ICANN選挙に関する市民社会からの声明

2000年7月12日 日本、横浜にて

本声明はICANNに対する市民社会の見方を明らかにするとともに来る一般会員選挙 に関する問題点を指摘するものである。 市民社会は、国家と市場に次ぐ、社会の第三のセクターである。市民社会が基礎を置 く価値は、結社の自由、表現の自由、参加的民主制、多様性の尊重などである。力強 い市民社会の確立は政府や企業に対する重要な対抗力となる。地球規模で進められ ている市場の統合や政府間の調整には、それに対応できる地球規模の市民社会が 必要となる。 インターネットの核となる資源の技術的な調整には、社会的、経済的、政治的結果が ついて回る。今回の一般会員選挙は、ICANNの統治機構を均衡の取れたものにする ため、またインターネットの技術的調整について民主的な統治を促進するための好機 である。



本文書は、世界中の個人、団体が作ったものである。本文書の事務局はインターネッ ト民主主義プロジェクトをおこなっている「社会責任のためのコンピュータ専門家」がつ とめた。 英文の原文は以下のサイトで入手できる。
http://www.internetdemocracyproject.org/
http://www.cpsr.org/internetdemocracy
日本語訳は以下のサイトで入手できる。
http://www.jca.apc.org/activity/internet/icann/

旧バージョンはこの声明の下にあります。


指導的な価値

1. ICANNは代表制をとらなければならない。 (白書、第四原則)
2. ICANNは透明性を確保しなければならない。 (規則、第三条)
3. ICANNはボトム・アップの手続で進めなければならない。 (白書、第三条)
4. 知的財産権は他の権利に優先するものであってはならない
5. ICANNは、非技術的問題に関する政策決定については、常にこれを避け、あるいは 最小限にとどめるよう努めなければならない。
6. ドメイン名空間は公私を問わず、地球規模で共有する公共財である。
7. 人為的にドメイン名を不足させたり、DNS管理を集中化するといったことはしてはな らない。
8. ICANNはプライバシーを尊重するべきである。
9. かかる経費は最小限かつつりあいのとれたものとしなければならない。
 

ICANNの選挙に関する諸問題

1. ICANNは代表制をとらなければならない。 ICANNは現在、民主的にはマイナスの状態にある。1998年にICANNが設立されてか ら、現在にいたるまで、商業セクターの代表勢力が不均衡に強い。ドメイン名支援組 織(DNSO)の7つの組織体のうち、5つまでが商業的組織体である。一般会員選出理 事は未だ選出されてはおらず、9人の理事が揃うのは2001年まで待たねばならない。
* 9人の一般会員選出理事の席は、ICANNの規則に従い、選挙によって決められなけ ればならない。
* 理事によって採択された方針のうち、十分な代表制にもとづいていないものについ ては年一回の再承認投票に付されなければならない。(サンセット条項)
* ICANNはその内規の会員資格条項にしばられる。選挙手続はより公開され、候補と して立つための足切り条件は低くおさえられるべきである。また会員の権利は完全に 認められなければならない。会員の法的権利を弱めようとするような規定は内規から 削除されなければならない。(例:内規二条一項:(会員は)(非営利団体に関する法) が定めるような会員ではない)
* 開発途上の国ぐにのインターネットユーザには電子メールは持っているものの、ウェ ブへのアクセスは持っていない人々が大勢いる。ICANNの会員資格は、電子メールの 接続だけでも可能であるべきだし、そのほうが簡単でもある。
* ドメイン名支援組織(DNSO)はその加盟組織体が、企業と知的財産権に利害を持 つ部分に代表権が偏っている状況を改善するため、加盟組織体の再編成をおこなう べきである。
* 理事は、バランスを確保するためにドメイン名支援組織(DNSO)に新たな加盟組織 体を加えるよう奨励するべきである。
* ドメイン名支援組織(DNSO)は、個人ドメイン名保持者組織体を加盟させるべきで ある。
* 各加盟組織体の会員規定では、発展途上国からの最低限の代表権を確保するべ きである。(例:10%)

