会議についての討議が行われた。以下、それについて報じた国連のプレス・リリースを訳出する。


2000年11月24日午後、社会権規約委員会第24会期

 本日午後、社会権規約委員会において、2001年8月31日から9月7日まで南アフリカで開催が予定されている反人種主義・差別撤廃世界会議への同委員会の寄与についての討議がなされた。

 反人種主義・差別撤廃世界会議に向けた準備作業について、社会権規約委員会において事務局代表から報告がなされた。事務局代表によれば、その作業は順調に進んでおり、一連の地域専門家セミナーはすでに終了した。

 事務局代表によれば、反人種主義・差別撤廃世界会議ならびに関連会議及び活動にかかる1999年度、2000年度及び2001年度の費用は1000万ドル余りである。利用可能な資金は、2000年11月15日現在で総計5600万ドルであり、それは政府及び財団並びに世界人権会議の残高も含まれる。

 サンティアゴ(チリ)の地域専門家セミナーに参加した社会権規約委員会の専門家の一人もまた同委員会のメンバーに報告した。彼によれば、人種間の理解を促すために、あらゆる形態の人種差別を撤廃し、かつ人種主義的な声明及び実行と闘うための全ての必要かつ実効的な措置をとるよう決意すべきである。こうした措置によって、国際社会は、あらゆる形態の人種差別から開放されるという。

 社会権規約委員会における短時間にわたる公式の討議を経た後、同委員会のメンバーは非公式会議において討議を継続した。

 再び社会権規約委員会において、11月27日(月曜日)の午前10時に、「全ての芸術的、文学的又は科学的な生産物から生じる、道徳的かつ物質的な利益を保護することによって得られる全ての人の権利」に関する一般的討論日(a day of general discussion)が開催された。これは社会権規約第15条が定めるところである。

反人種主義・差別撤廃世界会議に向けた準備

 Robert Husbands反人種主義・差別撤廃世界会議・人権事務局員によれば、南アフリカのダーバンで2001年8月31日から9月7日まで開催予定の反人種主義・差別撤廃世界会議の準備は進められている。一連の地域専門家セミナーは、ジュネーブ、ワルシャワ、バンコク、アディスアベバ及びサンティアゴ(チリ)で開催された。それぞれの地域専門化セミナーに共通のテーマは、「人種主義、人種差別、外国人排斥及び不寛容と闘う場合の傾向(トレンド)、優先事項及び障壁」であった。

 Husbandsによれば、国連情報局(United Nations Department of Public Information)との協力の下で、反人種主義・差別撤廃世界会議の広告及びパンフレットが準備され、地域専門家セミナー並びに欧州地域準儀会議(ストラスブルグ)に配布された。加えて、「人種主義に向けた団結、ダーバン2001(United against Racism, Durban 2001)」と題するニュースレターが発効された。そのニュースレターは、政府、NGO、市民社会、メディア及び反人種主義・差別撤廃世界会議事務局により行われた準備についての情報を掲載している。

 Husbandsによれば、反人種主義・差別撤廃世界会議ならびに関連会議及び活動にかかる1999年度、2000年度及び2001年度の費用は1000万ドル余りである。利用可能な資金は、2000年11月15日現在で総計5600万ドルであり、それは政府及び財団並びに世界人権会議の残高も含まれるという。

ラテンアメリカ地域専門家セミナー

 Kenneth Oborne Pattray専門家委員は、反人種主義・差別撤廃世界会議の文脈でラテンアメリカ地域における人種差別のための実効的な救済という問題について、2000年10月25日から27日にサンティアゴ(チリ)で開催された地域専門家セミナーのメンバーに報告した。この地域セミナーでは、アメリカ及びカリブ地域の傷つきやすいグループ(vulnerable groups)に対する人種差別について特別な注意が払われた。

 Ratrayは、社会権規約委員会において予備文書(バックグランド・ペーパー)を紹介した。Ratrayによれば、人種間の理解を促すために、あらゆる形態の人種差別を撤廃し、かつ人種主義的な声明及び実行と闘うための全ての必要かつ実効的な措置をとるよう決意すべきである。こうした措置によって、国際社会は、あらゆる形態の人種差別から開放されるという。

 Rattrayによれば、世界中の多くの地域において、無意識に人種主義について顕在化している活動は、公衆のイメージを想定している。差別問題が社会の最貧層にあるラテンアメリカ及びカリブ地域においては、差別と貧困との間に相関関係があり、また、この地域における人種的偏見を生み出してきた植民地主義が人種主義の起源であるという。

 Rattrayによれば、人種差別に対する一層実効的な措置を確立する際には、包括的な教育計画及び訓練を通じて、社会化の世紀(centuries of socialization)から生じている文化的偏見を撤廃することに何よりも注意を向けなければならない。すなわち、行動規範を確立することを通じた、メディアよる一層の意識向上、並びにメディアによるネガティブなステレオタイプの撤廃。人種的社会(racial communities)の文化的遺産の重要性を認識し、かつ、そうした遺産に対する尊重を促進させる必要。先住民、女性及び移民労働者と関連した人種主義と闘う際の特別な境遇への認識。


*上記の原文(英文)は以下の国連ホームページから入手可能です。
http://www.unhchr.ch/huricane/huricane.nsf/view01/
259EA5B70D519523C12569A40032955A?opendocument


 

人権フォーラム21Top国連と国際社会の最近の動向現在位置
人権フォーラム21 Copyright 2001 Human Rights Forum 21. All Rights Reserved.