<JFC問題とは>

 (JFCとは)
  JFCとはJapanese-Filipino Children の略称です。
 この子どもたちの母親の多くは、1980年代から日本にエンターテイナーとして
 出稼ぎにきた女性たちです。
 また、近年日本からフィリピンへの旅行者や企業駐在員も増え、フィリピン人女性と
 日本人男性の出会いの機会は、かつてなかったほど多くなってきています。
 そのため、この十数年間にフィリピンで結婚式を挙げる日本人男性の数は、
 3万人をはるかに超えています。
 さらに、未婚で子どもをもうけるカップルもそれと同じくらいの数でいるといわれています。
  
  うまくいっている幸せなケースももちろんたくさんあります。
 しかし、中には、母親が出産のためにフィリピンに帰国し、子どもが生まれた後に、
 さまざまな理由で関係が破綻したり、あるいは理由がわからないまま突然男性からの
 連絡が途絶えたりして、その結果、
 母と子がフィリピンに取り残されてしまうケースも多いのです。
  
  これが、現在、「JFC問題」としてフィリピンで大きな社会問題となっており、
 特に子どもの人権問題として、国際的にクローズアップされているのです 
 
 (何が問題になっているのでしょうか)
  フィリピンのボランティアによるこれまでの報告と、私たちの独自の調査によって、
 フィリピン各地にこのような子どもたちが大勢いることが確認されています。
  
  これらの子どもたちの中には、父親のいない寂しさに加えて、
 父親の養育放棄のための貧困、
 また、「日本人の父親に捨てられた子ども」というレッテルを貼られることによる
 社会的差別に苦しんでいる者もいます。
  
  また、法律問題としては、父親からの認知を受けていないことや、
 たとえフィリピンで両親が結婚していても、日本の戸籍に両親の結婚や子どもの
 出生が届けられていないため、
 本来日本国籍を取得していたはずの子どもたちの多くが、日本国籍を喪失しているという
 問題があります。
 さらに、フィリピンでの婚姻が日本では無効だと勘違いしている男性の中には、
 日本で法律上結婚したままフィリピンで結婚していたり、フィリピンで結婚し、日本で
 届出をしないまま日本で別の女性と結婚しているケースも続出しているのです。

 (私たちにできることは)
  このようにフィリピン人女性と日本人男性との間に生まれるJFCが増加するにつれ、
 「父親捜し」や「認知」、「養育費」を求めた母親からの相談が
 日本の弁護士に次々に持ち込まれ始めました。
  
  この問題を重視した約60名の弁護士が、93年4月に「JFC弁護団」を結成し、
 無償で、フィリピンのボランティア団体から送られてきた150件以上の事件を受け、
 全国に散らばる父親捜し、認知や養育費を求めての交渉、調停訴訟などを
 行ってきました。
 そして翌年の94年5月には、民間市民団体(NGO)として「JFCを支えるネットワーク」が
 結成され、この問題に市民が直接かかわれる体制を整えました。
  
  現在、父親捜しには、事務局、ボランティア、弁護士の3者が協力し合って進める形で
 取り組んでいますが、残念ながら解決したケースは全体(約400件)の
 1割にも満たない状況です。
  
  1998年1月17日には、フィリピン現地事務所「マリガヤハウス」が開設され、
 父親からの連絡が途絶えた母子からの相談を直接に私たちの団体で
 受けられるようになり、
 この問題により総合的にかかわれる体制が整いました。

 今後ますますJFC母子たちからの相談が増加していくことが予想されます。

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