2005年7月19日
(株)日本製紙グループ本社
CSR室「原材料調達方針ご意見・ご要望」係
熱帯林行動ネットワーク(JATAN)
事務局長代行 小浜崇宏(環境NGO)
標記につきまして、以下の通り意見・要望を提出いたします。よろしくご検討お願いします。
(主旨)
紙原料としての木材資源については、貴社の環境憲章にて設定している「輸入広葉樹チップに占める『認証材+植林木』比率を100%とする」目標である2008年より早い時期に、「保護価値の高い森林(High Conservation Value Forests;注)」や天然林の大規模な皆伐によるものの利用を停止する目標を立てていただきたく要望します。
植林木であるからよしとするのでなく、購入する植林木についても環境や社会に配慮したものを利用していただくよう、要望します。
森林認証制度については世界に様々なものが存在することから、それぞれの制度を独立性、利害関係者の参画、透明性、トレーサビリティ、そして認証基準などの観点から、貴社として評価・判断した上で利用することを要望します。
注)「保護価値の高い森林」とは、固有種や絶滅危惧種などの存在する生物多様性の価値が高い森林、気候・地理・地形・生態の組み合わせにおいて世界的に希少な森林、人間の活動によって稀少となった未開発の森林、水源の保護や土壌浸食防止などの水土保全の価値が高い森林、先住民や地域社会にとって生活や健康など基本的ニーズを満たすために欠かせない森林、そして先住民や地域社会の伝統的文化を維持するために重要な森林などのことであり、これらの森林生態系を破壊するような伐採により生産された原料を使用するべきではありません。
(理由・背景)
「1.環境に配慮した原材料調達」の(1)において木材資源の調達先としている「持続可能な管理が行われた森林」の注として記載している「"植林木"および"森林認証材"」については、方向性としては評価できますが、いずれもそれだけで環境や社会への悪影響がないと言い切れるものではないと考えます。
例えば、貴社が木材資源の調達先としているオーストラリアでは、保護価値の高いオールドグロス(老齢樹)林が伐採対象に含まれており、オールドグロス林以外の天然林も皆伐によって森林生態系が完全に破壊されてしまいます。
また、植林木についても、貴社の自社経営によるものは適切な管理を行なっているものと察しますが、世界には天然林を転換して行なわれたもの、周辺生態系に著しい悪影響を及ぼす除草剤や肥料などの薬品を使用しているものなど、環境に悪影響を及ぼしているものも少なくありません。
一方、世界には様々な森林認証制度がありますが、林業界が開発したもので独立性や透明性が低く、環境や社会への配慮の点で信頼できないものも少なくありません。生物多様性が豊かな森林の伐採や森林生態系の破壊をもたらす大規模な皆伐、天然林から単一樹種植林への転換を認めているものもあることから、環境や社会に配慮した木材資源の調達を行なうためには、それぞれの森林認証制度を評価した上で利用することが必要と考えます。
以上
© 2005 熱帯林行動ネットワーク(JATAN)