G8関連

環境相会合並行シンポジウムで明らかになった

国内温暖化対策の現況と問題点

 4月8日、滋賀県大津市で行われたG8環境外相会議と並行して、気候ネットワーク主催のシンポジウム「Don't Kill 京都議定書!」が開かれ、気候ネットワークによると150名以上が参加した。

 このシンポジウムでは、日本政府は京都議定書で義務づけられた6%削減を達成するために、「原発を20基に増やす」「海外植林事業の拡大」「排出権取引」などの安易でしかも環境に十分配慮しているとは言えない手法を取り入れようとしていることと、他の先進国と比べて国内対策がかなりたち遅れていること(表参照)などがこのシンポジウムの中で指摘され、不透明であった政府の温暖化対策の現状と問題点が明らかにされた。

___G8環境相会合参加国の主な温暖化防止国内対策___

ドイツ :環境税。自然エネルギーの買い取り     イギリス:気候変動税来春施行。省エネ計画      フランス:環境税来春施行。建物に省エネ規制     イタリア:環境税。自然エネルギーの買い取り     アメリカ:省エネ建物の普及、エネルギー管理計画   カナダ :官民共同で削減進める法人組織設立     ロシア :業種別に排出量目録の作成。省エネ計画   日本  :温暖化防止センターで啓発。省エネの基準設定

(出所:朝日新聞4/4, 2000)

*日本は京都議定書で義務づけられた6%削減を達成するための計画も法律もない。それがこの内容に反映したと言える。

*京都議定書とは?・・・1997年に京都で開かれた気候変動枠組み条約第三回締約国会議(COP3)で採択された文書。2010年に温室効果ガスの排出量を1990年比で日本は6%削減することが決められている。達成するため、排出権を先進国同士で売買することや、先進国が途上国で植林などを実施した場合、その森が吸収する二酸化炭素などの温室効果ガスを自国の削減分に勘定する手法が認められている。 *G8環境相会合とは?・・・主要8ヶ国(日・独・伊・英・仏・米・露・加)の環境外相が集まり、世界で起こっている環境問題への取り組みについて話し合う会合。別名環境サミット。今回の会合では、2002年に開く持続可能な発展を目指す国際会議のテーマと開催場所について話し合われ、「貧困と環境」をテーマに途上国で行うことが決められた。

 国内外のNGO関係者らはシンポジウムの前後で、各国大臣と会見したり、地球温暖化や森林保護等の環境問題への取り組みを強化し、7月に行われる沖縄サミットでも主要議題として討議することを要請する文書を手渡した。当団体が賛同したG8環境大臣会合へ向けた申し入れのうち、森林に関心を寄せる11ヶ国43団体が署名した「G8環境大臣会合に対する森林に関心を寄せる市民・NGOアピール」を以下に紹介する。


2000年4月

G8環境大臣会合に対する森林に関心を寄せる市民・NGOアピール

 私たちは、世界の森林の状況に、大きな関心を寄せている市民及びNGOです。

 G8各国は、1998年に、「森林に関する行動計画」を実施することを決定し、2000年のサミットでは、この森林に関する行動プログラムの進渉状況について報告することになっています。

 私たち、以下に署名した団体は、G8環境大臣会合が次の行動を行うことを要請します。

1. 環境的、社会的に害をもたらす形で、G8各国の企業に経営された区域から採取された林産物や、木材の違法取引や不正取引を監視し、これを阻止すること。また、「熱帯木材貿易の対象を持続可能な森林経営に基づき生産された木材のみとする」という国際熱帯木材機関の2000年目標を守るべきである。「森林に関する行動計画」では、木材の違法取引について、即刻、実施すべき5つのポイントが指摘されている。

2. G8各国企業による国外での国際的商業活動をチェックし、規制するようなシステムを確立すること。これらの企業や金融機関が、社会・環境上の持続可能性を脅かすような形で操業することが許されるべきではない。また、1999年のケルンサミット・コミュニケの第32項を実施する上では、輸出信用機関などの金融機関による資金フローや支援に対して、最低限のガイドラインとして世銀グループの基準を適用すること。このためには、透明性と市民参加を確保した形での環境社会ガイドラインを作成することが、その最初のステップとなる。

3. WTO(世界貿易機関)での貿易・投資自由化の交渉を一旦中止することを要請し、WTOの意思決定プロセスの民主性と透明性を確保することを最優先すること、及び、十分な透明性と市民参加との下でこれまでの貿易・投資自由化の見直しや環境社会影響評価を実施することをWTOに関する議論において要請すること。こうしたレビューや環境社会影響評価は、世界の人々や生態系にとって重要な社会的、環境的価値の保護にとって必須の要件である。しかし、WTOは、第三回シアトル閣僚会議が宣言文を採択できなかったにもかかわらず、貿易・投資自由化の交渉を開始した。G8各国は、シアトルで世界各国の市民・NGO、さらには数十ヶ国にもおよぶ途上国政府が閣僚宣言案の採択を阻止した事実を真摯に受けとめねばならない。

4. 先住民や、南の人々に特別の配慮を伴った上で、環境、社会の価値や持続可能性を維持し、あるいは回復するため、関税措置及び非関税措置を含めた貿易に関連する政策および措置を利用する国家、自治体、市民としての権利をWTOが認めることを確実にすること。また、多国間環境協定は、WTO協定に優先することを確認すること。これらの政策及び措置政策に対しては、環境等への影響を未然に防ごうとする「予防原則」が尊重され、適用されるべきである。

5. 温室効果ガスの排出削減においては京都議定書3条3項、4項を利用することや、他のメカニズムによって、各国の負担を他の国々に不当に移転することで、義務逃れをしようということを止めること。特に、森林破壊をさらに悪化させる商業利用を目的とした大規模植林プロジェクトは、共同実施、クリーン開発メカニズムや炭素クレジットの国際取引のような措置の対象から除外すべきである。

以上


 日本は京都会議開催国として、2002年までに議定書の発効をと主張する一方で、国内対策だけでは達成は難しいとの見込みから、同様に削減目標達成に頭を痛めているアメリカとともに森林の吸収源効果の利用を支持している。しかし上記アピールの5.にも述べられているように、現在日本の企業等が海外で行っている炭素吸収植林はその地域の生態系に破壊的影響をもたらすものであり、その本旨は商業利用である。11月のCOP6(第6回地球温暖化防止会議)で決められる森林に関する取り決めの中で、植林が温暖化対策としてどのように認められるのかによっては、更に森林生態系への被害が広がる危険性も出てくる。

 森林は確かに二酸化炭素等の温室効果ガスを吸収する。しかし、それを拡大解釈しすぎて温暖化対策として利用すると、ほんの少しの温室効果ガス削減の代償として森林生態系というより多くの犠牲を払わなくてはならなくなる。日本政府はこのことに気づき、吸収源としての森林の取扱いに対しもっと慎重になると同時に、国内温暖化対策に力を注がなければならない。

ニュースレター記事一覧 | 資料室 | ホームページ

© 1999-2003 熱帯林行動ネットワーク(JATAN)