2. ICANNは透明性を確保しなければならない。 情報共有は、ICANNのすべての意思決定の事前、最中、事後とを問わず、最大限に 拡張されなければならない。
* ICANNはすべての意思決定の手続の記録を明らかにしなければならない。ただし個 人に関するもの、契約交渉に関するものなどは例外とする。人件費のデータに関して は、総計の額が明らかにされるべきである。
* ICANNのキャッシュフロー構造は公開され、最高レベルの監査に耐ええるものでなく てはならない。
* ICANNはその決定事項について、その活動がICANNの目的に沿っているのか否 か、決定にいたる手続は参加者の多数が十分に事情を知った上で進められた透明性 が確保されたものだったか否か、といった点を文書により説明するべきである。
* ICANNは公の場に出した情報について、少なくとも5つの言語による翻訳を提供する べきである。会議に際しては、同時通訳をおこない、速記録に関しても同時翻訳を提 供するべきである。

3. ICANNはボトム・アップの手続で進めなければならない。 ICANNはその方針や実務がスタッフによって決められてしまうような組織になる危険 性をはらんでいる。ICANNは、そもそものコンセプトであったように、非集中化されたボ トムアップの組織へと立ち戻るべきである。
* 他の規則制定機関でもおこなわれているように、ICANNの手続には、案を広く公開 し、コメントを受け付けるだけの十分な時間が確保されるべきである。
* ICANNのスタッフはすべての手続的保障、チェック、バランスなどを、よりいっそう尊 重するべきである。
* 非営利のマネジメントでおこなわれているように、また最大限に民主的責任を果た すために、ICANN理事長のためにあらかじめ用意されている理事の席は廃止されるべ きである。
* ICANN理事会は、新しい理事長を第一回の一般会員選挙終了後まで選ぶべきでは ない。
* ICANNの創設に重要な役割を果たした自然人または法人は、その役割から離れて から24ヶ月を経てからでなければ、ICANNから利益を得たり、ICANNと契約関係を結 んだりしてはならない。

4. 知的財産権は他の権利に優先するものであってはならない DNSに関する米国の政策は、圧倒的に商用に向けられている。インターネット政策の 原則も「地球規模のエレクトロニック・コマースの枠組み」(1997年7月1日)から導かれ たものであり、米国内での指導的な官庁も商務省だった。しかし、インターネット政策と いうものは、関連するその他の原則によっても同じように進められるべきものである。 たとえばヨーロッパ人権条約第10条「すべて者は表現の自由についての権利を有す る」など。ICANNや、あるいはまた米国政府によるDNS関連の諸政策は、財産権を他 の権利に優越させるべきではない。
* 技術的調整は知的財産権を拡張するための手段として使われるべきではない。
* 技術的調整が公的政策の分野に否応無く入り込むような場合は、ICANNは自由な 表現やプライバシー、パブリック・ドメイン、非商用利用などの権利、法、規範などにつ き、十分に気を使うべきである。
* 今回の一般会員選挙に引き続き、1999年に採択された統一紛争処理方針(UDRP) を評価し、再承認するための投票がおこなわれるべきである。

5. ICANNは、非技術的問題に関する政策決定については、常にこれを避け、あるいは 最小限にとどめるよう努めなければならない。 DNSの管理に伴ってインターネットユーザに対して振舞うことができる権限は、公的政 策をつくるために使われるべきではない。
* ICANNの諸規則は、そのミッションが拡大しないように、その権限が及ぶ範囲を明示 するべきである。
* IPアドレスの管理やDNSのルートサーバ管理は同じ組織に属するべきではない。両 機能を二つの別組織に分けることは権限の非集中化にも資するだろう。
* ICANNはインターネット上の行為やコンテンツに関する政策を促進するための道具と して使われるべきではない。

6. ドメイン名空間は公私を問わず、地球規模で共有する公共財である。 「[ドメイン]名は公共資源である」(ICANN政府諮問委員会)という主張は、国家による 過剰な管理をおこなう根拠ともなる。同じように、国別コードトップレベルドメイン (ccTLD)のレジストリの自然独占形態も、過剰な管理が起こるきっかけを生んでしま う。 * 政府がドメイン名空間を管理するという主張については、明示的な正当化がなされ なければならない。
* ドメイン名空間における公共資源は、各国政府の管理に服す必要はない。
* 超国家的、国家的、準国家的、地域的、文化的、言語的その他の社会的、政治的 な集合に対して提供される多元的、並列的、あるいは場合によっては重複的になるよ うなトップレベルドメインのレジストリは、ルートから排除されてはならない。これは活 気ある市民社会の基礎である。

