労 働 電 子 辞 書

  労働にかかわる言葉の簡単な解説をまとめて載せています。
 そのため、「ことば」は逐次増えていきます。ご期待ください。
 また法律改正を始め、解釈の間違いなど気がついた点などあれば、ジャパンユニオンまでご一報ください。


「あ」行

 
【ILO条約・勧告】
 ILO総会によって条約や勧告として採択された社会労働問題に関する国際規範をいう。
 国際労働条約が本質的に国際間の義務を創設する文書たる目的を有するのに対して、勧告は、もっぱら基準規定文書として国内措置の指針を掲げることを目的としている。


【育児休業法】
正式には「育児休業に関する法律」といい、1992年(平成4年)4月より施行された。

子どもを育てる男女労働者が働き続けることができるように、子どもが生まれた日から満一歳になるまでの間、育児休業をとる事ができる。使用者は労働者の申し出を拒否できず、また育児休業を取得したことを理由とする解雇は禁止されている。

休業期間中の所得補償は労使の話し合いにまかされている。年次有給休暇の算定にあたっては、育児休業期間は出勤扱いとなっている。


【請負】
 当事者の一方(請負人)がある仕事を完成させ、他方(注文者)がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約束する契約(民法632条)。
 仕事の完成が目的である点で、労務を提供すること自体を目的とする雇用契約と異なる。請負契約であっても注文者と請負人との間に使用従属関係がある場合には労働契約として把握され、労働基準法その他の労働法規の規制を受ける。
 最近は雇用契約を請負契約に変更したいという経営者からの提案が多くなっています。工場労働者にまで提案されたのを聞いて驚きました。究極の労働組合つぶしです。だって労働者がいなくなってしまうのですから。
 貴方も目先の手取り収入や「独立・起業」などということばに惑わされないようお気をつけを。

【営業譲渡】
 甲がその営業を乙に移転する契約をいう。動産・不動産や権利はもとより、営業上の債務も含まれる。営業の譲渡は、譲渡前と同様に営業活動を継続するための機能財産を一括して移転することを目的とし、その結果営業主の交替という効果を生ずるものである。営業のための建物または土地だけの譲渡など個々の財産の譲渡は、営業用財産の譲渡であり、それのみでは営業の譲渡ではない。

【エンゲル係数】
ドイツの統計学者エルンスト・エンゲルは、労働者の家計を調べた結果、「所得の少ない階層ほど総支出の中で飲食費の占める割合が高い傾向にある。」という統計法則を見出した。このことから彼の名にちなんで、家計支出に占める飲食費の比率を一般にエンゲル係数といっている。

エンゲル係数は、その対象によって生活程度を判断する指標としても使われている。なお総務庁家計調査によれば、日本における全国勤労者世帯のエンゲル係数は、1991年平均で24%となっています。貴方はどの程度ですか。


【黄犬契約の禁止】
 yellow-dog contract  労働者が労働組合に加入しないこと、または現に加入している場合にはこれから脱退することを雇用条件とする労働契約。このような契約は、使用者の不当労働行為として禁止されている(労働組合法7条1号)。従って、労働者が労働組合に加入しないこと、または、労働組合から脱退することなどの条件を付けた労働契約は無効になります。
 経営者や上司から「悪いようにはしない」とか「いまのうちだ」とか、おどし・すかしなどいろいろ言ってきます。そんなことばには騙されないように。だってもう騙されたくないから、組合を作ったり、入ったりしたのでしょうから。


「か」行


【解雇の制限】
1.広義の意味
 本来使用者の有している解雇の自由を制限するすべての制度を指す。この意味での解雇制限は、1.労基法上の解雇制限制度(19条)、2.解雇予告制度(20条)、3.労働者の国籍、信条または社会的身分を理由とする解雇(3条)、4.労働者が事業場に労基法もしくは安衛法またはこれらの法律にも基づく命令の規定に違反する事実があることを労基署または労働基準監督官に申告したことを理由とする解雇(104条2項、安衛法97条2項)、5.不当労働行為の制度(労組法7条)がある。
 
