【声明】イージス艦「あたご」の漁船追突事故に抗議し、真相の解明を求める
  


防 衛 大 臣 石破 茂 様
海 上 幕 僚 長 吉川 榮治様
自衛艦隊司令官 香田 洋二様

                                                    新しい反安保行動をつくる実行委員会 

               イージス艦「あたご」の漁船追突事故に抗議し、真相の解明を求める

 去る2月19日午前4時過ぎ、昨年3月に就役したばかりの海上自衛隊最新鋭イージス
艦「あたご」(7700トン)が房総半島沖約40キロ付近で、千葉県新勝浦市漁協(川津港
)所属漁船「清徳丸」(7トン)に衝突し、真っ二つに切り裂き、乗組員2名を海中に
引きずり込み、転覆させたのだ。その真相は未だに闇の中である。私達は、衝突回避義
務を怠り、迅速な救助活動を行わず、真相に蓋をしようとしている防衛省・海上自衛隊
に強く抗議する。
  この報に接した私達は、88年7月23日に海上自衛隊の潜水艦「なだしお」が東京湾浦
賀水道で第1富士丸に衝突し、乗客・乗員30人を水死させた事故を想起せざるをえなか
った。今回の事故は、「あたご」の「清徳丸」発見時間が2分前か、12分前だというレ
べルの問題では、断じてない。
 そもそも野島崎沖は、漁船等の航行が多い海域であり、遅くともレーダーで、漁船団
を発見した時点で自動操舵から手動に切り替えなければならなかったのだ。それを漫然
と放置し、自動操舵のまま衝突する直前まで航行していたことじたいが、「そこのけそ
このけ」の傲慢さがあったからではないのか。
 今回の航行には、合点がいかないことだらけだ。レーダーの監視(追跡)と見張り員
による現場確認による追跡が全くリンクしておらず、バラバラの「事実確認」が発表さ
れている。航海を安全に行う基礎は、我と彼の移動(方角とスピード)を継続的に追い
続けることだ。それはレーダーと視認による情報を突き合わせてこそ成し得るものだ。
何故、これほど基礎的なことが行われなかったのか?
 またハワイ沖でのSM2の打ち上げ訓練等の激務を終え、あと数時間で日本の基地に
戻れるとの安堵感が心に隙をつくったのかもしれない。しかしそうした可能性は当然予
想できることであり、艦長は、寄港間際の気の緩みを引き締める指示を各乗員に事前に
出さなければならなかったはずだ。
 そして衝突直後の「あたご」は、即座に救助活動を行ったのだろうか。その件につい
て、自衛隊側のコメントは殆どなされていないのは、どうしたことか。その後にいくら
自衛艦を派遣し、ヘリコプターを飛ばしても、衝突直後の迅速な現場での救助活動こそ
が決定的に重要なのだ。
 ところで石破防衛大臣は、19日当日、海上自衛隊幕僚監部からの報告が1時間30分も
遅れたと憤っていたが、もっと早く事故報告が届いていたら貴方は、何をしたと言うの
だろうか。27日の報道によれば、防衛省・海上自衛隊は、事故当日、捜査当局である海
上保安庁に無断で、「あたご」の航海長をヘリで呼び付け、事情聴取を行ったという。
しかし、聴取された「情報」は全く公表されていないばかりか、増田事務次官は、何を
聞いたのか記憶にないと言う始末だ。重大事故を調べる時、担当者は強度の緊張感をも
ってあたるものであり、そうそう忘れるはずがない。それを「あー」とか「うー」とか
忘れたと言うのは、余りにも見え透いたウソであろう。この一言が、防衛省内での口裏
合わせをはしなくも裏から証明するものだ。
  これまでも防衛省は、「テロ対策特別措置法」によるアラビア海での目的外給油の実
態をひた隠し、また防衛汚職を繰り返し、情報隠しや情報操作を繰り返してきた。そし
て今回の「あたご」である。
 防衛省、福田政権がなすべきことは、一切の事実関係を公表し、行方不明のお二人の
捜索に全力を尽くし、事故責任を明確に取り、再発防止策を確実に行うことだ。
 今こそ防衛省は、人々の命を足蹴にし、愚弄することを終わらせなければならない。
 
(◆連絡先:千代田区三崎町3−1−18近江ビル4階 市民の広場気付け 電話 5275-5989)

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新しい反安保行動をつくる実行委員会(反安保実)
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