2001年9月14日

プレスリリース

オーストラリアの原生林(オールドグロス林)伐採問題に対して
23%の企業が原生林から生産された紙の利用を停止すると回答

 熱帯林と世界の森林保全に取り組む熱帯林行動ネットワークは、日本が大量の紙原料を輸入しているオーストラリアの森林問題について取り組んできましたが、この度、紙を利用している国内の主要67社に対してアンケートを行い、23%の企業が原生林から生産された紙の利用を停止したいと考えていることを明らかにしました。

 熱帯林行動ネットワークは、「オーストラリアの森林と製紙用伐採」と題したブックレットを発行し、オーストラリアの原生林(オールドグロス林*注)が日本の製紙用原料として用いられていることを明らかにしました。このブックレットの発行とともに、紙を利用している国内の主要67社に対し、この問題に関する情報提供と解決に向けた提言を行い、今後の対応策などに関する回答を求めたところ、25社(回答率37%)から回答が得られました。回答が得られた企業の内訳は、出版12社、印刷1社、紙製品1社、新聞5社、通信販売3社、コンビニエンスストア3社です。

52%の企業が原生林(オールドグロス林)伐採について「認識していなかった」

 回答をまとめた結果(添付参照)によると、紙にオーストラリアの原生林(オールドグロス林)が伐採された原料が使われていることについては、6社(24%)が「認識していた」と回答した一方で、半数以上の13社(52%)が「認識していなかった」と回答しました。実際、オーストラリアの森林問題に関する国内の情報はほとんどなく、今回当団体が情報提供できたことについては、有意義なことであったと考えています。

23%の企業が原生林から生産された紙の利用を「停止する」

 原生林(オールドグロス林)から生産された紙の利用については、5社(23%)が「停止する」と回答しました。紙の原料に限らず、豊かな生態系を育む原生林を伐採した木材の利用を停止する動きは、世界的なものになっています。当団体は、こうした意向や動きを歓迎します。また、この質問に対しては、「調査を行う」などのその他の回答(8社)や無回答(6社)が多かったことを考えると、今後はより多くの企業がこうした取り組みを行う意向を示す可能性があると考えられます。

意識が高い古紙の利用、認識の低い植林木

 今後の予定については、15社(60%)が「古紙利用率の高い紙を使う」、7社(28%)が「植林木を原料とした紙を使う」と回答しました。現在の古紙利用率についても、50%以上と回答した会社が11社(44%)を占めたことと併せ、古紙の利用に対する意識は高くなっていることが見受けられました。一方、自社で植林事業を進められている企業が少なからず見られたものの、その他の企業では植林木を利用すると回答した企業の数は少なく、植林木の利用に対する認識がまだ低いことが伺われました。当団体では、「オーストラリアでは利用可能な植林木の量も着実に増加し、十分な供給量になりつつある」ことを明らかにしており、自社で進められている事業によるものだけでなく、既存の植林木の利用を進めていくことが、原生林を含めた天然林の伐採を停止するためのひとつの有効な手段であると考えています。

 今回の活動で、オーストラリアの製紙用伐採の問題を主要企業に訴えることができたほか、23%の企業から原生林から生産された紙の利用を停止するとの回答を得ることができました。しかし、こうした動きはまだ途上段階であり、オーストラリアをはじめとした海外の森林保全を進めるためには、さらに多くの企業にこうした取り組みを進めていただく必要があると考えています。

 オーストラリアでは、伐採された原木の約4分の3がそのまま木材チップに加工され、そのほとんどが日本に輸出されています。伐採される天然林の中には、樹齢200年以上の樹木が大部分を占めるオールドグロス林も含まれており、伐採に占めるオールドグロス林の割合は7割前後にも及んでいます。オーストラリア国内でもオールドグロス林伐採に対する反対意見は多く、世論調査では8割前後の人々が反対しています。

 なお、原生林を含めた天然林が日本の紙の原料として利用されているのはオーストラリアだけではありませんが、日本との関係の大きさ(オーストラリアから輸出される木材チップのほとんどは日本向け)や原生林(オールドグロス林)への影響の大きさの面から、現在当団体では、オーストラリアの問題に取り組んでいます。

注)オールドグロス林とは、ほとんど人手の入っていない樹齢200年以上の樹木が大部分を占める成熟した森林のことで、原生林とほぼ同義です。なお、災害や人為によって破壊された後に自然植生が発達した森林は二次林と呼ばれ、原生林と二次林を合わせたものが天然林と称されています。一般に、原生林(オールドグロス林)は、最も生態系の豊かな森林であるとされています。


添付

オーストラリアの原生林(オールドグロス林)保護に関するアンケート回答まとめ
(集計可能な項目のみ)

Q.貴社で使用している紙製品の古紙利用率は、何パーセントくらいですか?

(集計上、20%ごとに区分しました)

  70%以上      2社(8%)

  50%以上、70%未満 9社(36%)

  30%以上、50%未満 8社(32%)

  30%未満      3社(12%)

  無回答       3社(12%)

Q.貴社では、紙製品にオーストラリアの原生林(オールドグロス林)が伐採された原料が使われていることを認識されていましたか?

  認識していた    6社(24%)

  認識していなかった 13社(52%)

  その他       1社(4%)・・・製紙会社の回答を記載

  無回答       5社(20%)

Q.貴社は、原生林(オールドグロス林)から生産された紙の利用を、今後停止したいと思いますか?

  停止する    5社(23%)

  停止しない   3社(14%)

  その他     8社(36%)※

  無回答     6社(27%)

  使用していない 3社(割合計算から除外)

 ※「その他」の内訳

  調査中・調査を行う  3社

  使用しているか不明  2社

  再生紙を中心に進める 1社

  用紙の供給状況による 1社

  製紙会社の回答を記載 1社

Q.貴社では、パルプが含まれる紙製品について、今後古紙利用率の高い紙や、植林木を原料とした紙を積極的に利用していく予定はありますか?また、そのような計画を今後検討する予定はありますか?(複数回答)

  古紙利用率の高い紙を使う  15社(60%)

  植林木を原料とした紙を使う 7社(28%)

  今後検討する        6社(24%)

  予定はない         0社

  無回答           5社(20%)

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