1.狭義の意味 
 労働基準法第19条に規定する解雇にあたっての制限を言う。使用者は、労働者が業務上負傷(疾病)のため休業する期間およびその後の30日間、また産前産後の女子が労基法の規定により休業する期間およびその後30日間は解雇が禁止されている。

【解雇予告手当】
 使用者が労働者を解雇しようとする場合には、少なくとも30日前に予告しなければならないが、30日前に予告しない時は30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。これを解雇予告手当てといい、労基法第20条の手続きである。懲戒解雇で即時に解雇する場合も除外申請を労基署へ提出し認定されない限り、解雇予告手当ての支払いを免れるものではない。

【仮差押】
 未払い賃金請求事件など債権確保に関する事件で、通常の訴訟手続きによる判決を待っていたのでは現状変更(相手方の財産処分、離散など)により債権確保が困難になる恐れがある場合、財産を仮に差し押さえて、債務者の処分権を奪っておくことを目的とする保全手続き。

 仮差押の用件としては、1.強制執行のできる金銭債権や請求権があること。2.いま仮差押をしなければ、将来の強制執行が困難になるおそれがあるこ との2要件が必要である。

【仮処分】
 仮処分には、二つの種類がある。係争物に関する仮処分と仮の地位を定める仮処分である。
 通常の訴訟手続きが手間取り、判決確定まで待てないような緊急の必要性がある場合に、申請人に仮の地位を定める裁判。いわゆる執行保全手続きのこと。

【過労死】
 長時間労働やストレスによって、多くは働き盛りの中高年がおこす突然死を言う。
 仕事上の疲労やストレスの蓄積が原因で脳・心臓疾患を起こし、死に到るケースを過労死と呼んでいる。業務上の災害のうち、疾病の範囲については、労基法第75条、同法施行規則第3条別表第1の2において制限列挙されているが、過労死と言う概念は例示されていない。過労死が業務上の疾病として認定をうけるには、業務上に起因して発症したという因果関係があきらかであるということで、労働基準監督署長の認定が必要。残業時間で言うと、一般的には一ヶ月に96時間を越えた場合、認定の対象になる。その他認定基準について、厳しすぎると言う意見が多い。
 今後の課題である。
 しかし、過労死しない働き方を求める闘いが大事であることは言うまでもない。

【期間の定めのない労働契約】
 契約期間を定めていない労働契約。このような契約の当事者はいつでも解約の申し入れをすることができる(民法627条)。民法の規定では、契約の解約の申し入れの効力は、原則として申し入れ後2週間を経過して発生することになっているが、労働者保護の見地から使用者からの解約の申し入れは、30日以上前にしなければならない(労基法20条)。

【休憩】
 労働時間の途中において、一定時間労働する義務が免除されること。労基法第34条は、憲法第27条を受け、労働条件の一つとして休憩時間に関し定めている。労働時間が6時間を越える場合は、少なくとも45分、8時間を越える場合は、少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えることと、休憩時間を自由に利用させることをさだめている。
 但し、長距離にわたり継続して乗務する運転手、車掌など特定の業務に従事するものは、適用が除外されている。

【休日】
 労働の義務がないと労働契約、就業規則、労働条約等によって定められている日。労働の義務のない日をいう。労基法第35条は、使用者は労働者に対し毎週少なくとも1回、又は、4週間を通じて4日以上の休日を与えることを定めている(法定休日)。この他、週休日以外の休日として、国民の祝日や年末年始の休日があり、各企業においてそれぞれ定めている(法定外休日)。なお行政解釈は「1週間」とは、就業規則に特段の定めがない限り日曜日から土曜日に至る一週間をいい、「一日の休日」とは、原則として、午前0時〜午後12時までをいうとしている。

【緊急命令】
 労働委員会の命令を不服としてその取り消しの訴を使用者が起こした場合、その裁判所は当該労働委員会の申し立てにより、使用者に対し当該事件の判決の確定に到るまで、その命令の全部又は一部に従うべき旨を命令できる(労組法27条8項)。不当労働行為の救済をできるだけ迅速に行うための、緊急的措置である。

