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最終更新: 14週 18時間前

「戦争をとめよう!安倍9条改憲NO!2018新春の集い」に1300名

2018/01/07(日) 16:20

1月7日、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」と「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」は、「戦争をとめよう!安倍9条改憲NO!2018新春の集い」を、東京・北区の北とぴあで開催、市民など1300人が参加して、今年の年頭の記者会見で改憲への決意を表明した安倍晋三首相の「9条改憲」と真っ向から対決して、改憲阻止に向けたたかう決意を確認し合いました。
 主催者を代表して長尾詩子さん(安保関連法に反対するママの会・弁護士)が「昨年の総選挙は立憲民主党の誕生と野党共闘の力で最悪の事態を免れることができた。これは、2015年以降の市民のたたかいの力があったからだ。今の野党を動かしているのは私たち市民の声だ。このことに確信をもって、新年の新しいスタートにしよう。3000万署名を早期に達成し、私たちの力で9条を守り、平和を守っていこう」と訴えました。


 

 次は俳優・タレントの松尾貴史さん(写真左)のミニトークが行われ、巧みなユーモアを交えながら「私は護憲派でも改憲派でもないが、国民から変えてほしいと湧いているのでなく、憲法に縛られる権力者の側が変えたいというのはおかしい話だ。憲法が国民の権利などをより強く守るようになる改正なら賛成だが、今、変えようとする人たちにそれができるとは思えない。憲法は変えてほしくはありません」と言い切りました。
 次に、石川健治・東京大学憲法学教授(写真右)が講演を行い、安倍首相の9条に3項として自衛隊を明記する9条改憲案の持つ意味とその危険性を語りました。石川教授は「現在の9条は軍隊の保持を禁じる権力統制の典型。9条を変えれば統制がなくなってしまう。憲法があまりわかっていない人たちが進めている改憲なので、軍事組織に統制がなくなり、政治が軍隊をコントロールできなくなる。このような改憲は最も危険な改憲と言わなければならない」と訴えました。
 その後、各政党からのあいさつとして、自由党の青木愛参議院議員、共産党の小池晃書記局長、立憲民主党の福山哲郎幹事長が登壇。そろって安倍9条改憲に反対する姿勢を明らかにし、市民と野党との共闘の力で、9条改憲阻止に向け、ともにたたかい抜く決意を表明しました。
 リレートークとして、岡本達思さん(安倍政権にNO!東京地域ネットワーク)、遠藤俊夫さん(戦争させない!9条壊すな!総がかり取手実行委員会)、野田静枝さん(オール埼玉共同行動実行委員会)、岸牧子さん(横須賀市民9条の会)が、それぞれ地域の中で奮闘してきた報告と今後の決意を述べました。
 最後に行動提起うぃ、福山真劫さん(総がかり行動実行委員会共同代表・全国市民アクション運営委員)が行い「私たちは大統領を退陣に追い込んだ韓国の民衆のように、安倍政権を打倒するには至っていない。総がかりを超える総がかり運動をさらに強め、9条改憲を絶対阻止し、安倍政権打倒に向け3000万署名を絶対集めなければならない。その上で、当面の行動として1月の19日行動、1月22日の国会開会日行動(いずれも議員会館前)などへの参加をはじめ、特に、今年の5月3日の憲法集会には10万人が集まろう。私たちは絶対に負けないことに確信を持とう!」と訴え、集いを終えました。
 

日本の破壊は続く~ 防衛予算をめぐって

2018/01/01(月) 09:09

 2018年度防衛関係費の概算要求は、過去最大の5兆2551億円に達した。当初予算での増額は、安倍政権下で編成した13年度以降6年連続となる。防衛省が発表した「我が国の防衛と予算」における2018年度の概算要求の考え方では、「格段にきびしさの増す財政事情を勘案し、我が国の他の諸施策との調和を図りつつ」と記されているが、どのように調和を図っているのだろうか。

 義務的経費の増加分を除くならば、防衛費は突出している。その予算の多くが、米国からの軍備品購入に充てられる。1基1000億円のイージスアショア(地上配備型イージスシステム)を2基購入することを決定し、約115億円のオスプレイ17機や約150億円のF-35A戦闘機42機の購入を決定している。米政府に価格決定の主導権のある有償軍事援助(FMS)によって、防衛省が購入した装備品の額は、主に民主党政権時代の2008年から2012年までは3647億円だったものが、安倍政権になった2013年から2017年までで1兆6244億円にも上っている。

 トランプ大統領は、米朝危機を理由に日本の軍備増強を求め、安倍首相は手放しで応じている状況だ。トランプ大統領訪日時のワシントンポストは「日本の指導者安倍晋三は、トランプの忠実な手下の役割を演じた」と報じている。「いまはまさに『すべての選択肢がテーブルの上にある』というトランプ大統領の方針を私は一貫して支持する」と発言する安倍首相は、まさにトランプの忠実な手下に違いない。

 日本の防衛費は、専守防衛の旗の下で、長いことGDPの1%枠内に収めてきた。しかし、安倍首相は「GDPと機械的に結びつける考え方は適切ではない」と述べ、1%を超えての防衛費拡充をにおわせることとなっている。トランプ大統領の要求次第では、平和憲法の下での抑制的措置も失われかねない。

 厚生労働省の専門家会議の調査で、大都市で小学生と中学生のいる家庭では、生活扶助が18万5000円余りで、低所得世帯の収入を2万5000円上回ったとして、14%程度の大幅な引き下げを検討していることが報道されている。「他の諸施策との調和を図りつつ」としながらの防衛費の増額は、お粗末な日本の社会保障政策とどのように関連するのだろうか。敗戦から73年、米国による日本占領はいつまで続くのか。評論家の佐高信さんは、ある集会で「安倍首相と菅官房長官は、破防法違反だ」と言った。日本の破壊が続いている。
(藤本泰成)
 

ニュースペーパー2018年1月

2018/01/01(月) 08:56

2018年、いや明治150年!?の年明け! 安倍9条改憲阻止!!
 2016年10月、政府は2018年の今年が明治維新から150年を迎えるのに合わせて記念事業を実施すると発表し、国が行う行事に「明治150年記念」の冠をつける方針を打ち出しました。これを受け、今年の国民体育大会および全国障害者スポーツ大会の名称は「明治150年記念第73回国民体育大会」「明治150年記念第18回全国障害者スポーツ大会」に決まりました。なお50年前の1968年10月23日には、安倍晋三首相の大叔父である佐藤栄作首相(当時)が「明治100年記念式典」を行っています。その年の国民体育大会は「明治100年記念」という冠称が付いていました。
 これまで、安倍首相は「米国によって押しつけられた憲法が、日本人の精神に悪い影響を及ぼしている」など、憲法「改正」をめざした発言を繰り返しています。そして、2017年5月3日には、憲法への自衛隊明記を訴え「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と意欲を示しました。憲法「改正」発議をするには、今年2018年、いや明治150年は、安倍首相にとって打って付けの年ではないでしょうか。
 平和フォーラムは、2017年9月に発足した「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」に結集し「安倍9条改憲NO!憲法を生かす全国統一署名」に全力を挙げて取り組み、改憲阻止に向けた大きなうねりをつくりだしていきます!

インタビュー・シリーズ:128
立憲民主の理念を軸として、次の時代へ
立憲民主党代表・弁護士 枝野幸男さんに聞く


えだの ゆきおさん プロフィール
 1964年栃木県生まれ。中学・高校と合唱部に所属し、中学では、NHK全国学校音楽コンクールに出場。東北大学法学部卒。弁護士を経て、1993年日本新党の候補者公募に合格し、第40回衆議院議員総選挙で初当選。現在9期。2017年10月に結成された立憲民主党代表。

─衆院選挙中「枝野さんありがとう」との言葉を頻繁に聞きました。しかし、立憲民主党の立ち上げは大変だったと思いますが、決断に至る経過はどのようなものだったのでしょう。  新党を立ち上げることが良いとはわかっていても、当初は、無所属で出馬することになるだろうなと思っていました。両院議員総会のあった9月28日の翌日夕方、地元に戻ったのですが、なんとなく新党を作るのだろうという空気がありました。周辺では「民進党で立候補できないの?」「それは無理だろう」という話になり、それでは「新党を立てるしかないね」と、私よりも周りの人たちが、新党結成へという考えになっていたのです。そういう雰囲気があったので、私自身は新党結成の決断そのものに迷ったというよりも、実務的に可能であるかどうかが、むしろ最大の懸念でした。
 10月10日公示に間に合うように、党を作って、候補者揃えて、供託金を準備し、届け出をするということが可能なのかどうか。どれだけの人に、どうのように声かけていったらいいのか。今から新党を立ち上げて、一緒にやろうと言っても、参加してもらえるだろうか。そんな迷いは当然ありました。しかし、一緒に新党を立ち上げることになった辻元清美さん、長妻昭さん、近藤昭一さん、赤松広隆さんらと話し合っていくなかで、間に合わないことがあっても、「立憲民主の旗」をきっちりと立てることが大事なんじゃないかということになりました。大事な決定なので、慎重に考えはしましたが、大きなためらいはありませんでした。

─格差と貧困の問題を、立憲民主党は立ち上げの時から政治課題としてとらえています。この問題と背景にあるアベノミクスについてどのように考えていますか。
 「格差」という言葉は、周知されているので使いましたけれども、むしろ深刻なのは「分断」だと思います。アベノミクスは成功していると思っている人が、世の中には一定数の塊でいます。一方で、本当にひどい生活状況で、なおかつ目も向けてもらえない人も相当な塊でいるのです。単に経済的な差がついているだけではなく、社会の構造として分断されてしまっている。これが深刻だと、私は思っています。
 景気は悪くないと思っている人たちにとっては、貧困は特別な一握りの人としか見ていない。分断されている下の側からすると、自分たちは見捨てられている、放置されていると思って自暴自棄、あきらめきっている。だから、この分断をどうにかしなくてはと思っています。
 「格差是正は景気対策です」。この言葉は、私が選挙の時も強く意識し、これからも言っていこうと思っています。今の分断された状況下で「格差の下の人が気の毒だから、助けてあげましょう」というのでは、分断の中の勝ち組は反応しません。自己責任論という考えに流れていってしまっています。この人たちが、1、2割ならいいのだけれど、自分のことを勝ち組だと勘違いしている人びとが、おそらく半分か半分以上いると思います。そうしたなかで、「気の毒だから助けましょう」と訴えても、マジョリティーにはならない。だから「景気対策」なのです。「社会が分断されて格差が広がれば広がるほど、社会全体の成長力が落ちる」ということを、かなり意識して強く訴えたつもりです。ここに反応してくれた新しい層が、着実に増えてきていると思うのです。
 アベノミクスの考え方は、高度成長期の右肩上がり時代の成功体験でしかありません。人口が減少し、成熟した社会では、強いものをさらに強くすれば、格差はより広がり、ますます分断が進み、必ず消費は落ちます。従って経済にもマイナスであるということを、しっかりと訴えていかなければいけません。多くの人は、株が上がったからいずれ良くなるはずだといまだに感じています。株が先行指数だった時代は終わっています。そこから説明していかないと、なかなか広がりを持たないし、特に勝ち組だと勘違いしている人には届かないと思います。


市民連合の政策要望書を受け取る枝野代表
(2017年10月3日) ─民進党が希望の党に合流する際、改憲への姿勢が問題とされました。立憲民主党は明確に反対の声を上げました。しかし、9条や緊急事態条項に対する闘いは極めて厳しいと思います。
 安倍晋三首相の改憲論は、立憲主義に対する無理解を前提に、憲法をおもちゃに使っているということだと思っています。どこでもいいから条文を変え、とにかく改憲の実績を残したいという安倍さんにとっては、憲法はおもちゃに過ぎない。憲法が権力を制約しているルールなのだという立憲主義の自覚が全くない。だから、同じ土俵で議論のしようがないくらいに前提が違うと思っています。とはいっても、きちんとおかしいことを詰めていかなければなりませんから、正直言って悩ましいところです。

─枝野さんは、護憲という立場にいるわけではないのですね。
 24年前に選挙に出たときからそうなのですが、新聞などで全候補者アンケートがあって「護憲ですか、改憲ですか」と聞かれるわけです。でも答えようがありませんでした。良い方向に変わるなら改憲に賛成だし、悪くなるなら変えるのに反対という立場です。しかし、それではあいまいだと批判を受け続けてきました。良いか悪いかは中身によるので、良い方に変わるのに変えちゃいけないっていう護憲は、僕にとってはありえないと思っています。逆に何でもいいから条文を変えればいいという改憲論も、あり得ないと思います。

─「情けは人の為ならず」って言葉を、枝野さんはよく使っていますが。
 僕のものの考え方の背景にあるのは、政治が短期でものを見るか、長期でものを見るかということなのです。短期でものを見ている人からすれば、アベノミクスは正しいのかもしれない。労働法制のこれまでの改悪が典型ですが、目先の企業利益のためには、安くて首を切りやすい労働者は便利ですよね。でも、安くて首を切りやすい労働者を増やしてきた結果、何が起こるかというと、購買力が落ちるわけですから、消費が停滞する。付加価値を見いだし、それを作り出すのは人材なのですが、貧困の連鎖でしっかり教育を受けられない世代が出てきています。非正規雇用の労働者のなかでは、オン・ザ・ジョブ・トレーニング、すなわち働くなかでスキルアップを受けられない人が多数生まれています。中・長期的な意味からは、ものすごくマイナスなことになってしまいます。
 私たちは、中長期にものを考えましょうと言いたい。目先でものを考えたら損のように感じることでも、長い目で見たら得でしょうということを、ちゃんと国民に政治が伝えなければなりません。政治は、直近の選挙を意識して、どうしても超短期で物事を判断する方向にぶれていってしまいます。それがたぶん安倍政治であろうと思います。しかし、国民に伝えようと思ったら「情けは人の為ならず」の「情けは人の為だけではなく、いずれ巡り巡って自分に恩恵が返ってくるのだから、誰にでも親切にせよ」という本来の意味をみんなが見つめ直さないといけない。
 もう一例出すと、若い世代からは、年金、医療、介護などに力を入れると損だと言われるけれど、それは違う。若い世代の祖父母や親に対する扶養責任は、以前と比べたら大幅に減っています。年金制度が崩壊して困るのは若い世代なのです。介護サービスが十分でないから、現役世代の介護離職が出てくるのです。年金、医療、介護は若い世代のための政策です。まさに「情けは人の為ならず」です。でも、今の日本の政治は、人気取りだけで動いている。だから日本の経済は低迷しているのです。
 安倍政権が続く間に、世の中は本当に刹那主義に陥っています。政治運動のレベルに止まるなら、立憲民主党は政権を担うには至らないでしょう。刹那主義を破り将来を見据えた社会運動にしていかないといけない。刹那的に物事を判断するような社会風潮そのものを一緒に変えていこうという運動にしていかないと、政権には手が届かないと思っています。

─枝野さんが言われる「保守」という考えの中に、自民党が進めてきた戦後政治のあり方に対する疑問があって、以前には「脱近代」とも主張されていたように思います。枝野さんの言う「保守」には、近代への対抗的思想があるのではないでしょうか。
 こういう言葉を使うと誤解されるかもしれませんが、明治維新は「和魂洋才」だったと思うのです。ところが、安倍さんの頭には全くそれがない。要するに、アメリカナイズすることが良いことであると思っているのではないでしょうか。でも、それは、明治維新のスタートの時の意識とは全然違うと思います。欧米流の民主主義や近代資本主義、そして大量生産技術なども、日本は明治維新をきっかけにして導入することが出来たと思うけれど、それが、日本の守るべき歴史と伝統なのかと思っています。
 大量生産型経済というのは、成功はしたけれども今は限界に達している。経済のグローバル化も世界的には限界を迎えているのではないでしょうか。明治維新にスタートした欧米流の近代化政策が、今日壁にぶつかっているのに、そこに戻ってどうするのかという意識が私には強くあります。明治時代以降に取り入れた良い部分をきちんと活かしながら、本来日本社会が大事にすべきなのは何なのか、というのが私の言っている「保守」という一つの意味でもあるし、脱近代ということの一つの意味でもあるのです。
 微妙なテーマである天皇制と9条に関しても、実は明治維新から1945年の敗戦まで天皇が大元帥として統帥権を掌握した、直接軍事に関与したという時代は、おそらく後醍醐天皇の時代と明治・大正・昭和というこの時代だけですね。それだけおかしい時代だった。歴史を知らない人が「保守」とか言ってほしくないですね。
 日本は「和を以って貴しとなす」のはずだから、もともと平和志向なのです。第二次世界大戦で負けたから平和主義になったのではなく、その直前のたぶん1930年代から40年代が日本史にとって異色の時代だったからこそ、憲法9条を取り入れたわけです。
 戦後民主主義も、明治維新からの近代化の行き過ぎた部分を、再び加速させてしまったと思います。私は、あえて「保守」を強調して、戦後民主主義とそこにつながる明治維新より前からの歴史と伝統ということに着目していきたい。例えば、日本の村社会っていうのは、村八分みたいな近代社会では許されないことがあった一方で、相互扶助があったわけです。それが戦後の企業内福祉とか終身雇用制などに繋がっているというような歴史感覚が必要なのではないでしょうか。おそらく安倍さんや、「保守」と声高に叫んでいる人々にはないだろうと思います。そういう意味で、私は近代というものを評価しながら次の時代に入っていきたいと思っています。

─今後、どのようにこの困難な政局を乗り越え、立憲民主の旗を守っていかれますか。
 私自身も民主党、民進党で政権から離れた後の5年くらいは、後付けと言われるかもしれませんが、違和感は覚えながらも、とにかく野党が出来るだけ大きな塊になっていく、大きな政党になっていくということが、自民党に対抗することなのだと考え、その一端を担ってきました。その間の反省を込めて、政治的な主張というのは、クリアでなければいけないと思っています。政治は妥協であるというのも本質だけど、軸があっての妥協であって、軸が感じられないようなものは支持を受けられないのだと痛感してきました。結果として成功するかどうかは別としても、今回私も含めて、立憲民主党の旗で当選させてもらった人間は、まさにその理念政策を明確したことへの期待をもって勝っているわけですから、そこをぶれさせてはならないということは強く感じています。
 軸をぶれさせないで許される妥協の範囲というのは、政治家にとって、それは永遠の命題だと思うのですが、硬直的過ぎてもいけませんが、とにかく今まで軸が見えなさ過ぎたのです。そういう反省が出発点だということは大切にしたいと思います。


新宿駅南口で街頭演説(2017年10月14日) ─衆議院選挙の時に、名古屋駅前で枝野さんの演説を聞いた人が、立憲民主党の近藤昭一選挙事務所に「何か自分にも手伝うことはできないか」と言って訪ねてきたという話がありました。立憲民主党に期待している方は多いです。
 今回の選挙は、24年間私が地元でやってきたことを全国展開しただけなのです。私の地元のボランティアチームの人たちも、私の駅前の演説を聞いて、それで事務所に来てくれた人がほとんどです。最初の2回の選挙は落下傘で、組合の応援もなく大変でした。3回目の選挙からそれなりに格好がつくようなボランティアチームが生まれてきました。まさに街頭勝負で育ってきた政治家なので、今でも街頭で訴え、それに対する反応があり、「何か手伝いたい」とボランティアの方が来ていただけることは、自分が変わってないという意味で、ものすごく安心ができます。
 やはり話す中身と話し方の両面が重要なのです。今も趣味のカラオケで、どうやったら伝えわるかと考えながらトレーニングしています。これはものすごく演説に役に立ちます。間の取り方とか、抑揚の付け方とか。政治家には思いを伝えていく表現力が大事ですね。しかし、そんなこと考えながら演説していたらだめですから、自然に出るようにしないと。カラオケを練習したほうが良いと若い人達に言ってみようかな。
 次の段階は、今回支持してくれた人、手伝ってくれた人たちを、どのように緩やかなネットワークにしていくかということですね。そういう自主的に集まってくれた人を固いネットワークにしてしまってはだめです。緩やかなネットワークで、しかし、ずっと応援し続けてもらうために、まだブレーンストーミングの段階ですが、どうしていこうかと議論を始めています。当面は、全国どこに行っても話を聞いてもらえると思うので、年明けからまた各地を回って、直接訴えていきたいと思います。

