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 オーストラリアは世界で最も乾燥した大陸です。この大陸に住む動植物は、その特殊な環境に適応してきました。特に、西オーストラリアの南西地域には地域固有の植物が多く、ここで見られる約4,000種の植物のうち、80%がこの地域のみで見られるものです。オーストラリアの最も重要な樹木のひとつであるユーカリは600種にものぼり、そのうちの250種が西オーストラリアで見られます。そのなかの代表的なものとして、カリー、マリー、ジャラ、ティングルがあげられます。樹齢数百年にもなる、古代から人の手が加わらなかった森林は、オールドグロス林と呼ばれます。その構造の多様性は、その地域固有の多くの鳥や動物たちに、生息場所を提供しています。

 ヨーロッパ人が移住してきた1829年以降、元々存在していた森林の約40%が農場や市街地、道路に姿を変えました。その他の50%は伐採が行われ、わずか10%のみがオールドグロス林として残っています。環境保護活動家は、この残りわずかなオールドグロス林を残すべきものと考えています。

オールドグロス林の価値とは?

 ここではいくつかのオールドグロス林の価値について、考えてみました。まず、西オーストラリアの森林はその生態系に住む特有な動植物で世界中に知られていて、生態学的・科学的な高い価値があります。そして、その多くの種が、この地域のみで生息しています。経済的な価値として、オールドグロス林はその木材利用だけでなく、観光業や木製工芸業、養蜂業にとっても重要なものです。これらは生態系を乱すことが少なく、木材伐採や、鉱業よりも持続可能な産業です。さらに、オールドグロス林は驚くべき美しさを持っています。アウトドアー活動にも多く利用されます。しかし、伐採や、開墾、採鉱によって、その美しい景観は永久に失われてしまいます。最後に、オールドグロース林は、文化、宗教的価値を持っています。その土地は、先祖伝来の遺産の一部であり、全オーストラリア人の住む環境でもあります。南西地域に住むオーストラリアの先住民・アボリジニたちはこの地方をヌガー文化と精神的な理知の芽生えた土地として、今でもその土地と深い関係を持っています。

 このようなオールドグロス林は、一度伐採されると二度と元の姿には戻りません。森林の生態系は分断され、動植物の重要な生息場所、例えば大きな洞などの構造的多様性が広い地域で失われるのです。淡水生態系は汚染され、重機器によって乱された土壌は栄養分の枯渇を起こすでしょう。

森林の伐採と日本企業

 西オーストラリアは、ヨーロッパ人が移住する以前に存在していた森林の90%をすでに失いました。現在、残されているオールドグロス林のうち、国立公園や保護地域の指定を受けているのは、わずか6%だけで、その他の地域は伐採されてしまう恐れがあります。州有林の木材生産物の管理をしている、保全・土地管理局がその木材からの利益を得ています。西オーストラリアのオールドグロス林は主に毎年20,000ヘクタール(東京都の約10分の1)の勢いで伐採され、その大部分は日本に輸出され、木材チップやシリコン精製用工業用木炭などの低質製品として利用されています。

紙の原料としての使用

 1976年以降に日本に輸出された製紙用木材チップは1600万トンにものぼり、そのほとんどがオールドグロス林から伐採されてきました。西オーストラリアにおいてオールドグロス林伐採を行っているオーストラリアの企業が、(有)ウェスファーマーズとその子会社であるソティコ(その前身は、(有)バンニングス・フォレスト・プロダクツ)です。ウェスファーマーズは全ての木材チップを日本の総合商社、丸紅に売却しています。丸紅は、北越製紙、日本製紙、名古屋パルプ(大王製紙)と取引をしています。また、シムコアは信越化学が所有する子会社で、 シリコン精製に工業用木炭を使用しています。シムコアシリコン精練所で製造された高品質のケイ酸を信越化学が買い取っています。1999年、シムコアは、135,000トンのジャラ材を工業用木炭として購入しています。日本の製紙産業は、各会社独自の環境対策に基づき、持続可能な管理をされている森林からのみ木材を輸入していると主張しています。しかし、持続可能でないと公式に認められている、西オーストラリアのオールドグロス林伐採は、いまだに続けられているのです。

植林業の可能性

 一方、木材需要は、オールドグロス林を破壊することなく、植林でまかなうことができるといわれています。植林産業はすでに、西オーストラリア州内の木材需要を満たすほどまでに発展しています。南西地域には広大なブルーガム(ユーカリの一種)の植林が広がり、カリーやマリーの木材チップよりも日本の市場で好まれるであろう、質の高い木材チップを生産しています。今後5年のうちに、西オーストラリアは現在の日本への輸出量の4倍にあたる、400万トンの木材チップを植林から生産できるようになると予想されています。しかし、もし今私達が行動を起こさなければ、その5年の間にも残されたオールドグロス林の伐採は続けられるのです。

エコツーリズム

 最近の高い失業率の中、観光業は現在、西オーストラリアの南西地域に約10,000人もの雇用を提供しています。その中で、エコツーリズムにかかわる雇用率は、毎年30%もの最も高い伸びを示しています。残されたオールドグロス林を守ることは、観光業に欠かせない天然資源を守ることにもなるのです。

森林保護活動

 西オーストラリアのオールドグロス林は、木材チップや木炭や木屑にしてしまうには、あまりにも貴重で希少なものです。私達は、敬意をもってそれらの森林と向かい合い、そのすばらしい命の循環がこれから先何世代も続いて行くように、その森林を保護地域とするべきなのです。

 左の写真は伐採を阻止するために、ユーカリの木の上で生活するために作られたプラットホームです。このように、オーストラリアには、時には命懸けで森林保護活動をしている人々がいます。オーストラリアでは大勢の人たちが保護活動に参加しています、私たち日本人にも何か出来る事があるはずです。小さな力の積重ねが、やがて大きな変化を生み出すのです。ただし、私たちにはあまり時間が残されていない事も、是非知って下さい。

資料提供:The Wilderness Society

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