【クーリングオフ】
 cooling off
 分割払いの割賦販売や、セールスマンの訪問販売などによる購入契約をした消費者が一定の冷却期間内には違約金なしに契約解除(契約申し込みの撤回)ができるとした制度のこと。「訪問販売等に関する法律」や「割賦販売法」では、その期間を消費者が契約の申し込みや締結をした場合、事業者からこの制度の内容をしらされた日から起算して7日(連鎖販売取引の場合は14日)以内に、書面で通知すれば無条件でこれは解約できる。不動産取引や生命保険の勧誘にもこの制度が導入されている。

【刑事上の免責】
 労組法第1条第2項は、「刑法第35条の規定は、労働組合の団体交渉その他の行為であって、前項に掲げる目的を達成するためにした正当なものについて適用があるものとする。」と規定している。この規定の趣旨は、労働組合が行う正当な争議行為等については、その行為が仮に刑事上の罰に該当する場合でも、正当な行為としてその違法性がなくなり、処罰されることがない。


【契約期間】
労基法第14条では、雇用契約を締結する場合に、期間の定めをしないか、又は、期間の定めをする場合には、3年(5年)を超える期間の定めをすることを禁じている。これは、もっぱら労働契約期間を長期に定めることによって、労働者を長期間拘束することを法で禁止したものである。


【減給】
 一般には職場秩序を違反に対し、懲戒処分として賃金からその一定の額を差し引くこと。減俸とも言う。懲戒処分の一種であり、契約罰としての損害賠償とは区別される。労基法では、労働者保護の観点から、減給1回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払い期における賃金の総額の10分の1を超えてはならないと規定している。
 最近労働相談で、仕事のミスで会社に損害賠償金を払っているという話がありました。請負契約でない限り、損害賠償などありえませんし、懲戒処分であっても労基法による歯止めがあります。会社の脅かしに屈することなかれ。

【公益委員】
 労働者委員と使用者委員と共に労働委員会を構成する。3者で労働争議の斡旋、調停など行うが、公益委員のみで労働組合の資格審査、不当労働行為の審査、労働争議の仲裁などを行う。公益委員は、準司法的機能を担当することから、その中立性確保、事務処理の公正を期するため、一定数の者が同一政党に属してはならないこととされている。

【合同労組】
 日本の労働組合は、企業単位に組織されるのが一般的ですが、合同労組は企業の枠を超え、個人加入を原則に、地域ごとに組織される労働組合である。中小零細企業における未組織労働者の組織化の方法の一つ。最近はこの合同労組が元気です。組織化率は下がる一方ですが、合同労組は組合員を増やしているようです。

【雇用契約】
 当事者の一方が相手方に対して労務に服することを約し、相手方がこれに報酬を与えることを約することによって成立する契約。
 つまり労務を提供すること自体を目的とする契約である。この点において仕事の完成を目的とする請負とは違います。相談事例でときどきあるのが「やめたくてもやめさせてくれない」というのがあります。また「仕事のミスに対し損害賠償しろと言われた」というのもありました。
 請負と雇用契約の違いがわからず、法外なことを言っています。使用者の言葉の勢いに負けず、冷静な対処が必要です。

【雇用保険法】
 失業保険法(昭和22年法律146号)が改正され、雇用保険法として1975年(昭和50年)4月1日から施行されている。
 労働者が失業した場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活の安定を図ると共に、求職活動を容易にする等その就職を促進し、合わせて労働者の職業の安定に資するため、失業の予防、雇用機会の増大、雇用構造の改善、労働者の能力開発及び向上、その他労働者の福祉の増進を図ることを目的としている。

【国際労働機関(ILO)】
 International Labor Organization のこと。
 第一次世界大戦後ベルサイユ条約に基づいて1919年(大正8年)6月設立。現在は国際保険機関(WHO)、国際連合教育科学文化機関(UNESCO)等と同様、国際連合の専門機関として重要な位置を占めている。その目的は、国際的に労働者の労働条件を改善して社会正義を確立し、世界平和に貢献すること、労働者の生活向上、完全雇用、労使協調、社会保障の実現等を助長促進することである。ILOの条約と勧告は、国際労働法典として世界中の国で参考にされ、守られることが期待されており、世界中の国の労働法の基礎、基準となっている。
 現在ILO加盟国は160、日本は1954年より常任理事国となっている。


