反安保実 NEWS 第12号

◎メディア紹介◎
6・18市民フォーラムin横浜 報告集
『黙っていれば一〇〇年たっても基地の街』
現場が指摘する米軍再編の問題点  山梛幹雄 

  


 一月九日、創設から五二年余りを経て防衛庁が“省”に昇格した。あわせて自衛隊の海外派兵や周辺事態での後方支援も“本来任務”とされ、九月には、防衛施設庁も統合し、防衛政策をより“総合的”に推進しようとしている。この三月に発足する陸自の中央即応集団が対テロ戦争と海外派兵を担う部隊であることからしても、軍事における“国家意思”を対外的にも、より明確に表明できる“省”への昇格は、決して偶然の出来事ではない。それは東西冷戦終結後の本格的な米軍戦略の見直し=米軍再編に連動する`政治組織”の改変にほかならない。
 その米軍再編についての日米協議の内容が次第に明らかになるにつれ、基地周辺住民と自治体に大きな波紋が投げかけられることとなった。“地元”の頭越しに地域住民、自治体への説明もないままに国が事を進めていることへの不安と苛立ちが、そこにはあった――「冗談じゃない」。この報告書『黙っていれば一〇〇年たっても基地の街』は、そのような状況に立たされた全国各地の市民運動グループが連携した「日米再編・基地強化と闘う全国連絡会」の活動をベースにして、昨年の六月に横浜で開かれた市民フォーラムの記録である。
 普天間基地の撤去をめざす宜野湾市、キャンプ座間への米第一軍団司令部と陸自・中央即応集団司令部の移駐に反対する相模原市と座間市。〇三年に「五年以内の返還」を公約に当選した伊波市長を先頭に「返還アクションプログラム」を策定、日米政府への度重なる要請行動や基地監視ボランティアの活動の成果などを宜野湾市が報告。市と市議会、住民自治会が一体となった「市民協議会」の多様な活動で二一万人(市民の三分の一)の反対署名を集めた相模原と六万人(同二分の一)を集めた座間市の両市議からは、基地の恒久化に反対する自治体の創意工夫あふれる取り組みが伝えられた。ちなみに、この報告集のタイトルとなっている「黙っていれば一〇〇年たっても基地の街」は、反対運動の中で相模原市が作ったキャッチフレーズだ。
 名護・鹿屋・岩国・厚木・横須賀からは、米軍再編の問題点と自治体・住民の取り組みや、今後の課題などが、それぞれ提起されている。その指摘からは“現場”で見なければ分からない米軍再編の問題点が基地被害のシワ寄せとして具体的に浮かび上がってくる。それは負担の軽減を名目としながら基地共同使用の全国化とより一層の日米軍事一体化、基地機能の強化、拡大という姿である。思いやり予算で駐留経費の一五%を負担している韓国に比べて、日本は四九%。政府に税金を使わせず、「日本は居心地が悪い」と米軍に思わせるような運動も必要で、それは基地周辺住民のみならず全国の市民の課題でもある、との指摘もなされた。
 資料として周辺自治体が発行した「広報紙」が収録されており、その力の入れようが分かるほか、基地ごとに「関係自治体の対応」がまとめられている。そこからは、「国の専権事項だ」として容認に転じていく首長の姿も明らかに。「自治体の平和力」を十分に引き出すためには、やはり地域住民のそれなりの運動が必要だ。綴じ込みの「再編ロードマップ」は、基地ごとの再編内容が相互に関連づけられた一枚の図表に仕上げられており、ひと目でその全容がわかる「工程表」として活用できる労作である。
    *  *  *
編集・発行:「米軍再編と自治体」市民フォーラム実行委員会/B5判/六八ページ/頒価五〇〇円/問い合わせ先:フォーラム平和・人権・環境(TEL03]5289]8222・FAX:03]5289]8223)


新しい反安保行動をつくる実行委員会(反安保実X)
 東京都千代田区三崎町3-1-18 市民のひろば気付
  TEL:03-5275-5989/FAX:03-3234-4118 
  メール:hananpojitsu@jca.apc.org
 URL:http://www.jca.apc.org/hananpojitsu/
 郵便振替口座  口座番号:00160-2-36988  加入者名:新しい反安保行動をつくる実行委員会

戻り