すべての本を100%古紙の再生紙に印刷2001年末に、原生林にやさしい紙を用いる方針を立てました。当初、私たちの会社が紙の大量消費者であることはわかっていましたが、それをどれくらい変えることができるかについてはわかりませんでした。そこへカナダのNGO、マーケット・イニシアティブのメンバーがやってきて、私たちがどれくらいの紙を使っていて、どれくらい減らせるかを説明してくれました。当時、そうした取組みに同意する人は少なかったのですが、その状況を変える可能性について理解することを、先陣を切ってやらなければならないと思いました。 時期ごとに、どのような紙を本に用いるか、古紙の割合、漂白処理、白色度、厚さ、不透明度についての最低限の目標と努力目標を示した行動計画を立てました。現在、文字だけの本については、実質的にすべて100%古紙の再生紙を用いています。質を求められるカラー印刷など、いくつかの本には純パルプ紙を使う必要があるため、古紙100%ではありません。オフィスで用いている事務用紙も、100%古紙の再生紙を用いています。 まず原料に関する質問シートを使って、印刷会社にどのような原料が使われているかを尋ねます。印刷会社は、製紙会社に聞きます。そうして、原生林の原料が含まれているかどうかを調査しています。回答がなければ、パルプがどこからのものかわかりませんから、その会社からは購入しません。供給会社にも、そのようにはっきり言っています。回答者には、記載内容に対する署名もしてもらっています。 私たちは供給会社に対して、新しい紙を開発するよう依頼して欲しいことや、質、値段についても要求しました。印刷会社の何社かは対応してくれて、私たちの理念を理解してくれています。また、私たちは他の出版社とともに取り組みを行なっているので、供給会社にとってもこうした紙への需要があります。 紙は本のコストの約半分を占めます。再生紙は純パルプ紙より平均で本のコストの5〜10%高くなります。出版業界はあまり儲かる業種ではなく、マージンは非常に小さいので、コストがかかるということはとても大きな挑戦です。質についても、再生紙は均一でなく、最低限の質を得るために工場をモニタリングする必要があります。供給者に対しても、コミュニケーションを続けて、この取り組みに関心を持ち続けてもらうことも大変です。
コストを相殺する効果も私たちの会社は、カナダの出版社の中で、この取組みをはじめた最初の会社のひとつです。需要が大きいので、カナダの製紙業界に対して大きな影響を与えました。このプロジェクトを始めた時は、求める紙の質はよくなかったのですが、この2〜3年でずいぶん改善しました。参加する会社が増えたので、その傾向が続いています。
マスコミからの反応もよく、原生林にやさしい紙が、たくさんのテレビやニュースで取り上げられました。そうした広報は、自社で行えば数十万ドルがかかったでしょう。紙のコストは20万ドル余計にかかりましたが、それを相殺するくらいの利益は得られたと思っています。賞にノミネートされるなど、こうした利益は今も得られています。 社内には、特にコストと質の面について反対する人はいましたが、その他の社員は、この取り組みを誇りに思ってくれています。人々から来たE-Mailやマスコミの評論などを見て、喜んでいます。会社のモラルにとってもよいことです。 印刷会社は本を印刷したいから、私たちが望む紙を購入しなければなりませんでした。私たちは、需要をつくることによって要求したので、彼らは応えたのです。「ハリー・ポッター」の部数は非常に大きいですから、大きな圧力になったはずです。 企業の社会的責任の大きな動きコストが高いことは大きな壁になります。しかし、重要なことは、環境への影響を理念として考えない人もいますが、社会や消費者に対する責任を考えている人はカナダや北米ではどんどん増えています。企業の社会的責任(CSR)の取り組みの動きはとても大きく、多くの会社が、そうした取組みに対する見返りについて関心を持っています。 |
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