「さ」行


【最低賃金法】
 賃金の低廉な労働者について事業もしくは職業の種類または地域に応じ賃金の最低額を決定することにより1)労働条件の改善を図り、2)労働者の生活を安定させ、3)事業の公正な競争の確保に資するとともに国民経済の健全な発展に寄与する目的で1959年に制定された。同法は、最低賃金の決定方法、最低賃金の効力のほか、適用除外、最低賃金審議会などについて定めている。ちなみに今年度の地域ごとの最低賃金は厚労省のHPで確認してください。

【36協定(時間外労働および休日労働に関する協定)】
 労基法では、1週間40時間、1日について8時間労働を原則とし(労基法32条)、さらに毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない(労基法35条)としている。この原則を超えて時間外労働又は休日労働をさせるためには、使用者は、その事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、ない場合には、労働者の過半数を代表する者と書面による協定を結び、労働基準監督署に届けなければならない。この協定について、労基法36条に規定されているところから、通常さぶろく協定と呼ばれる。
 
【産前産後の休業】
 女子労働者の出産前及び出産後の休業のこと。母性保護の見地から産前産後の就業を制限したもの。休業期間については、産前6週間、多胎妊娠の場合は10週間を本人の請求による選択的就業制限とし、産後については6週間を絶対的就業制限、その後2週間を医師の証明を条件とする選択的就業制限としている。休業中の賃金については、労基法には定めがなく、健康保険では出産手当金として標準報酬日額の6割が支給される。

【支配介入】
 使用者が「労働者が組合を結成し、もしくは運営することを支配し、もしくはこれに介入」すること。このことは労働組合の自主性を失わせるものあるから不当労働行為として禁止されている。「支配」とは、労働組合の意思決定を左右することを言い、「介入」とは、左右する程度に至らない事を言う。

【就業規則】
 就業規則とは工場、事業場における労働者の賃金、労働時間などの労働条件および服務規律、あるいは職場の慣行を成文化したもの。労働基準法では、常時10人以上の労働者を使用する事業場の使用者に対し、就業規則を作成し、労働基準監督署に届けること(第89条)、常時各職場の見易い場所に掲示するなどして労働者に周知すること(第106条)の義務を負わせている。
 が、実際はほとんどの職場で置いていませんし、そもそも就業規則のない会社もあります。しかし軽い気持ちで「見たい」などと言うと、即座に会社の敵になってしまいます。疑問があったら職場の同僚に聞くなどしてから、充分注意して会社に質問を。それでもトラブったら、労働相談センターに。はたしてあなたの職場にはありますか。

【試用期間】
 新規採用時に本採用とせず試験的に使用されている期間。その期間中に業務態度、能力、技能、性格等をみて、正式に採用するかどうかを決定することを許した期間。労基法第21条は、解雇予告手当ての支払いについて、試用期間を14日と規定し、それ以上雇用した上で解雇する場合は、通常労働者と同じに解雇予告手当て(20条)を支払うよう定めている。また試用期間の延長は、納得できる合理的な理由が必要とされている。
 試用期間中は給料を安くして、本採用になったら上げますと言いながら、長い試用期間が終わったら解雇ということがあります。くれぐれもご注意を。もっとも使用期間中に、こちらからも会社の様子をじっくり見ておきたいですね。 

【女子差別撤廃条約】
 「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」の略称。第34回国連総会(1979年)で採択され、1981年9月3日に国連条約として正式に発効した。日本は、1980年(昭和55年)7月、デンマークで開催された「国際婦人年の10年中間世界会議」における署名式において、本条約に署名し、1985年6月25日批准した。条約批准のため、雇用の分野については、1985年「男女雇用機会均等法」を成立させた。

