熱帯林破壊の現状

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インドネシアの熱帯雨林

インドネシアの熱帯雨林の状況

 インドネシアの島々の中で赤道直下に位置するスマトラ島とカリマンタン(ボルネオ島)には、かつて広大な熱帯林が広がっていました。1970年以降、輸出用木材のための伐採などによって、インドネシアに元々存在した未開拓林(原生林)の70%が既に失われてしまいました。特に近年、違法伐採や紙パルプ原料のための伐採によって、森林破壊の勢いが加速しています。

 スマトラ島やカリマンタンの森林には、スマトラゾウや、スマトラトラ、オランウータン、マレーグマなど絶滅が心配されている哺乳動物が数多く生息しているほか、数多くの先住民や地域住民が森林の恵みに依存した伝統的な生活を送っています。特に、低地熱帯雨林(標高の低い場所に広がる熱帯雨林)は経済と生物多様性の両面で重要ですが、今のペースで減少が進めば、2005年から2010年までにそのすべてを消失してしまうかもしれないと、世界銀行は予測しています。

カリマンタンの森林減少スマトラの森林減少

はびこる違法伐採

 インドネシアでは、政府の認可を得ていない伐採や、伐採時の規制や計画の違反などのいわゆる違法伐採が急激に増加しています。言うまでもなく、違法伐採は持続可能なものではなく、国立公園などの保護区にも及んでおり、森林破壊の大きな原因となっています。

 政府が発表している公式の丸太生産量は1,200万m3しかないにも関わらず、国内の木材消費量は6,300万m3にも達しており、木材の全生産量のうち約8割が違法伐採によるものと推計されています。

 また、インドネシアと国境や海峡を挟んだマレーシアやシンガポールなどへの違法な木材の輸出も行われています。マレーシアなどに違法輸出された木材は、そこからさらに中国、日本、台湾、香港などに輸出されています。すなわち、日本などで木材が過剰に消費されていることが、インドネシアの違法伐採の要因のひとつとなっているのです。

 こうした中、インドネシア政府は、違法伐採の対象となっていた樹種のひとつであるラミンの伐採と取引を禁止し、対策は一歩前進しました。しかし、ラミンの違法伐採は今も続いています。




マレーシア向けに木材の違法輸出を行なう労働者

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紙パルプに姿を変える熱帯林

 インドネシアの紙パルプ産業は、この10年間で大変な勢いで成長しています。2001年には、インドネシアのパルプの生産量は世界第9位になりました。

 中でも最も大きなものは、スマトラ島中部のリアウ州にあるRAPP(APRIL)社とIndah Kiat(APP)社の2社で、大規模な伐採とアカシアの産業植林を行なっています。この際、もともとあった天然林は「皆伐」され、たった一種類のアカシアだけが、将来の紙パルプ原料のために植林されています。天然林が皆伐されると、豊かな生態系は失われ土壌の保水力も低下してしまいます。

 これらの企業の伐採やアカシア植林は、地元住民の同意なく行われることも多く、土地を奪われた住民との対立が各地で引き起こされています。

 紙の生産に伴って、工場廃水の垂れ流しによる川の汚染なども深刻化しています。漁業によって生活の糧を得ていた地元住民の生活は立ち行かなくなり、また川の水を生活用水として使っているために、皮膚病などの健康被害も出ています。さらに、工場のばい煙による大気汚染は、地域住民の呼吸器系疾患をも招いています。

 こうして作られた製品は、コピー用紙等として日本にも輸入されています。

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RAPP社によって皆伐された森林

インドネシアの紙類、加工品類の生産量と輸出量

アブラヤシに破壊される熱帯林

 東南アジアの熱帯林は、広大なアブラヤシプランテーションに次々と姿を変えています。インドネシアでは、1967年に10.5万haだった栽培面積が、2000年までの約30年間に約30倍(約300万ha)に膨れ上がっています。

 アブラヤシはその実から油を絞るために植えられますが、そのために広大な面積の熱帯林が「皆伐」され、すっかり丸裸になってしまいます。プランテーションは一見すると緑が豊かで森のように見えますが、植えられているのはたった一種類のアブラヤシだけ。当然、野生動物の姿を見ることはできません。

 アブラヤシのプランテーションができることで、もともとその土地に暮らしていた地元住民の生活は大きく変わってしまいます。開発会社に土地を奪われた(土地を売った)村人たちは、耕す土地を失い先祖から代々受け継いできた生活文化(森と共に生きる方法)をも失うことになります。アブラヤシプランテーションは他にも、低賃金労働や危険な農薬の使用など様々な問題を抱えています。




見渡す限りのアプラヤシプランテーション

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