インタビューを終えて
 「明治維新からの日本の近代化政策が限界を迎えている。そこに帰ってどうするのか」。枝野さんの言う「脱近代」の姿が浮かんでくる。将来を見据えた社会のあり方を問う場面で、そこに「分断」が立ちはだかっている。格差を通り越して「分断」された市民をどうつなぎ合わせていくのか、「立憲民主党」枝野代表の力の見せ所ではないのか。全力で支えよう。
(藤本泰成)

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沖縄はあきらめない!
全国の運動と連帯深め軍事強化と強権政治に抗う
沖縄平和運動センター 事務局長 大城 悟

政府による県民分断を許さない
 名護市辺野古では、県民や全国の支援者の反対の声を押し潰し、政府による埋め立て工事が強行されている。昨年の4月25日から石材を海中に投下した護岸工事が始まったが、現在、大浦側のK9護岸と辺野古側のK1、N5という護岸の工事が推し進められている。すべてが水深のない浅瀬の工事であり、政府のやり方は、できるところを優先させ、工事の既成事実化を図り、国の力を見せつけ、反対運動の衰退を狙ったものである。
 しかし、工事の工程は既に3年以上遅れ、護岸工事以外の本格的な工程の見通しはいまだ立っていない。予想以上に海底地盤は脆弱であり、その対策は簡単ではない。国もそのことを認め、今においてもボーリング調査船を何度も呼び戻し、地質調査を繰り返している。活断層の存在も報道されるなか、逆に焦っているのは国の方である。
 無論、少しずつではあるが工事が進捗しているのも事実であり、連日、ゲート前で反対運動を継続しながら完全に止めることが出来ていないところは悔しいかぎりだ。現場での阻止行動は何といっても数の力であり、工事は遅れているとは言え、楽観してはならない。あらためて阻止行動を強化する決意を固めたい。
 また、沖縄防衛局は工事の遅れを取り戻すため、資材(石材)の搬入を陸上のゲートだけではなく、海上からの搬入を計画し、昨年11月に試験的に海上輸送を実施した。その海上輸送に使われる港の使用許可を沖縄県が許可したことから、県民から不安と疑念の声が上がり、県が釈明することがあった。行政手続きは関連法令に照らして行われるということは一定の理解はするが、ことが事だけに納得いかない県民もいるだろう。しかし、私たちは、翁長雄志知事は一貫して辺野古新基地建設を阻止する姿勢を変えてないこと、そして、これは国のゆさぶりであり、県民の分断を目論んでいることを認識しなくてはならない。
 今後、港の使用については、あらためて沖縄県は許可条件の違反の有無などを精査し、許可の取り消しを含め、適切な判断をすることになる。私たちは、行政と県民が各々の立場でできることをしっかりやり、連帯することが最も需要であることを忘れてはならない。


早朝から飛行訓練をする米軍機(嘉手納基地) 宮古島の自衛隊ミサイル基地を止めよう
 与那国島の自衛隊監視部隊に続き、宮古島と石垣島へのミサイル部隊の配備が強行されている。既に宮古島では、地元住民の反対の声を無視し、工事の準備作業が始まっており、沖縄本島の米軍基地と併せ、沖縄全土が軍事基地化されようとしている。また、米軍と自衛隊の合同訓練の激化に見られるように、今後は、施設の共同使用も拡大され、アジアの緊張がさらに高まるのは明らかだ。軍備による抑止力と沖縄の地理的優位性を標榜した安倍政権の沖縄への基地押し付けは到底許されない。73年前の悲惨な歴史を繰り返してはならず、軍備増強によらない外交、防衛が求められている今、安倍総理の戦争する国づくりの暴走を止めなくてはならない。

弾圧を撥ね退け、名護市長・知事選挙で民意を示す
 2月4日が名護市長選挙の投開票日である。何としても稲嶺進現市長の再選を勝ち取らなくてはならない。市長は「陸にも海にも基地は造らせない」と、市民とともに基地建設に反対する姿勢を一貫して主張してきた。他方、政府からは「国に逆らった」として、基地所在自治体に交付されていた基地再編交付金を打ち切られた。しかし稲嶺市長は、不断の努力によりこれまで交付されていた以上に市の財政を確立させ、市民福祉や教育環境などを充実・拡大させてきた。姑息な国の常套手段である「アメとムチ」を真っ向から否定し、真の地方自治を確立させた行政手腕は高く評価されている。
 これは今後の辺野古の新基地建設に行方に大きく影響しているのは当然であり、ともに県民をリードしてきた11月の沖縄県知事選挙を左右する。名護市の発展と沖縄の未来を掛けたこの2つの選挙に勝利し「新基地NO」の民意をあらためて強く示さなくてはならない。
 山城博治沖縄平和運動センター議長らに対する裁判が、昨年12月20日結審し、判決は3月14日に出される。山城議長に対する検察の求刑は3人で最も重い2年6月で、リーダーとして運動を首謀したとした。これは憲法で保障された国民の権利を抑圧する不当極まりない弾圧である。特定秘密保護法や安保法制、共謀罪法と、この間、安倍政権が推し進めてきた戦争へと突き進む強権政治の典型である。
 沖縄、あるいは自らの権利と平和を願う市民に対する国や権力による不条理な仕打ちに負けてはならない。そして、動き出した憲法改悪を阻止し、平和と民主主義を守っていかなくてはならない。全国の運動とさらなる連帯と決意を固めたい。
(おおしろさとる)

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自治体の連携でオスプレイ配備と飛行訓練を止めよう
―自治体アンケート報告集の活用を─
ピースデポ副代表・オスプレイと飛行訓練に反対する東日本連絡会代表世話人 湯浅 一郎

安全性への不安は払しょくされていない
 「オスプレイと飛行訓練に反対する東日本連絡会」は、2017年2月から3月にかけ、米軍横田基地へのCV22オスプレイ配備及び飛行訓練に関係すると見られる81自治体(7都県、74市町村)を対象に、オスプレイに関するアンケート調査を行った。72%に当たる58自治体から回答を得て報告集を作成し、対象とした全自治体及び議員に送付した。
 アンケートの回答から、多くの自治体がオスプレイの「安全性を中心に政府の説明」を求めていることがわかった。後述するように、配備から時間が経つ中で、事故が頻発している状況から、安全性への懸念が払しょくできないと考えている自治体が多く、政府に説明を求めているのではないか。
 群馬県を中心に、長野、新潟、福島、栃木県にまたがる空域は、多くの市民が普通に暮らす空域であるにもかかわらず、米軍は「ホテルエリア」と呼び、この間、空母艦載機を中心に低空飛行訓練が常態化しており、これへの不安と不満が鬱積している状況も背景にある。その結果、具体的な要求として「訓練日、飛行ルートの情報提供」を求めている。この先には「フライトプランの事前提出」が自治体にとって共通の要求課題になることが見えている。
 しかし、2016年12月に沖縄県名護市の海岸で発生した普天間基地配備オスプレイの墜落事故に関しては、横田基地周辺自治体を除き、多くの自治体が「何も行っていない」と答えた。オスプレイの事故は、まだ他人事なのであろうか。しかし、2020年以降、横田基地に特殊作戦部隊の輸送を任務とするCV22オスプレイが配備されれば、本州における低空飛行訓練の実施は必至であることを視野に入れるべきであろう。


沖縄・高江で離着陸訓練を繰り返すオスプレイ 下がらない事故率 政府は説明できず
 こうした背景には、飛行時間が増えているのに事故率は減らず、むしろ上昇している事実がある。普天間基地配備のオスプレイは、近年、事故が絶えない。2016年12月13日、夜間空中給油訓練中、沖縄県名護市の海岸に墜落。さらに、2017年8月5日、豪州で訓練中、海に墜落し3人死亡。8月に大分空港、9月には新石垣空港に緊急着陸するなど事故続きである。
 政府は、配備当初、「オスプレイは10万飛行時間当たりのクラスA事故率が1.93で、海兵隊平均2.45と比べ最も低い。その上、飛行時間が増えれば、この値は更に小さくなる。だから安全」と説明した。クラスA事故率とは、被害総額が200万ドル以上、あるいは死者が発生したような重大事故の10万飛行時間当たりの発生回数をいう。しかし17年9月末時点で事故率は3.27と、過去最高になってしまった。「事故は、パイロットのミスによるもので、機体の安全性に問題はない」としているが、事故率が下がらない理由を政府は説明できないままである。これでは、自治体や住民の安全性への懸念が払しょくできないのは当たり前である。

自治体は市民の有している情報の活用を
 アンケート報告集で我々は、自治体に対し4つのお願いをしている。

  1. 県を窓口に、関係する自治体の連絡会を作り、情報の共有や意思表示を行ってほしい。
  2. 沖縄では、オスプレイ配備に当り全自治体が「反対」の声を上げているが、この声を聴いてほしい。
  3. 地元住民に対し、目撃情報の収集や提供を呼びかけ、市民と協働して、この問題に向き合ってほしい。
  4. オスプレイの運用に対する国内法の適用の第一歩として、航空法第97条に基づき国土交通省に提出している「飛行計画」(フライトプラン)の自治体への開示を求めてほしい。
 多くの自治体は、米軍基地問題の担当がいるわけではなく、大抵は総務課とかが仕事の一部として担っているのが現状である。従って、オスプレイの問題性につき自力で情報を集め、調べることには困難が伴うであろう。それを考慮すれば、整理された情報提供は、大いに感謝されるはずである。本アンケート報告集は、他の自治体の動きや意識を知ることにもなる。
 こうしたことを積み重ねることで、自治体からの信頼感を得られれば、今後、緊密な協力関係を形成できるであろう。自治体は、米軍機の訓練の最前線にいる住民の声を集めることができる強みがある。その声を活かして、自治体が政府に迫っていく構図を作りだすためにアンケートが寄与できればと考えている。
 このアンケートは首都圏エリアでのものであるが、米軍機の飛行は全国展開されているので、他の地域の運動体に対しても、とりくみの指針となりうるはずである。各地の皆さんに活用していただくことをお願いしたい。
(ゆあさいちろう)

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食とみどり、水を守る全国集会in熊本を開催
熊本地震からの復興や「水俣病」問題も課題に

 平和フォーラムなどで作る実行委員会主催の「第49回食とみどり、水を守る全国集会in熊本」が11月17~18日に熊本市で開催され、全都道府県から780人が参加しました。同集会は毎年、食の安全や農林業政策、森林や水を中心とする環境問題などについて、情勢や課題を話し合うために各県持ち回りで開かれているもので、今年は、昨年4月に大地震に見舞われた熊本で、震災からの復旧・復興に向けた課題や、61年前に同県水俣市で公式確認された「水俣病」の歴史や教訓を学ぶことも目的に開催されました。


シンポジウムで震災問題を討議
(11月17日・熊本市) 震災のダメージ大きい規模拡大・効率化農業
 全体集会で、主催者を代表して石原富雄・集会実行委員長(全農林労組委員長)は「衆議院総選挙で自公政権が3分の2を超え、憲法改悪の危機も迫っている。農林業政策でも、多面的機能を無視した効率優先の政策が一層進められようとしている。今後の政策や運動方向についてしっかり議論しよう」と訴えました。
 「熊本地震の復旧・復興から見えてきた課題」と題した全体シンポジウムは、「こうした震災は日本のどこでも起こりうることであり、熊本の経験を共有したい」(コーディネーターの久保研一・熊本県実行委員長)として開かれました。上益城農業協同組合の松本和文・益城総合支所長は、地震による農業の被害状況を説明し「特に、最新式の技術・設備を導入して、栽培面積を広げた所の方がダメージが大きい。災害の多い日本では、大規模化一辺倒は問題が多いのではないか」と指摘しました。
 熊本市内の水道局に務める佐藤智洋さん(全水道労組)は、水道の復旧に尽力した経験を振り返りながら、「熊本はまだ回復も早かったが、これが東京など水道管の老朽化が激しい大都市で起こったならば大変なことになる。今から対策が必要ではないか。また、水道事業は公営の方がこうした災害には強い」と民営化の流れにも警鐘を鳴らしました。
 地元の熊本日日新聞編集委員の小多崇さんは、被災者の避難所生活などを取材した経験から「さまざまな課題を顕在化させるのが震災だ。みなし仮設住宅を退去した後の生活再建までの見通しや生活困窮、孤立に陥らない目配りが必要だ」などと、今後の課題を提起。これに対して、宮城県の参加者から2011年の東日本大震災の時の仮設住宅問題についての経験が報告されました。
 最後に、「まだまだ道のりは長いが、日頃から祭りをやっているなど、地域のまとまりがあるところは復興が早い。一方、災害時には携帯電話を使った情報伝達が有効だったように、先端技術とアナログな人間関係を組み合わせることが大事ではないか」(コーディネーターの久保さん)などとまとめられました。

水俣病は経済成長重視の国策の問題
 特別報告として「水俣病の歴史と教訓、そして今の水俣に学ぶ」として、水俣市立水俣病資料館館長の島田竜守さんが、事件の発生から今日までの動きを説明し「水俣病は単に一企業の問題ではなく、経済成長を重視し、人の命や環境を省みなかった日本の国策の裏に隠れた大きな問題として捉え直すべきだ」と訴えました。第2日目の分科会でも「シンポジウム水俣病問題を考える」が持たれ、熊本学園大学水俣学研究センター研究員や、水俣病裁判を支援してきたチッソの元労働組合委員長、長年、水俣病問題を取材してきた地元新聞記者などが、「水俣病はいまだに終わっていない」として、今後の課題を議論しました。
 一方、「食の安心・安全・安定」を課題とする分科会では、県内の農業生産者や生協理事長から有機農業の拡大への課題が提起、また、広島県内の学校給食栄養教諭からは「食育事業により、子どもたちが地域に目を向け、農家に感謝の気持ちを持つようになってきた」との報告がありました。
 「食料・農業・農村政策」をめぐっては、安倍政権の進める「グローバル農業」化の動きに対し、県内の生産者、県議会議員などから「輸出依存ではなく、内需拡大を目ざす農林業を」「過疎が進む地域を立て直すために環境支払い制度が必要」などと提起がありました。
 「森林・水を中心とした環境問題」の分科会では、九州森林管理局担当者から、熊本地震や九州北部豪雨を例に山地災害と復興対策についての報告があり、森林の適切な管理の重要性が指摘されました。一方、大阪の市民運動団体代表から大阪市の水道民営化計画に対する取り組みが報告され、「水道民営化は時代遅れであることを市民に訴え、民営化を止めた。自治体行政への住民の関与が大切」と訴えました。
 また、フィールドワーク分科会は、熊本地震の被災地である益城町や南阿蘇村を訪ねて、震災の実態を目の当たりにしながら、被災地の「震災の語り部」から説明を受けました。
(市村忠文)

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韓国の脱原発政策の実情
福島惨事の教訓を活かせない韓国の原子力ムラ
円仏教環境連帯(韓国) キム・ポンニョ

進展しない「脱核」を宣言後の原発政策
 新たに誕生したムン・ジェイン大統領の原子力政策には大きく失望させられている。ムン大統領は「老朽原発は寿命延長しない、建設中のものは白紙化させる、増設はない」と公約し、期待と関心が高かった。大統領に就任してからいつ建設を中断させてくれるのかを反原発派は待っていた。
 昨年6月19日、古里1号機の閉鎖式典に参加したムン大統領は「もうこれ以上新しい原発建設はない、これからは脱原発へ向かう」と「脱核」宣言をした。しかし白紙化の対象である建設中の新古里4号機と新ウルチン1・2号機には一切言及することなく、新古里5・6号機の建設中断の是非についても公論で決めると発表した。明らかにこれまでの公約とは違うにもかかわらず、反原発派は、公正で徹底的な議論の場が保障されるなら勝つと考え、公論化を受け入れた。
 公論化委員会が無作為に市民500人を任命し「市民参加団」を作り討論させた。しかしながら結論の発表までに3ヶ月という期間はあまりにも短すぎた。巨大な建設会社や韓国水力原子力発電(韓水原)を始めとする核産業界の嘘をただす時間も足りなかった。原発ゼロでも十分な電力設備があるにもかかわらず「原発建設を中断すると、3割近く建設したお金が無駄になり、電気料金も高騰する」と宣伝された。さらに、「再生可能エネルギーが原発を代替することは不可能だ」と原子力工学や機械工学の教授たちが推進のラッパを吹いた。「建設中断は困るので新古里5・6号機を最後の建設にするから、これだけは建設させてほしい」という訴えが、公論化「市民参加団」を動かしたようだ。もっとも、この「市民参加団」には最初から建設継続の賛成派が多数いたことが後で分かった。
 強固な原発推進派の自由韓国党は、「脱原発政策は原子炉輸出の障害であり、重金属の固まりであるソーラーパネルを屋根に乗せてそれでも生活しますか」、など強烈な発言(虚偽)を振りまいている。にもかかわらず青瓦台(大統領府)と与党は、中立を理由として沈黙していた。国営のテレビKBSや公営のMBC放送局は、ちょうどストライキの最中だった。とんでもない攻撃をただす反論の機会を逸してしまった。
 新古里5・6号機の建設継続には「市民参加団」の59%が賛成する一方で、原発は拡大よりは縮小だという意見が4倍以上も多く、矛盾する意見が出て驚かせた。しかし最初から推進派が多く、議論が深まらないまま多数決で決まってしまった。民主主義の仮面を被りながら、それでいて少しも公正でなかった公論化の議論を、「円満に成功させた」と青瓦台は自画自賛し、マスコミもそれに追随した。


200回目の霊光原発定例抗議デモ(2016年9月) 建設中断と早期閉鎖に主力を
 現在、韓国の原発24基と、建設中である5基は、霊光にある6基以外は全て東海(日本海)に並んでいる。さらに建設中のものは世界で一番大きい140万キロワットで、5基の出力を合わせると古里1号機(58.7万kW)の10倍を超え、設計寿命も30年から60年に延びている。慶州にある月城1~4号機のキャンドゥ炉以外は全て加圧軽水炉である。事故が起きると放射能は偏西風に乗り日本海へ流れる。
 耐震設計はたった196ガルに過ぎない。地球は地震の活動期に入っており、韓国でも地震が襲っている。2016年9月、慶州でマグニチュード5.8、2017年11月には、ポハンでマグニチュード5.4の内陸地震が発生して韓国人を震わせた。韓国には大きい地震がないと思いがちだが、歴史的に見たら1600年代と1700年代には推定規模マグニチュード7以上の地震が起きて死者が発生している。
 韓水原は、御用学者や原子力文化財団を利用して、韓国の原発は世界一安全だと宣伝している。今まで大きい事故がなかったし、岩盤の上に造ったので安心できる、水素除去装置を設置したので万が一核燃料が溶けても水素爆発はないと豪語している。大地震が起これば、水素除去装置ぐらい簡単に壊れることは言わないず、市民を騙している。
 反原発派は、公論化の罠に落とされた。慶州地震よりポハン地震の方が規模は小さかったのに、被害は5倍も大きかった。もしポハン地震が公論化議論の途中で起きたら、議論は違ったものになっただろう。地震が多発しつつある韓国でも脱原発を急がねばならない。古里原発や霊光原発でも格納容器ライナーの内張り鉄板で穴が幾つも空き、補修したことが明らかになった。霊光4号機では蒸気発生器内でハンマーが発見され、蒸気発生器を丸ごと交換することが発表された。事故や事件が次々と明らかになりつつある。
 政権は代わったけれど、原子力ムラは健在で、原発に関連する恐ろしいニュースだらけである。始末できない核のごみ問題と原発震災の危険性を浮き彫りにしながら原発安全神話を壊したい。