【所定労働時間】
 工場・事業所において特段の命令がなくても労働契約上当然労働すべき時間として定められた始業時刻から、終業時刻までの時間から休憩時間を除外した時間をいう。通常の賃金は、この時間の労働に対して支払われる。これ以外の労働は「所定時間外労働」と言い、残業代支払い対象になる。
 あなたの会社が残業代についてとぼけているか、「残業代なんか払わん」といばっているようでしたら、いざという時のために自分でメモしておきましょう。いずれ職場で組合をつくるとかしてしっかり取り戻しましょう。
 
【ストライキ】
 罷業(ひぎょう)または同盟罷業と訳されている。労働者が労働条件の維持・改善を目的に団結して、労働力の提供を拒否し、その持つ労働力を使用者に利用させない行為。労働力の提供を拒否して業務の正常な運営を阻害することによって使用者に圧力をかけ、自己の主張の貫徹をはかろうとするものである。労働契約上の労務提供義務の不履行となるが、正当なストライキについてはその責は問われない=民事上免責(労組法8条)
 めっきりストライキという言葉を聞かなくなってしまいました。反比例するように職場からの悲鳴が労働相談に多くなってきています。そして労働組合自体の存在さえもいらなくしてしまおうという昨今の動き。フリーターと称する擬似失業者や、請負契約の増加は従来型の労働組合の存在の意義を失わせてしまいます。資本家の究極の階級闘争、労働者階級を消滅させて、ひたすら金儲けに走る姿勢に対抗する労働運動が必要です。

【争議権】
労働者が自らの労働条件を向上させるために、使用者に対して自己主張を貫徹するため、団結してストライキ、その他の争議行為を行う権利。
 憲法第28条「団体行動をする権利」として保障している。これに基づき正当な争議行為は労組法で刑事上の免責、民事上の免責及び不当労働行為の保護を与えている。実質的に優位にたつ使用者に対し、労働者に対等な立場を維持させるために認められたものである。


「た」行


【代休】
 労働者が、労働義務のない日に働いた場合、それに対する代償として、その後に与えられる休日をいう。代休を得ても、割増賃金(3割5分以上)はもらえます。
 労働相談を聞いていますと、代休どころか割増賃金ももらっていない方がたくさんいます。「仕事がかたづかないのは、君の仕事が遅いからだ!」という社長や管理職の怒鳴り声に反論できない貴方、そこで沈黙してしまうといつまでたってもサービス労働からぬけられませんよ。

【団体交渉権】
 労働者が団体交渉をする権利。労働者が個々に使用者と労働条件を契約すると、どうしても不利になる場合が多いので、労働者が団結の力を発揮して使用者と実質上対等な交渉をするために認められたものである。
 憲法第28条及び労組法はこれを権利として保障している。労働組合が団体交渉を申し込んだときは使用者は正当な理由なしに拒否できません。
 
【賃金支払いの5原則】
 賃金の支払方法について、使用者の守るべき事として、労働基準法第24条では、(1)通貨払い、(2)直接払い、(3)全額払い、(4)毎月最低1回払い、(5)一定期日払いの五つの原則を定めている。
 つまり、法令又は労働協約に定める場合を除いて、現金で、直接本人に、全額を、毎月一定期日の支払日に支払わなくてはいけないといことです。これが最低の条件です。
 
【賃金台帳】
 労働基準法第108条に、事業所ごとに労働者に支払う賃金の明細を記録しておくことを義務づけています。これが賃金台帳です。内容は、氏名、性別、賃金計算期間、労働日数、労働時間数、賃金の種類など、賃金計算の基礎となる事項および賃金の額です。賃金台帳は3年間保存しなければいけません(労基法第109条)。