7. 人為的にドメイン名を不足させたり、DNS管理を集中化するといったことはしてはな らない。 DNSの管理ポイントの問題やDNSの人為的に足りなくなることなどは、インターネット へのアクセスの障害となるしユーザへの規制を助長する。
* DNSルートを一つだけにすることは過剰なまでの管理の集中化を招く。ICANNは DNSを集権的な構造から解き放つべく、その進化、発展を支援するべきである。
* ICANNはDNSを(平等なアクセス回数を条件として)別の名前空間と相互接続するよ う促すべきである。
* ドメイン名が足りなくなることで管理は強化される。新たなトップレベルドメインのレジ ストリを生み出すことでドメイン名空間を拡大することはICANNの最優先課題であるべ きである。
* インターネットのドメイン名空間の拡大は、技術的に可能な最大限まで、拘束なしに 進められるべきである。ルートを非集中化することによる拡大やトップレベルドメインの 数を増やすことなどが、特に必要である。
* インデックス・コンテンツに対するマーケティングの道具としてドメイン名を使用するこ とは、ドメイン名に過剰な価値を付与し、革新への意欲を失わせる。DNSをめぐる技術 的な進化は、商用ユーザによるマーケティング技術によって過度に妨げられるべきで はない。
* 上述したような技術的な変更は、インターネットの技術的安定性を危険に陥れるべ きではない。

8. ICANNはプライバシーを尊重するべきである。
* ICANNの方針や内部的手続は、OECDのプライバシーガイドラインにもとづく「公正な 情報の取り扱い」に沿うべきである。 http://www.oecd.org/dsti/sti/it/secur/prod/PRIV-en.HTM 参照。
* ドメイン名やIPアドレス管理に関するICANNの方針は、純粋にプライバシーを強化す る技術を用いるのを阻害したり、匿名でいる権利を侵害したりするべきではない。
* 会員の投票は秘密投票でおこなわれるべきである。

9. かかる経費は最小限かつつりあいのとれたものとしなければならない。 世界のさまざまな場所で提供されている同じようなサービスでも、貨幣的な価値はさま ざまである。同じように、ユーザの支払能力も大変さまざまである。
* ICANNの経費は、さまざまなユーザによって発生した経費に応じて、それぞれで負 担されるべきである。多くの経費は商用インターネットユーザの関心事項に取り組むた めにICANN理事会が最優先課題とした仕事から生じている。そうしたユーザに関係す るとされた経費は、そこで負担されるべきである。
* ICANNは常に経費を最小限にとどめるようにするべきである。たとえば、特等席のビ ジネス設備で理事会を開催するよりも、ICANNであれば、もっと普通の非営利組織の 設備を用いるべきである。
* ICANNに対する監査には、非営利、私企業、政府機関を通じて最高水準の監査を 採用するべきである。
 


旧バージョンの声明(参考)

下記のようなドメイン名管理やインターネットのガバナンスについて、国際的 にNGOによる新たな提案と宣言が準備されつつあります。
ネットワークでの討 論と横浜でのフォーラムをふまえて「宣言」が出されます。是非議論に参加く ださい。(英語の原文)

* * * 回覧をお願いします * **

下記の草稿は、7月に横浜で開かれるICANNにおいて、インターネットで活動 している世界各国のNGOなどが共同で発表することを予定している「市民社会 とICANN選挙についての横浜宣言」の草稿です。横浜宣言は、ICANNのインター ネットのガバナンスをより一層民主的なものにすることを述べるとともに、来 るべき一般選出理事の選挙に直接関わる問題を扱っています。
この選挙は、グローバルな市民社会のあり方を左右する重要なものとなります。 是非とも横浜宣言の草稿についての議論に参加してください。

議論は様々な形で自由に行ってください。また、下記のメーリングリストでも 議論を行いますので、ふるってご参加ください。

(小倉利丸 JCA-NET理事、ネットワーク反監視プロジェクト(NaST))
日本語訳についてのご意見、問合わせは下記へ。
ネットワーク反監視プロジェクト(NaST)