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核兵器発射ボタンの指 米上院で41年ぶりに議論

 昨年11月14日、米国上院外交委員会は大統領の核兵器発射命令に関する公聴会を開きました。この問題についての公聴会は41年ぶりのことです。次回選挙の不出馬を表明しているボブ・コーカー委員長(共和党)は、秋に「彼がしているようなコメントでは我々は第3次世界大戦に向かっていることになるかもしれない」とトランプ大統領の言動について懸念を表明していました(ニューヨーク・タイムズ10月9日)。この日の公聴会では「大統領がこの命令を出す唯一の権限を持っている。それが敵からの核攻撃に対応するものであるとないとにかかわらず。この命令が出され、それが本物であることが確認されれば、これを撤回する方法はない」と述べています。公聴会開催の背景には、大統領の権限を制限するための法案を提出しているエドワード・マーキー上院議員(民主党)らの働きかけがありました。元戦略軍司令官ら3人の証人は、現状でも大統領は軍部などのアドバイザーらと協議する体制になっており、このような制限を課すことには慎重であるべきだと主張しました。マーキー上院議員は「将軍たちを信頼して大統領の監視役を任すべきとは思わない」と応じました。

大統領の権限を制限する法案と公聴会
 マーキー上院議員らの法案は次の通りです。(1)議会の宣戦布告なしの核兵器先制使用を禁止する法案(マーキー上院議員及びテッド・ルー下院議員(民主党)、トランプ大統領就任から4日後の2017年1月24日提出)(2)議会の承認のない北朝鮮に対する先制攻撃を禁止する法案(マーキー上院議員及びジョン・コニャーズ下院議員(民主党)、2017年10月26日提出。コニャーズ議員が12月5日にスキャンダルで辞職したため先行き不透明)(3)議会の承認のない北朝鮮に対する先制攻撃戦争を禁止する法案(クリストファー・マーフィー上院議員10月31日提出)(4)核兵器先制不使用を米国の政策とする法案(準備中。アダム・スミス下院議員がナンシー・ペロシ下院民主党院内総務の支持を得て)。
 今回の公聴会が開かれたことは、「北朝鮮はこれ以上米国を脅さない方がいい。世界がこれまで見たことのないような怒りと炎に見舞われることになる」(8月8日)などと発言しているトランプ大統領が核兵器使用命令を出せば数分のうちに核兵器が発射されてしまう現状についての懸念が広がっていることを示しています。

証人らは大統領の権限制限に否定的
 3人の証人の発言は次のようなものでした。
ロバート・ケーラー元戦略軍司令官(空軍大将)
「米国軍部は大統領の命令があればそれが何であれ目を瞑って従うわけではない。核兵器使用の大統領命令は違法なものであってはならない。」
(18日、現在の戦略軍司令官(空軍大将)ジョン・ハイテンがカナダ・ハリファックスで開かれた国際安全保障会議で、同様の発言。大統領が違法な命令を出せば、軍部は合法的な代替案を「提案する」というもの。)
ブライアン・マッキーオン元政策担当国防次官代理(オバマ政権)
「国家安全保障会議(NSC)や文民及び軍部のアドバイザーと協議するようになっている。」(差し迫った脅威となっていない核兵器国と戦争を始めることを考慮しているなら、そのような行為は議会の承認を必要とすると説明。トム・ユーダル上院議員(民主党.)に「差し迫った脅威」の定義を聞かれ、状況によると答えた。要するに、大統領が独自に判断できるということ)。
ピーター・フィーバー元NSCスタッフ(クリントン及ブッシュ(子)政権)
 軍部には「命令は合法だとの推定がある」、「状況によっては他の閣僚らの承認を必要とするようにするなど、改善の可能性を考えてみてもいい。」
 ユーダル上院議員が核兵器の「先制使用についての決定を有効なものにするには少なくとももう一人の承認を必要とするようにするのが理にかなっていないか」と問いかけましたが、3人ともこのような変更に反対しました。
 現状でも文民が関与できるという話について、ウイリアム・ペリー元国防長官(クリントン政権)はそんなことにはなっていないと言います。「命令は直接戦略軍に行くかもしれない。国防長官はこの過程に必ず入るようにはなっていない。だから、5分、6分、7分というような決定において、国防長官は恐らく、時すでに遅しという段階まで耳にしないだろう。もし、時間があって、大統領が国防長官と相談したとしても、それは助言にすぎない。それだけだ」(ポリティコ、2017年11月14日)。
 コニャーズ・マーキー法案を通過させるべきだというペリー元国防長官は「今は通過しそうにないが、状況は変わるかもしれない」と述べています。

核兵器の本質にかかわる問題
 マーキー・ルー法案の支持者は増えてきています。現在、上院は13人(一人は無所属)、下院73人(一人は共和党)。上院では民主党議員の4分の1、下院では3分の1の支持を得ているということです。マーキー上院議員は、公聴会で「米国あるいは同盟国に核攻撃があったというのでなければ、一人の人間が人類によって考え出された最も大きな破壊力を一方的に解き放つ権限を持つべきではない」と述べました。今回の焦点は米国のトランプ大統領ですが、特定の国の特定の指導者に関わる問題というより、核兵器の本質にかかわる問題です。
 *本稿は主として米プラウシェアーズ財団のトム・コリーナ(ディフェンス・ワン、17年11月14日)と米NGO軍部管理軍縮協会(ACA)のキングストン・レイフ(ACA、17年12月1日)及び米憂慮する科学者同盟(UCS)のスティーブン・ヤング(私信、17年12月)に依拠。

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《投稿コーナー》
技能実習法の成立とその限界─安易な拡大は根本的な改善にならない
移住者と連帯する全国ネットワーク・運営委員/公益社団法人 自由人権協会・理事 旗手明


外国人労働者の権利を求めてデモ
(2017年3月12日・日比谷野音) 急増著しい技能実習生 労働法違反も頻発
 いま日本は超高齢化社会に向かう中、外国人労働者は2016年に100万人を超え、在留外国人は17年6月には247万人に達しており、日本社会はすでに外国人、外国人労働者とともに歩む時代に入っています。
 他方、日本政府は、ここ数年、外国人の建設・造船就労者、家事支援人材、在留資格「介護」の創設、農業支援外国人(特区のみ)など、矢継ぎ早に外国人労働者の導入政策を展開してきています。しかし、「移民政策と誤解されないように」という安倍晋三首相の言葉に従ってか、包括的な外国人労働者政策が描かれないまま、人手不足の厳しい分野からなし崩し的に受け入れるものとなっています。
 こうした中、17年11月1日に技能実習法が施行されました。1993年に始まった技能実習制度は、それまでの「研修」と連結されワンセットで実施されてきました。しかし、さまざまな人権侵害が明らかとなったことを受けて、「研修」とは分離して、労働法を全面的に適用する在留資格「技能実習」が2010年7月に創設されました。それでも問題解決の見通しが立たず、今回、特定の在留資格に対する単独立法としては初めて技能実習法が制定されたのです。
 現在、技能実習生は急増しており、その在留数は、2011年末の141,994人から17年6月末には251,721人(77.3%増)となっており、就労可能な在留資格545,549人の46.1%を占めています。
 そして、厚生労働省労働基準局が毎年発表する「外国人技能実習生の実習実施機関に対する監督指導、送検の状況」をみると、労働法規違反の事業場数も、13年の1,844件から16年は4,004件と2倍を超えて増加しています。違反内容としては、「時間外労働に対しては、実習1年目は時間単価が300円、2年目は400円、3年目は450円しか支払われない」「技能実習生4名に、最低賃金額未満の賃金及び不払の割増賃金、総額約520万円が支払われた」「繁忙期の人手不足で、実習生11名に1ヵ月最長130時間程度の違法な時間外労働を行った」などとなっています。

送出し機関への刑事罰規定が無いなど多くの欠陥
 技能実習法では、(1)監理団体を許可制とし、実習実施者を届出制とする、(2)技能実習生ごとに作成する技能実習計画を認定制とする、(3)技能実習機構を新設し、実習計画の認定、実地検査、実習生に対する相談・援助等を行う、(4)人権侵害について罰則を規定する、などの規制策を定めています。また、送出し機関への規制は、送出し国との二国間取決め(協力覚書)によることとし、2017年11月までにベトナム、フィリピン、カンボジア、インドの4か国と締結しています。
 他方、拡大策では、優良な実習実施者・監理団体に限定して、技能実習3号(2年間=従来の3年から5年への延長)を認めることとしたほか、受入れ枠の大幅な拡大、受入れ職種の拡大も図られています。しかし、こうした拡大の前提となる「優良」の判断基準は極めて甘く、安易な拡大になってしまう可能性が高いと言わざるを得ません。
 旧制度での受入れ枠は、常勤職員数が「50人以下」の時は最大9人まででしたが、「41人以上50人以下」では最大60人まで、「6人以上30人以下」は最大36人までなどと大幅に拡大されました。
 しかし、技能実習法には、送出し機関に対する刑事罰規定がないこと、技能実習生の意思に反する強制帰国にも刑事罰が定められていないこと、実習実施者への現地調査が3年に1回にとどまっていること、低賃金労働に対する効果的な規制が図られていないこと、二国間取決めには法的な拘束力がないことなど、多くの欠陥があります。その結果、技能実習法が制度の根本的な改善を実現できるとは到底考えられません。
 また、技能実習・介護の始まりは、技能実習制度が生産現場のみならず、人々の生活の場に進出することを意味しています。と同時に、介護を受ける人たちのいのちと健康に直結していることも忘れてはなりません。しかし、実習生の日本語能力が十分担保されておらず、サービスの質や緊急時の対応などにも懸念が残っており、介護分野への拡大には大きな問題があります。
 技能実習制度に対しては、「強制労働」や「人身売買」として国際的な批判が続いています。国連からは、2008年の自由権規約委員会をはじめ、女性差別撤廃委員会、人身売買に関する特別報告者、移住者の人権に関する特別報告者、人種差別撤廃委員会などから問題が指摘され続けています。また、米国国務省人身取引報告書では、2007年から2017年まで毎年問題を指摘されています。
 このままでは技能実習制度の改善が覚束ないまま、制度の急速な拡大が進行することになります。私たちは、これまで以上に厳しい眼をもって、技能実習制度の状況を注視しなければなりません。
(はたてあきら)

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加盟団体の活動から(第1回)
「白タク」合法化反対、安心できる「ハイタク」へ
全国自動車交通労働組合連合会 書記次長 森田 貫二


安全破壊の白タク合法化阻止!ハイタク労働者総決起集会
(2016年3月8日 東京・日比谷)  全自交労連は終戦後の1947年9月、京都市で、「大衆の足」であるタクシーの公共性を明らかにしつつ、要求の積み上げに取り組み、ハイヤー・タクシー労働者の賃金、労働条件、生活と権利を守る砦として、全自交労連の前身の「全旅労連」として産声を上げました。
 労連の結成宣言には「ハイタク労働者の団結を強調するのみならず、労働戦線全体の統一を熱望している。すべての政策目的は働く者の幸福を伸張するにある如き社会の達成を」と、その展望を明確に指し示し「団結こそは労働者の武器である」ことを誇らかに宣言し、ハイタク労働者の期待を担いつつ、闘う労働運動の潮流に加わりました。
 しかし、ハイタク労働者の要求実現のためストライキ闘争を強化するも、資本の巻き返し攻撃を受け、すでに獲得していた経営参加の権利や人事権などもはく奪され、組織的な攻撃も受け、かなり困難な事態を迎えた時期もありました。その後「神風タクシー追放運動」をはじめ、運転代行や軽貨物による白タク行為排除の闘いを押し進め、この取り組み等を通じて培われた運動は、今日の規制緩和反対の闘いに引き継がれています。
 この20年余は、規制緩和攻撃との闘いに明け暮れた時代でした。1980年代前後に台頭した市場原理万能主義の潮流の中で、ハイタク事業にも規制緩和の圧力が強まりました。私たちは、破壊的な競争により輸送の安全を損ない、良質なタクシーを瓦解させるとその危険性を訴え、規制緩和反対を掲げ組織の総力をあげて闘ってきました。
 いま「シェアリングエコノミー」という美名の下で、「ライドシェア」と称する無資格者が自家用車を使い、一般人をお客とし運賃を収受する、いわゆる「白タク」を合法化しようとする動きが顕著になっています。世界ではウーバーやリフトというIT企業が媒体となり、手数料を搾取し、運送の安全管理や責任は一切負わないということが問題となっています。こうした事業を日本政府は推進し、導入しようとしています。
 私たちは、ハイタク産業全体の命運をかけて、この合法化を阻止するとともに、これからも安全で安心して「大衆の足」となる業界を維持発展させるため、市民団体などとともに団結を強化し闘います。
(もりたかんじ)

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〔本の紹介〕
崩れた原発「経済神話」―柏崎刈羽原発から再稼働を問う
新潟日報原発問題特別取材班/明石書店


 いま、東京電力が柏崎刈羽原発を再稼働させようと動き出しています。その是非を問うものの一つとして、原発がこれまで地域社会にもたらした経済効果について、藤堂史明・新潟大学経済学部准教授(環境経済学)と新潟日報が協力して実証的に分析したのが本書です。地元企業100社に、原発がどれだけ経済的恩恵を与えているかをアンケート調査した結果、原発による地域発展がいかに「幻想」であったかが明確に示されています。
 私たちは、原発がなければ地域社会は発展しない、経済も良くならないと、原発推進側からよく言われてきており、いまも言われ続けています。電源三法交付金などで、立地地域に道路や箱物などが整備され、多額の金が動き、豊かになったように感じられました。柏崎刈羽原発でも建設工事などで活況を呈した時期も確かにありましたが、それもその時だけでした。工事が終われば状況は一段落となり、税収も年々減っていく。原発に頼ればさらに原発を誘致するという「悪循環」に陥ることになります。そして福島県双葉町に象徴されるように、財政が破綻し、早期健全化団体へと自治体が転落するところまで出始めました。原発で永続的に栄えた町はないのが実態です。
 柏崎刈羽原発を分析することによって、原発=発展、地域社会に原発は不可欠とする「経済神話」が虚構であったことが様々なデータによって浮かびあがりました。そのことは各地の原発立地地域にも共通する構造だと思います。「幻想」の後に残るのは、原発の廃炉と危険性だけです。そのことを実証的に示した本書は、一読の価値があるものです。
 また、東北電力管内の新潟県や福島県に東京電力の原発が設置された、その根本的な遠因についても紹介しています。電力が地元ではなく、首都圏の大電力消費地に送られていく構造が、すでに明治期から始まっていることが述べられ、地域の発展より都市の発展が優先される構造が今日まで連綿と続いていることが明らかにされています。地方の収奪によって都市の繁栄がもたらされていることが如実にわかります。
 まさに今にもつながる話であり、その原発を再稼働させようとする動きは、「経済神話」の延命と「地方の収奪と危険性の押し付け」を固定化するもので、許されるものではありません。
(井上年弘)

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核のキーワード図鑑


武器と原発でもうけたい

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戦争とめよう!安倍9条改憲NO!
2018年新春のつどい

 改憲をめぐる情勢と今後の取り組みについて、1月7日に「新春のつどい」が開催されます。多くの参加を呼びかけています。

日時:1月7日(日)14:00~16:30(入場無料)
場所:東京都北区王子「北とぴあ・さくらホール」(電:03-5390-1100)
   (東京メトロ南北線・王子駅5番出口直結、京浜東北線・王子駅北口徒歩2分)
内容:○ミニ・トーク:松尾貴史さん(俳優)
    ○講演:石川健治さん(東京大学教授)
    ○立憲野党あいさつ
    ○3000万署名運動リレートーク主催:安倍9条改憲NO!全国市民アクション
    戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会

安倍9条改憲を許さない、安倍内閣の退陣を要求する1・19行動

日時:1月19日(金)18:30~19:30
場所:衆議院第二議員会館前
主催:安倍9条改憲NO!全国市民アクション
    戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会

国連安保理、2017年に4回の北朝鮮制裁決議を採択 決議に沿えば、米国は平和的解決をめざさねばならない 湯浅一郎

2017/12/31(日) 14:06

 17年9月11日、国連安保理は朝鮮民主主義人民共和国(DPRK、以下、北朝鮮)が同年9月2日に行った6回目の核実験に対する非難・制裁決議(2375)を全会一致で採択した。

北朝鮮への輸出入の制限を強化した安保理決議2375
  決議●1は前文で、DPRKの核・ミサイル関連活動により「国際の平和と安全に対する明確な脅威が引き続き存在している」とした上で、同決議が国連憲章第7章(平和への脅威)第41条(兵力の使用を伴わない措置)に基づくことを明記する。「第41条」は安保理が決定し加盟国に要請できる「兵力の使用を伴わない措置」を規定しており、06年10月14日に採択された北朝鮮の核実験への最初の非難決議1718以来、安保理の対DPRK決議はすべて第41条に基づいてなされている。今回の決議は、決議1718以来9度目で、これまでの決議の継続を前提に、それらに上乗せするものである。
決議は、まず主文第1節で「9月2日の核実験を最も強い言葉で非難」する。第3節から第23節で決議1718を基準にして制裁対象を様々な領域に拡大し、加盟国が履行すべき義務を詳しく規定している。今回、新たに加わった主なものは以下である。
◆加盟国は、液化天然ガスや天然ガスの副産物である軽質原油コンデンセートの全面輸出を禁止(第13節)。
◆加盟国は、石油精製品の輸出量として年間200万バレルに上限を設定(第14節)。
◆北朝鮮への原油供給の年間上限は過去12カ月の総量とし、現状を維持(第15節)。
◆北朝鮮の主要輸出品である繊維製品は契約済みなどを除き輸出禁止(第16節)。
◆海外での北朝鮮の出稼ぎ労働者の受け入れは安保理制裁委員会が認めた場合以外は禁止し、雇用契約が切れた後の更新も禁止(第15節)。直近の8月5日の制裁決議2371では更新は許されていた。
◆公海上で決議違反の物資を運んでいる疑いがある船舶への臨検を加盟国に要請(第7節)。
米国は当初、「可能な限り強力な制裁決議を目指す」と宣言した。今回、初めて原油の全面禁輸を盛り込もうとしたが、ロシアと中国がこれに強く反対したため、米国は、全会一致をめざすことを優先し、全面禁輸は見送り、現状保持に留めた修正案を採択した。それでも、禁輸対象は、石油精製品の輸出制限や、液化天然ガス等の禁輸が加わった。更に北朝鮮輸出総額の第2位を占める繊維製品輸出の禁止が加わったことも大きい。既に安保理決議2270により北朝鮮産の石炭、鉄鉱石、金・チタン鉱石など鉱物資源の輸出禁止●2が実行されている上での繊維製品禁輸の追加措置で輸出総額の9割相当の北朝鮮産品が禁輸対象となったことになる。従来からの決議を含め、一連の決議は、世界中からDPRKやその関係組織に流出入し往来する「ヒト、モノ、カネ」を断つことを狙うものとなっている。