【転籍・出向】
 「転籍」とはいままで在籍した会社を退職して他の会社に新しく入社すること。「出向」は今までの会社に在籍したまま子会社など他の会社で業務指示を受けて働くこと(在籍出向)。会社から「転籍」とか「出向」とか言われ、内容に納得いかなければとりあえずきっぱり「私はいきません」と断りましょう。あいまいな返事は会社側につけいる-隙を与えてしまいます。いろいろしつこく、いやがらせも含めて言ってきますが、「定年までがんばります。」とはっきり言いましょう。短期は損気。家族の顔を浮かべれば売り言葉に買い言葉などということはなくなるのでは。
 「転籍」は退職を前提にしていますから、当然本人の同意なくしてできません。まして他社への就職まで会社が決めるなどできる訳がありません。
 「出向」については、ちょっと微妙な点もありますが、「出向」による、大幅な賃下げなどがあれば当然断ることができますし、「権利の濫用でないこと」(民法1条3項)が一番問題になります。
 もし「出向」に応じる場合でも、出向期間、出向先の労働条件、復帰の仕方など文章で確認しておきましょう。行ってみたら「話しと違う。」とわかっても、口頭だけですとあとのまつりです。
 今の時代ですと転籍や出向でも「仕事があるだけましだ。」と簡単に納得しがちですが、大事な人生ですから慎重に。


「な」行


【日給月給制】
 賃金を月単位で計算して支払う点は月給制と同じですが、遅刻・早退・欠勤などにより、所定の労働をしなかった場合、定まった賃金のうちから、労働しなかった時間数や日数に応じて一定額を差し引き、その残額を支払う制度。日給制といって一日いくらと決め、それを月単位で支払われる制度とは違います。就職の時に条件を確認する際には十分注意を。

【日給制】
 定額給のひとつであり、賃金額を1日についていくらと、日を単位として定めている賃金形態。時間給、週給、月給とともに定額賃金制のひとつ。
 労働した1日の賃金をその日に支払われるのと、支払いは1ヶ月まとめて支払われるものとがある。賃金計算が1日を単位としている点で、月を単位として欠勤日数に応じて差し引く日給月給制と異なる

【年間総労働時間】
 所定労働時間と所定外労働時間の合計。「所定内労働時間」とは、就業規則で定められた正規の労働時間。「所定内労働時間」は、早出・残業、休日出勤など。
 2012年の一人当たり平均の年間総実労働時間は、日本1765時間、アメリカ1798時間、イギリス1637時間、ドイツ1317時間、フランス1402時間となっています(独立行政 労働政策研究・研修機構HPから)。
 日本・アメリカ・イギリスとドイツ・フランスの違いが際立っている。
 日本ではサービス残業が蔓延しているため実際には統計以上の労働時間となっているでしょう。
 正規の残業にしても経済不況が続く中、歓迎される雰囲気があります。
 日本とドイツを比較すると448時間の差があります。一日8時間労働とすると56日も余計に働いていることになります。なんともやりきれません。


「は」行




【バックペイ】
賃金の遡及支払い。解雇について争われた事件などで、解雇が無効となった場合、労働者は遡って企業に在籍したこととみなされ、従って、使用者はその間の賃金を支払うこととされる。不当労働行為事件では原状回復の一手段として、解雇後復職までの間に受けるはずであった賃金に相当する額の支払いを命じることがあり、その支払いを言う。


【パートタイム労働者】
パートタイム労働者の定義については、必ずしも明確でない。ILO事務局は、パートタイム労働とは、「世間一般の正規の労働時間よりも短い時間数を1日または1週単位で就業すること、この就業は規則的・自発的であること」としている。

「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(通称パートタイム労働法)によれば、「短時間労働者」とは、1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比し短い労働者としている。

さて貴方はパートタイマーですか正社員ですか。はたまたアルバイトですか。いや派遣労働者ですか。しかし自分の雇われ方は違っても、労働者には違いないわけですから。胸を張って、しっかり主張しましょう。
「私は労働者」だと。


【パートタイム労働法】
正式には「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」という。
「短時間労働者」について、適正な労働条件の確保、教育訓練の実施、福利厚生の充実などの措置を講じることにより、短時間労働者の能力の有効発揮や福祉の増進を図ることを目的に、平成5年6月に成立、同年12月1日に施行された。

事業主の努力義務として1.短時間労働者を雇用したときは、労働時間その他の労働条件に関する事項を明らかにした文章(雇入通知書)を交付すること。2.就業規則を作成または変更するときは短時間労働者の過半数を代表する者の意見を聞くこと。3.短時間雇用管理者を選任することを定めている。


