自衛隊幹部による自民党改憲草案作成を糾弾する
                             2004年12月6日


自衛隊幹部による自民党改憲草案作成を糾弾する
                             2004年12月6日

防衛庁長官大野功統様

 12月5日付東京新聞は1面トップ記事で、11月17日に発表された自民党憲法改正草
案大綱(たたき台)に、陸上幕僚監部防衛部防衛課防衛班に所属する二等陸佐が作成
した「憲法草案」という表題の憲法改悪案が全面的に反映されていることを報じた。
 現役陸自二佐が執筆した同「草案」は、10月下旬に自民党憲法調査会の中谷元・改
憲案起草委員会座長(元防衛庁長官)に提出されたという。この「憲法草案」は(1)
侵略戦争の否定(2)集団安全保障(3)軍隊の設置、権限(4)国防軍の指揮監督
(5)国家緊急事態(6)司法権(7)特別裁判所(8)国民の国防義務、の8項目
からなっている。また「草案」とは別に、安全保障関連での「盛り込むべき事項」を
記載した文書も作成しており、こうした内容がすべて自民党の改憲大綱の中にすべて
取り入れられているのだ。
 同東京新聞の記事によれば、自衛官出身の中谷・改憲案起草委員会座長は「(この
陸自二佐に)一政治家としての勉強のために『力を貸してくれ』と言ったのは事実だ。
私的なものであり、問題ない」と語っている。
 しかし、自民党の改憲草案のための文書を起草することは憲法99条に定めた公務員
の憲法尊重擁護義務に違反するばかりか、自衛隊法61条の(1)で禁止している「政
治的行為」に該当する。そしていわゆる「シビリアンコントロール」の原則にも違反
することは明白である。
 自民党改憲大綱案には、「国家緊急事態」において首相に権限を集中し、かつ「基
本的な権利・自由」を制限するという民主主義破壊の内容が盛り込まれている(第八
章 国家緊急事態及び自衛軍 第一節 国家緊急事態)。また同「第二節 自衛軍」
では「個別的又は集団的自衛権を行使するための……自衛軍を設置する」こと、この
「自衛軍」が「防衛緊急事態」だけではなく「治安緊急事態、災害緊急事態その他の
公共の秩序の維持にあたること及び国際貢献のための活動(武力の行使を伴う活動を
含む)を行うことをも任務とする」として、「集団的自衛権」の行使や海外での武力
行使をも明文的に認めている。その上に、「軍事規律維持のための組織等」として憲
兵隊や軍法会議の設置をも示唆しているのである。
 いま自衛隊の現役幹部が、こうした小泉政府と自民党が押し進める「侵略戦争のた
めの国家づくり」を目指した憲法改悪に積極的に参与していることを、私たちは見逃
すことはできない。アメリカのブッシュ政権の世界規模の「対テロ」先制攻撃戦略を
公然と支持し、新しい防衛計画大綱によって海外での武力行使を「主任務」にまで格
上げしようとしている防衛庁・自衛隊は、ついに憲法改悪を自ら主導的に構想する役
割を担うにいたったのだ。これが憲法に違反し、民主主義を根本的に破壊する行為で
あることは言うまでもない。
 われわれは以下のことを要求する。
 (1)陸自幹部による自民党改憲草案作成の全経過を明らかにし、関係者を罷免す
ること。
 (2)大野防衛庁長官は責任をとって辞職すること。
 (3)新しい防衛計画大綱の作成を中止すること。
 (4)自衛隊のイラク派兵期間を延長せず、ただちにイラクから撤退すること。

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