それでもミサイル発射を続ける北朝鮮
本決議に対し北朝鮮は直ちに米国を強く非難する声明を発し、強い抗議の意思を表明した●3。声明は、米国を強く非難し、「今後の北朝鮮による措置は、歴史の中で最大の痛みと苦しみを米国にもたらす」とした。そして直後の9月15日、北朝鮮は、弾道ミサイル「火星12号」を北海道上空に向けて発射し、これは約3700km飛翔し、太平洋に落下した。
更に11月29日未明には、米本土にも到達可能な飛行距離1万3千キロにもなると見込まれる新型ICBM「火星15号」の発射実験を行なった。これは、「最高高度4475キロに達し、水平距離950キロで53分飛行し、日本海中央部のあらかじめ設定された海域に落下した。」●4。
  11月29日に新型とみられるICBM級の弾道ミサイル「火星15号」の発射実験を行ったことを受け、17年12月22日、国連安保理は、更なる制裁措置を強化する10回目となる決議2397号を全会一致で採択した。累次の決議に加え、「石油分野における更なる供給規制や報告義務の新設による手続きの厳格化のみならず,北朝鮮の輸出による外貨収入を事実上枯渇させるための措置や,北朝鮮籍海外労働者の24か月以内の送還,海上輸送に係る一層厳格な措置」等を盛り込み、「北朝鮮に対する制裁措置を前例のないレベルにまで一層高める」ものとなっている●5。詳細について別の機会に譲るが、基本的な構図は従来のものと同じである。また参考に資料1として過去8回目までの安保理決議の日時と内容を添付した。

過去8回の安保理決議

いずれにせよ2017年には、6月,8月,9月,12月と何と4回にわたる決議が採択されたことになる。
しかし経済的には、それなりに厳しい制裁決議が次々と出されるにも拘わらず、北朝鮮が核・ミサイル開発を抑制する姿勢は一向に見られない。中ロの提案するダブル・フリーズも無視され、緊張を解く糸口は見いだせないままである。

「平和的に事態を解決する約束をする」主文第29節
こうした中で、トランプ大統領は、17年9月の国連総会での演説で、「米国と米国の同盟国を守らなければならないときは、北朝鮮を完全に破壊する選択肢しかない」と発言したように、全ての選択肢がテーブルにあると息巻き、武力行使による対応もありうるとの立場を公言している。そして安倍首相は、このトランプ大統領の姿勢を全面的に支持するとしている。しかし、本決議の主文第29節は、以下のように書いている。
「29.  朝鮮半島と北東アジア全体で平和と安定を維持することの重要性を繰り返し表明する、平和的、外交的そして政治的な事態の解決への関与を表明する、そして委員会メンバー並びに他の国々の対話による平和的、包括的な解決に向けた努力を歓迎する;そして朝鮮半島とそれを越えた地域の緊張を減らすための取り組みの重要性を強調する。」
つまり「朝鮮半島と北東アジア全体で平和と安定を維持することの重要性を繰り返し表明し、平和的、外交的そして政治的に事態を解決することを約束する」としており、武力行使はしないことを誓約しているのである。これに照らせば、トランプ大統領や安倍首相の発言や姿勢は、明らかに主文29節に違反していると言わざるを得ない。その意味で、本決議は、米国が軍事的な行動に踏み出すことを抑制する機能を果たしている。
更に主文28節には、以下のような記述がある。
「28.  6か国協議への支持を再確認し、その再開を求め、2005年9月19日に中国、DPRK、日本、韓国、ロシア連邦、及び米国によって発出された共同声明に記された、6か国協議の目的が平和的な方法による朝鮮半島の検証可能な非核化でること、米国とDPRKが相互の主権を尊重し、平和的に共存すると約束したこと、そして6か国協議が経済協力の促進を約束したこと、及び他の関連する誓約を含む、諸誓約への支持を繰り返し表明する。」
即ち、「6か国協議への支持を再確認し、その再開を求め、」「6か国協議の目的は平和的方法による朝鮮半島の検証可能な非核化である」としており、「平和的、外交的な事態の解決」の手段として6か国協議があることを示唆している。本決議も含め、これまでの全ての制裁決議が主文においてこのように記述しているのである。
この際、国際社会は、制裁をより強化してきた10年強にわたる経過を全体として振り返り、第28節を呪文の如くくり返すのでなく、本気で具体化させていく方向、即ち6か国協議の再開に向け舵を切るべきである。
以上、見たように国連安保理決議は、北朝鮮に対し厳しく経済的な制裁措置をとってはいるが、一方では主文において6か国協議の意義を支持し、かつ問題への対応策として「平和的、外交的な事態の解決」を約束している点を忘れてはならない。これは、トランプ政権が一方的に武力攻撃による解決へと向かうことを食い止める役割を果たしている面があることに留意せねばならない。


●1   「核兵器・核実験モニター」第534号(2017年12月15日)に抜粋訳。
●2  「核兵器・核実験モニター」第492号(2016年3月15日)。
●3 「朝鮮中央通信(KCNA)」2017年9月11日。英語版サイトから日付で検索。
www.kcna.co.jp/index-e.htm
●4  「朝鮮中央通信(KCNA)」2017年11月30日。
●5 「国連安全保障理事会決議の採択について(外務大臣談話)2017年12月23日。

在日米軍の相次ぐ事件・事故に抗議する声明

2017/12/13(水) 19:36

 在日米軍の相次ぐ事件・事故に抗議する声明

 

2017年12月14日

フォーラム平和・人権・環境

(平和フォーラム)

共同代表 藤本 泰成

 

 またしても米軍機の部品落下事故が起きた。12月13日午前10時過ぎ、沖縄県宜野湾市の米軍普天間基地に隣接する普天間第二小学校の校庭に、米軍の大型輸送ヘリCH53Eの窓枠とみられる1メートル四方の物体が落下し、児童1名が怪我をした。7日にも今回事故を起こした輸送ヘリの同型機が、普天間市内の保育園に部品を落下させていた。この1週間に2件も立て続けに事故を起こすのは異常事態だ。

 部品の落下した校庭では、50名の子どもたちが体育の授業を受けていた。一歩間違えれば大惨事になるところだった。いつも頭の上を気にして走り回り、遊ばなければならない、この子どもたちの現実を許してはならない。

 しかしこの間、在日米軍の事件・事故が多発してはいないか。昨年12月名護市沖でのオスプレイ墜落事故以降も、オスプレイをはじめCH53E大型ヘリの緊急着陸事故が相次ぎ、10月には沖縄・高江の民間地に大型ヘリが、11月には嘉手納基地を離陸したC2輸送機が沖ノ鳥島沖で墜落事故を起こした。その他嘉手納基地などでは外来の米軍機の緊急着陸事故も多発している。この事態は沖縄だけではない。神奈川県米海軍横須賀基地においても、所属する米海軍イージス艦11隻のうち5隻が、衝突事故、座礁、乗員の行方不明などの事故・事件を起こしている。広島県の住宅街上空では米軍戦闘機がフレアを発射する事件も起きた。

 一連の事故の背景には何があるのか。米軍の事故報告書は、おしなべてパイロットなど乗組員の問題に事故原因を求めているが、そうではない。オスプレイは機体に構造上の欠陥を持っている。軍隊内では任務拡大によって、これまでに習熟していない役割をも課されている。そしてオーバーワークが日常的な現場でもある。これらが、米軍の機能強化が図られる中なかで蔓延している結果、機体の整備にも、操縦にも影響を及ぼし、事件・事故につながっている。

 軍隊というそもそも抑圧的な社会の中で、さらに軍務が過酷になれば外へのはけ口を求めることも明らかだ。米海兵隊員が飲酒運転をしたあげく、沖縄県民を死亡させる事故もつい11月にあったばかりだ。

 日本政府は、事件・事故が起こるたびに「再発防止」と「綱紀粛正」を米軍に求めてきた。しかし米軍は、その場しのぎの対策しかとっていない。日米の軍事一体化が進み、基地機能の強化が図られることになれば、同様の事件・事故はますます増えていくことだろう。基地周辺の住民のいのちとくらしを守るには、単に「再発防止」と「綱紀粛正」では済まされない。日米地位協定の改定を含め、在日米軍に対する規制を作り上げなくてはならない。

平和フォーラムは、相次ぐ在日米軍の事故に抗議するとともに、基地縮小・撤去を視野に入れつつ、危険と隣り合わせにある基地周辺住民、とりわけ沖縄の現状を改善させるための闘いを力強くすすめていく。

自治体アンケート調査結果

2017/12/11(月) 17:01

  オスプレイと飛行訓練に反対する東日本連絡会とフォーラム平和・人権・環境は、2017年3月から4月にかけて、米空軍CV22オスプレイの横田配備計画に伴い、当該機の飛行訓練下に当たると想定される自治体に対して、アンケートを実施しました。

自治体アンケートの実施概要および結果概要について

自治体アンケート用紙

自治体アンケート集計結果(PDF)

イージス・アショアの配備に関して防衛省に要請行動

2017/12/05(火) 20:17

 

  政府が導入しようとしている陸上配備型イージスシステム(イージス・アショア)の候補地として、秋田市と山口県萩市があがっている問題で、平和フォーラムは5日、秋田県平和センターおよび山口県平和運動フォーラムの代表団とともに、内閣総理大臣と防衛大臣あてに要請書を手渡すとともに、防衛省と交渉を行った。

交渉の中で防衛省は、「新規アセット(イージス・アショア)の整備に着手することを8月末の概算要求で「事項要求」したところだが、配備計画そのものは決定していない」と繰り返し主張するにとどまった。候補地を検討していることも否定した形だが、仮に計画が進み候補地が決まることとなれば、「地元に丁寧に説明し、理解を求める」と述べた。交渉団の追及に対して、「地元の理解は必須」とも発言した。今後の配備計画の進展の中で、配備阻止のために候補地地元での闘いが重要となる。

また、計画の整備を2017年12月末までに行い、その後に候補地があがってくるとしたが、具体的な日程については明言を避けた。防衛省の言い分によれば、報道にあった候補地を名指しした閣議決定はないとみられるが、引き続き政府の動きをけん制するため、秋田、山口両県では、抗議行動や署名活動などの運動を展開することにしている。

イージス・アショアに配備するとみられる日米で共同開発中の迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」の性能について防衛省は、「日本で行われた4回の発射実験中3回成功し、アメリカでは31回のうち25回成功しており、8割以上の成功率で信頼性は高い」と豪語している。いっぽうイージスシステムが発する強力な電磁波による周辺住民の健康への影響などについては、「運用にあたっては、総務省所管の電波防護指針に準ずる」と述べるにとどまり、既に米国製の陸上配備型イージスシステムを導入しているルーマニアの実態などについては答えを避けている。

その他運用にあたっての日米の連携や運用の基準などについて質問をしたが、防衛省は、新日米ガイドライン(2014年4月)にある「米国との情報共有」が進んだことを述べるに留まった。

また、北朝鮮が米国に向け弾道ミサイルを発射し、日本上空を通過する場合の日本の対応について、防衛省は、8月10日の衆議院安全保障委員会での小野寺五典防衛相の答弁を繰り返す内容であった。すなわち、米国のグアムが北朝鮮のミサイルに攻撃された場合、集団的自衛権が行使できる「存立危機事態」に相当するかどうかの問題で、「武力行使の三要件に合致すれば対応できる」として迎撃可能としたことだ。

イージス・アショアの配備は東アジアの緊張を増強させる効果しかもたらさない。今後も配備阻止に向けたとりくみの継続が必要だ。

要請書はこちら 内閣総理大臣あて(PDF)  防衛大臣あて(PDF)

リアリティを持って、戦争を、 自衛隊を語ろう!

2017/12/02(土) 11:12

 11月11日、横浜市にある「教科書・市民フォーラム」主催で、室蘭工業大学准教授の清末愛砂さんを呼んだ「賢明な選択としての平和主義」と題する講演会に参加した。パレスチナのキャンプで活動していた清末さんは、ある日、イスラエル軍のまさに尋常ではない攻撃に目を開けた。その時、壁に銃弾が当たって窓枠に火の玉を見たという。ひたすら壁を打たれ続けている。パスポートを入れた鞄を手にしたが、腰を抜かして動けなくなった。「死にたくない人間が、生きられないと感じる恐怖と残虐性」、それは、イスラエル軍の自衛の名の下に行われる。清末さんは「自衛」とは、残虐になれない人間が残虐になるための手段だと述べる。

 紛争地はまさにこれが日常、現代の戦争なのだ。東京新聞に「改憲派からは、護憲派は空想論的平和主義者との批判があるが、私はとても現実的な平和主義者だ。パレスチナやアフガニスタンで非暴力運動や難民支援に取り組んだ経験があり、安倍晋三首相よりもはるかに戦闘地や紛争地の現実を知っている」「自衛の名の下に暴力が増大する。武力に抑止力なんてない」と、清末さんは書いている。

 多くの改憲派が安全保障の充実を取り上げる。武力の抑止力、安全保障が平和を作るといわんがばかりだ。しかし、清末さんは「人権のない平和は意味がない」という。私も同感だ。一人一人の命が守れなくて何の平和だろうかと思う。満州侵略も、対米開戦も、すべては「自衛」の名の下に行われ、日本を守るとして何百万という血が流され、命が失われた。「他国の脅威からわが国を守る」とする戦争法は、これまでの専守防衛論と違い、米国との集団的自衛権行使のなかで自衛官に多くの犠牲を伴うに違いない。それが戦争だ。だからこそ、平和憲法とそのことを具現化する平和外交がまさに重要だ。自衛隊を憲法に位置づけては、平和主義が意味を失う。

 「日本の美しい憲法をつくる会」(日本会議のフロント組織)は、「災害救助などでお世話になる自衛隊を日陰者にしていいのか」と主張する。自衛隊は災害救助隊なのか、違う。その本質は軍隊だ。ある日、一発の銃弾が人の頭を吹き飛ばす現実を、いかにリアリティを持って伝えるか。改憲阻止の闘いはそこにかかっている。災害救助などという欺瞞で自衛隊の本質を隠してはならない。
(藤本泰成)
 

ニュースペーパー2017年12月

2017/12/02(土) 10:58

 日本国憲法が公布されてから71年目を迎えた11月3日、安倍政権の9条改憲を阻止するために新しく発足した「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」は、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」と共催し、国会周辺で「11・3国会包囲大行動」を開催。約4万人が国会を包囲、「改憲反対、9条守れ!」「安倍政権打倒!」を訴えました。
 主催団体を代表して、全国市民アクション運営委員の高田健さんが「選挙の結果、改憲勢力が3分の2を確保したが、これまで作り上げてきた野党と市民の結束の力をさらに一層発展させて、安倍9条改憲の流れを打ち砕いていかなければならない。国会での改憲発議を阻止するたたかいを強めよう!」と訴えました(写真)。また、韓国で朴大統領を倒した市民の闘いを担ったキム・ヨンホさんは「日本の憲法9条はアジアの宝だ。改憲は戦前のファシズムへの復帰と新しい軍国主義への出発になり、周辺国の軍拡を招く」と警告しました。
 政党からは、枝野幸男・立憲民主党代表、志位和夫・共産党委員長、江崎孝・民進党参議院議員、福島瑞穂・社民党副党首が登壇。「国会の中の闘いと市民の闘いを両輪として、立憲主義を取り戻そう」などと決意を述べました。また、多数の文化人や著名人がスピーチを行い、参加者のコールが響き渡りました。

インタビュー・シリーズ:127
労働問題の現場から いまこそ社会的運動を!
弁護士・日本労働弁護団幹事長 棗 一郎さんに聞く


なつめ いちろうさん プロフィール
 1961年東京生まれ。中央大学法学部卒。在学中、学生自治会の再建運動を通して、民主主義を支える基盤として労働組合運動が大切であると考え、それにかかわる仕事をしようと決意。塾の講師をしながら弁護士をめざした。 

─多くの労働事件を担当されていますが、最近の事件の特徴をお聞かせください。
 まず正社員のリストラの仕方が巧妙になったことです。以前は、部門閉鎖で一気に首切りという手法でしたが、リーマンショック後の不況の際、企業は派遣切りをして世間から批判を浴びました。そこでドラステックな首切りを避け、正社員に対しては、1990年代の平成不況の時に問題となった「リストラ部屋」というのを復活させてきました。企業では、社内カンパニー制度が導入され、各部門を独立採算性にして、採算が取れない部門は切っていくという合理化が始まっていました。そこでどのような人員削減がされたかというと、リストラ対象者は「自分の仕事、自分の配属部署は自分で見つけろ、社内で見つからなかったら社外で見つけろ」と言われたわけです。3ヵ月くらいの間に見つからなかったら、多少の退職金の上積みで、たいていの人は辞めていきました。
 またこうした人員削減をビジネスにするリストラビジネスも流行ってきました。政府の「雇用移動支援助成金」を利用したものです。リストラする企業に対してコンサルティング会社が「制度を使って労働者を移動させれば助成金がもらえますよ」とリストラで金儲けを始めたわけです。正社員のリストラがリストラビジネスに結びついたのです。
 もう一つの大きな特徴は、何といっても長時間労働です。長時間労働による過労自殺や精神疾患などの病気が増え、ここ10年、労働事件の3~4割が未払い残業代請求を含んだ事件となっています。
 次に特徴的なのが職場のいじめです。厚生労働省が設置している総合労働相談窓口の相談内容のトップが、最近5年間はパワーハラスメント(パワハラ)が占めています。パワハラは職場における労働者に対する人格権侵害です。精神的・肉体的を含め、労働者に対する嫌がらせ・いじめは以前からありましたが、それが一気に噴き出してきたというのがこの5年でした。
 もう一つ労働事件で警戒しなくてはいけない傾向は「雇用によらない働き方」という問題です。安倍政権の後押しもあって、静かに広がっています。一言でいうと「仕事があるときだけ、低廉な労働力を使う経済、事業の在り方」ということです。恒常的に労働者を雇って会社に来てもらうという労働力の使い方はもう古いのだと。仕事があるときだけ請負あるいは業務委託して、その時だけ働いてもらう。インターネットがこれだけ発達していますから、会社に来ずに自宅にいても、パソコン、スマホで何でもできる。政府でいうところの「テレワーク」ですね。
 「働き方改革実行計画」のなかにもテレワークの項目があり、「雇用型テレワーク」と「非雇用型テレワーク」と分けて整理されていますが、「非雇用型テレワーク」が大問題なのです。「雇用によらない」ということは、請負とか業務委託であり、労働法が全く適用されないのです。
 アメリカにウーバー社という、日本でいうところの「白タク」をやっている企業があります。ニューヨークのタクシー業界を駆逐して急成長した会社です。どのような事をしているかというと、乗用車を持っている人を「運転手」として会社のアプリに登録させます。そして、「お客」から要望があれば、この「お客」の近くにいる登録された「運転手」に運ぶように連絡します。つまり流しのタクシーのような仕事をさせるわけです。ウーバー社は「年収何千ドル稼げる」と宣伝して登録者を増やしていきました。ニューヨークでは既存のタクシー運転手も、どんどんこの企業に登録した。最初はよかったのですが、規制がないから無数に登録させていくわけです。そうなると全然稼げなくなってきます。さらなる問題は、事故が起きてお客さんが怪我をしても、ウーバー社はただ仲介しているだけですから、責任をとることもなく、損害賠償請求にも応じません。もちろん「運転手」に対しても雇用責任はありません。問題はすべて労働者に押しつけるのです。こういう働き方が世界中に広まってしまっています。
 日本は道路運送法で白タク行為を禁止していますが、安倍政権は2020年のオリンピックまでには導入する意向です。来年の通常国会で必ず出てきますよ。ウーバー社のような働き方を日本では「シェアリング・エコノミー」と呼んでいますね。「生活の空き時間や使われていない資産を有効に活用しましょう」という意味ですけど、これは物事の本質をごまかしています。
 この問題に対して、私鉄総連や全自交など交通関係の労組が集まり、労働弁護団も一緒になって阻止運動をやっていますが、なかなか広がらない。でもこのウーバー社は世界中で大問題になっていて、イギリスのロンドンでは締め出しに成功したのです。あまりにも事故が多く、レイプ事件も頻発したことで大問題となり、当局も規制強化に乗り出しということです。こうした事件を日本のメディアは報道しません。「新しいビジネスモデルだ」と推奨しているとしか思えないです。ここは労働組合がちゃんと言わないといけないところです。


