2002年7月29日
林野庁木材課貿易対策室
林野庁計画課海外林業協力室
外務省国際社会協力部地球環境課
熱帯林行動ネットワーク(JATAN)
小浜崇宏
FoE Japan
岡崎時春
拝啓 本年5月2日にインドネシア政府と合意し、アジア森林パートナーシップ(AFP)の構築に至ったことにつきましては、大変な努力をされたことと存じ上げます。このパートナーシップが、アジア地域、ひいては世界の森林の保全・持続可能な森林経営に向けて有効な手段となることを期待しておりますが、来る7月31日の「国際会議」では、詳細な論議を行う時間がないと判断しましたので、以下の通り、当団体からの提案をさせていただきます。
1. 日本政府がこうしたイニシアティブを進めることになったことについては、賞賛すべきものと考えます。このイニシアティブを実質的な成果につなげるために、スケジュールを含む具体的な行動計画を作成し、それを実施につなげるための体制作りや広範囲の参加プロセスを求めます。
2. 違法伐採には、伐採業者や各地の有力者による組織的なものだけでなく、土地権や森林利用権を認められていない先住民・地域住民による結果的な違法伐採も含まれています。そもそも、持続可能な森林経営を実現するには、地域住民による政策への参加や森林管理を進めていくことが不可欠と考えます。現実離れした政策を行わないためにも、現地NGOの参加や地域住民の意見を反映する場を設けていただくことを求めます。
3. AFPの活動としてあげられた14項目において、(13)や(7)に調査・研究があげられていますが、違法伐採や違法木材取引の影響は、すでに様々な報告によって明らかになっており、対策を実行していく段階に入っていると考えます。貿易措置についても、実現可能なものから順次実行に移していくことが重要と考えます。調査や研究が不必要とは申しませんが、迅速に行動に移していくことを求めます。
4. (4)に植林や劣化した土地の回復が盛り込まれてます。植林や森林の回復が良くないとは申しませんが、生物多様性や森林の恵みが急速に失われ、地域住民の生活への影響が続いていることを考えれば、天然林の保全や適切な管理へ向けた対策が緊急に必要であることと考えます。また、早生樹等を用いた産業植林については、将来の木材資源利用や天然林伐採量削減の面では有効かもしれませんが、これまでの歴史から考えますと、日本政府も関係している南スマトラ州ブナカット地域の例等に見られるとおり、地域住民との土地利用をめぐる衝突を招く可能性もあります。事後対策より、森林破壊の原因を断つための対策に力点をおいていただくことを求めます。
5. イギリス政府とインドネシア政府との間で交わされたMemorandom of Understanding(MoU)では、CoCトラッキング・判別システムをゆくゆくはインドネシア国内にわたって開発支援すること、木材貿易データの逐次交換システムの共同開発などについて記載しています。これらの内容は、AFPの(6)「木材トラッキング能力の促進」、(7)「貿易措置の研究」、(14)「データ共有プログラム」とも同様な内容と考えられることから、同様の取り組みを行っている各国と十分に連携し、効果的に実行していくことを求めます。
6. 違法木材貿易を排除するために、新たに必要な制度とそれを可能にする技術の開発を行うと同時に、現在の制度下において可能な貿易措置対策をすみやかに実行することを求めます。例えば、輸出側と輸入側が船毎のデータを交換して発着等を確認する「事前通知システム」については、技術的にも予算的にも、近日的にも実現可能な対策と考えます。なお、この新たな制度については、違法な木材貿易におけるアジア地域の重要性を考慮し、日本や生産国との二国間だけでなく、各政府が望めばアジア地域各国(特に、中国やマレーシア)においても利用できるシステムであることが望まれます。
7. 違法伐採や違法な木材取引の存在は、生産国の法施行能力の問題だけでなく、消費国側の過大な木材需要の存在や、違法伐採材に対する毅然とした態度が欠けていることがより大きな原因と考えます。生産国における対策だけでなく、最大の消費国としての日本国内の対策が必須と考えます。その対策のひとつとして、日本政府自らが違法伐採材を排除する姿勢を明らかにし、グリーン購入法の一環などとして違法伐採材の調査、段階的な停止を行うことを求めます。
8. 7と同じ理由から、国内の民間分野、特に木材消費企業が、違法伐採による木材の使用を段階的に停止し、持続可能な森林経営から産出された木材の利用を推進することを奨励するために、情報整備、支援体制作りなどを行うことを求めます。なお、この点については、前述のMoUにも記載されていることであり、7と合わせ、日本が消費国としての自らの責任を棚上げしているととられることのないよう、十分な検討を行っていただくことを求めます。
以上、よろしくご検討お願い申し上げます。
「アジア森林パートナーシップの形成に合意」(林野庁プレスリリース)
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