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ダーバン2001に向けたアジア地域準備会議/ニュース速報2(2001.2.26)


*2001年2月19日−21日に反人種主義世界会議・アジア地域準備会議が開催された。この準備会議についての二つのプレス・リリースを以下紹介する。一つは、国連人権高等弁務官事務所のもので、もう一つは反人種主義世界会議(RD/906)のものである。


国連人権高等弁務官事務所のプレス・リリース(テヘラン、2001年2月21日)

 反人種主義世界会議・アジア地域準備会議は、2001年2月21日にテヘランでの討議を終えた。その際に採択された宣言と行動プランは、ジュネーブで5月に開催される第2回準備委員会へ提出される予定である。

 連人権高等弁務官・反人種主義世界会議事務総長であるメアリー・ロビンソンは、その閉会の挨拶において次のように述べた。すでに幾つかの準備会議で採択された諸勧告は、高いレベルの同意を示している。すなわち、人種主義の撤廃を目的とした国内機関を促進しかつ強化するために、また女性及び青年並びに移民やマイノリティーのような様々な傷つきやすい人々に対して特別の注意を払うために、さらに教育や訓練を促すために、人種主義と闘いかつ犠牲者を保護するための法律を制定したり規制措置をとったりすることが必要であるという合意が得られたのである。確かに、この問題については、政治的なリーダーシップを必要とする数多くの課題がいまだに残っている。しかし、メアリー・ロビンソンは、その解決策は今後の交渉や協議の過程において必ず見出せるという。

 アジア地域準備会議で採択された宣言と行動プランは、人種主義との闘いにおいて、アフリカの人々との連帯を表明している。また、同準備会議では、グローバリゼーションが進展する中にあって、移民とりわけ女性移民の窮状が悪化していることや、人身売買について特別の注意を払うべきとした。

 これまで開催されたストラスブルグ、サンティアゴ(チリ)及びダカールにおける地域準備会と同様、このテヘランでのアジア地域準備会議も次の問題に国家が取組むよう要請した。すなわち、人種主義、人種差別、外国人排斥及び不寛容を引き起こしたり、悪化させたりする根本的な原因となっているエスニック間の対立、貧困及び武力紛争といった問題である。

 このアジア地域準備会議には、加盟国をはじめ他の地域からのオブザーバーや、150に上るNGO、市民社会及び国際機関の諸代表が参加した。もっとも、メアリーロビンソンは、「手続的及び技術的な」困難について失意を表した。すなわち、経済社会理事会の協議資格をもつSimon Wiesenthal CentreとBahai International Communityの両方ともアジア地域準備会議に参加することが許されなかったのである。前者は同会議が始まる数時間前に許可がおりたものの、後者は許可がおりなかった。このような現状を踏まえて、メアリー・ロビンソンは、反人種主義・差別撤廃世界会議とその準備過程において、全ての協議資格を有するNGOが参加できるよう完全かつ無条件の支援をする、と繰り返し述べた。

*国連人権高等弁務官事務所のプレス・リリース(アジア地域準備会議)は以下から入手可能です。
http://www.unhchr.ch/huricane/huricane.nsf/view01
/47D58D0249090A31C12569FA003A93B8?opendocument



テヘランにおいて反人種主義世界会議・アジア地域準備会議が開催(2001年2月20)

国連情報サービス、2月20日、ジュネーブ

 2月19日にテヘランでアジア地域準備会議が開催されたが、その開会の席上において、Kamal Kharaziイラン外相が、人種、皮膚の色及び宗教について区別なく普遍的な文化を主流化させるよう求めた。また、イラン外相は、彼が言うところの「多様性の創造(creative diversity)」を促進するために、文明間対話と人種差別撤廃との規範的な結合について検討するよう参加者に要請した。そして、こうした目標に向けて努力活動において、市民社会とNGOとが重要な役割を果たすと述べた。

 また、メアリー・ロビンソン国連人権高等弁務官・反人種主義世界会議事務総長は、その冒頭演説において、いかなる国も地域も人種主義と関係ないと主張することはできない、と強調して述べた。ロビンソンによれば、人種主義、外国人排斥、及び不寛容は邪道に導く問題であると認識し取組まなければならない。また、ロビンソンは、人種差別、外国人排斥及び不寛容と直接的な関係を有する移民や人身売買を含む今日的な諸問題に注意を払った。

 反人種主義世界会議の開催国である南アフリカ共和国のNkosazana Dlamini Zuma外相は、反人種主義世界会議を準備するためのアジア地域準備会議の重要性を強調した。南アフリカ外相は、人種主義に関わる多くの問題は植民地主義の伝統に深く根ざしていると強調すると共に、南アフリカが8月31日から9月7日にダーバンで開催される反人種主義世界会議の成功に向けて取組んでいると述べた。

 Hassan Bin Talalヨルダン国王も開会の席上で、反人種主義世界会議において、「イスラム恐怖症(Islamophobia)」の現実と、それが潜在的にもつ破壊的な力が認識されるよう求めた。ヨルダン国王の見解によれば、宗教的な権利は普遍的な人権文化の一部である。

 このテヘランで開催されるアジア地域準備会議は、ストラスブルグ、サンティアゴ(チリ)及びダカールにおいて開催されてきた一連の地域準備会議の最後をなすものである。このアジア地域準備会議には、アジア地域から40カ国以上が、他の地域からオブザーバーとして数カ国が、また、種々の国際機関や150以上のNGOや市民社会の代表が参加している。そして、アジア地域準備会議では、宣言と行動プランを採択することが予定されている。


*反人種主義世界会議(アジア地域準備会議)のプレス・リリース(RD/906)は以下から入手可能です。
http://www.un.org/News/Press/docs/2001/rd906.doc.htm
*アジア地域準備会議で採択された宣言と行動プランに関する反人種主義・差別撤廃世界会議のプレス・リリース(RD/907)は以下から入手可能です。
http://www.un.org/News/Press/docs/2001/RD907.doc.htm


 

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