反安保実 NEWS 第6号
視点・論点 @
第一師団のイラク派兵を許すな!
      ●
池田五律
 


 練馬北町に司令部を置く陸上自衛隊第一師団が、イラクに派兵される。一月末から二月にかけて五〇〇人もの隊員がイラクに送られるのだ。先だって、一月上旬にも、朝霞駐屯地に総監部を置く東部方面隊全体から、一〇〇人の先遣隊が派兵される。派兵がさらに延長となれば、五月からは、群馬県榛東村に司令部を置く第一二旅団が派兵されることになる。
 イラクでは新憲法に基づく総選挙が行われ、新政府が発足するという段取りになっている。しかし、総選挙後、新政府樹立をめぐって国内諸勢力の利害対立が激化し、内戦が起きるかもしれないとさえいわれている。
 改めて確認するが、そうした混乱の発端となったのは、アメリカによるイラクへの一方的な攻撃と占領だ。しかもアメリカ軍が攻撃の理由とした大量破壊兵器開発の証拠も見つからなかった。イラクで、アメリカ軍やその同盟国の軍隊に対する反発が止まらないのは、当たり前といえば当たり前なのだ。
 その上、反発を抑えこもうとアメリカ軍が行っている「掃討戦」によって、イラク民衆には日々新たな死傷者が出ている。ファルージャの虐殺は、その一端にすぎない。また、アメリカ軍が「不審者」と見なした者への不当な拘束は、占領当初だけでなく、今も続いている。CIAが「テロリスト」だとして拘束した人々を収容する秘密の施設を東欧諸国に作っていることも明らかになり、西欧諸国もそれを問題にし始めた。
 こうした状況の中で、アメリカでも早期撤退を求める動きが強まりつつある。陸上自衛隊が宿営地を置いているサマワなど、イラク南部の治安を担当するイギリス・オーストラリア軍も、二〇〇六年五月には撤退するという。不審な行動をとったイギリス兵を拘束したイラクの新しい治安機関とその兵士を奪還しようとするイギリス軍が銃撃戦を展開したり、限界が顕になってきたからだ。何よりも、派兵政策への反発からロンドンでも「テロ」が起きたことが大きい。
 自衛隊の宿営地にも度々迫撃弾が撃ちこまれ、自衛隊の車列をねらった爆破事件や、イラク民衆のデモ隊による投石事件も起きている。自衛隊は米軍の「後方支援」をするために派兵されているのだから、イラク民衆に反発されるのは必至だ。
 このような状況下に送り込まれることは、自衛隊員がイラク民衆に銃を向ける事態をいままで以上に招くものだ。自衛官からも死傷者がでるおそれも少なくない。
 また、陸上自衛隊が宿営地を置くサマワ周辺も、湾岸戦争やイラク戦争で、アメリカ軍が劣化ウラン弾を大量に使用した地域だ。劣化ウラン弾による放射線被曝によって、自衛官にどのような健康障害が起きるのか、分らない。こうした状況で、なぜ、小泉政権は、派兵を継続するのか。
 日米防衛協議では、世界大で米軍の「後方支援」や米軍の軍事行動と一体となった「復興支援」をさらに進めることが話し合われている。それと呼応して、防衛庁の「防衛・国際貢献省」への昇格、海外派兵専門の待機部隊を含む中央即応集団の創設、海外派兵を自衛隊の本務化のための自衛隊法「改正」の動きも出てきている。また、自民党改憲案は、自衛隊を「自衛軍」と明記することを打ち出した。名実ともに自衛隊を軍隊にし、海外でも恒常的に軍事行動を行う国家へと日本を作り変える。そのためには、自衛隊員に死傷者が出てもかまわないからイラク派兵を継続する。まさに、そのためのイラク派兵継続だ。
 「自衛隊・東部方面隊をイラクに行かせるな!実行委員会」(連絡先:東京都板橋区板橋2-44-10-203 オフィス桑 北部労法センター TEL&FAX:03-3961-0212)は、一月一五日、午後二時から、東武練馬北口の徳丸第二公園で集会を行なった後、北町駐屯地にデモを行う。
 また、練馬の枠組みでも二月十二日に集会・デモを行なう準備が始まった。イラク派兵に反対する特に首都圏、何をおいても東京の皆さん! 足下の自衛隊部隊のイラク派兵に反対する声を大きくあげよう。
(いけだ・いつのり/派兵チェック編集委員会)

イラクからの自衛隊撤退と沖縄の米軍基地撤去を求める実行委員会(反安保実IX)
 東京都千代田区三崎町3-1-18 市民のひろば気付
  TEL:03-5275-5989/FAX:03-3234-4118 
  メール:hananpojitsu@jca.apc.org
 URL:http://www.jca.apc.org/hananpojitsu/
 郵便振替口座  口座番号:00160-2-36988  加入者名:新しい反安保行動をつくる実行委員会

戻り