【附加金】
 使用者が労基法第20条の解雇予告手当て、第26条の休業手当、第37条の割増賃金、第39条の年次有給休暇の賃金を支払わない場合、裁判所は労働者の請求により、その未払い金のほかにこれと同額の金銭の支払いを命じることができる。これを附加金という。


【変形労働時間制】
 労働時間の原則は1週40時間、1日8時間です。しかし、仕事には繁閑の波があり、一定の周期で繁忙期と閑散期があらかじめ予測されることも少なくありません。

 変形労働時間は、労働者と使用者が、自らの工夫で労働時間を弾力化し、週休2日制度の普及、年間休日の増加、労働時間の短縮を目的としたものです。

 決して残業代の支払いを減らすためのものではありません。


【法定労働時間】
 労基法第32条では、「1週の労働時間を40時間、1日の労働時間を8時間」とする法定の労働時間を定める。これは、諸外国との労働時間の比較により、日本の労働時間が相当長いことを是正するために昭和63年4月1日改正施行された。

【ポスト・ノーチス】
 不当労働行為の救済の一種。使用者の過去の不当労働行為の陳謝、今後不当労働行為を繰り返さない旨の誓約等の掲示を言う。「会社は従業員が労働組合を結成すること、またその運営を妨害しない」等の文章を会社事業所構内の従業員の見やすい場所に掲示するのがその例。これは使用者に対する自戒と不当労働行為再発防止の効果があるものとされる。


「ま」行


【民事上の免責】
 労働者が就業規則や労働協約に定められた労働時間に働かず、使用者が 損害をこうむった場合、普通には民法上の債務不履行として損害賠償の対象となるが、労組法第8条は、労働組合及び組合員が正当な争議行為(ストライキ等)の結果として、使用者に損害を与えても、不法行為ないし債務不履行を理由として損害賠償の責を負わないことを定めている。



「や」行


【ユニオン・ショップ】

 採用の際には一定の労働組合の組合員であることの有無を問わないが、採用された後は一定期間内に一定の労働組合に加入しなければならず、そして当該組合からの脱退または除名により組合員資格を失ったとき解雇される」等という協定。ユニオン・ショップは、未組織労働者に対して団結することを強調することになり、消極的団結権(団結しない権利)を侵害することになるが、団結権の保障の見地から、労組法は労働組合が特定の事業所に雇用される労働者の過半数を代表する場合においてのみ、ユニオン・ショップ協定を結ぶことを認めている。


「ら」行


【労災】
 労働者が使用者の指揮命令下にあって(業務遂行性)、負傷し又は疾病にかかった場合(業務起因性)、使用者は療養費のほか、休業補償、障害保障を負担するほか、死亡した場合は遺族補償、葬祭料等も支払わなければならない。しかし、労働者災害補償保険法で、それらに対する給付が行われた場合は、その範囲内で保障の責は免れる。

【労働安全衛生法】
 労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自 主的活動の促進を講ずる等その防止に関する対策を推進することにより 職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な作業環境の形成を促進することを目的としている。事業主は、その事業所における安全衛生管理体制を整備するなどのほか、安全衛生教育、健康管理、監督等について定めている。

【労働基準法】
 日本国憲法第27条に基づき、労働者に対する統一的な保護規定として労働条件の最低基準を定めています。1957年(昭和22年)制定です。
 敗戦後の焦土の中から新しい労働者の姿をイメージしたのでしょう。第一章総則を読むと当時作った人のわくわくする気持ちが伝わってくるようです。ところで学校ではどの程度教えているのでしょうか。

 第一章 総則
 (労働条件の原則)
 第1条 労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。
 第2条 この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。

【労働基本権】
 労働権(憲法27条)と、団結権、団体交渉権、争議権の労働3権(憲法28条)を総称して言う。労働権は別の項で。労働3権は労働者の基本的権利。といっても労働組合を作るか、加盟して初めて行使できる権利。いずれもその昔は非合法でありました。資本主義経済の発達の中、労働者階級の血と涙の闘いの結果、その闘いに譲歩する形で保障されてきた権利です。日本では戦後、新憲法で保障されました。
 権利は主張する者のみに与えられるのですから、積年の労働者階級の血と涙の闘いを無駄にしないようにしましょう。


