(JATAN NEWS UPDATE No.24より)
2月21日の深夜、オーストラリア東ギプスランド(ニューサウスウェールズ州とビクトリア州の境にある原生オールドグロース多雨林)のグーロングック森林で、3人の自然保護活動家が伐採業者とその子供(男の子)を含む50名によって暴行を受ける事件があった。
事件当日、先住民族のリーダー2人と彼らの支持者40名は東ギプスランドに集まり、伐採用の作業用車を止めて森林伐採の停止への呼び掛けを行った。この時は大きな騒動にならず、伐採業者もすぐに引き上げたが、同日深夜に伐採業者らが集まり、キャンプ場のテント内で眠っていた3人の活動家を鉄の棒や木片で打ちのめしたほか、現場にかけつけようとした個人カメラマンを含む8人をも襲い、一人の男性は両足と頭部にけがを負って入院した。彼らの車や周辺に置いてあったオートバイなども打ち壊され、キャンプ場にあるもの全てが粉々に破壊された。警察は付近の住民を暴動から守るため、道路にバリケードを築いて対応したものの、捜査に積極的でなく、マスコミへの発表も行っていない(2/24現在)。「伐採業者との癒着か?」との疑いの声もあがっている。(この事件の詳細は次号で)■
(JATAN NEWS No.43より)
JATAN NEWS UPDATE No.24でお知らせしましたが、オーストラリア・東ギプスランドにあるグーロングック森林で、2月21日の深夜、眠っていた3人の自然保護活動家が50名の伐採業者らによって暴行されたという事件がありました。
現地活動家の報告によると、「(4月6日時点で)17人の伐採業者が暴動の罪で告発されている。警察は30人以上は検挙できると見込んでいるが、まだ調査中。訴訟が起きるのは、おそらく今年度末か来年になると思われる。」とのことでした。
この事件が起こったグーロングック森林がある東ギプスランドは、ニューサウスウェールズ州の南にあるオーボストという町の北東約50kmの場所にあり、ユーカリ樹種の原生オールドグロース冷温帯林地帯です。国際的植物学者、ディビッド・ベラミィ教授は、東ギプスランドは「世界でもっとも様々な種類の温帯林の生態系」を保持していると述べています。
またこの地方には、世界遺産的価値を持つテーブルランドダンプフォレストと呼ばれる珍しい原生林の群落も残っているそうです。しかし、この地域は国立公園には認定されていません。
東ギプスランド地方で伐採される木材は、その大部分が大昭和製紙の現地法人・大昭和ハリスによってウッドチップに加工され、日本国内で使われる紙の原料として輸出されることになっています。地元の環境NGOは、「エデン(NSW州)および東ギプスランドの地域林業協定(RFA)*1は、ハリス大昭和が将来20年間にわたって木材資源を確保する方向にはっきりと歪められており、1996年にサインされた東ギプスランドのRFAは、そこから伐り出されるウッドチップなどの木材の量に脅威的な影響を与えた」と報告しています。
ウッドチップを含む木材の量
(たった一年間で約600%伐採量が跳ね上がっている!) |
今回の事件に関する報道では、一度も大昭和ハリスの名前は出て来なかったものの、日本企業または日本の過剰な紙消費が少なからず影響していることは明らかです。
この地方では過去10年間にわたって、かなりの回数で伐採業者による暴力事件が起こっており、しかもその暴力の程度はだんだんとひどくなってきているそうです。「死者が出る前に政府が何らかの手段を講じなければならない」とオーストラリアの環境保護団体・Wilderness Society の森林保護活動家は話しています。■
*1地域林業協定(Regional Forest Agreement) :特定地域の原生林がどのように管理されるかについて連邦政府と州政府によって取り決められる協定。通称RFA。
© 1999-2003 熱帯林行動ネットワーク(JATAN)