森林問題に関する日本のNGOは、森林に関す る政府間パネル(IPF)が下記の項目を集中して討議することを要望する。
・日本の浪費的な木材消費のための輸入は世界の木材貿易取扱 量の3割を占める。また日本が輸入する食料の生産には国内農地の2倍の面積があて られている。こうした海外での食料生産の現場では、換金作物生産を優先して森林や 伝統的な土地利用を犠牲にしたプランテーションや、マングローブ林を皆伐してのエ ビ養殖が広く行われている。このように、日本を始めとする先進国が途上国から一次 産品を大量に輸入することで、輸出国側の生産構造へ、ひいては世界各国の森林に与 えている悪影響を無視することはできない。
従って、先進国における消 費パターンの改革こそは、先進国が第一に優先して取り組むべき課題であり、その必 要性に関する合意こそが、IPFで行うべき課題である。人口圧力の議論を行うにあた っても、優先して議論すべきなのは、途上国の人口増加より、先進国の過剰消費の問 題である。
・これまで話題に上ってこなかったが、国連持続可能な開発委 員会(CSD)や社会開発サミットの主要テーマとして討議されてきた、消費パターンの 変革に関するローゼンダール報告を始めとする会議の報告をIPFは考慮し、討議の準 備文書として認定するべきである。
輸出国、輸入国それぞれのSFMを実現するためには、環境的、社会的コス トの内部化さえ実施されていない現在において、木材貿易に自由貿易の原則を適用す べきではない。したがって、IPFは、SFMやその他の環境保全を実現するための禁輸措 置や国内材優遇政策は自由貿易よりも優先されることを確認するべきである。
自由貿易の原則は、無制限に木材貿易に適用されるべきではなく、自由貿易に よる木材輸入が輸入国側の森林管理に与える悪影響を査定し、この悪影響を削減する ための討議を行うべきである。
・輸入国側の森林管理に与える影響の例
日本には数百年間に渡り持続可能な森林管理の歴史があったが、過去100年 以上前に起こった近代化の中で崩壊した。現在では、圧倒的に安価な輸入材の普及が 原因で、林業の経営も多くの地域で成り立っていない。
日本の1995会計 年度の報告によると、国有林経営は、3兆3308億円の累積債務を抱えているが、 これは林産物の単年度売り上げ高1410億円の23倍にも相当する。
民有林 においても、再植林や育林の資金を賄える収入が見込まれないことから、伐採可能に まで成長している人工林が放置されたままになっており、林家の大半は高齢化と職と しての将来の見込みのなさから、廃業寸前の状態である。
このように適 切に森林が管理されていないことが原因で、慢性的な水不足や、特に急峻な山地にお ける台風などによる災害の被害が大きくなっている。
こうしたことから わかるように、持続可能な森林管理は、短期的利益をもたらす木材資源の確保という 目的だけでなく、生態系や土壌の健全さを保持するという目的があるため長期的な計 画が求められている。
しかし、自由貿易の原則においては、森林が持つ こうした多面的価値は評価されておらず、環境的、社会的コストを反映していない価 格での貿易の過当競争が助長されている。
・輸出国側の環境に与える影響
東南アジアの木材貿易の歴史を見れば、日本を中心とする消費国側の需要 拡大の予測を受けて、輸入国や第三国の商業資本が戦略的に投資を行うことで過剰な 伐採が行われ、それが原因で伝統的な生活が出来なくなった人々による、非伝統的な 焼き畑農業などを引き起こしている。こうした商業資本が、森林が減少するとまた次 の国に進出するという悪循環を繰り返している。
また消費国の旺盛な需 要と、比較的高い価格設定は、多くの場合に盗伐を引き起こす原因となっており、い っそうの森林劣化に拍車を掛けている。
・タリフエスカレーションの問題 に関して
丸太と加工製品とで輸入関税に差をつけることが問題となって いるが、これは、輸入国内の製材産業の保護を目的とするものであり、輸出国側がSF Mを行うための条件が整わない原因のひとつになっている。生産国による、より高い 付加価値製品を生産できるよう、先進国のタリフエスカレーションが是正されること が必要と考える。
・ISO 14001の環境管理の指標のように、企業の姿勢の方向性のみを表すラベリングが、各 国関連各種対の参加の下に合意された数値基準に基づくラベリングと混同されたり、 悪用されないようにするための、違反事例の公表などの仕組みを提唱することを、IP Fに求める。
・国際標準化機構(ISO)において現在行われているエコラベル の議論のプロセスは、ボランタリーな民間の取り組みであるとの理由から、NGOを含 む関心を持つ集団の参加が不十分である。しかし実際にはISOの基準が非加盟者の製 品を市場から排除する効果を持ちうるので、ISOがすべての利害関係者の参加を保証 する措置を取るよう声明を出すことをIPFに求める。
・各国が持続可能な森林管理(SFM)を実施することは重 要な1ステップであるが、実際に全地球的なSFMへの移行プロセスを実現するために は、それ以外の市場での競合/協調要素である、人工林、リサイクル・リユース、他 の原料を用いた木材代替品などの、1.に示した消費パターンの変革に関連する要素に 関して、資金の国際的配分を含む総合的な政策を検討し、調整した上で実施しなけれ ばならない。
例えば、
持続可能に管理された天然団から生産 された林産物への過渡的な補助金
過渡的な人工林の拡大に伴う育林費用 の過渡的な負担
リサイクル・リユースなどの消費削減プログラムへの過 渡的な費用負担
木材以外の原料による代替製品に対する林産物の相対的 な価格上昇を相殺するために、代替原料製品の側に掛ける過渡的な課徴金
など。
つまり木材需要が全世界的である以上、政策も全世界的なもの にならざるを得ないのであり、SFMとは相補的に、包括的な国際対策が論議、実行さ れなければならない。そして、これらの政策の立案および調整は、主に木材の大消費 国である先進国が主導して実行する必要がある。
すなわち、持続可能な 森林管理(SFM)を補うための、複数の国際的政策の立案および調整の分野については 、「差異のある責任原則」に基づいて先進国がまず行うべき活動内容をIPFが討議し 、将来、条約化すべきであると答申するようIPFに要請する。
ITTOは、世界のNGOの期待に反して、熱帯林の持続可 能な管理を実現するためのイニシアティブを発揮して来なかった。
・この 問題の大きな原因は、ITTO総会において、決議の票が輸出量と輸入量に比例して配分 されていることから、大輸出国と大輸入国に大きな拒否権があることにある。
今後もITTOが熱帯材の貿易問題に継続して取り組むのであれば、この大きな障 害を取り除くために、票の公平化対策をITTO総会が取るように勧告することを、IPF に要請する。
I PFは特に下記の項目に留意して議論をするべきである。
市民フォーラム2001・森林政策勉 強会
熱帯林行動ネットワーク(JATAN)
岩崎駿介(市民フォーラ ム2001)
佐久間智子(市民フォーラム2001)
岩崎美佐子(JVC)
浦本三穂子(SCC)
後藤大介(JEE関東)
苑原俊明(八千 代国際大)
小倉正(JATAN)
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