関連情報
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草稿
市民社会とICANN選挙についての横浜宣言

2000年6月27日

インターネット民主主義プロジェクト

問合わせ先
http://www.internetdemocracy.net
http://www.cpsr.org/internetdemocracy

#日本語仮訳
#小倉利丸 ogr@nsknet.or.jp、安田幸弘 yukihiro@jca.apc.org

この草稿はthe Internet Corporation for Assigned Names and Numbers
(ICANN)についての市民社会の観点からの意志表明であり、来るべき一般選出
選挙の争点を明らかにするものです。

市民社会は国や市場とならぶ社会の三番目のセクターです。市民社会は団結の
自由、言論の自由、参加民主主義、そして多様性の尊重を支えとしています。
力強い市民社会はまた、政府の権力や商業部門の権力にたいする重要な歯止め
でもあります。

私たちは、この宣言をそれぞれの組織内部で、また他の人たちとともに議論し、
改善のための提案が出されるよう、個人および諸団体に呼び掛けるものです。
この宣言はさらに下記のフォーラムで展開されることになるでしょう。

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市民社会フォーラム
横浜市 (ICANNの会場)
2000年7月13日 午前9時から12時
詳細については、上記のウエッブをごらんください。
--------------------------------------

宣言についてのコメント(英語)はComputer Professionals for Social
Responsibility(CPSR)の
hklein@cpsr.org
宛で受け付けています。

発起人
Karl Auerbach
  Individual Domain Name Holders Constituency (USA)
Chris Bailey
  Internet Rights Campaign
  Association for Progressive Communications (APC) (UK)
Tracy Cohen
  LINK/Wits University (South Africa)
Marc Holitscher
  Unit for Internet Studies (Switzerland)
Tomoya Inyaku
  JCA-NET (Japan)
Hans Klein
  Computer Professionals for Social Responsibility (CPSR) (USA)
Norbert Klein
  Open Forum of Cambodia (Cambodia)
Veni Markovski
  Internet Society - Bulgaria (Bulgaria)
  ICANN Membership Implementation Task Force Chair for East Europe
Milton Mueller
  Syracuse University (USA)
Toshimaru Ogura
  Net-workers against Surveillance Task-force (NaST) (Japan)
Nii Quaynor
 Network Computer Systems (NCS) (Ghana)
Roberto Roggiero
  INTERCOM - Ecuanex (Ecuador)
Marc Rotenberg
  Electronic Privacy Information Center (EPIC) (USA)
Barry Steinhardt
  American Civil Liberties Union (ACLU) (USA)
Shinji Yamane
  Japan Chapter preparatory committee (Japan)
  Computer Professionals for Social Responsibility (CPSR)

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市民社会とICANN選挙に関する横浜宣言
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基本的な考え方
1.ICANNは代議制をとらなければなりません。
2.ICANNは透明性を確保しなければなりません。
3.ICANNはボトムアップの手続きを取らなければなりません。
4.知的所有権は他の諸権利に優先するものではありません。
5.ICANNは技術的な政策決定に限定されなければなりません。
6.ドメイン名空間は特に公共的な資源ではありません。
7.人為的に不足状態を作り出したり中央集権化されることは避けられるべきです。
8.ICANNはプライバシーを尊重しなければなりません。
9.経費は最小限度にとどめ、公平にすべきです。

ICANN選挙の争点

1.ICANNは代議制をとらなければなりません。

ICANNは現在、民主主義の機能障害に苦しんでいます。1998年のその創設
以来現在まで、商業セクターは理事会に不釣り合いな数の代表送ってきました。
民主主義の機能不全は少なくともすべての一般選出理事の席が選挙による代表
で埋められるまで続くことになるでしょう。
・すべての一般選出理事会の席は出来る限り速やかに埋められるべきです。
・完全な代議制によらない理事会で承認されたいかなる政策も、再度の承認の
ために年次投票にかけられるべきです。(サンセット条項[組織のありかたを
定期的に見直すことを要求する条項をいう--訳者注])
・ICANNはその規約にメンバーシップの規定をもうけるべきです。選挙の手続き
はもっと公開されるべきであり立候補の条件を緩和し、メンバーシップについ
てのすべての権利が認められるべきです。特に、メンバーの法的な権利を弱め
ようとする条項は規約から削除されるべきです。
・ドメイン名サポーティング組織(DNSO)は、その構成を、ビジネスや知的所有
権の利害関係者に与えられている不釣り合いな代表数を削減して再構成する必
要があります。
・DNSOは、個人のドメイン名保有者、開発途上諸国、零細企業の有権者を含む
新たな有権者を認めるべきです。

