反安保実 NEWS 第4号

視点・論点F 
イスラエルの「ガザ回廊からの一方的撤退」は《勝利》か?
     ●岡田剛士

  

 去る五月中旬、日本政府の招きでパレスチナ自治政府のアッバース大統領が来日した。続いてイスラエル首相シャロンも同様に来日する……はずだった。しかし、八月中旬の「ガザ回廊からの撤退」前で忙しいとの理由で、訪日は秋まで延期された。
 小規模ながらアオリをくらったのが、「シャロン来日は六月末から七月頭らしい」との情報を得て急きょ立ち上げられた「イスラエル首相シャロンを許すな! 来日反対キャンペーン」(以下、「来日反対キャンペーン」)だった。六月二六日に集会とデモをやろうと決めた直後に、「延期」報道が流れた。
 それで「来日反対キャンペーン」では、六月二六日の集会を学習会的なもの(シャロンのすすめる「ガザ撤退」案とは何か? \\パレスチナの「監獄化」を許すな!)として、都内の新宿区立元気館で行った。講師は、ガザ回廊と「分離壁」にこだわって取材活動を続けるジャーナリストの小田切拓さん。
 ビデオ映像を交えてのお話は興味深かったが、特に小田切さんから提供していただいて当日の資料に入れた、イスラエル政府の「(ガザ回廊からの)撤退計画」の文書(英文)には驚いた。そこには、ガザ回廊にある入植地は撤去するが、周辺の全体の管理権はイスラエルが持ち続けること、西岸での「分離壁」の建設を継続すること、さらには西岸の一部はイスラエルとなること……などが明示されている。マスメディアが「一方的撤退」と報じる、その中味は、しかしガザ回廊全体の「監獄」化であり、同時に事実上の西岸地区併合、なのだ。
 「来日反対キャンペーン」では、秋までの時間のなかで創意工夫も凝らしながら、多少なりとも継続的な取り組みをしてゆきたいと考えている。ぜひ注目してほしい。
 *電子メール:war_resisters@yahoo.co.jp
 *ホームページ:http://peace-palestine.seesaa.net/

 もう一点、六月下旬にアッバースが、ハマース(イスラーム抵抗運動)などに自治政府への入閣を要請、しかしハマースは七月四日、これを拒否した、との件について。
 例えば七月五日付の共同通信は、「ハマスとしては、延期されたパレスチナ評議会(議会)選で多数の議席を確保し、政治勢力を拡大した後に内閣の要職を占めたいとの思惑があるとみられる」……「(アッバースは)パレスチナ最大の武装勢力とされる同組織を政治体制に取り込むことで治安の安定化を図り、ガザ地区撤退を円滑に進めて和平交渉進展に結びつけたい意向だった」と報じた。
 多分、この共同通信にあるような大枠の構造が、今のパレスチナの政治地図なのだろう。ならば、「ハマースは、単なる『テロ組織』ではなくて、『したたかな政治力』を備えた政治党派だ」という捉え方も、あるかもしれない。
 だが僕は、「冗談じゃない」と思う。メチャメチャな占領/弾圧政策でパレスチナ人たちを絶望の淵に追いやってきたのはイスラエルだ。パレスチナ人たちに抵抗の権利があるのは当然だ。しかしそうした人々に実際に爆弾を渡して、「その背中を押した」のはハマースなどの政治党派ではないのか。
 人を死に追いやることを闘争の一つの手段とするような「政治」と、そして「党派組織」を、僕は容認できない。
 さらに今後、ハマースなどが、右に言及したごとき内容の計画に従って行われるイスラエルのガザ回廊からの撤退を、「自らの闘争の勝利」として宣伝することすら、あり得るかもしれない。もしもそうであるならば、やはり僕は「冗談じゃない」と、改めて思うだろう。
 彼我の距離と立場の違いの大きさを感じながら、僕は僕なりに自らの立場を捉え返す努力を続けるしかない。      
(おかだ つよし/派兵チェック編集委員会)

  イラクからの自衛隊撤退と沖縄の米軍基地撤去を求める実行委員会(反安保実IX)
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