2001年2月9日
米国通商代表部
情報産業・化学産業貿易政策課長
バーバラ・ノートン様
拝啓
この度、「APECによる林産物分野における非関税措置の研究」について、ドミニク・ビアンチ米国通商代表補佐代理が10月30日付け覚書で表明した、米国通商代表部(以下USTR)が関心ある当事者に意見を表明する機会を提供するということにPERCおよび以下に署名する団体一同よりお礼申し上げます。
以下に署名しております ヶ国の 団体より、「APECによる林産物分野における非関税措置の研究」の内容とUSTRが非関税措置に関する活動でとっているプロセスに対して意見を提出いたします。同研究では、驚くほど多くの項目が潜在的貿易障壁としてリストアップされていますが、その中には私たちが正当な環境保護措置と考える措置が多く含まれています。しかしながら、同研究は私たちがコメントできるような具体的な行動提案には何も言及しておらず、「非関税措置」として特定された措置はAPECでは事実上は排除を検討されていると見なさざるを得ません。私たちのコメントが、APECやその他の貿易交渉の場における「非関税措置」に関する議論の流れに影響を与えることを願っています。
「APECの非関税措置の研究」で数多くの森林保護や森林管理の措置が貿易障壁としてリストアップされていることは、米国政府の環境目標にもとづいた再評価および利害関係者とのより緊密な協議の正当な理由となると私たちは受け止めています。APECの非関税措置イニシアティブと、USTRが(1999年12月2日に)公表した、正当な森林保護措置を脅かす貿易自由化に反対したコミットメントを、USTRが整合させることを私たちは要請します。さらに、大統領令13141に定められている天然資源分野における貿易活動の環境レビューのガイドラインを、USTRはどのように遵守する計画なのかご説明いただきたいと思います。
私たちはこの研究に対する意見を提出させていただきますが、同時に、私たちの意見をどのようにして、できるだけ適切に活用されるのかも知りたいと思います。8月29日付けのUSTR宛ての書簡で、以下に署名している団体の中のいくつかは、非関税措置の研究に対するレビューの目的とプロセスについて説明を求めました。私たちは、非関税措置や森林専門家グループに関する米国のあらゆる提案およびUSTRがパブリックコメントを非関税措置の議論にどのように取り入れる予定であるかについて情報を求めました。USTRは8月29日の勧告にも、私たちの情報請求にも応じていません。
私たちは、APECの非関税措置の研究に関する一般の人々の協議は適切とは言い難いと感じています。例えば、8月29日の書簡に署名をした7団体のうち半数にも満たない団体が、同研究に対するコメントの締め切りに関する10月30日付けの通知を受け取りました。私たちはUSTRが通知プロセスの誤りをただし、一般の人々が貿易自由化、とくに環境保護と天然資源管理に関する事柄についてコメントをする機会を十分に保証するよう希望します。また、USTRが9月13日付けでPERCに送付した書簡に書かれている、「国内外の各非関税措置が環境に対して有する影響に関しては、それが肯定的なものであれ、否定的なものであれ、十分に考慮するよう、利害関係者と注意深く相談する」という約束を守って下さいますよう要請します。
以下に署名する団体は、一般の人々との対話のメカニズムと、関心ある当事者はどのようにAPECにおける非関税措置に関する議論やその他の場における議論に参加できるのかについて情報を提供して下さるようUSTRに要請します。私たちは、指名された森林専門家グループがどのように非関税措置の特定と自由化に関係するか、そしてどのように米国政府と有権者の環境目標を追求するのかについて情報を求めます。
私たちはこの研究が潜在的に有する意味について非常に懸念しています。特に、数多くの森林保護と持続可能な管理についての措置を非関税措置としてリストアップし、これらを貿易にとって受け入れがたい障害であると提案していることに重大な懸念を感じています。さらに、この研究では林産物の貿易量の増加が暗示されており、森林破壊を食い止める環境保護措置の採用(排除ではない)の必要性が強調されています。私たちはこの研究が、認証とリサイクル製品使用奨励政策、伐採禁止、丸太輸出規制、植物検疫基準を非関税措置としてリストアップし、排除の可能性が生じていることをとりわけ懸念しています。これらの重要な保護措置がAPECやその他の貿易交渉によって排除されれば、米国を含む世界中の森林にネガティブな影響を与えることは明らかです。
