要請文
参議院各法務委員殿
法務省殿
通産省殿
郵政省殿
今回、国会に上程されているいわゆる盗聴法(通信傍受法)案は、わたしたち通
信事業者の営業活動や経営に多大な影響を与えるものですが、法案の内容やこ
れまでの法案の審議を拝見するにあたり、いくつかの疑問を抱かざるを得ません。
参議院における当法案の審議にあたり、以下の問題点につきましても深くご検討
の上、審議を進められるよう心からお願い申し上げます。
1. 今回の盗聴法案では従来のアナログ電話とインターネットのさまざまな通
信の区別がなく、事実上、インターネットを使ったあらゆる通信の盗聴が可能
です。本来の捜査とは無関係な情報の漏洩や、通信事業者内部の情報の漏洩
が発生しないようにする技術的な歯止めが規定されていないことを憂慮します。
2. 通信事業者は、捜査協力が義務づけられていますが、通信事業者は電気通信
事業法により電気通信事業者として顧客の通信の秘密を守ることが求められてい
ます。通信事業者の多くは、一般企業のサーバーを預かり、あるいは一般企業に
対してルーティングを行っています。通信事業者が使用する専用線には、顧客企
業のビジネス情報が大量に流れており、その漏出は顧客企業にとって不利益また
は不安であるだけでなく、通信の秘密が保護されない通信は、利用者の不信を招
き、ひいてはインターネットの健全な発展を阻害するものではないかと憂慮しま
す。
3. 盗聴への協力のためには、通信設備の操作やアクセスの権限を提供する必
要がありますが、その結果として捜査担当者にシステムの自由な制御が可能に
なってしまいます。盗聴法案では立会人が義務づけられていますが、システム
の操作を知らない立会人が捜査担当者による操作内容をチェックすることは不
可能であり、顧客の情報保護はもとより、通信事業者の業務情報、内部情報の漏
洩やシステムのセキュリティ上の問題が発生しかねないことを憂慮します。
4. 今回の盗聴法案は、特に通信事業者の営業活動や、経営と深く関わる法案で
あるにもかかわらず、インターネット業界や利用者などの意見の十分な聴
取が行なわれていないことを憂慮します。
5. 法案では、電気通信事業法による事業者も、一般企業、組織も、通信事業
者として同等に扱われていますが、電気通信事業法による通信事業者は顧客に
対する法的な義務が存在します。盗聴捜査に通信事業者が協力したことによる顧
客からの法的な損害賠償などに関し、トラブルが発生しかねないことを憂
慮します。
6. 通信事業者が義務づけられる盗聴への協力にかかるコストは、通信事業者
の負担とのことですが、人件費や専用のハードウェア、ソフトウェアなどの設置
が求められた場合の補償に触れられていない点を憂慮します。
以上
インターネットサービスプロバイダを初めとする16団体、70個人による賛同