- 岩波環境学6-「生物多様性」 各巻末の演習課題に答える。
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- 解答例の中でJATANの活動に関係のありそうな箇所を抜き出して、●に小倉の考
- える答えを書いてみました。質問の趣旨とは対応していない答えの方が多いと思い
- ますが、ぼちぼち検討していただければと思います。
- 本当は、岩波本の筆者の方々に送って、将来の修正を求めるべき演題もあるよう
- に思いますが。
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- 第4章設問(1)
- アマゾン熱帯雨林をかかえたブラジルでは、森林の伐採の際には80%の森
- を手付かずに残すことが法的に義務づけられている(はじめは、50%になってい
- た。)。
- したがって「生物多様性を保全するには、どのように80%の森を残すべきか」と
- いう問題は、伐採が避けられない場合には現実的に重要な問題である。さて、この
- 問題に対してどういう指針が考えられるであろうか?本章で取り上げた諸点に関連
- させて検討しなさい。[ヒント:生物種の絶滅に係わる要因として、生物集団の大
- きさの効果の他に、残す森の面積自体の効果、残す森と最寄りの連続的森林との関
- 係、残す森のまわりの土地からの影響などを考える必要がある。しかも生物多様性
- は種数だけではない]。
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- ●注):問題が指摘されていた、50%の土地を使ったあと残りを転売でき、買い
- 手がさらにこの半分を伐採し続けるという抜け穴の問題は、数値を80%にしたこ
- とだけでは解決していない。短期の投機的な転売に対しての懲罰的な取引税などが
- 必要。
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- ●森林の断片化を防ぐことは第一原則として考えられ、生物移動回廊(コリドー)
- の形をいかに決めるかを指標として、道路を介しての人のアクセス利便性を度外視
- して林道は設計されるべき。おそらく、すべての林道は袋小路の形をした分断しな
- い形状をベースに作られるべき。
- 最適なのは、高価ではあっても、ヘリコプターによる択伐手法を採用すること。
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- 第5章設問(1)
- 北アメリカのフロリダ半島には照葉樹に相当する森林が分布するが、その森
- 林を構成する樹木は東アジアの森林とは異なっている。むしろ、中央アメリカの山
- 岳地帯に共通分類群の樹木が分布するが、その理由を推測しなさい。
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- ●ほとんど種の伝繙が考えられない北アメリカと東アジアで共通の樹種がないのは
- 当然で、隔離された生態系間における同様のニッチを満たす樹木が共通の樹種であ
- ることは少ないということ。
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- ●中央アメリカの山岳地帯にある樹種と共通点が多いということは、過去の一時期
- には、同一の樹種が両地域にまたがって生えており、その後の長期的な気候変動に
- より、樹木が現在の位置まで移動している証拠と考えられる。
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- 第5章設問(2)
- ヨーロッパ北部の亜寒帯(北方)針葉樹林では土壌の発達が悪いのに対して、
- 東シベリアでは、比較的発達した土壌を持つ、その理由を考えなさい。
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- ●ヨーロッパ北部では、メキシコ湾流から至る暖かい海水の影響で気温が高く、ま
- た降水量の違いなどにより、微生物、昆虫などによる堆積有機物の分解速度が大き
- く違うことによるだろう。
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- 第5章設問(3)
- エルニーニョ南方振動現象の影響を受けて起こったと言われる、1997年
- のボルネオ島の山火事は数百年に1度のものとも考えられる。こうしたまれな自然
- 撹乱が地域の生物多様性に与える影響を論じてみなさい。
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- ●今回の山火事そのものは自然撹乱とみなすべきではない。人為的な火入れの問題
- として捉えるべき。
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- ●まれな撹乱により、成熟相の生態系は一旦なくなった後、周囲から徐々に復活し
- ていく。山火事の頻度が大きければ、影響を受けていない成熟相が残った地域がな
- くなり、成熟相の優越樹種や植物は絶滅へ向かう。
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- ●逆に生態系の変化に強い、フロンティア相で優越する樹種や植物は、成熟相の生
- 態系が復活してきた後では生き延びていないと考えられる。これらの生物種の保全
- を考える上では、大規模な生態系の擾乱を抑圧することは問題があるというのが。
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- ●注):とはいえ、97年98年の森林火災や干ばつの問題は、それほどまれな出
- 来事とは思われず、気候変動の結果将来も頻繁に起こることが予想されている。
- その意味では変動しつつある気候条件に対応して、生態系の保全を行うという、
- これまで考えられていなかった新たな問題意識の下で対策を考えることが必要。