2.ICANNは透明性を確保しなければなりません。

情報の共有は、すべてのICANNの決定の前、決定の過程で、そしてその後にあっ
ても最大限保障されなければなりません。

・ICANNはすべての決定の過程についての記録を、個人に属するものや契約交渉
に関わるものを除いて、利用できるようにすべきです。
・ICANNの金の流れの仕組みはもっと公的なものにすべきです。厳格に一貫した資
金の経路が支出請求、承認、購入伝票の発行、送り状、配送、支払いについて
確立されなければなりません。
・
ICANNは、どのようにしてICANNに認められた範囲内でその活動が行われ、どの
ようにその決定がICANNの参加者の大多数の合意に基づきオープンで透明な手
続きで行われたかを説明する各決定ごとの報告書を出すべきです。

3.ICANNはボトムアップの手続きを取らなければなりません。

ICANNはその政策や実施がそのスタッフによって決められる組織となる危機に
瀕しています。ICANNは、非中央集権化されたボトムアップが組織の基本と
なるべきであるというその当初の考え方に再度立ち戻る必要があります。

・ICANNのスタッフやCEOは手続き上の保護措置やチェックアンドバランスへの尊
重をよりいっそう態度として示すべきです。
・ICANNの代表のために確保されている非選挙理事会の席は廃止される
べきです。理事会はすべて民主的に選挙されるべきです。
・ICANNは新しい代表を第一回の一般選出選挙が終わるまで選ぶべきで
はありません。ICANN代表のポジションへの立候補は一般選出選挙後
まで受理すべきではありません。
・ICANNの創設に積極的な役割を演じた個人や団体はICANNからいかなる利益も得
るべきではありませんし、その役割が終わって24ヶ月が経過するまでICANN
といかなる契約も結ぶべきではありません。(ICANNと外部のパートナーとの間
で頻繁に人事の入れ換えをやるような「回転ドア」状態は許すべきではありま
せん)
・理事会のメンバーとなった人やICANNの事務局を担う人はICANNからいかなる利
益も得てはなりませんし、その役割を終えて24ヶ月が経過するまでICANNと
の契約主体となってはいけません。

4.知的所有権は他の諸権利に優先するものではありません。

人権に関する欧州協定では、「何人も表現の自由の権利を有する」(第10条)
と定めています。ICANNは、所有権を保護する目的で表現の権利を侵害すべき
ではありません。

・DNS管理は知的所有権(IPR)の範囲を拡大するための手段に利用されるべきで
はありません。市民法は所有権を規制するのに必要な手段として機能してきま
した。国際的なIRP保護の範囲や性質の変更は各国の立法や国際的な条約によっ
てなされるべきです。
・DNS政策は他の政策領域と重なりあうことが避けられないとすれば、ICANNは、
表現の自由、プライバシー、パブリック・ドメイン、非商用利用の諸権利、法、
規範をも等しく尊重すべきです。
・インターネットユーザーの代表や合意なしに1999年に成立した統一ドメ
イン名紛争処理方針(TheUniform Dispute Resolution Policy (UDRP))は、再
評価と再度の承認のための投票を行うべきです。
・知的所有権は商標のためのドメイン名空間における特別のゾーン(たとえば、
トレードマーク)を確立することによって最大限に保護されます。(たとえば
".trademark")

5.ICANNは技術的な政策策定に限定されなければなりません。

DNSに固有のインターネットユーザーに対する権限は公的な政策を行うために
用いられるべきではありません。

・IPアドレス管理やDNSルートサーバ管理が同じ組織のなかで結び付けられる
必要はありません。アドレス管理をDNS政策の策定から分離することには確た
る政治的、組織的技術的な理由があります。
・ICANNはインターネットを支配したり、その内容に関わる政策を促す手段にも
ちいられてはなりません。その規約は明確に、役割の拡大(「裏の任務」)がな
されないようにガードするためにその権力を制限することを認めるべきです。