さらに、非関税措置があいまいで時には矛盾した形で定義されているために、貿易交渉者が権限を持つべきでない数々の環境保護措置が非関税措置に含まれるという結果を生み出してしまっていることを私たちは問題視しています。同研究は貿易に影響を与える可能性のある膨大な数の政策を記述し、分析することを目指しています。これでは、官民両方の政策全体を含むことになってしまうでしょう。理論的には、このような政策すべてが貿易に対する障害になることを示す可能性があります。「社会的、環境的に動機づけられた非関税措置」に焦点を絞ることは矛盾しています。研究報告書作成者たちは一方では「環境に関する非関税措置は技術的には貿易障壁ではない」としながらも、他方では非関税措置を「(貿易の)障害のはたらきをする規制である」と定義しています。「非関税措置」としてリストアップされているものの中には、認証とリサイクル製品使用奨励政策、伐採禁止、丸太輸出規制、植物検疫基準があります。「非関税措置」という題目にこれらが含まれているということは、これらの措置すべてが貿易を規制する政策であると分類されているということ、そして、貿易量の増加が国内の環境目標の達成よりも事実上優先するということを仄めかしています。
私たちは、以下に詳述するカテゴリーと各森林保護措置が、自由化の可能性のあるものに含められることを受け入れがたいと考えています。私たちは以下のカテゴリーと森林保護措置の例を、米国が排除の可能性を検討する非関税措置のリストから完全に除外することを提案します。その他の環境保護措置が今後の非関税措置リストや交渉に含められることがあれば、私たちは異議を唱えることになるでしょう。
非関税措置としてリストアップすべきでない環境保護措置:
森林に対する圧力を大幅に増やすであろう予測:
森林認証の使用を排除、もしくは禁止することと、ラベリング制度を排除、もしくは禁止することは、すでに森林に対して大きな影響が及ぼされている国や環境保護措置の乏しい国々からの林産物輸出を増加させるでしょう。
APECによる林産物分野における非関税措置の研究は、貿易自由化が危険な方向に舵をきっていく可能性を予告するものです。USTRとAPECは、減少の途を辿っている私たちの地球上の森林から収穫され取引される木材の量を増加させる貿易イニシアチブを交渉するかもしれないということ、そして同時に、そのイニシアチブによって市民が森林を保護するために必要な重要な保護措置や公平な貿易のための手立てが奪われるかもしれないということに私たちは重大な懸念を抱いています。正当な国家政策が、貿易交渉の場で話し合われる項目として不適切な扱いを受けることを防止するために、私たちはUSTRが以下の行動をとって下さるよう勧告します。
1.正当な環境保護を脅かす貿易自由化に反対するUSTR の12月2日のコミットメントを実行し、究極的に、上記に列挙した環境保護措置の排除を含むすべての交渉から撤退すること。
2.大統領令13141を守り、あらゆる森林分野の非関税措置交渉を進めるときは十分な環境評価を行うこと。
3.APECによる研究やあらゆるフォローアップ活動に関して、米国内外の幅広い市民社会から、十分に情報を得た上での意味あるコメントを求めること。
4.APEC以外の貿易交渉、例えばWTOやFTAA(米州自由貿易地域)での森林分野の非関税措置の議論に関する計画を明らかにすること。
5.本状に署名している団体や一般市民に対して以下の情報を入手可能にし、私たちがもっと情報を得た上でコメントできるようにして下さい。
* APECにおける非関税措置の議論に関する提案とタイムスケジュール
* 森林専門家グループに対する提案
* APECによる研究に対する米国の立場に、どのようにパブリック・コメントを取り入れるのか、その計画。
USTRが私たちのコメントを、米国政府と共に、APECの貿易交渉の場における環境政策をどのように扱っていくべきかということに関する勧告として見て下さることを願っています。USTRは環境保護措置を守るという約束を守り、この立場をAPEC加盟国に対して二国間交渉や多国間交渉の場において、また今後の研究の中で、効果的に伝えていかなければなりません。どうぞよろしくお願いいたします。お返事をお待ちしております。何かご質問があれば遠慮なくご連絡下さい。
敬具