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- 第5章設問(4)
- モンスーンアジアには渡り鳥が多いが、その中には渡りをしながら樹木の種
- 子を食べている鳥や、渡った先の森林で繁殖をする鳥も数多く知られている。この
- ような鳥の保全を行うために考えなくてはいけないことを述べなさい。
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- ●東南アジア(最近では大陸半島部アジア)での森林減少が日本へやってくる渡り
- 鳥の減少を招いているらしいことが分かってきており、同時平行的に南北両地方の
- 森林保全を行えなければ、鳥類の減少と鳥媒の種子移動が行われなくなるという問
- 題が生じ、遠隔地の生態系への悪影響が懸念される。
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- 第7章設問(1)
- 発展途上国における急激な人口増加の結果、都市部からあふれだした貧しい
- 人々が自然生息域に進出し、そこを開墾するという現象が世界各地で起こっている。
- このような種類の自然生息地の破壊は避けられないことなのだろうか。四手井・吉
- 良(1992)や日本学術振興会(1989)などの文献を道しるべとして、発展途上国におけ
- る人口増加と自然保護のバランスをはかるための具体的な方策について考えてみよ
- う。
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- ●注:)実際は、ブラジルやインドネシアなど途上国の国策としての国内移住政策
- が行われている例もある。地域ごとの違いはあっても、農村部での乱開発の結果、
- 都市部への流入が進んでいることと、流入人口が加速して起こる都市の人口爆発と
- いう二つの事象の組み合わせが共通要因であると思われる。これらの開発パラダイ
- ム自体や、政府開発援助(ODA)の問題として認識すべきである。
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- ●一部の砂漠化に直面した地域などでは、薪炭材への人口圧力を食い止めるための
- 緊急避難的なガスボンベの配給などの対策も取るべきだろう。
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- ●後発途上国においては、人口増加を食い止める一番の方法は、生活レベルの向上
- であると言われている。これは日本を含む、人口抑制政策が成功した国での実例に
- 基づくものであるが、生活レベルの向上そのものは過去のモデルに従ってやるので
- はない、社会面で公正で、環境面で持続可能な代替のモデルを目指すべきだろう。
- ここでも、先進国からの技術移転やモデルのパラダイムをそのまま移転することは
- 問題視されるべき。
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- 第7章設問(2)
- 生物の「生存する権利」とはなんだろうか。また、この「権利」は生物のグ
- ループによって、たとえばサルと大腸菌では異なるのか。これらについて議論して
- みよう。
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- 第7章設問(3)
- マグロは日本の私たちにとっては欠かすことのできない食物であるが、過去
- 30年ほどの間に、マグロ類は種によっては80%も減少するほど捕獲されてきており、
- ミナミマグロなどは国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに、深刻な危機に瀕し
- ている種(絶滅危惧IA類)として掲載されている。関連資料(矢原ほか(1996)など)を
- 図書館で探索・調査し、今後マグロの捕獲をめぐってどのような方策が講じられる
- べきかについて、さまざまな視点から議論してみよう。
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- ●ミナミマグロ問題は現在、日豪Nz間で年次漁獲枠を決める協定が行われており、
- 協定を誠実に遵守するよう、日本政府に圧力をかけることが重要。
- 現在は、年次漁獲枠以外に調査捕鯨名目の追加漁獲枠を日本政府は求めて強行操
- 業しており、国際海事裁判所で停止を求める判決が出たばかり。
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- 第7章設問(4)
- 熱帯林を伐採・開拓することによって造成されたプランテーションからの生
- 産物をわれわれは日常的に利用している。たとえば、東南アジアのアブラヤシから
- 得られ、合成洗剤よりも環境に優しいといわれる石けんや、アマゾンからの胡椒、
- コーヒーなどである。あなたがそれらを購入し、使用することで、発展途上国の経
- 済や生物多様性にはどのような影響が及んでいるか、また先進国にいるわれわれは、
- どのような点を考慮して発展途上国からの輸入産物を購入すべきかについて議論し
- てみよう。
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- 第7章設問(2)
- 持続的社会を実現するためには、循環、多様性、共生が不可欠となる。これ
- ら3つの概念と人間社会システムの関係を図に描いてみなさい。
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- 第7章設問(4)
- この講座では第6巻「生物資源の持続的利用」で農林水産賞の持続性を議論
- している。それを参照しながら、多様性の保全と資源の有効利用の関係についてま
- とめなさい。
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