6.ドメイン名空間は特に公共の資源ではありません。

「[ドメイン]名前空間は公共の資源である」という主張(ICANN政府諮問委員
会)は、国による過度な管理に根拠を与えるものとなります。同時に、国別コー
ドのトップ・レベル・ドメイン(ccTLD)レジストリの「自然独占モデル」は、
過度なコントロールの機会を作り出してしまいます。

・ドメイン名空間は特に公共の資源というわけではありません。ドメイン名空間のゾー
ンへの公的なコントロール(パブリックなコントロール)が必要との主張は、明
確なその理由づけが必要です。
・ドメイン名空間の公共資源は各国政府の管理下におかれる必要はありません。
・国を越えるグルーピングや、国内や、準国内の、地域の、文化の、言語の、
そしてその他の社会的政治的なグルーピングのための多様で、並列的で、場合
によっては重複するTLDレジストリはルートから排除されるべきではありませ
ん。これは、活気ある市民社会の基本です。

7.人為的に不足状態を作り出したり中央集権化されることは避けられるべきです。

DNSのコントロールポイントや人為的な不足はインターンネットへのアクセス
の障害となり、ユーザーへの規制を助長します。

・DNSルートは安定した運用を脅かすインターネット上の唯一の欠点です。
・単一のDNSルートは、コントロールポイントです。ICANNは集権化されたアー
キテクチャーを避けるようDNSの漸進的な発展を支えるべきです。
・ICANNはDNSと代替的なドメイン名空間との相互接続を促すべきです。
・ドメイン名の不足はコントロールの機会を生み出します。新たなTLDレジス
トリの創設を通じたドメイン名空間の拡張は、ICANNの最も重要な任務とすべ
きです。
・インターネットのドメイン名空間の拡張は、(技術的な束縛を別にして---こ
うした束縛が存在する範囲を別にして)制約をもうけるべきではありません。
ルートの脱集権化を通じての拡張とトップレベルのドメインの増加は特に求め
られているものです。
・インデックスコンテントのマーケッティング手段としてのドメイン名の使用
はドメイン名に過剰な値打ちつけ、イノベーションへの意欲を喪失させます。
DNSの技術的な進歩は、商業的な利用によるマーケッティングのテクノロジー
としてのその利用によって不当に禁じられるべきではありません。

8.ICANNはプライバシーを尊重しなければなりません。

・ICANNの政策や内部手続きはOECDのプライバシーガイドラインに基づく公正
な情報の取り扱いFair Information Practicesの考え方に従うべきです。
・ICANNのドメイン名とアドレス管理の政策は、純粋にプライバシーを強化す
る技術の採用を阻害したり、匿名性の権利を侵害するべきではありません。

9.経費は最小限にとどめ、公正であるべきです。

世界のさまざまな場所で提供される同じサービスのあいだに貨幣的な価値での
違いが生じることがあります。同様に、支払い能力のあるユーザーは劇的に変
化しうるものです。

・ICANNの経費はそれぞれのユーザーに要する経費に応じて、それぞれが分担
して負担すべきです。
・多くの経費は商用インターネットユーザーに関する事項を片付けるために
ICANN理事会に与えられた高度な特権から発生しています。こうしたユーザー
はその経費を負担すべきです。
・ICANNは経費の最小化をつねに努力すべきです。(たとえば、ビジネスクラス
の施設での理事会の会合ではなく、ICANNは非営利の施設を用いるべきです。)
・ICANNは支出、ビジネス、経費管理、会計方法の外部監査を受けるべきです。
評価基準は営利企業のそれではなく、公益法人のそれを用いるべきです。


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横浜宣言およびICANNとインターネットガバナンスについてのメーリングリス
トご案内

ICANN 問題の情報交換の場、ipo-icannメーリングリストを始めます。

参加ご希望の方は majordomo-j@jca.apc.org 宛に

subscribe ipo-icann

というメールを送ってください。

このメーリングリストではインターネットのガバナンス問題に大きな影
響を与える ICANN について NGO、市民組織として知っておくべきこと
や今後のインターネットのガバナンスの問題を市民社会の問題として取
り組んでいけるための情報共有をしていきたいと思います。


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