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海外技術協力分科会
「水と衛生に関わる開発援助」フォーラムを開催しました
去る12月7日(日:13:00-17:30)、”JICA地球ひろば”の会議室において、JICA地球ひろば・本会共催の「水と衛生に関わる開発援助」フォーラムを開催しました。2008年が国際衛生年にあたることもあり、本会が2004年度より実施してきたバングラデシュ農村域におけるエコサン・トイレの導入活動で得られた成果を共有し、衛生分野での国際協力にどのようにかかわっていくかについて議論の場として企画したものです。当日は、“JICA地球ひろば”からの広報の支援もあって、50名近くの関係者が集まりました。
フォーラムでは、まず北海道大学大学院教授船水尚之先生から 「“混ぜない”,“集めない”排水処理とコンポスト型トイレ」について基調講演をいただきました。現在の先進諸国に普及している下水道システムの限界を念頭に、後進国に見られる水と衛生問題、資源循環、健康リスクなど多角的な視野のもとで、し尿分離の原点を整理し、コンポスト型トイレの研究成果について講演をいただきました。し尿の毒性、環境ホルモンにまで踏み込んだ緻密さと、きちんとしたプロセスシステム解析を踏まえた論旨には感動すら覚えました。
次に本会、高橋邦夫・保坂公人・高村哲氏からJICA草の根技術協力事業中間報告として、「バングラデシュ農村域における資源循環トイレ導入の経験と展望」の発表がありました。ぼう大な資料に対して説明が中途半端に終わり、時間配分が適切ではなかったのが反省点です。内容については、年次報告書としてとりまとめ、勿論本会の皆様に公表いたします。
その後、日本トイレ研究所の加藤篤氏から「楽しみながら学ぶトイレ・衛生教育」、本会佐藤八雷氏から「ベトナム南部沿岸地域の小中学校への衛生改善活動報告」を、そして京都大学特定助教原田英典氏から「エコサン・トイレ導入とその後:都市および農村それぞれにおける事例から」と題した講演を頂きました。
「楽しみながら学ぶトイレ・衛生教育」では、ベトナム・東チモールでの体験を基調としたものですが、トイレが文化風土に根ざしたものであり、子供たちに教え・教えられながら共に教育を考えていくという指摘は、強く印象に残ります。
「ベトナム南部沿岸地域の小中学校への衛生改善活動報告」は、学校に導入した共同トイレの導入経過のご苦労が伝わる講演でした。学校などの共同トイレの管理は一般的に困難であり、失敗事例の報告は多々聞いていますが、今後どのような経過で定着した施設となるのかが楽しみです。
「エコサン・トイレ導入とその後:都市および農村それぞれにおける事例から」では、2つの事例が報告されました。ひとつは「中国内モンゴル自治区におけるスウェーデン・中国エルドスエコタウンプロジェクト」と「ベトナムにおけるエコサン・トイレの導入プロジェクト」です。「エコタウンプロジェクト」は、「コンポスト型トイレ」の大規模新興団地への導入事例です。トイレの装置に関わる問題、不適切な使用に起因する問題等が挙げられましたが、2500世帯を対象とした計画実施は、都市域における今後の一つの先進事例と位置づけられるでしょう。また「ベトナムにおけるプロジェクト」は、本会のバングラデシュの導入活動の原点の一つともいうべきプロジェクトであり、長期的なフォローアップの重要性を強調したものでした。いずれも本会の活動とは密接な関係を持っており講演者の皆様には今後とも、有意義なお付き合いをお願いした次第です。
そして最後に、本会代表酒井彰氏から「水と衛生に関わる開発援助の方向性」と題した本会の今後の取り組みの方向性と意義について講演を頂きました。飲み水と衛生問題は勿論リンクしています。どちらが先という効率議論はバングラデシュのような高人口密度、低湿地ではなじまないでしょう。そして本会がこれから取り組もうとしている、砒素汚染の顕著な地域での、飲み水の安全と衛生改善・資源利用の両者を念頭に入れたプロジェクト(バングラデシュ農村地域での水と衛生に関わる生活改善活動:三井物産環境基金による)が紹介されました。
思いのほかの多くの参加者に用意した会議室は満席状態でした。また、駆け足の説明で、十分な議論もできませんでしたが、最後まで付き合ってくれた参加者の皆様には改めて感謝する次第です。フォーラム終了後、簡単なアンケートに対して10名ほどの回答を得ました。その結果はほとんどが好感的であり、再度の開催も求める要望もありました。
最後になりますが、フォーラム開催に際して、会場の用意、資料の準備など甚大な協力を頂いた、JICA地球ひろばNGO連携課中野幸昌氏に感謝いたします。
なお、当日の講演内容のうち、JICA草の根技術協力事業中間報告「バングラデシュ農村域における資源循環トイレ導入の経験と展望」、および「水と衛生に関わる開発援助の方向性」について著者の承諾のもとで、内容を公表いたします。
