1997年2月10日 午前11時 ニューヨーク
我々は、世界の森林および、生存と生き残りを森林に賭ける人々の運命を第一に、そして最も重要なこととして懸念しており、下記に署名した市民の組織として、ここに世界的な森林条約の交渉に対する我々の強い反対の意志を宣言する。我々は、世界のリーダーたちに条約を拒絶し、その替わりに、世界の森林を更なる減少から保護する代替の戦略を追求することを求める。
世界の何百万という人々を代表している我々の組織は、今の時点で交渉される森林条約が世界の森林保護に失敗するだけでなく、実際に脅かすことになると信じる。
我々はこの条約の交渉は下記のようになることを信ずる :
弱い基準をたてまつる
* この条約の交渉では、ただ最も弱く低い最大公約数的な約束についてのみ政治的なコンセンサスを得ることができるため、持続不可能な森林管理に世界的な「青信号」を与え、そして現存するもっと強いいくつかの森林イニシアティブを役に立たなくして、容認できないほど弱い森林管理水準を正式のものとするのである;
商業貿易の業界をひいきする
* この条約の交渉は強力な伐採と商業貿易業界によって独占され操縦されるため、ますます増える多国籍の商業伐採企業の貪欲で非倫理的な行動にとりかかることに失敗するであろう;
生物多様性条約を浸食する
* この条約の交渉は画期的な生物多様性条約やその他の、現存するがほとんど実行されていない国際的、地域的環境協定とイニシアティブの重要な役割を侵食するであろう;
本当の問題を避ける
* この条約の交渉は、その多くが伝統的な「森林」部門の外にある、世界の最も重大で物議をかもしている森林問題のいくつかを無視するか避けるであろう、そして慢性的な森林消失と劣化の根底に潜む原因を効果的に扱うことに失敗するであろう;
市民のイニシアシティブを脅かす
* この条約の交渉は重要な非政府のイニシアティブ(例えば、森林管理と林産物の独立認証制度)を侵食するため、先住民族と伝統的な田舎の共同体の、彼ら自身の森林についての運命を決めるのを助力する能力を害することになるであろう;
決定的な行動を先延ばしにする
* この条約の交渉は時間をかせぐか、あるいは長い討論、交渉と批准が行われる何年もの間、広範囲に重大な森林問題に対する活動を阻害するであろう − 真の森林問題を解決して、そして現存の協定を実施することに使えるはずの時間の欠乏と、もっと良くあり得た資源の浪費となる。
世界的な森林条約が必要であるか、あるいは望ましいという明確な証拠はない。
ただ新しい世界的な条約によってのみ取り扱うことができるものが欠けているのなら、それが何であるかを明らかにするため、現在の森林関連の協定と制度を徹底的に査定することが、市民グループにより繰り返し要求されているにもかかわらず、一度も研究が着手されたことはない。
我々の組織の(拒絶されている)関心は、文書でも引き伸ばされた討論でもなく、結論と結果である。
乗り物に乗ることは目的地に到達することではないのだ。
不幸なことだが、若干の条約提案者は条約という「アイデア」に興味を持っている、つまり条約がなにを含んでいるか、あるいはそれが実際に森林問題を解くことになるか否かによりも、むしろ条約への彼らの支持を宣言することにはるかに興味を持っているように思われる。
さらに、より多くの政府が現在既にある森林の保護と持続的利用に関する協定を実施するまでは、新しい条約に何が含まれているにせよ、それらの政府が条約を効果的に実施することができる、という確信を持つことは難しい。
我々の見解では、今、森林条約が世界の森林を保護することができると提案することは、良くてナイーブな提案であり、何も知らない市民を深刻にミスリードすることなのである。
最悪の場合、森林条約は、より持続可能な森林管理を求める大衆の要求への効果的な回答を求めている多くの善意の国家の長とその他の政治的指導者を裏切るであろう。
代替的な戦略
この大衆の要求に対してはるかに効果的に答える仕方は以下の通りであろう。
1.時宜を得た行動をとるため、政府の国際協定や手続き制度をフルに活用すること。
2.地球大の森林減少の根本原因を除去するため、戦略的で問題解決志向的アプローチを取ること。
3.多様な地域的、二国間、そしてテーマを限定した多国間の協定を通じて、より広範な国際的合意を築くこと。
この代替的な戦略の最も重要な要素は以下の通りである :
* 持続可能な森林管理を損なう農業、貿易、開発、土地保有制及びマクロ経済政策を改革して、そして林産物の消費パターンの影響を取り扱うこと。
* 持続可能な森林管理を損なうような、貿易をゆがめる政策(助成金政策)を禁止すること。
* 持続可能な森林管理を実施するために、市民社会の統治能力をより強化する民主的原則と過程の活用を広げてゆき、先住民族その他の伝統的生活を行う民族の土地及び慣習的な権利を保証すること。
* 現行の森林関連の協定、機構及びプログラムを全面的に評価すること。協定などの履行に関して調整、定期的な監視(モニタリング)及び報告のための実効的な国際的手続きを創設して、効率性を高め、重複や資源の浪費を除去すること。
* 違法に収穫された林産物の貿易を抑制すること。
* 多国籍企業に対して、強力で公平な森林伐採権基準を設定すること。
* 特に世界の森林保護区のネットワークに存在するギャップを埋めることにより、世界の森林の生物学的多様性の保護を確保すること。
最後に、我々は本宣言の制定が、慎重な検討を行った結果であることを強調せねばならない。
適切な時点で適切な内容の多国間の政策文書を作成することは、持続可能な開発を促進する上で重要な役割を果たしうることを否定するものではない。
しかし、先に述べた状況が変更されない限りは、本宣言の署名団体は、世界森林条約交渉に反対の立場をとる。
我々は本宣言の中で表明した懸念について各政府が真剣に検討することを強く要求する。
森林政策に関する多国間の討議(注:IPF、CSD及び国連環境特別総会)が継続する間は、本宣言の署名団体は最も効果的な進歩をもたらす方法を探すために、政府の内外にいる政策決定者との全面的で公開の対話を引き続き行う用意がある。
本宣言は以下の署名団体の見解を代表するものである :
2月7日現在 計72団体 (以下日本の団体のみ記入)
アフリカ
アジアと極東ロシア
ヨーロッパとスカンジナビア
ラテンアメリカとカリブ海
北アメリカ
オセアニア
国際的団体
© 1999-2004 熱帯林行動ネットワーク(JATAN)