連合の金銭解雇反対厚労省前集会(2017年4月4日) ─安倍政権がめざす「働き方改革」について、問題点あるいは評価すべき部分があれば指摘してください。
 一番の問題は、8つの法律案を一緒にした一括法案である点です。安保関連法案の時と同じですね。良いものも悪いものも一括で審議するなんてありえない。それぞれの法律案は大変重要な課題ですから、本来は一つひとつ審議して議決していかなくてはいけないのに、そういうことをやろうとしない。不良品の抱き合わせ販売です。野党は、国会審議においてまずは一括法案をばらけさせることです。
 個々の法案の中で、労働時間の上限規制を罰則付きで労働基準法に組み込むことは、労基法改正の歴史上初めてのことで、評価できると思います。しかし問題は中身で、特例で1ヵ月に100時間未満、2ヵ月から6ヵ月で月平均80時間は認めてしまっている。これは過労死の労災認定基準ですよ。労使が36協定で特例を結べば過労死基準の働き方が可能ということです。労働組合に求められるのは、仮にこうした法律が通ったとしても、過労死ラインの協定は結ばない、絶対拒否することです。そうしないと労使共に責任を問われ、遺族から組合にも責任追及がきます。そこは重々肝に銘じて、そんな協約は結ばないことが求められます。
 長時間労働の温床となるホワイトカラーエグゼンプション、裁量労働制の対象業務拡大も大問題です。2015年に提出されても国会で審議入りができなくて、棚ざらしになっていましたが、これが通ってしまったら過労死となる労働者がさらに増えます。労働基準法の時間規制を全部適用除外する恐ろしい法律です。1日に15時間、20時間働いても8時間とみなされる。残業代ゼロで働かせ放題。自由な働き方ができるとか、労働者に裁量があるなんてことは全くあり得ません。連合の方針にも出ているように、これは絶対反対です。
 期待できるのは、同一労働同一賃金です。現行の有期契約の不合理な労働契約や格差の禁止、正規労働者と非正規労働者の格差の是正の方向性はいいと思います。ただ、法律を作ったからと言って、劇的に格差が解消されるということはありえません。この法律を使って変えさせることができるのは、最終的には裁判です。裁判をやらなくてはいけないのです。これまでも労働契約法第20条にかかわる裁判の判決が多数出ていますが、いずれも裁判所は非正規労働者、有期雇用労働者に冷たい。格差是正を簡単には認めないのです。もっと格差を是正する法制度にしていかないといけません。
 その一つの方法として最低賃金は1500円くらいにするなど、正社員と同じような働き方をしている非正規の処遇に、もっと実効性のある制度を作っていかなくてはいけない。大企業は内部留保がたくさんありますから、これを出させる。体力のない企業や中小企業は、ちゃんと吟味したうえで、税制の優遇的措置など何らかの助成を行うことも必要になるでしょう。

─命を削る労働のあり方は絶対あってはならないと思います。次の通常国会で上程される可能性が大ですが、どのような取り組みが求められるでしょうか。
 あまりニュースにならないので多くの市民が知らないですね。「働き方改革」と言うと、何かいいことやっているくらいの理解で中身を知らない。ですから法案の中身を知ってもらうことが大事です。そのためにはまず労働組合が職場に浸透させないと。地道な組織的な学習活動が必要です。あわせて団体交渉とか権利闘争を強化しないと、いくら勉強をやって知識が増えても、闘って交渉で勝ち取っていく構えを見せなければなりません。
 それと非正規労働者の組織化です。それを正社員組合がどれだけ取り組めるかではないでしょうか。政府も格差是正だと言っているわけですから。労働組合がちゃんと実のあるものにしていくべきです。こうした努力はいままでもやってきました。各産別・単組で一生懸命交渉して、有期契約社員へのボーナスや交通費を勝ち取ったとか、福利厚生を実現させたということは多数あるわけです。有期雇用を無期雇用に転換させた実例もある。こうした実例をもっと社会に訴えて宣伝し、情勢を作っていかなくてはいけない。裁判所も雇用社会がそうなってきていると分かれば変わってくる可能性もあります。
 これは社会的労働運動です。かつてやっていたことを取り戻してやっていかないと、労働組合は地域からも雇用社会からも見捨てられてしまいます。
(文責編集部)

 

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衆議院総選挙の結果を受けて
安倍改憲NO! 全国市民アクションの取り組みを広げよう
フォーラム平和・人権・環境 事務局長 勝島 一博


衆院総選挙での市民連合の街頭宣伝(新宿駅前) 「市民連合」による野党共闘の推進と立憲民主党の躍進
 10月22日に投開票が行われた第48回衆議院総選挙に対し、私たちは、2012年12月からスタートした第二次安倍自公政権の5年間を厳しく批判し、安倍一強政治に終止符を打つことを求めてきました。森友・加計学園問題での批判や、東京都議会議員選挙での大敗に続き、この選挙期間中の世論調査でも安倍内閣の不支持が支持を大きく上回り、拮抗する傾向が続いたにもかかわらず、自公両党が3分の2以上の313議席を確保する結果となりました。
 これは、小選挙区における自民党候補の得票率が約48%にもかかわらず、小選挙区の議席占有率が約74%という選挙制度自体の特性もありますが、これまでの野党共闘が、民進党の希望の党への合流によって暗礁に乗り上げ、野党間の選挙区での競合・つぶし合いが大きな原因であることは明らかです。
 この間、私たちは「市民連合」と連携し、憲法違反の戦争法(安全保障関連法)の廃止、集団的自衛権行使容認の閣議決定撤回をはじめとした立憲主義の回復、そして、個人の尊厳を擁護する政治の実現にため、「野党共闘」を積極的に進めてきました。「市民連合」は、2016年には、衆議院北海道5区の補欠選挙や都知事、新潟県知事選挙の中で大きな役割を果たし、特に16年の参議院選挙では、32の1人区すべてで「候補者を一本化」し闘うことによって、大きな成果と希望を作りだしました。
 「市民連合」は、今総選挙でも立憲4党と市民の協力態勢を作るべく、9月26日には7項目の基本政策について4野党と合意してきましたが、その直後、民進党の希望の党への合流が決定し、市民と立憲野党の協力の枠組みが大きく崩れることになりました。希望の党からの立候補にあたっては、「寛容な保守政党をめざすこと」や、憲法違反の「安全保障法制の容認」、「憲法改正を支持すること」、「外国人の地方参政権付与に反対すること」など8項目の条件が付与され、かつ民進党の一部議員を排除したため大きな政治的混乱を生じ、新たに立憲民主党が生まれることとなりました。
 10月3日、「市民連合」は立憲民主党との基本政策に合意することにより、社会民主党、日本共産党と合わせた選挙協力が実現しましたが、立憲民主党の選挙戦の準備不足もあり「与野党逆転をめざす野党共闘」は困難な事態となりました。総選挙の結果、立憲民主党は野党第一党として55議席を、また社会民主党は現有2議席を獲得しました。立憲民主党には、安倍政権との闘いで野党の中心的役割を担うことはもちろん、今後、市民と立憲野党の協力体制の中心的役割も強く期待するものです。

3000万署名運動を成功させ大きな世論を作り上げる
 今回の総選挙では改憲問題が大きな争点でした。自民党は「自衛隊の明記、教育の無償化・充実強化、緊急事態対応、参議院の合区解消など4項目を中心に議論を踏まえ初めての憲法改正をめざす」として、初めて国政選挙での重点項目に「憲法改正」を位置づけました。また、日本維新の会が「現実的な憲法改正」として9条「改正」を公約に盛り込むとともに、希望の党も選挙公約で、「憲法9条を含め憲法改正議論をすすめる」としてきました。その後、安倍晋三首相は、11月1日の閣議で、自衛隊の明記を念頭に党の改革案を国会に示し、野党も含めた幅広い合意へ努力するとしていますが、改憲を掲げる政党が80パーセント以上を占める中、今後、かつてない改憲に向けた動きが加速することは明らかです。
 しかし、あきらめるわけにはいきません。安倍首相が掲げる「改憲」には自民党内でも異論があります。また、与党の公明党との間でも温度差があり、日本維新の会や希望の党とも内容は異なっています。また、選挙後に行われた朝日新聞の世論調査でも9条に自衛隊を明記することに反対が45%と36%の賛成を上回っています。
 そして、憲法を守る闘いは国会の力関係だけで決するものではありません。私たちは安保法制や共謀罪の廃止、森友・加計学園の真相究明、沖縄基地反対などを通し、労働者に加え、多くの市民がこうした闘いに参加し、安倍政権を揺さぶり続けてきたことを知っています。安倍改憲を阻止する闘いは、この市民の力をさらに大きく結集することであることも学んできました。
 これまでの「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」の枠組みを超えて、「安倍改憲NO!全国市民アクション」がスタートしました。改憲発議、国民投票を実施させないことを視野に、3000万署名運動を成功させ、大きな世論を作り上げていかなければなりません。私たちの闘い方次第で、9条改悪阻止・安倍政権の退陣は可能です。厳しい選挙結果をしっかり受け止め、「改憲」を目論むあらゆる勢力にたじろぐことなく、平和と民主主義を求めて、立憲野党やより広範の市民とともに取り組みを進めていきましょう。
(かつしまかずひろ)

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憲法理念の実現をめざす第54回大会を開催
東アジアの平和のために、今こそ!

総選挙と安倍改憲の動きの中で
 今回の「憲法理念の実現をめざす大会(護憲大会)」をとりまく情勢は、以下の3点に特徴的でした。
 まず、安倍首相が臨時国会冒頭での解散を行い、衆議院総選挙が行われました(10月22日投開票)。民進党の「希望の党」合流により、「二大改憲政党政治」へのなだれ込みが起きるかとも思われましたが、結果として与党勢力3分の2を崩せなかったものの、「立憲民主党」の発足や「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(市民連合)の奮闘のなかで、立憲主義にたつ野党の共闘を維持することができました。
 つぎに、北朝鮮によるミサイル発射や核実験が行われる一方、日米韓の合同軍事演習実施や制裁・圧力の強化がすすめられてきました。東アジアの軍事的緊張が高まるなか、安倍政権は外交努力を尽くすのではなく、むしろ戦争の危機を煽動することで、内政的破綻を覆い隠し、政治的求心力を維持しようとしてきました。
 そして、今年5月3日に公然と掲げられた安倍首相の「2020年改憲」をめぐる動きは、重大な局面に立ち至っています。自民党が公表した衆院選公約のなかには、憲法9条、教育の無償化、緊急事態への対応、参院選挙区の合区解消を重点項目として示しながら憲法改「正」をめざすことが盛り込まれました。
 これらの動きを踏まえ、私たちは東アジアの平和のために、いま求められているのは何なのか。なおいっそう強まる安倍政権による改憲策動を突破し、私たちの未来を私たち自身で切り拓くため、何をするべきなのか。そのことを見つめなおす大会として位置づけました。


シンポジウム「東北アジアの平和と日本」
(10月28日・日本教育会館) 対話を基軸に平和に向けた努力を
 開会総会のメイン企画は、石坂浩一さん(立教大学准教授)をコーディネーターに、和田春樹さん(東京大学名誉教授)、前田哲男さん(軍事評論家)、伊波洋一さん(参議院議員、沖縄選出)をパネリストに「東北アジアの平和と日本」をテーマとして開催されました。
 シンポジウムでは、2015年に強行された「戦争法」によって、自衛隊が米軍と一体となって戦争に参加できる体制づくりが推し進められていること、戦争に突入すれば、米軍基地を多く抱えている日本が戦場となる危機に直面していることが指摘されました。そのうえで、日本が果たすべき役割は、アメリカに追従し、制裁・圧力強化や戦争を煽り立てることではなく、「日朝ピョンヤン宣言」に立ち返り、アメリカと北朝鮮との対立緩和に向けて、対話を基軸とした最大限の努力をするべきだと提起されました。
 このことは、憲法理念の実現を訴えてきた私たちの運動の今後に係る内容であることを、しっかり確認する必要があります。
 また、本大会では、「非核・平和・安全保障」「地球環境―脱原発に向けて」「歴史認識と戦後補償」「教育と子どもの権利」「人権確立」「地方の自立・市民政治」「憲法」の7つの分科会とフィールドワークが行われました。分科会の各テーマは、はからずもこの安倍政権の下で攻撃が強められているものばかりです。問題提起を受け止めながら、各地域でのとりくみをどのように強化し、憲法破壊と対抗していくのかが問われています。
 さらに、「男女共同参画のひろば」「基地問題交流会」「第五福竜丸展示館と関東大震災朝鮮人犠牲者追悼碑の見学」も行われました。これら多様なとりくみを支えていただいた多くの皆さんに感謝を申し上げます。

全国統一署名を中心に、運動を大きく拡げよう
 今回の大会では、3日間の日程のなかで、この間進められてきた「総がかり行動」運動がつくりだしてきた成果を踏まえつつ、あらたに立ち上がった「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」が推進する全国的大衆行動、そして「安倍9条改憲NO!憲法を生かす全国統一署名」を基軸にして、あらゆる改憲策動を阻止する決意を固めあいました。
 自民党の憲法改正推進本部による党内での改憲素案のとりまとめが難航するなど、当初の予定から大きくズレを生じさせながらも、早ければ来年の通常国会にも改憲発議を行おうとしています。野党の奮闘に期待しつつも、残念ながら国会内においては多数を握られています。そうしたなかで、現実に改憲を押しとどめていく力は、全国各地の市民の立ち上がりのなかに存在しています。
 日本会議系諸勢力が政府・与党の動きと一体となって、改憲に向けたキャンペーンを活発化させています。私たちが大胆に運動を拡げ、多くの市民との交流と共同をつくりだしていくことをもってのみ、憲法理念を実現させることができるのだということを確認し、これからの地域・職場でのがんばりあいをすすめていきましょう。
(山本圭介)

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TPP11交渉の「大筋合意」が発表
市民を無視する安倍政権の「秘密交渉」

 11月11日、ベトナムのダナンにおいて、アメリカを除く環太平洋経済連携協定(TPP)署名11ヵ国(TPP11)は、新たな協定の大筋合意を発表しました。従来のTPPの合意内容のうち、医薬品のデータ保護期間や著作権保護期間など、アメリカの多国籍企業の利益が著しい20項目については、アメリカがTPPに復帰するまで凍結されることになりました。また、マレーシアなどが強く求めている国有企業の優遇措置の禁止など4項目の凍結については引き続き協議が行われており、早ければ年明けにも署名が行われる見通しとなっています。
 署名後、各国は国内での承認手続きを進め、半数の6ヶ国が承認すればその60日後に発効します。日本政府は来年の通常国会で承認を求めることをめざしており、再びTPP協定をめぐる論議が行われようとしています。

強引なとりまとめを進める日本に反発も
 しかし、11月10日に予定していた11ヶ国の首脳会合がカナダの反発で見送られるなど、不協和音も表面化しています。これは、アメリカが抜けて前提が崩れた協定を、原形に近い形で発効させようと、日本政府が強引に交渉をまとめようとしたことに無理があったのではないかと言われています。今後もアメリカ抜きの新協定案に対して、他の10ヶ国が日本と同様の態度を取るとは限りません。各国が旧協定の「高水準の自由化」を受け入れたのは、世界の国内総生産(GDP)の4分の1を占めるアメリカの市場に進出できる見返りがあったからです。ベトナムなどはアメリカ向けの繊維製品の輸出増加の期待が外れ、カナダやメキシコはアメリカとの北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉中であり、新協定を承認すれば、アメリカからさらに厳しい条件を突きつけられる恐れも出ています。このように、11ヶ国の足並みはそろっておらず、発効までに参加国がさらに減る可能性も否定できません。
 一方、農業分野では、協定内容の修正を求める日本の農業者の要求を軽視しました。例えば、乳製品では日本が低い関税で輸入する量を7万トンとすることがTPP協定で決まりましたが、離脱したアメリカの分を差し引かずにこの水準を維持すれば、ニュージーランドやオーストラリアなどの輸出分でこの枠を満たしてしまい、これとは別にアメリカから2国間交渉で低関税輸入枠を迫られる可能性があります。しかし、日本政府は「アメリカが復帰することを前提にしており、最低限の変更にしぼりたい」として、なんらの要求もしないまま、合意を優先したのです。しかし、アメリカがTPPに復帰する見通しは立っておらず、トランプ大統領も強く否定をしています。合意にこだわった日本の拙速な交渉は大きな禍根を残しました。


TPP11、日欧EPAで政府と討論
(7月10日・衆院議員会館) 見通しが立たない多くの通商交渉に疑念
 TPP11だけでなく、日本は多くの通商交渉を並行して進めています。今年7月に「大筋合意」したと言われる、日本とヨーロッパ連合(EU)との間での経済連携協定(日欧EPA)は、いまだ最終的な協定がいつまとまるのか明らかになっていません。東南アジア諸国連合(ASEAN10ヶ国)と日中韓インドなど16ヶ国による東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉も、当初めざしていた年内合意は断念され、今後の見通しは立っていません。さらに、11月5日からトランプ大統領が来日し、日米二国間の自由貿易交渉(FTA)に向けて圧力を加えたと見られています。
 こうした多くの通商交渉は、TPPを基準として進められています(TPPプラス交渉)。平和フォーラムも事務局団体のひとつとなっている「TPPプラスを許さない!全国共同行動」では、7月以降、これらの交渉の問題点を検討しながら、外務省、農水省、内閣官房の担当者から説明を受け、質疑討論を行う院内集会を数度に渡り開催してきました。しかし政府側は、経過や内容は「交渉中である」ことを理由に、情報公開しない姿勢を取り続けています。2000年代前半までの世界貿易機関(WTO)の交渉では、政府は交渉に臨む方針や、経過について市民にも説明をしてきました。安倍政権が「丁寧な説明」などといいながら、市民を軽視する姿勢が表れたものと言えます。
 集会の中では、こうした政府の態度に参加者の批判が集中し「合意してから内容を明らかにしても意見が言えないではないか」(山田正彦・元農相))などと追求しました。全国共同行動では12月11日にも院内集会を開き、TPP11の合意内容などでさらに政府との話し合いを行うことにしています。
 さまざまな疑念や不安を置き去りにしたまま「合意」や「妥結」が発表されるという国民不在の交渉に異議あり!の声を広げていく必要があります。
(市村忠文)

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「もんじゅ廃炉!核燃サイクルを止める全国集会」
行き詰まりがはっきりしてきた原子力政策
フォーラム平和・人権・環境 共同代表 藤本 泰成

