違法材・原生林材不使用キャンペーン

はじめに

違法伐採と木材輸入

原生林の保護

森林・木材認証制度

提言

得られる利益

段階的方法

欧米企業の取り組み

関連情報

北米における木材・紙調達の取組み

 アメリカでは、1998年にIBM、3M、三菱電機アメリカ等の27社が、オールドグロス林から産出された木材や紙の販売と使用を停止する公約を発表して以降、大手DIYチェーン店やハイテク企業などの多くの企業が次々に同様の取り組みを発表しています。また、カナダでも、出版業界において原生林を原料に使用していない紙を利用する取り組みが進められています。

 JATANとFoE Japanは、2004年2月に北米で木材調達方針を進めている企業6社を訪問し、取組みの内容や方針の進め方について調査しました。その中から、アメリカのナイキ社とノームソンプソン・アウトフィッターズ社、カナダのレインコースト・ブックス社とマウンテン・イクイップメント協同組合の取り組みについて報告します。

ナイキ社

 スポーツ用品を生産しているナイキ社は、林産物の調達について、特に包装紙における取り組みを行なっています。持続可能な開発部部長のセバーン氏に話を聞きました。

紙製品のスコアを社内でデータベースに

 私たちの部署の仕事は、企業の責任の名の下、社会や環境に関する様々なことを担当しています。2人の副社長が企業の責任のチームを担当しています。法律の遵守や労働を担当するチームのほか、環境問題を担当するチームがあります。

 1997年だったと思いますが、アメリカのNGO、フォレスト・エシックス(当時はCRC)のメンバーが訪問してきて、環境面で先進的な方針を立てて欲しいと求めました。そこで、林産物調達方針について、オールドグロス材などの保護価値の高い森林からの原料の不使用、紙消費の削減と代替原料への転換、FSC認証材の選択などの方針を立てました。保護価値の高い森林からのものを避け、最終的に植林などの原料、少なくとも持続可能な方法で伐採されたものに転換していくことを目指しています。当時は調達に関する統合した戦略や機能がなかったのですが、今は調達グループができ、主にアメリカ国内においてこの取り組みを行っています。

 2年前に、調達担当者のグループと共にスコアカードを作成しました。製紙会社ごと、製品ごとに質問シートに回答してもらうもので、それぞれの紙についての情報を明らかにするものです。回答によって得られた情報を基にして、どの会社から調達すべきかの指標を作成しています。スコアの例をあげると、FSC認証や80%市中回収古紙1が原料のもの、また、漂白処理については、完全無塩素漂白のものを高いスコアにしています。100%古紙のものよりも、責任あるバージン原料を用いているものの方のスコアを高くしています。

1 消費者から回収した古紙。回収古紙以外の古紙として、工場で発生する産業古紙がある。

 カタログ用紙や包装用紙など、たくさんの紙を購入しているので、方針はそれぞれ異なります。また、包装のデザイナーがたくさんいて、それぞれ好みもあるので、一種類の紙だけでは足りません。社内のイントラネットにはそれぞれの紙のスコアが掲載されており、社員が紙を調達する際のデータベースとして閲覧することができるようにしています。オールドグロス不使用の面で一番いいもの、無塩素漂白の面で一番いいものなど、一方を立てると他方が立たないこともありますが、担当者ごとに何が最も重要であるかを選ぶことができるようにしています。

 私たちは、特に、変化を引き起こすことができる分野で取り組んでいます。環境に与える影響の大きさでは包装がもっとも大きく、紙の量はそれほど多くありません。私たちが使っている包装用紙は、2つのラインを除いて100%市中回収古紙を原料としています。

 ビジネス上の決定は、製品がどのように調達されたか、すなわち、コスト、質、配達のほか、生産現場において年齢や賃金などの労働基準が遵守されているかどうかによって行っています。取引先には、この4つの事項についてよく検討するよう求めており、私たちはそれが満たされているかどうかを確認しています。

原料の出所が不明の場合は低スコアに

 供給会社からの反応については、よい方針を持っている会社は、それを共有できることを喜んでくれました。方針のない会社の中には、私たちが依頼したフォームに回答しないところもあります。

 原料がどこからのものかわからないと言う供給会社もありますが、調べることができた会社があるのだからできるはずだと言っています。このようにして、供給会社がどのレベルにあるのかを調べています。正直に「不明」と回答することはできますが、その場合は低いスコアになります。社内の担当者が高いスコアの紙が欲しければ、原産地がわかっているものを選ぶことになります。

企業が合同で取り組みを推進

 賢明で責任ある林産物の利用を進めているメタフォーというNGOが、紙や板紙を大量に購入している企業で構成する、ペーパー・ワーキング・グループ(紙に関する企業グループ)を設立しました。ナイキやノーム・ソンプソン社を含め、9社が参加しています(その後、11社に増加)。現在、環境によい紙の供給を目的とし、7つの目標を明確にしようとしているところで、様々な関係者との会合を行っています。このグループは、企業のリーダーとしての役割を担い、アメリカ国内の製紙業界に先進的な方向に動くよう働きかけています。もっとも苦労しているのは、原料がどこから来ているかを確認することです。これが目標とする成果のひとつです。

 ペーパー・ワーキング・グループは、いくつもの会社がこの問題に真剣に取り組んでいることを製紙会社が知る意味でも、また、同じ大きな取組みを行っていることをNGOが知る意味でも、わかりやすいと思います。ペーパー・ワーキング・グループで、いろいろな会社のスコアカードをまとめて、広く多くの会社が使えるスコアカードを作ろうとしています。取り組んでいる内容は、柔軟性を持っており、それぞれの会社が個別の目標を立てることができます。

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