【労働協約】
労働組合と使用者またはその団体とが団体交渉を行い、労働条件やその他に関する取り決めを文章にし、両当事者が署名し、または記名押印したものが労働協約であって、集団的な労働契約の性格を備え、労使関係の安定のためには不可欠である。労働協約の内容は、通常規範的部分(労組法16条)と債務的部分とに分けられる。


【労働組合法】
 資本主義の発展に伴い、自己の労働力以外に売るべきものを持たない労働者は使用者 に対して従属的地位に立たざるを得ません。
 そのため労働組合法では、(1)労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進することにより労働者の地位の向上させること、(2)労働者がその労働条件について交渉するために自ら代表を選出すること、その他の団体行動を行うために自主的に労働組合を組織し団結することを擁護すること、(3)使用者と労働者との関係を規制する労働協約を締結するための団体交渉及びその手続きを助成することを目的とし、労働組合、組織、不当労働行為、正当な組合活動に対する民事上・刑事上の免責、労働委員会などについて定めています。
 但し、この法律をいくら眺めていても労働組合はできません。あくまでも職場で組合を作る時の道具の一つとして活用してください。実際に組合を作りたいと思ったら、是非ご相談を。

【労働契約】
 労働者が使用者に対し、対価を得て労働に服することを約する契約。資本主義経済の発展に伴い、自己の労働力以外に売るべきものを持たない労働者は使用者に対し従属的地位に立たざるを得ない。このような関係においては労働者保護のため、国家が契約内容に干渉し、契約自由の原則を制約する結果それ自体特殊な契約類型として法の規制の対象となっているものを労働契約という。労働契約の内容は、労働者保護法(労働条件の最低条件を定めた労基法など)、労働協約、就業規則の三種の規制をうけている。

 昨今規制緩和と称して、物品販売と同じように労働力も規制をなくして自由に売買しようという動きが急です。労働力が物と同じように何の規制もなく自由に売買される社会が果たして人間の未来にとって良いことなのか。
 ちょっと考えればわかることです。

【労働三法】
労働者の生活と働く権利を保障するために制定された法律を総称して労働法というが、その中で労働組合法、労働関係調整法、労働基準法を労働三法と呼んでいる。


【労働分配率】
一国全体、特定事業、または一企業における、そこで作りだされた所得ないし付加価値額に対する労働者の取り分の割合を言う。

 1.国の経済単位でみる場合(マクロの分配率)は、国民所得の中かに占める賃金の割合を言う。

 2.特定事業、企業単位でみる場合(ミクロの分配率)には、生産額の中から原料費や減価償却費など物的なコストを   差し引いて付加価値を算出し、その中に占める賃金の割合を言う。

労働者への分配率が高ければ、それだけ労働者の収入が増えることになる。残念ながら近年この分配率は下がり続けている。最近の原油高に対して普通に考えれば、製品の値上げが起きるのだが、それが目立って起きないのは、コストに転化せず労働分配率を下げることで切り抜けているからだろう。またまた分配率が下がったという統計がでそうである。
近年、労働組合の力が弱まっている事の反映でもあろう。


「わ」行


 【割増賃金】

 労働基準法では、1.法定の労働時間(1日8時間)を超えて労働させた場合(時間外労働)、2.法定の休日(毎週1日)に労働させた場合(休日労働)または3.午後10時間から午前5時までの深夜に労働させた場合(深夜労働)には、通常の労働時間または労働日の賃金の計算額の2割5分以上(休日労働の場合は、3割5分以上)の率で計算した割り増し賃金を支払わなければならない。(37条)
 実際には割り増しどころか賃金すら払わない経営者もいるとか。一昔前なら労働組合があれば当たり前にもらっていた割増賃金、最近は労働組合が「不払い」を認めているところもあるらしい。
 いつか請求してやるぞとの気持ちで、残業した日はしっかりメモしておきましょう。ジャパンユニオンはいつでもお手伝いいたします。