 「もんじゅ廃炉!核燃サイクルを止める全国集会」が、11月5日に福井市で開催されました。昨年12月21日に、政府が高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉を正式に決定したことを受けて、集会ではこれまでの闘いを振り返り、「もんじゅ廃炉勝利宣言」が行われました。廃炉が確実になったことを、これまで闘いをともにしてきた多くの仲間と素直に喜びたいと思います。
 闘いの歴史を振り返ると、1967年の動力炉・核燃料開発事業団(動燃)の設立から、83年の設置許可、85年の本体工事着工と続く中で、82年2月の第2次公開ヒアリングは、約2000人の機動隊が1万人の反対を叫ぶ市民を威圧する形で行われました。もんじゅは、水と爆発的に反応する金属ナトリウムを冷却剤に使い、きわめて毒性の高い放射性物質プルトニウムを燃料とする危険なもので、計画の段階から反対運動が続きました。85年には、原子炉設置許可処分の無効確認を求める行政訴訟が起こされました。同年12月8日に、原告側証人として法廷にも立った故高木仁三郎・原子力資料情報室代表が「可能性として発生の恐れを指摘してきた私でも信じられない」と言わしめたナトリウム漏洩火災事故を起こし、運転中止に追い込まれました。
 2003年1月27日に、後に最高裁で敗訴するものの、名古屋高裁金沢支部がもんじゅの設置許可は無効との住民勝訴の判決を出ました。原発裁判史上初の勝利判決でした。集会で映し出された映像には、磯部甚三弁護団長や海渡雄一弁護士、訴訟団の小木曽美和子事務局長、高木仁三郎さんなど多くの顔がありました。もんじゅの闘いが本当に多くの人に支えられてきたということを再認識させられました。


もんじゅ廃炉!全国集会(11月5日・福井市) 再処理の延命とプルトニウムの利用計画
 しかし、喜ぶのはここまでです。第2部は「核燃料サイクルをどう止めるか」をテーマに、もんじゅ訴訟と新もんじゅ訴訟の弁護団の海渡雄一弁護士、ストップ・ザ・もんじゅの池島芙紀子代表、核燃阻止1万人訴訟原告団の山田清彦事務局長を迎えてシンポジウムが開催されました。核燃料サイクルの中核のもんじゅの計画が破綻した今、計画はどうなるのか、どうするのか、脱原発にとって重要な課題です。
 現在、日本は再処理した47トンものプルトニウムを保有しています。その利用計画を明確にするのは国際的な約束です。プルサーマル計画では不十分です。もんじゅ廃炉後にフランスの高速炉アストリッド計画に参加するのは、再処理の延命と将来的な利用計画の策定に不可欠だからといえます。その意味で、フランスを訪問した池島さんの報告にあった、80年代にフランスの環境・エネルギー庁の要職を歴任した物理学者ベルナール・ラポンシュさんの、「高速炉は最も危険で、複雑で、コストがかかる」「日本がこんな無価値な計画に資金を出すのが理解できない」との発言は印象に残りました。
 青森から参加した山田さんは、六カ所の再処理工場がいかに危険かを、様々な角度から検証し、試運転で出た220立方メートルもの高レベル放射性廃液は、大地震の際には51時間程度で沸騰爆発を起こす可能性があり、その時には北日本全体に深刻な汚染が広がると重要な指摘をしました。過去に六ヶ所村の再処理工場を訪れた、フランク・フォン・ヒッペルさん(プリンストン大学教授)が、廃液は直ちに固化すべきで、プールに貯蔵されている使用済燃料は乾式貯蔵へと指摘していたことと符合します。
 海渡さんは、もんじゅの廃炉計画が未だ示されないこと、その廃炉措置が軽水炉と違いきわめて困難であることを指摘するとともに、核燃サイクルをどのように止めるか、六ヶ所再処理工場の耐震性の欠如と陸上へもつながる海底活断層の問題がきわめて重要になるとしました。

なぜ政府は危険な計画にしがみつくのか
 シンポジウムのコーディネートをする中で、日本政府は、なぜこの危険きわまりない核燃料サイクル計画にしがみつくのかということを考えました。自民党内部に潜在化してきた「核保有政策」への担保が一つの理由か、そして今更やめるわけにいかないほど資金をつぎ込んできた再処理工場の計画中断は、すぐさま大きな負債となることが二つ目の理由か、最後は地元青森との合意の問題で、再処理工場の計画中断はすぐさま使用済み核燃料の中間貯蔵の停止を意味するからか。
 どれにしても馬鹿げた理由でしかありません。もんじゅには1兆円を超す税金が注ぎ込まれましたが、誰も責任をとっていません。核燃サイクルの延命のために、フランスの高速炉計画アストリッドには日本から3000億円が注ぎ込まれるという。福島原発事故の責任もとっておらず、次の過酷事故は誰が責任をとるというのか。原子力政策はいよいよ行き詰まりがはっきりしてきました。
(ふじもとやすなり) 

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広島と長崎で被爆二世が集団訴訟を開始
原発を含む核廃絶への大きな力に
全国被爆二世団体連絡協議会 副会長 寺中 正樹

 米軍による原爆投下から72年が経った。被爆者の平均年齢が80歳を越えて死去したり、高齢のため被爆体験を伝えることができなくなっている。全国被爆二世団体連絡協議会(全国被爆二世協)は、1988年の結成以来、被爆体験の継承、被爆二世・三世への援護法の適用、在外被爆者・二世との連帯などを掲げて闘い続けてきた。また、全国各地で戦争や核の被害を許さないために、核被害の実相を社会に訴えている。

恐怖と闘いながらどう生きてきたかを知って欲しい
 被爆二世は全国に約50万人存在すると言われている。しかし、国は一度も実態調査をしたことが無いので、正確な人数はわかっていない。国が被爆二世に行っているのは、単年度措置の健康診断のみでガン検診も無い。
 私たちは、日本の被爆者や在外被爆者が、裁判を通じて生きる権利を勝ち取ってきた歴史に学び、本年2月に被爆二世の集団訴訟に立ち上がった。全国被爆二世協は、歴史的な一歩を踏み出したのだ。2月17日、広島地裁に22人が、2月20日、長崎地裁に25人が「原爆被爆二世の援護を求める集団訴訟(被爆二世集団訴訟)」を提訴した。原爆放射線の次世代への影響を問い、国の立法による援護対策を求める初めての訴訟だ。
 この訴訟は、被爆二世の問題にとどまらず、世界の核被害者の次の世代の問題解決につながる。核兵器の非人道性の最たるものの一つが、放射線の次世代への影響であることを訴え、このことが世界の共通認識となれば、核(原発も含む)を廃絶する大きな力になるはずだ。
 被爆者や被爆二世の現実を知らない人達に、被爆者や被爆二世がどのように原爆被害の恐怖と闘いながら、自らの人生に誇りを持って生きてきたかを知って欲しい。


裁判所に向けて行進する訴訟団(8月22日・広島) 意見陳述と弁護団の奮闘で違法性が明らかに
 第1回口頭弁論は広島地裁で5月9日、長崎地裁で6月5日に行われた。広島地裁では、中学校教諭の占部正弘さんは、黒いシミや声のかすれが父親の被爆後の症状と似ており、原爆の影響ではないかと心配していることや、直接生死には関係なくても健康不安を持っている被爆二世がいることを知って欲しいと話された。
 平野克博・全国被爆二世協事務局長は、放射線影響研究所の調査結果を根拠に、放射線の影響を過小評価して、被爆二世の健康被害の現実に向き合おうとしない国の姿勢を徹底的に批判した。
 在間秀和弁護士は、国が核兵器の放射線による被害を戦後70年以上にわたっていかに隠ぺいしてきたかを、原爆二法の成立過程から1995年に成立した被爆者援護法の制定に至るまでの歴史、そして原爆症認定集団訴訟や在外被爆者訴訟の歴史を紐解く中で、本来被爆者として援護の対象にされるべき被爆二世が、その埒外に置かれてきたことが違法であると訴えた。
 第2回口頭弁論と追加提訴第1回口頭弁論は、広島で8月22日、長崎では9月26日に行われた。現在追加提訴者を合わせて、広島、長崎ともに原告は26名となった。広島地裁では、山口県在住の森田修さんが、提訴の報道を偶然テレビで見て、自分も二世として何かをしなければいけないと思い、原告に加わる決断をしたことや、幼少の頃から病弱で、5歳年下の弟もほぼ同じ時期に前立腺がんと狭心症を発症したことで、被爆の影響ではないかと不安になったことなどを述べた。
 提訴や裁判のニュースが報道されると、全国被爆二世協には相談のメールや電話が来た。二世自身の病気だけではなく、子ども(三世)についての不安もせつせつと訴えてくる。これまで誰にも言えなかった健康不安を訴える場所ができた。この裁判は被爆二世の拠り所にもなっている。

請求の棄却を求める国の主張を許すな!
 私たち被爆二世の訴えに対して、被告の国は9月26日に長崎地裁で、10月26日に広島地裁において原告の請求の棄却を求める答弁書を陳述。その中で(1)被爆二世を被爆者援護法の適用対象としない立法不作為が国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受ける余地はない。(2)親が原爆の放射能に被曝したことによって被爆二世が発がんリスク増加など遺伝的影響を受けることは科学的に証明されておらず、被爆二世が親の放射線被曝による遺伝的影響を受けることを前提として被爆者援護法が憲法違反であるとする原告らの訴えは、前提を欠き失当である、と主張した。  私たちは、この国の主張を認めることはできない。徹底して反論し、私たち被爆二世の現実を社会に知らせていく。次回の裁判日程は広島地裁は2018年2月13日、長崎地裁2月6日となっている。訴訟への皆さんのご支援、ご協力を!
(てらなかまさき)

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原子力委員会の滑稽な論議 ─プルトニウム利用について

 原子力委員会が『日本のプルトニウム利用について【解説】』(案)について議論した10月3日の定例会議の録音は英国BBCの風刺ドラマのようで、「一聴」に値します。映像がないのが残念ですが。まず、『解説』の結論部分に関する阿部信泰委員長代理と事務局のやり取りから。
 『解説』「以上のことから、プルトニウムが溜まり続けることはなく、六ケ所再処理工場等の操業・加工に伴うある程度の増減はあるものの、一定のバランスの下で管理することが可能であると考えられ、長期的に、日本のプルトニウム保有量の削減という目標が達成されるであろうと認識している」。阿部委員長代理「ここは非常に重要な文章で、原子力委員会としては減っていくと、こういう認識であると、こういうことですね。川渕さん、この長期的にって、どのぐらいの期間を考えられておられるんですか?」。川渕英雄企画官「えーっと、まあ非常に難しいところでありますけれども(笑い)、あの、えー、まあ、あの、そこまではまだ検討はしていないということ」。林孝浩参事官(?)「軽水炉の再稼働がどれぐらいのスパンで動き出すかというところがかかわってくる話だとは思いますけども、やはり10、20[年]、そういう単位だと思っております。」
 質問は、使用済み燃料の再処理で取り出したプルトニウムをウランと混ぜて「混合酸化物(MOX)」燃料にして普通の原子炉(軽水炉)で燃やす計画に関するものです。1997年に電気事業連合会が発表した計画では2010年までに16~18基でプルサーマル(MOX利用)導入ということになっていましたが、下の表にあるように福島事故時にMOX利用の許可を受けていた炉が10基。装荷して運転を開始していたのはわずか4基。現在MOX利用許可炉で再稼働となっているのは3基です。年間8トンを分離する能力を持つ六ヶ所再処理工場を運転せず、再稼働がどんどん進んだとしても、英仏保管分を燃やすだけで10年はかかってしまいます。
 事務局は、世界に向けてこのような解説を出すのは、1997年にIAEAに提出した『日本のプルトニウム利用計画』以来のことだと説明しています。同文書で「計画遂行に必要な量以上のプルトニウム、すなわち、余剰プルトニウムを持たないとの原則」に従うとの方針を国際的に宣言した際の日本のプルトニウム保有量は約24トンでした。現在ではその約2倍の47トンに達しています。2018年末までに英国で日本に割り当てられる予定の約1トンを入れると48トン。核兵器約6000発分です。
 阿部委員長代理は、「日本はエネルギー資源に乏しく、ウランの埋蔵量も限られていると考えられていたことから、使用済燃料を再処理してプルトニウムを利用する核燃料サイクル政策」に昔決めたという説明はいいが、ウランは豊富に存在することが判明し、MOX利用が高くついているというような現在の状況についてなぜ語らないのかと何度も批判を展開しましたが、『解説』はほぼ「案」のまま発表されることとなりました。
 委員長代理は、参事官がエネルギー基本計画にもある通り政府の政策がプルトニウム利用を決めているのだからというような現状追認の発言を繰り返すのに業を煮やして次のような趣旨の反論でチクリと一刺し。参事官は内閣府の人だから政府の政策を守ろうとしてどんな議論をしても守るというのだろうが常識的にはなかなか受け入れられないだろう、と。委員会の事務局を務めるのは内閣府原子力政策担当室です。一方、岡芳明委員長は、阿部先生は××だけしか知らないからそういうのだろうが、とか応戦。是非、音声記録でお聴きください。
http://wwwc.cao.go.jp/lib_007/video/teirei_2017_34.html
(このテーマの部分は、0:46⇒2:28。冒頭のやり取りは01:44:50⇒01:45:54辺り。)会議の議事録が出ているのは2017年2月7日のものが最後です。
 『解説』には事実関係の間違いもあります。「日本の商業用原子力発電炉は60基あったが...現在は45基の軽水炉が存在する」と述べていますが、実際に存在するのは下の表にある通り、42基です。建設中の3基(島根3号、大間、東電東通1号)を足した数字が45基。東京電力東通原発1号機は2011年1月25日認可を得て着工。福島事故のため同年4月に予定されていた本格工事は見合わせたままです。私は原子力の専門家だからと繰り返す岡委員長と内閣府は、これを「存在する」と世界に向けて主張しています。委員会ドラマから目が離せません。次回放送、乞うご期待!
(「核情報」主宰田窪雅文)

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《投稿コーナー》
共謀罪捜査からプライバシー・表現の自由を護る─共謀罪法反対運動の今後の課題
弁護士・獨協大学特任教授 三宅 弘

通信傍受の拡大など監視社会を招く不安
 いわゆる共謀罪法案の採決強行後の状況において、監視社会化を憂い、人々のプライバシーや表現の自由をいかに護るかについて考えたいと思います。
 十分な審議もないままに、「共謀罪法案」が採決強行されたことにより、「組織的犯罪集団」「計画」「実行準備行為」の要件が無限定であるために一般市民が捜査の対象になるのではないか。277におよぶ計画段階の犯罪の成否を見極めるために、メールやLINE等を対象として共謀の疑いの捜査が必要となり、秘密保護法の適用と合わせ、通信傍受の拡大など監視社会を招集しかねないのではないか。そのような不安が広がっています。これらの法律が恣意的に運用されることがないよう、法の廃止に向けた取り組みを続ける必要があります。
 加えて、行政機関における個人情報保護の強化が必要とされます。2016年の通信傍受法の改正により、窃盗、傷害、強盗、詐欺、恐喝をあわせると、一般刑法犯認知件数の80%を超えるとも指摘されています。GPS捜査のみならず、私人のコンピューターに侵入してその中の情報を入手するオンライン捜索、ラスター捜査と呼ばれる網羅的な電子的個人データ照合の権限、さらに情報技術システムを用いて住居や通信の監視等を行う権限などが任意捜査として行われる可能性が高まっています。
 13年6月、元NSA(米国国家安全保障局)局員のエドワード・スノーデン氏は、米国政府がインターネット関連企業の協力を得て、全世界のインターネット上の、1ヵ月で970億件にも及ぶデータを収集し、エックスキースコアを使って検索・分析して監視できる情報環境を作り、秘密裏に活用していた実態を内部告発し、世界を震撼させました。17年4月に公表されたNSAの秘密文書(いわゆるスノーデン・ファイル)の中から、エックスキースコアがDFS(防衛省情報本部電波部)に提供されたことが明らかになりました。スノーデン氏は共同通信のインタビューにおいて、この提供の事実を認めています。

ドイツを参考に第三者機関による防止措置法制化を
 これに対し、私たち市民は、どのようにプライバシーを護り、十分な政府情報への知る権利を行使し、委縮することなく表現の自由を行使することができるのでしょうか。この点、とりわけ、ドイツにおけるテロ対策法捜査・情報収集に対する連邦憲法裁判所と連邦・州データコミッショナーによる規制などを参考に、人々のプライバシーと表現の自由を護る方策を制度化すべきです。
 ドイツにおいては、ナチスドイツの反省をふまえて、連邦憲法裁判所がIT基本権(ITシステムの秘密性と完全性の保証に対する基本権)の保障を宣言し、また、住居内の録音録画やオンライン捜索については、通信の秘密や住居不可侵という基本権を侵害するため、法律上の要件を厳しくしなければならないと判示しています。これを受けて連邦刑事庁法や連邦憲法擁護庁法の改正などがなされ、さらに連邦と州のデータコミッショナーが警察や情報機関によるテロ対策法捜査・情報収集に対して、プライバシーや表現の自由に対する侵害行為がないか等を調査し、収集データの削除要求をするという運用がなされています。6月のドイツ調査では、ベルリン州データ保護コミッショナーが、政府の情報機関において、右翼過激派でないにもかかわらず、その対象とされていた市民のデータを指摘し、数千のデータを削除した例のあることを聴取しました。
 ドイツのテロ対策法のように、オンライン捜索やラスター捜査を法制化して、テロ対策を充実させるという方向について、賛成するものではありませんが、警察法2条に基づく任意捜査として、「共謀罪」として277に及ぶ計画段階の犯罪の成否を見極めるためにメールやLINE等を対象とする捜査が無制限になされることは阻止しなければなりません。

行政機関個人情報保護法の改正を
 日本においても、3月に最高裁判所は車両に使用者らの承諾なく秘かに取り付けて位置情報を把握したGPS捜査について、憲法35条には「住居、書類及び所持品」に限らずこれらに準ずる私的領域に「侵入」されることのない権利を認め、令状がなければ行うことができない処分と解し、立法的な措置が講じられることが望ましいと判示しました。ドイツの法規制、特にデータ保護コミッショナーによる監督と連邦憲法裁判所の判決を参考にしつつ、この最高裁判決を具体化し、第三者機関による監視社会化の防止措置を法制化してプライバシー・表現の自由をどのように擁護するか。
 1つの提案は、行政機関個人情報保護法を改正し、自己情報の開示・訂正権の範囲を、防衛・外交・刑事訴訟手続等にまで拡大し、独立機関である個人情報保護委員会において、15年の個人情報保護法改正により対象とされた民間部門のみならず、本来の役割である公的機関の監督権限を与えることです。これによって、ドイツのデータ保護コミッショナーが個人情報保護と公的情報公開についての独立機関として機能していることと同レベルの権限を保有することとなるだけです。03年の行政機関個人情報保護法制定時からの積み残しの課題なのです。
(みやけひろし)

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各地の脱原発の動きから(最終回)
島根原発再稼働は、これだけ問題がある
平和フォーラムしまね副代表 阪本 清


