反安保実 NEWS 第3号

視点・論点A 
「文民統制」破壊の先制攻撃支援法=自衛隊法改悪を止めよう!
           ◆
杉原浩司 
  


嘘八百が支配する法案審議
 約五メートルの至近距離に石破茂をとらえた。一昨年の「日米安保戦略会議」の際のミサイル防衛(MD)兵器見本市(憲政記念館)で、実物大のミサイル模型をまじまじと眺める軍事マニアの彼を、約一メートルの距離で接写して以来の対面である。石破は私たちが傍聴席に座ると、あの独特のまなざしで、もの珍しそうにこちらを見据えてきた。
 「ミサイル迎撃」名目で武力行使=開戦権限を自衛隊指揮官(横田に移ることになる航空総隊司令またはイージス艦長)に丸投げする自衛隊法改悪案などを審議する五月十日の衆議院安全保障委員会を、仲間とともに久しぶりに傍聴することができた。予想していたとはいえ、それは悲惨なものだった。一番バッターの石破は、質問をこう切り出し胸を張った。「MDについてのコンセンサスができつつある。『当たらない、費用対効果、文民統制、軍拡』など、当初言われたほとんどの疑念は払拭された」。
 彼は続けた。「相当の確度で撃ち落とせる。当初は八千億円だが、効果を比べてみないとわからないし、では他にこんな手があるというのがないとだめだ。文民統制は確保されている。『軍拡』というのはそもそも意味がわからない」。全てが嘘っぱちである。もっとも、現長官の大野功統はさらに上手だが。
 石破を「教授」と呼ぶ大野は、先日フジテレビ『報道2001』に出演した中で、日本のMDの迎撃率を「百発中九八から九九発撃ち落とせる」と何の根拠もなく豪語してみせた。米日軍需産業を喜ばせるに過ぎない旧式ミサイル購入(PAC3のみ三菱重工がライセンス生産予定)を正当化するにしても、あまりに粗雑でありs偽証罪t級だ。委員会での大野の答弁も、ほとんど答になっておらず、およそ審議の体をなしていなかった。

 「近くて遠い」距離をどう埋めるか
 こんな連中が大きな顔をしていることを放置すべきではないだろう。今や衆議院安全保障委員会は社共の委員は不在で、与野党にまたがる新旧国防族のサロン=「戦争保障委員会」と化している。石破は質問後、「同志」前原誠司(民主「次の内閣」防衛庁長官)の傍に行き、談笑していた。民によって s迎撃tされるべきは、こうした「戦争保障委員会」である。五メートルの距離は残念ながら「至近距離」ではなく、当面は遥か遠いものだった。
 この一見絶望的な距離をどうしたら埋めていけるだろうか。はっきりしているのは、説得力あるオルタナティブな論理(ビジョンと政策)と発言権の確保(現在はほとんどゼロだ)が不可欠であるということだろう。一歩でも前に進みたいと切実に思う。
 法案は「国民的合意を得た形にしたい」(与党幹部)との思惑から、公表方法の一部修正(与党案は軍部に事前委任される迎撃命令自体が国会事後報告まで非公表)受け入れの形で、民主党を取り込んだうえでの成立が目指されていると報じられている。
 翼賛議会の監視と果敢な介入が最後まで追及されるべきだろう。「核とミサイル防衛にNO!キャンペーン2005」準備会(七月十四日に水島朝穂さんの問題提起を受けての発足集会を予定)や原水禁などの団体・個人で作る「ストップ!ミサイル防衛・自衛隊法改悪にNO!実行委員会」では、委員会傍聴や委員への要請行動を開始し、今後可能な形で学習会や国会での集会などを呼びかけていくことにしている。ぜひ、各地でも取り組んでほしい。(委員会審議は『派兵チェック』(一五二号)の拙稿や衆議院ホームページの「会議録」参照を。四月一日の本会議質疑や四月二六日の参考人質疑、五月十二日の委員会質疑はぜひ一読を。)
 *情報・資料などは[TEL・FAX:03]5711]6478/E-mail:kojis@agate.plala.or.jp]までお問い合わせください。
(すぎはら こうじ/「核とミサイル防衛にNO!キャンペーン2005」準備会) 

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