 中国電力の島根原発から30キロ圏内には、島根県・鳥取県の約47万人が住んでいる。防災拠点となるオフサイトセンター、島根県庁、松江市役所、県警本部のいずれもが原発から10キロ圏内にある特異な立地である。
 平和フォーラムしまねは、党派を超えて、「さよなら島根原発ネットワーク」(共同代表・杉谷肇フォーラム代表)をはじめとする原発に反対する様々な市民団体と連携しながら、島根原発2号機(1989年2月営業運転開始・82万kw.)の再稼働反対、運転開始直前に福島原発事故発生で運転が中止された島根原発3号機(137万kw.)の運転停止を求めて、節目、節目で署名活動や集会、デモを行ってきた。
 福島原発事故から6年半が経過したが、いまだに事故の収束はできず、松江市民をはじめ、多くの市民は、原発事故の危険性を問題視している。
 現在、島根原発2号機は、原子力規制委員会による適合性審査を受けているが、最大の焦点は、原発敷地からわずか2キロ足らずの地点を通過する活断層=「宍道断層」の長さ問題である。原発運転当初は、活断層は存在しないとしてきた。しかし、広島大学や島根大学の研究者の調査の結果、活断層の存在がクローズアップされ、中国電力も仕方なしにその都度、距離を伸ばしてきたのである。それで「伸びる活断層」と揶揄される。当時の原子力安全保安院も追随してきた責任は重大だ。
 中国電力は最近になって、最大の事故発生リスクである「宍道断層」の評価を39kmまで延長したものの、その先の鳥取沖断層への連動を否定して決着をつけようとしている。規制委員会も追随する姿勢を示している。これは、予見すべき危険性に再び目をつむる許しがたい姿勢である。30キロ圏内の住民が安全に避難できる満足な避難計画もなく、避難計画は机上の空論でもある。
 さらに「核燃料サイクル」も行き詰まる中、1号機の廃炉に伴う使用済み核燃料の行く末さえ見通せない状況である。この上、止まった原発を再稼働させれば、核のゴミはさらに増大し続け、私たち住民の暮らしを脅かすことになる。
 平和フォーラムしまねは、原発事故のリスクを断固として拒絶する。住民の暮らしを脅かすことなく、一刻も早く原子力発電の稼働を止めるよう強く中国電力に要求するとともに島根県をはじめ関係自治体が再稼働に同意しないように求めていく。
(さかもときよし)

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〔本の紹介〕
「教養のドイツ現代史」
田野大輔・柳原伸洋編著/ミネルヴァ書房/2016年

 10月の総選挙の結果、改憲勢力が8割を占める結果となった。こんな現状を諸外国の人々は不可思議にみることだろう。原発の大事故が発生した日本で、なぜ原発推進政党が打撃をこうむらないのか?極右ともいえる安倍政権、日本の左派リベラル勢力は、なぜそんな政権を誕生させ、長期存続を許しているのか?なぜ、そんなに非力のか?こんな視点で日本の私たちも自らを問うてみると、様々な発見があるはずだ。そこで紹介したいのがこの著書である。
 著者は「身近な対象のなかに問を見出し、その答えを求めて歴史をひもとく。こうした探求の積み重ねによって得られものこそ『教養』にほかならない」という。だから、著書名が「教養のドイツ現代史」なのである。
 著書は、1871年成立のビスマルク・ドイツ帝国時代から現代までで構成。ワイマール共和国の誕生と崩壊、ナチス・ヒトラーの誕生と崩壊、戦後復興、68年の学生運動と新しい社会運動、東西ドイツの統一、そして社民党と緑の党との連立政権へと続く。
 先の大戦で敗戦国となった日本とドイツ。戦後ともに見事な復興を遂げたが、政治史は大きく異なる。日本の社会民主党は衰退し、ドイツの社会民主党は何度も政権の座につき、今なお大きな力を保持している。日本の全共闘世代は自らの政治勢力を創出できず大半は企業戦士となったが、ドイツの全共闘世代(ドイツでは68年世代と言う)は社会民主党に参画したり、緑の党を結成、そして、98年からは社会民主党と緑の党の連立政権を誕生させる。緑の党は、現在も一定の社会勢力として健在だ。
 ドイツの保守政党は、キリスト教民主同盟・社会同盟で、メルケル首相が党首だが、日本の自公政権と違い、2022年末までに原発全廃の法制化をし、最低賃金制は時給1000円を超える。政権は2013年から17年9月まで社民党との連立政権であった。
 なぜ日本とこうも違うのか?また、日独の戦後の左派勢力の努力にどんな差異があったのか?この問いへの答えが見えてくる。なお、補完教材として映画・アニメ・小説・音楽が頻繁に登場。読者のより深い理解を得るものとして活用されている。
(富永誠治)

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平和を守るのは銃ではなく9条です

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『安倍9条改憲NO!憲法を生かす 全国統一署名』にご協力を

 安倍首相をはじめとして改憲への動きが急速に強まっています。戦後70年以上にわたって、日本が海外で戦争をしてこなかった大きな力は憲法9条の存在と市民の粘り強い運動でした。いま、9条を変えたり、新たな文言を付け加えたりする必要は全くありません。私たちは、日本がふたたび海外で「戦争する国」になるのはゴメンです。
 私たちは、安倍首相らによる憲法9条などの改悪に反対し、日本国憲法の民主主義、基本的人権の尊重、平和主義の諸原則が生かされる政治を求めます。

【請願事項】
1.憲法第9条を変えないでください。
2.憲法の平和・人権・民主主義が生かされる政治を実現してください。
現在、全国で3000万人を目標とする統一署名運動が行われています。ご協力をお願いします。

■署名用紙はこちらから ⇒ http://kaikenno.com/
呼びかけ団体:
安倍9条改憲NO!全国市民アクション/戦争をさせない1000人委員会/9条壊すな!実行委員会/憲法共同センター/九条の会
署名の送り先:
〒101-0064東京都千代田区猿楽町1-2-3錦華堂ビル4A「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」

●インターネット署名も開始 ⇒ http://chn.ge/2hb7FxY

北朝鮮の核攻撃で、ソウルと東京で200万人以上が死亡の可能性 ―"38ノース"報告書の衝撃 11月30日 田巻一彦

2017/11/30(木) 16:23

 今回も北朝鮮核問題について書きたい。
トランプと金正恩の間の罵詈雑言の応酬と米国による軍事演習による威嚇が繰り返される中で、両国の緊張は高まる一方である。誤認、過失、相手方の意図の読みちがいなどによって核の応酬がおこったら、どのような惨状が招かれるのか―北朝鮮情勢の客観的で冷静な分析にもとづいて事態の平和的解決を訴えてきた、ジョンズ・ホプキンス大学の調査分析サイト「38ノース」が10月4日発表した報告書「ソウルと東京への核攻撃想定:朝鮮半島戦争の人命コスト」は、コンピューター・シミュレーションを駆使して、そのような破局を予測した。
結果の要点をまとめたのが、次の表である。「ソウルと東京をあわせて最大200万人が死亡」と日本のメディアが報じたのはこの想定結果である。現在の北朝鮮の核能力からいえば、「非現実的に大きな被害」といえる。しかし、同国がこのまま核開発を継続すれば、数年の後に達成する可能性はないとはいえない。少なくとも、米日が「圧力と威嚇」以外の外国的手段を尽くさなかった場合の<可能性は低いがありえないことではない。最悪の結末がここにはある。
2018年を、「力から対話」への始まりの年にすることが、切実に問われている。
文末に「38ノース」の報告書の全訳を紹介する。

<資料:原文全訳>
ソウルと東京への核攻撃想定:朝鮮半島戦争の人命コスト
A Hypothetical Nuclear Attack on Seoul and Tokyo: The Human Cost of War on the Korean Peninsula
http://www.38north.org/2017/10/mzagurek100417/
(引用文献は省略してある)

2017年10月4日
マイケル・ザグレク2世
38 North

ドナルド・トランプ米大統領と閣僚たちは、この数週間に何度も北朝鮮のこれ以上のミサイル発射実験を思いとどまらせるために軍事力の使用を威嚇している。米国のいかなる軍事力の行使も北朝鮮による軍事的エスカレーションのリスクを高める。そこには韓国と日本への核兵器使用が含まれている。現在の北朝鮮の核兵器の推定威力に基づく下記に示す試算によれば、この「あってはならないこと」が起こった場合、210万人が死に770万人が負傷するであろう。

背景
2011年以降、北朝鮮は98回のミサイル発射実験を行い、ミサイルの能力、搭載可能荷重、射程距離、そしておそらくは信頼性を向上させてきた。同期間に北朝鮮は4回の地下核実験を行った。最新の実験は17年9月3日である。7月4日と7月28日、北朝鮮は初めて大陸間弾道ミサイル(ICBMの発射実験を行った。それは米本土のほとんどを射程に収めうるものと推定される。北朝鮮は弾道ミサイルに核弾頭を装着する能力を有し、少なくとも15から25キロトンの威力の核弾頭20から25発を有していると専門家は推定している。9月3日の爆発実験は108から250キロトンの水爆実験であった可能性がある。最終的にはより威力の高い水爆を手にするであろうとも思われている。

北朝鮮体制が目指すのは、米国に対する抑止能力生き残り可能な抑止能力を手にすることによって金一族支配の支配継続を確保することのように見える。しかしながら、北朝鮮のミサイル開発と核能力継続は「挑発的かつ事態を不安定化する」ものであり、米同盟国である韓国と日本に、そしてアジア戦域と本土の米国の資産に著しい安全保障上の脅威をもたらしている。国連、米国、韓国、日本、欧州連合による度かさなる対北朝鮮制裁そして国際社会非難にも拘わらず北朝鮮は大量破壊兵器の開発をやめない。伝統的にはもっとも強力な同盟国でもあり最大の貿易相手国である中国でさえ、核兵器の開発を非難し、対北貿易をいくらか削減している。

加えて米国と同盟国は、北朝鮮のミサイル配備と実験継続に対して、防衛体制を強化している。韓国にはTHAAD(高高度防衛ミサイル)が配備された。日本はイージス・アショアを選択した。米国は一群のICBMにたいして地上配備型ミッドコース(GMD)防衛対弾道ミサイル(ABM)システムの実験を繰りかえし、GMDの基数を2017年末までに44基に増加させつつある。

仮に現状が受け入れがたい水準にいたり、外交が効果をあげられないとすれば、いかなるレベルの軍事的的応酬はその時点でおこりうるだろう。トランプ大統領のツィートと国連総会会合における米国と北朝鮮及び周辺諸国とのとげとげしい応酬によって両国間の緊張はきわめて高い。「理性的であるべき当事者」が危機の中で状況を読み間違った例は歴史に多く見られる。北朝鮮の核実験が、とりわけそれが大気圏内や水中で行われたとれば、あるいは次のミサイル発射実験によって搭載物を例えばグアムの米軍基地のあまりに近くに到達したとすれば、米国は武力行使に訴える可能性がある。武力行使には、ミサイルの撃墜、北朝鮮のミサイル発射施設、核関連施設、ミサイル配備地域もしくは金体制の所在地域自体への攻撃が含まれるかもしれない。北朝鮮指導部はこのような攻撃を金一族を権力の座から除去するためのものだと認識し、その結果、滅亡の前の最後のあがきとして核兵器による報復を行うかもしれない。したがって、この「想定外の事態」の結末がどのようなものになるかを検討する価値がある。

想定される攻撃
北朝鮮は25発の運用可能な核兵器保有しており、攻撃をうけたときにそれらのすべてをソウルと東京に向けて発射すると仮定しよう。核弾頭の威力は15~250キロトン(つまり現在及び将来の能力)であり、最適な高度で空中爆発したと仮定する。これらの仮定に従って、核弾頭の威力ごとの7つのシナリオを想定した。

人口密集地中心におけるか核爆発の影響を算出するためには多くの変数がありうる。変数の組み合わせは多数あり、よって計算結果も無数にありうる。単純化のために、本シミュレーションは爆圧による死亡者数に基づく計算を行う。7レベルの核爆発威力について、爆風の及ぶ面積を「核爆弾効果計算機」(Nuclear Bomb Effects Computer)を用いて計算した。

ソウル及び東京の人口密度は相当高い。例えば、ソウル特別市の人口密度は、1平方キロメートルあたり17,002人、東京特別区のそれは14,950人である。しかも、これら地域の人口密度は平日にはもっと高くなる。

犠牲者の推計
以上の仮定によれば、250ktの核爆弾1発が空中爆発した場合のソウルと東京の犠牲者数は次のとおりである。

  死者 負傷者 死傷者計 ソウル 783,197 2,778,009 3,561,206 東京 697,665 2,474,627 3,172,292 合計 1,480,862 5,252,636 6,733,498

いうまでもなく、ミサイルシステムの信頼性が100%などということはありえない。夥しい数の実験を繰り返している米国のミニットマン・ミサイルであれば信頼性は100%に近いが、一般論としていかなる兵器システムであろうとも信頼性100%などということはありえない。さらに、韓国は北朝鮮のミサイルに備えて、THAAD一個大隊を配備しており、日本は陸上イージス・対弾道ミサイルを調達しようとしている。

したがって、北朝鮮が25発の核ミサイルを発射したとして、そのすべてが標的に命中するわけではない。本計算では、北朝鮮のミサイルの信頼性(訳注:発射したミサイルのどれだけが標的に命中するか)を、20%、50%、80%の3つのレベルに想定した。信頼性をどう取るかによって、死傷者数はことなってくる。

1950年~53年の朝鮮戦争において、韓国の犠牲者は死者373,599人、負傷者229,625人、行方不明者は387,744人であった。第2次世界大戦においては、日本の民間人500,000~800,000人が犠牲になった。ソウルと東京の人口密度は40年代、50年代よりもはるかに大きい。ソウルと東京で複数の北朝鮮の現有する核兵器の爆発が起こったら、その死者は40万人から200万に及ぶだろう。もしそれが水爆であったとしたら、死者数は130万~380万人に上るだろう。(訳:田巻一彦)

11.23 幌延デー北海道集会に1000人参加

2017/11/23(木) 15:24

 

   11月23日に北海道の幌延町で、北海道平和運動フォーラムが主催し「北海道への核持ち込みは許さない!-11.23幌延デー北海道集会」が開かれました。今年で32回目を迎えるこの集会には北海道をはじめとして全国各地から1000人が集まりました。
 幌延は北海道の中でも北部にある町です。最北端の宗谷岬まで約54キロしか離れていません。幌延には核燃料のゴミを処理する方法を研究している深地層研究センターがあります。核のゴミとは原発で使われた後に生ずる高レベル放射性廃棄物です。この高レベル放射性廃棄物を処分する方法がいくつかあって、その方法のなかの一つが地下に埋める方法です。この研究は2000年に始まり2020年に終わるということで、研究が終わったら掘った土地は埋め戻すことになっています。本物の核のゴミが北海道に持ち込まれるわけではありません。
 しかしながら、5月には同機構の理事が「埋め戻すのはもったいない」と発言をし、7月には「科学的特性マップ」が公表されました。「科学的特性マップ」が指定している「最適地」に、北海道は幌延町を含め86市町村が該当しています。また、11月には埼玉会場で原子力発電環境整備機構が開催している「科学的特性マップに関する意見交換会」に学生が動員されたということが明確になり、北海道に本当の核のゴミを搬入しようとしているのではないかという道民の心配は高まる一方です。
 このような情勢の中で、集会では主催者を代表し、長田秀樹・北海道平和運動フォーラム代表が「深地層研究計画を変質させ、幌延周辺や道北地域、そして道内を、なし崩し的に最終処分場にさせないために、これまで以上に監視体制を強めるとともに、『最適地』をはじめ『適地』に該当するすべての自治体において、『処分場拒否』の議会決議採択の運動を展開しよう」と訴えました。
 平和フォーラムの北村智之副事務局長も「地震大国で地下水が多い日本で、安全に地層処分ができる地域などはない。全国のどの地域も高レベル放射性廃棄物の『最終処分場』にしないため、協力しあい、取り組みを強化しよう」と連帯挨拶を行いました。
 民進党北海道の三井あき子北海道議会議員、社民党北海道連合の豊巻絹子副代表、旭川大学の山内亮二学長などが挨拶をしました。また、生活クラブ生活協同組合の山崎栄子理事長、帯広平和運動フォーラムの松坂英嗣議長、道北核廃棄物処分場反対道北連絡協議会の藤田孝一代表、核廃棄物施設誘致に反対する道北連絡協議会の鷲見悟代表委員が決意を表明しました。
 集会の後、参加者は幌延の町をデモ行進をしながら、核の持ち込みに反対する声を上げました(下写真)。(報告=鄭恩珠(チョン・ウンジュ)平和フォーラム交換留学生)

 

第49回食とみどり、水を守る全国集会in熊本 分科会報告

2017/11/18(土) 11:29

第1分科会 シンポジウム「水俣病問題を考える」
 

参加者=97名
コーディネーター=田尻雅美さん(社会福祉学博士 熊本学園大学水俣学研究センター研究員)
パネラー=山下善寛さん(企業組合エコネットみなまた代表理事)
パネラー=隅川俊彦さん(熊本日日新聞社 社会部記者)
助言者=島田竜守さん(水俣市立水俣病資料館館長)

 最初に田尻雅美さんが「胎児性水俣病、小児性水俣病も含め、熊本や新潟では現在も被害者の認定裁判が継続しており、水俣病はいまだに終わっていない。また、被害がどこまで広がっているのか、未だに判明していない。水俣病の症状は患者自身が年をとるごとに変化していくため、患者自身の不安はいつまでも残ってしまうという現実がある」などと、水俣病事件の歴史的概要について解説しました。
 次に山下善寛さんが「水俣病事件とチッソ労働者の闘い」として、チッソに入社してから、組合が当局の操作により第1組合と第2組合に分裂。山下さんは1978~90年に新日本窒素労組委員長を務め、水俣病の支援を行ってきた経緯について報告しました。
 隅川俊彦さんは、新聞社の水俣支局記者として取材を行う中で、「被害は不知火海全域や天草まで及び、水俣からの転居者まで含めた住民健康調査は行われておらず、1956年の公式確認から60年以上を経ても終わっていないをいう印象を強く抱いている。水俣病は医師が診断する病気ではなく、行政が認定するという不自然な病気であるがゆえに複雑化しており、解決し得ないものとなってしまっている」と述べました。
 しかし、チッソは地元のトップ企業であり、水俣市民の中にも「水俣病問題を終わらせたい」という意見があり、報道が批判されることもあるとし、「終わらないもの、解決しないものとしてどうやって向き合っていくのか、一人一人が考えることが大切」と指摘しました。
 最後に島田竜守さんは「チッソは水俣市全体を支える企業であり、被害者ではない市民の空気としても『知らんがな』と無関心を装うものがある。胎児性水俣病患者であってもすでに60代と高齢になり、非患者の視点として『水俣病患者が騒ぐから水俣が悪くなる』といったものは確実にある」と強調しました。また、「水俣は農業を主産業としており、被害者の多くの漁業者は対岸から移り住んできたよそ者という差別意識がある。水俣市としては謝罪してきているが、国や県による謝罪はなされておらず、市民の向き合い方についても被害者との格差が存在する」ことも指摘されました。
 全体を通して、参加者は水俣病についての認識が深めることができました。
 

第2分科会「「食の安心・安全・安定をめぐって」
 

 参加者=145名
 コーディネーター・助言者=江藤ひろみさん(管理栄養士、熊本県立大学非常勤講師)
 報告者=澤村輝彦さん(有限会社肥後あゆみの会代表)
 報告者=高濱千夏さん(グリーンコープ生活協同組合くまもと理事長)
 報告者=福間智美さん(広島県世羅町立せらにし小学校栄養教諭)
 
 澤村さんは、「1985年に水俣病患者を支援する方々と出会い、有機農業を始めるきっかけとなった。30歳で全て有機農業に切り換えたが、知識も技術もなく、10数年間はモノができなかった。有機農業を地域に広げるため、2001年に柑橘と野菜農家7名で有限会社肥後あゆみの会を設立し、畑18ヘクタールと自然栽培水稲(無施肥、無農薬)3ヘクタールを作付けしている。有機農業でも美味しくないと売れない。有機農業に夢と希望、信念をもって取り組めることに幸せを実感している」と述べました。
 髙濱さんは、グリーンコープ生協の熊本地震の被災者支援活動報告を行いました。「前震の震源地である御船町に居住し、自宅も被災した。1年半に余震が4400回あり、家の中にいるのが怖い状況で、10日間ほどは車中泊だった。グリーンコープ熊本は組合員6万人で、組合員や職員も被災した。その中でも組合員へ商品を届けた。スーパーやコンビニが閉鎖状況でも、県内5店舗の生協は店を開け続けた。生協で災害支援センターを立ち上げ、ブルーシート等2545件の物資支援や、グランメッセ熊本等に避難している人々のSOSに弁当の炊き出し、宇城市へ味噌汁支援、仮設住宅でのバーベキューによるコミュニティづくりの手伝いをしてきた」等と報告しました。
 福間さんは「地元の広島県立世羅高校が一昨年、全国高校駅伝大会で男女アベック優勝を果たし、駅伝でつなぐものが『たすき』ということにちなんで、食育のキャッチフレーズにも『たすき』を使用している。せらにし学校給食センターでは昨年度、県産食材使用率46.9%、うち世羅町産の使用率は32.3%だった。たすきでつなぐ世羅町の食育事業により、子どもたちが地域に目を向け、農家に感謝の気持ちを持つようになってきた」等と報告しました。
 コーディネーターの江藤さんは、「食育活動を通しての『食の安心・安全・安定』を考える中では、幼稚園や保育園の給食の実施が食育情報の発信につながっている可能性がある」と、保護者へのアンケートをもとに指摘しました。
 質疑応答では、食育に対する保護者の関心をどう高めるかや、給食への地場産農産物を増やす困難さ、給食のセンター方式と自校方式の違い、添加物や遺伝子組み換え問題等について議論が行われました。
 

第3分科会「食料・農業・農村政策をめぐって」
 

 参加者=137名
 助言者・コーディネーター=磯田宏さん(九州大学大学院農学研究院准教授)
 報告者=村上進さん(有限会社木之内農園代表取締役社長)
 報告者=磯田毅さん(熊本県議会議員)
 報告者=西田毅さん(熊本県地方自治研究センター事務局長)

 初めに磯田宏さんから「『安倍政権』農政・現局面の重要問題と課題」と題して提起を受けました。アメリカ抜きのTPP11の現状、日欧EPAの大枠合意、日米(FTA)協定などが大企業・多国籍企業・国際金融資本の要求を実現するためのものでしかないこと具体例を挙げて述べ、それを「断れない」安倍政権が続く限り国難は去らないとしました。
 また、安倍政権の進める「農業競争力強化プログラム」農政について、「国民的農業」を解体し、「グローバル農業」化を進めるものであり、最大の受益者となるのは大企業・多国籍企業であるとしました。これに対抗して実現せねばならないのは「国民的農業」であり、国民経済の一環として、自国消費者の食料供給など、消費者・地域に向き合う農業をめざすべきとしました。
 磯田毅さんからは「熊本県の農林業の現状と課題」について報告を受けました。熊本は生産農業所得が全国5位の農業県であり、代表する作物はトマトであること、また木材生産でも全国4位だが、1964年に丸太の関税が撤廃されて、産出額が落ち込んで以降、回復していない状況が報告されました。こうした中で、政府が進める自由貿易の流れは脅威であり、輸出に依存するのではなく、内需拡大を目ざす農林業を実現すべきであるとしました。
 村上進さんからは、熊本地震による農園の被災の状況について報告を受けました。いまだに農業用水も幹線道路も復旧していない状況にあり、次第にボランティアが減っていく状況の中、人手の確保が困難になっていること。震災がなくても集落は高齢化で過疎になっていたかもしれないが、震災でそれが前倒しになって一層深刻な状況にあることだ。しかし、次世代のために何か行動しなければという思いで日々取り組んでいると報告を受けました。
 西田毅さんからは、「グローバル農業」化に対抗し、過疎が進む地域を立て直すための政策として、「環境支払い」の理念・制度について提案がされました。これは、農業を通して自然環境を守っている農家の営みを、新しい方法で評価し、その対価を国民全体で負担することであり、「いのち、環境」を価値基準にした社会の転換を進め、地域を守っていこうと提起がされました。
 パネルディスカッションでは、被災の実情に即した農業の復興や、新たに就農する場合の問題点や課題などが議論されました。
 

第4分科会「森林・水を中心とした環境問題をめぐって」
 

参加者=129名

講師=林 視さん(九州森林管理局 計画保全部長)
講師=武田かおりさん(NPO法人 AMネット事務局長)
  
 最初に林視さんが「安全・安心な暮らしと森林」と題し、森林の推移・機能、治山事業について説明。熊本地震や九州北部豪雨を例に山地災害と復興対策について提起しました。九州森林管理局は震災直後から職員を派遣し、ヘリコプターと地上での現地調査を実施、災害復旧事業計画作成を支援しました。また、特定個所に集中した豪雨は、森林の有する山地災害防止機能の限界を超えたために山腹崩壊が発生、多量の雨水が周辺森林から凹地形へ集中し土壌の深い部分まで浸透したため表層崩壊が発生し、立木と崩壊土砂が流水により渓流周辺の立木や土砂を巻き込みながら下流域に流下したことを説明しました。
 今後の対策として、災害発生の恐れがある場所を把握し、発生区域では保安林の配備や伐採、土留工事を行うこと、流下地域では流木化する可能性の高い立木の伐採や流木捕捉式治山ダムなどを設置する。下流では、森林緩衝林として機能させることが必要であると述べました。最後に、先人が植えて育てた森林を適切に管理し、上手に利用し、次の世代に引き継ぐことが重要であると訴えました。
 続いて、武田かおりさんが、大阪市の水道民営化計画に対する取り組みを報告しました。民営化提案の経過や背景、市議会で明らかになったさまざまな懸念事項などを説明し、市議会への慎重審議要求、陳情書提出などを行った経験から、「市民が積極的に活動すれば議会の議論が深まることを実感した。無関心であった市民にも、海外での失敗例などを通し水道民営化は時代遅れであることが浸透したことで、民営化案の廃案につながった。住民が関与しないと自治体の政策は変わらない」と訴えました。
 水道労組も市民主催の集会などに出向き、あるいは水道サポーターのような仕組みで住民参加を進めることで、現場を知る組合と市民が「市民にとってのより良い公共サービス」を共有化することが重要なこと、市民にとって必要とわかれば市民に守ってもらえることを強調し、さまざま説明を重ねるよりも「海外で民営化は失敗している、民営化より公営が得である」とシンプルに100万回言おうと訴えました。
 さらに、佐藤智洋・全水道九州地本選出政策推進委員が、水道と森林とのつながり、水道民営化における自治体・事業体の責任やユーザーとしての市民の監視の必要性などについて助言しました。
 その後会場から、①流木災害などに対する国の対応、②外国人による水源涵養林の土地購入の規制などの質問と意見が出されました。
 

第5分科会 フィールドワーク「熊本地震の被災地を訪ねて」
 

参加者=52名

 前夜からの雨も明け方には止み、快晴の中、フィールドワークは予定通り開催されました。 企画・運営を熊本県実行委員会が担当し、熊本地震の語り部として、連合熊本森岡雅史・副事務局長と熊本地協議長代行が現地案内をしました。
 熊本駅前からマイクロバス2台で出発し、車内では熊本地震に関するDVDと併せて、語り部から震災発生当時から今日までの経過等の説明がありました。車窓からは、震災から1年7ヶ月が経過した現在の益城町や南阿蘇村の街並みを見学しました。
 益城町では、倒壊した家屋の多くは解体され更地が目立ちましたが、その中でも、一部残った倒壊した家屋や、波打つ歩道などが見受けられ、発生当時の凄まじさが垣間見えました。また、町内には仮設の町役場や多くの仮設住宅が建設されており、特に県内最大の仮設住宅地には、避難されている方のための簡易集合商業施設や平屋の住宅展示場なども併設されていました。
 南阿蘇村では、崩壊した阿蘇大橋の迂回路として8月27日に改修され、供用が開始された長陽大橋を渡り、復旧工事がまだ行われている道路を通って「東海大学阿蘇キャンパス」を訪ねました。東海大学阿蘇キャンパスは、現在も震災当時のままの姿が多く残されており、現地の語り部を担当していただいた東海大学の椛田聖孝名誉教授からキャンパス内の説明を受けながら見学をしました。キャンパス内の中庭には断層が走り、校舎周りのアスファルトの地面は凄まじい地割れと波打つ状況で、歩くのにも気が抜けない所もありました。耐震補強工事が施されている校舎さえも地震の影響で、外壁のひび割れ等による損傷が激しいため解体が予定されているとの説明がありました(上写真)。
 最後に、熊本県中北部を流れる一級河川の白川の総水源であり、日本名水百選の一つである南阿蘇村にある「白川水源」に移動し、毎分60トンの湧水が地底の砂とともに勢い良く湧き上がる光景を見学しました。熊本地震直後はこの水も一時は枯れたということで、改めてその影響を実感しました(下写真)。
 早朝から半日の行程は非常にタイトなスケジュールでしたが、熊本地震が残した爪痕を見る中で、多くの住民の方の日常が奪われたこと、しかしながら、1年7ヶ月が経過した中で、少しずつ確実に復旧・復興に向けて進んでいることを、参加者は身近に感じることができました。
 

 

食とみどり、水を守る全国集会in熊本に780人参加

2017/11/18(土) 10:46


 

 平和フォーラムなどで作る実行委員会主催の「第49回食とみどり、水を守る全国集会in熊本」が11月17~18日に熊本市の「クラウンプラザホテル熊本ニュースカイ」などを会場に開催され、全都道府県から780人が参加しました。同集会は毎年、食の安全や農林業政策、森林や水を中心とする環境問題などについて、情勢や課題を話し合うために各県持ち回りで開かれているもので、今年は、昨年4月に大地震に見舞われた熊本で、地震からの復旧・復興に向けた課題や、61年前に熊本県水俣市で公式確認された「水俣病」の歴史や教訓を学ぶことも目的に開催されました。
 初日の全体集会は、熊本県のキャラクターの「くまもん」などによるアトラクションから始まり、主催者を代表し、石原富雄・集会実行委員長(全農林労組委員長)が、熊本地震や水俣病問題に触れた後「10月22日の衆議院総選挙で自公政権が3分の2を超え、憲法改悪の危機も迫っている。農林業政策でも、多面的機能を無視した効率優先の政策が一層進められようとしている。今後の政策や運動方向についてしっかり議論しよう」と訴えました。
 熊本県実行委員会からは、久保研一・実行委員長が「昨年の地震で大きな打撃を受けたが、全国からの支援に感謝したい。熊本は全国的にも農林水産業が盛んであり、熊本市の水道が全て地下水でまかなわれるなど、環境も恵まれている」などと歓迎のあいさつを行いました。
 さらに、連帯あいさつを上田淳連合熊本会長が行い、来賓として熊本県知事の代理で小野泰輔副知事、熊本市長の代理で西嶋秀樹農水局長があいさつを行いました。 
 北村智之・集会副事務局長が、①通商交渉の動き、②食の安全・安心、③農林業政策、④環境問題についての情勢や運動の課題を提起し「政策の転換をめざして地域から運動を再構築しよう」などと呼びかけました。

 

  続いて、「熊本地震の復旧・復興から見えてきた課題」と題し、全体シンポジウムが開かれました。(上写真)。上益城農業協同組合の松本和文・益城総合支所長が、地震による農業の被害状況を説明し、「まだまだ復興まで道のりは長いが、日頃から祭りをやっているなど、地域のまとまりが大事だということを実感じている」などと説明しました。
 また、熊本市内の水道局に務める佐藤智洋さん(全水道九州地本選出政策推進委員)は、水道の復旧に尽力した経験を振り返りながら、「熊本はまだ回復も早かったが、これが東京など水道管の老朽化が激しい大都市で起こったならば大変なことになる。今から対策が必要ではないか」と警鐘を鳴らしました。
 さらに、地元の熊本日日新聞編集委員の小多崇さんは、被災者の避難所生活などを取材した経験から「さまざまな課題を顕在化させるのが震災だ。みなし仮設を退去した後の生活再建までの見通しや生活困窮、孤立に陥らない目配りが必要だ」などと、今後の課題を提起しました。
 質疑討論でも、宮城県の参加者から2011年の東日本大震災の時の仮説住宅問題についての経験なども披瀝されました。
 続いて特別報告として、「水俣病のあらまし~水俣病の歴史と教訓、そして今の水俣に学ぶ~」として、水俣市立水俣病資料館館長の島田竜守さんが、事件の発生からチッソや国、県
の責任、被害者に対する差別や偏見、事件を教訓にした水俣市の環境行政などを説明し「水俣病は単に一企業の問題ではなく、経済成長を重視し、人の命や環境を省みなかった時代の問題として捉え直すべきだ」と訴えました。
 別会場でも熊本地震や水俣病関連のパネル展示、映像の上映も行われました。また、全体交流・懇親会では、地元高校生による「山鹿灯籠踊り」などを見た後、熊本の地酒を交わしながら交流が行われました。
 第二日目は分科会が開かれ、「シンポジウム水俣病問題を考える」では、熊本学園大学水俣学研究センター研究員をコーディネーターに、水俣病裁判を支援してきたチッソの元労働組合委員長や、長年、水俣病問題を取材してきた熊本日日新聞記者などが、「水俣病60年」を振り返りながら、今後の課題を議論しました。
 また、有機農業生産者や地元の生協理事長、学校給食栄養教諭による「食の安心・安全・安定」や、熊本の生産者、県議会議員、九州大学准教授などが討論した「食料・農業・農村政策」、九州森林管理局担当者や大阪の市民運動団体代表による「森林・水を中心とした環境問題」の分科会が開かれました。(下写真は第2分科会の様子)
 また、フィールドワークは、熊本地震の被災地である益城町や南阿蘇村を訪ねて、震災の実態を目の当たりにしながら、「震災の語り部」の説明を受けました。

分科会の報告はこちら


安倍9条改憲NO!全国市民アクション 国会包囲大行動に4万人が参加!

2017/11/03(金) 11:23

 

 日本国憲法が公布されてから71年目を迎えた11月3日、安倍政権の9条改憲を阻止するために新しく発足した「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」は、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」と共催し、国会周辺で「11・3国会包囲大行動」を開催。約4万人が国会を包囲、「改憲反対、9条守れ!」「安倍政権打倒!」を訴えました。
 集会は、13時から中川五郎さんなどのプレコンサートの後、主催団体を代表して、全国市民アクション運営委員の高田健さんが「選挙の結果、改憲勢力が3分の2を確保したが、これまで作り上げてきた野党と市民の結束の力をさらに一層発展させて、安倍9条改憲の流れを打ち砕いて行かなければならない。国会での改憲発議を阻止するたたかいを強めよう!」と訴えました(上写真)。
 スピーチは、ルポライターの鎌田慧さんが「国会では立憲野党は少数だが、デモや集会の力、市民の力で、改憲発議を阻止しよう」と呼びかけました。また、作家の落合恵子さんも「本当の安全保障とは、原発をなくし、米軍基地をなくし、憲法を守ることだ。諦めることなく前に進もう!」と強調しました。
 ピースボートの共同代表であり、ノーベル平和賞受賞の「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」の国際運営委員でもある川崎哲さんは「核兵器廃絶と憲法9条は、あの戦争からの教訓だ。9条をまもり、核兵器を世界からなくすことが、私たちの進むべき道だ!」と、安倍政権を批判。
 また、韓国の朴大統領を倒した市民のたたかいを担った、キム・ヨンホさんは「日本の憲法9条はアジアの宝だ。9条改憲は戦前のファシズムへの復帰と新しい軍国主義への出発になり、周辺国の軍拡を招く」と警告しました。
 政党からは、枝野幸男立憲民主党代表、志位和夫共産党委員長、江崎孝参議院議員、福島瑞穂社民党副党首が登壇、「国会の中の闘いと市民の闘いを両輪として、立憲主義を取り戻そう」などと、闘う決意を述べました。また、自由党の小沢一郎代表からもメッセージが寄せられました。
 その後、集会は国会正門前、議員会館前、国会図書館前、町村会館でステージごとに集会を開催。多数の文化人や著名人がスピーチを行い、国会周辺を包み込む「戦争する国絶対反対!」「安倍政権をみんなで倒そう!」「立憲や野党と市民は共闘するぞ!」「改憲反対!9条守れ!」のコールが響き渡りました。
 このうち、「戦争をさせない1000人委員会」が担当した国会議員会館前の集会では、内田雅敏弁護士、ジャーナリストの高野孟さん、東海大教授の永山茂樹さん、落語家の古今亭菊千代さん、一坪反戦地主会関東ブロックの木村辰彦さんがスピーチを行いました(下写真は議員会館前集会)。
 

賢く「記憶」をたどれ

2017/11/01(水) 19:45

 今年のノーベル文学賞は、日本生まれのイギリス人作家カズオ・イシグロさんに決定した。今年こそはと期待を持っていた村上春樹ファンを失望させたが、イシグロさんも日本人の両親を持つ長崎生まれだから、喜んでもいいのかもしれない。彼の小説の通底するのは「忘れたいけど忘れてはならない記憶。イシグロの受賞には優れて現代的な意味がある」と、生物学者の福岡伸一・青山学院大学教授は述べている。

 「感情的なポピュリズムの嵐が吹き荒れる世相に対して、文学が立ち向かうには『ポピュリズムとは正反対の深く沈潜する純粋な美学と、知的な言葉』だという、まさに文学の本質に戻ろうとした」とは、作家の冷泉彰彦さんの言葉だ。ノーベル賞もまた現在の政治状況とは無縁ではない。

 9月20日(現地時間)、安倍晋三首相はニューヨークの国連総会で発言し、北朝鮮の核問題の解決に必要なのは「対話ではない。圧力なのです」と述べた。私たちは、現在を語るために「忘れてはならない記憶」を呼び起こさなくてはならない。1940年9月、日本は先の見えない日中戦争を打開しようと、米英を敵に回して、北部仏印(インドシナ半島)進駐と日独伊三国同盟に踏み切った。

 翌年、米国の英・中・蘭と協力した対日経済封鎖(ABCD包囲網)と、11月26日の強硬な米国提案(ハル・ノートまたはTENPOINTS)によって追い詰められた日本は、12月8日、真珠湾奇襲攻撃を敢行し、山本五十六・太平洋艦隊司令長官に「是非やれといわれれば、初めの半年や1年は、ずいぶん暴れてごらんにいれます。しかし2年、3年となっては、全く確信は持てません」と言わしめた対米戦争に突入した。結果は皆さんご存じの通りだ。北朝鮮が日本と同じ道をたどることはないのだろうか。ないと誰が断言できるのだろうか。

 総選挙で安倍首相は「愚直に、誠実に、まっすぐに政策を訴えていく」と強調した。愚直にとは「正直すぎて気のきかないこと」と広辞苑にはある。愚直にトランプとともに戦争への道に一直線に進むのか。近衛内閣から東条内閣、愚直な人間の集まりではなかったか。記憶をたどればそう思う。愚直な人間は愚直に戦争の道を選んだ。
(藤本泰成)

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